【 于吉の深謀遠慮 の件 】
〖 司州 河南尹 鶏洛山付近 にて 〗
于吉「ふふふっ! 役者が全員揃いました! 観客も……皇帝陛下が御成り下さるとは、主催者たる于吉は感無量ですよ!!」
そう云うと、後ろを振り返り順慶、久秀、左慈を招く!
于吉「さて、開演の幕を開きましょうか! 『世界崩壊への悲喜劇』の始まりですよ! 『北郷一刀』を連れて、竜驤軍の前に出ますとしましょうか! 順慶殿! 向こうへ着いたら、経絡を解いて下さいね?」
順慶「わかりましたわ! それで……于吉! 颯馬様が私達の手に入る事になるのですね?」
久秀「だけど……颯馬は久秀達の誘いを断った筈よ? もし、断ったら?」
于吉「ふっ! その時は『北郷一刀』を殺します!!」
久秀「……そのための人質ね?」
順慶「うふっ! うふふふっ! 良いですわ! 賞賛に値します! 于吉!」
左慈「……………………」
于吉「ふふふっ! 久しぶり……いえ、始めてですか! ここまで褒められるのも……。 でも、まだ序盤ですよ? 褒め讃えるのは、策が完成したから充分です! まだ、やることなすこと沢山ありますのでね!」
于吉が指を鳴らすと、傀儡兵が二人、跪いて現れる!
于吉「双方の陣営に、招待状を届けなさい!! 特に……天城颯馬、北郷一刀関係者には、特等席を用意すると伝えなさい!!」
傀儡兵「ぎょ………い」スッ!
于吉「……この世界の将達が、どこまで、私の思惑を読めたのかは分かりませんが……今は全て……私の手の内ですよ。 さてさて、どこまで……覆すことが出来ますかね? 貂蝉、卑弥呼!」
長年の管理者同士の戦いに……思惑に耽る于吉。
左慈「于吉! 策は例え九分九厘完成しても、最後の最後で崩して来るのが、人形達だ! 念には念を入れておくのも……策謀の基本だろう!?」
于吉「当然ですよ! 主な役者の動静、兵力の掌握、それに耐えられる我が軍勢! 肯定側の管理者が呼んだ将が、姿を消したようですけど……兵力が無い者が、複数集まったところで何が出来ますか!?」
左慈「だが……不確定要素には違いない! しっかり把握しておけ!」
于吉「愛しの左慈が云うのでしたら……そうしましょうか」
久秀「…………………」
◆◇◆
【 招待状 の件 】
〖 司州 河南尹 鶏洛山付近 にて 〗
曹操、孫策連合軍は………慌てていた。
『 招待に応じて戴き、大変光栄です。 皆様が、お集まり次第、我が悲喜劇《 世界崩壊を導く者の最後 》を上演致したいと思います。 特別席で将の方々を、兵の皆様は、少し遠くて不便ですが、人数の都合の為、別席にて御観覧下さい! 主催者 于吉 より 』
ーーー
春蘭「ふざけている! か、華琳様! こんな不利な状況に指定されては、我が軍勢、将を人質に取られて思うままに動けません!!」
秋蘭「姉者の申す事もっとも思われます! それに、我らと共に呼応して、皇帝陛下率いる洛陽軍も参陣されていると、情報を得ていますので、その動静もお伺いしなければと………!」
ーーー
雛里「……このまま展開させて、包囲全滅すれば勝てますが……一刀さんの居場所が判明していないければ、救出する事は不可能です! 儁乂さんや紫ちゃん、明命さんが必死に探してくれますが……連絡がありません!」
星「一刀殿の救出もしたいが……巻き込まれる兵、しかも洛陽軍の皇帝陛下、董仲穎様達の影響も考えると………!!!」
ーーー
冥琳「………だが、早急に応えねばなるまい。 痺れを切らせば、何をするか分からん。 洛陽軍と相談しなければ、何ともならない話だ! 幸い、曹操軍に洛陽軍の道雪殿が居られる。 道雪殿の竹簡を届ければ、向こうも……!」
ーーー
そんな話し合いが続き、無言で思案する華琳と雪蓮。
だが……晋軍は、そんな悠長に……刻を与えなかった!
曹兵「た、大変です! わ、我々の軍より遥かに多い大軍が、周りを囲んでいます!!」
『ーーーーーーーーーーーー!!』
★☆☆
詠「月ぇ──! 大変、大変よぉ!! 私達の軍勢を取り囲む『白装束』の軍勢が現れたの!」
月「─────! へ、陛下は? 陛下は無事なの!? 詠ちゃん!」
白菊「アタシらが守ってるんだ! 当然無事だよ!!」
翠「アイツら……囲む分で動こうとしねえんだぜぇ? ったく!」
蒲公英「駄目だよ! 皇帝陛下方を此方で保護しているのに、攻められたら、タンポポ達全滅だよ!!」
ーーー
霞「…………恋。 どれくらいおるか、見当できるか?」
恋「………いっぱい!」
ねね「う~んとぉ……? れ、恋殿! 申し訳ありませんが、ねねを肩車して頂けませんか? 前方ばかり見えて後方が見えないのです~!!」
恋「コクッ!」シュッ! トスッ!
ねね「わぁ~い! 高い高いぃ~☆ じゃなくて~ゴホン! ……失礼しました。 うーん! むむむっ! これは……百万近くおりますぞ!?」
霞「何やとぉ? 周りが百万と云うことは、晋軍の今の奴らとはちゃうから省くと………単純計算で百三十万の大軍勢!? ウチらがやっと三十万ちびっとやから……四倍以上かぁ!!!!」
ーーー
銀糸「陛下! これは……この『招待状』とやらの脅迫状に屈しねば、月や白菊達、曹操軍の将兵達にも危害が参りましょう! 月に連絡して、私達が先に動けば、曹操軍達も動かざる得ません! よろしいですか!?」
金糸「皇位朕族滅継承、必現出。 月、白菊、曹孟徳、孫伯符皆英傑、是失国傾!! 襲撃晋未然朕快動! 使者即行!!」
(私達の代わりに皇位を継ぐ者は、必ず現れます。 しかし、月や白菊達、曹孟徳、孫伯符達のような英傑を失うは、国の莫大なる損失!! 晋軍が襲いかかる前に私が動きましょう! 直ぐに使いを!!)
銀糸「はい! 誰かある! 至急! 董相国に使いを送れ!」
禁裏兵「はっ!」
◆◇◆
【 捕らわれの一刀 の件 】
〖 司州 河南尹 鶏洛山付近 にて 〗
于吉「う~~ん! 悩んでいますね~? いい気味ですよ! 私の策謀を悉く破ってくれた、この世界の住人が苦しむのは、気持ちがいいものですよ!」
順慶「あらっ? 虎牢関での劉岱謀反、洛陽攻めも……皆、颯馬様の策が防いだのでなくて?」
久秀「順慶……! 于吉は、ただ『八つ当たり』したかっただけよ! そんなちっぽけな優越感を逆撫でしてしまったら、幾ら于吉でも……悲しむわよ?」
左慈「はぁー!」
于吉「ふ、ふんっ! べべべ別に、そんな心が狭い試みを、する私だと思いますか!? もし、そうなら心外です! 心外!!」
『……………………』
于吉「さ、左慈は信じてくれますよね!? 私が、そのような者では無いと!?」
左慈「肯定も出来んが……反論もせん! 分かったのなら、サッサッと次の行動を起こせ!!」
于吉「──────!」
★☆☆
〖 司州 河南尹 鶏洛山付近 にて 〗
颯馬達の籠もる鶏洛山陣地手前で、洛陽軍と連合軍の将が集まり、少し離れた場所で……兵達が待機していた。
華琳「──陛下! このような地で拝謁する事、申し訳なく………」
銀糸「そのような些事はいい! 今は静かに様子を見ようぞ! 皆も気を付けて欲しい。 相手は、この世界を破滅に追い込もうとする魔の遣いぞ!?」
雪蓮「私達にも、その情報は回って来ています。 あの者達には、色々やられましたが……天城颯馬殿の知と仲間達の奮迅で、辛くも逃れてきました!」
華琳「この度、私達も天城颯馬殿の策に力添えする為、この地に参ったのですが……不覚にも我が軍の将を人質として、奪われました───!!」
金糸「……………」
雪蓮「ですが、私達も負けられません! この大陸の為、そこに住まう民の為、これからを担う者達の未来の為、断固勝たなければなりません!」
月「陛下! 陛下の御側には、馬寿成様と私が! この地では、曹孟徳殿と孫伯符殿の軍勢が! そして何進大将軍も別の場所で戦われております!」
金糸、銀糸「────────!」
月「陛下! 私達は……このような事態に陥りましたが、必ず『我が子房』天城颯馬が……全員を救ってくれる『 ────黙りなさい! 』───!!」
『────────────!?』
ーーーーー
月が陛下に語る事を止めさせた者。 普通なら高位の二人に、この口の利き方だけでも厳罰だが……この者を罰する事が出来なかった!
『お集まり頂き、恐悦至極ですよ! 漢王朝の陛下と忠臣の皆さん!!』
そこに……白を基調とした鎧を身に纏い、金髪の髪に黒の『リボン』と云う装身具で結っている『筒井順慶』
妖艶な衣装を纏い、ツインにした紫の長髪が左右に揺らしながら、にこやかに微笑みつつ現れる……『松永久秀』
道士服を着用した二人の少年……『于吉』と『左慈』
その四人が……砦を背にして立っていた。
于吉「自己紹介が遅れましたね? 私は于吉と申します。 別に名など覚えて貰わなくても結構ですよ? どのみち、皆様は仲良く死んで貰いますので!」
華琳「─────ギリッ!」
ーーー
左慈「……俺は左慈だ! 以上!」
ーーー
順慶「私は……天城颯馬様を愛する『筒井順慶』ですわ! 天の国でも慕う姫武将は多かったのに、ここに来ても、相変わらず懸想する者の多き事! ここで、慕う者を全部蹴散らし、颯馬様を私だけの者にするのですわ!!」
月「───────!」
ーーー
久秀「久秀が自己紹介? そんなモノ要らないでしょう! 私の変名を知れば分かるはずよ? 『司馬仲達』と!」
『ーーーーーーーーーーー!!』
久秀「ふふっ! 久秀も有名になったモノね。 あらっ? そこに居るのは袁本初サマではないですか? 家来の二人も無事のようね。 あれほど憎んでいた曹操軍に乗り換えるなんて、袁家はやはり……滅ぶ運命だったのよ?」
猪々子「───────!」ガタン!
斗詩「────────!」バッ!
麗羽「お止めさい──! 二人共!! 陛下の御前ですよ!」
猪々子、斗詩「「……………………はい」」
麗羽「二人共、わたくしの代わりに怒ってくれて……ありがとう。 だけど、わたくしは幸せでしたの。 我が君に仕えられて………! しかし、我が君に危害を加えるならば……全力を持ってお相手致しますわ! 久秀!!」
久秀「あら~怖い怖い。 世間話は此処までと致しますわ!」
元々濃かった険悪間が……左慈を除いた三人の煽りで更に濃くなる。
もはや、一触即発の状態に陥る時、左慈が指を鳴らす。
左慈「お前達が心配している『北郷一刀』は、此処に居る!」
傀儡兵二人に固められ連れて来られた少年。
一刀「み、みんなぁ………! ごめん! 本当にごめん!!」
『──────────!!!』
白い制服を着て、少し痩せこけた北郷一刀が……ゆっくりと現れた。
◆◇◆
【 選択…選んだ結果 の件 】
〖 司州 河南尹 鶏洛山付近 にて 〗
于吉「さて、先程……矢文を入れたばかりなんですが、早い到着でしたね?」
于吉は、一刀に注目がいっている間に、鶏洛山の砦に近寄る。
先の戦と同じように土嚢で固めていた砦。 袋が破れないようにと、二重に重ねて作らてあったため、袋からの破損部分は少ない。
そこから、天城颯馬が顔を見せ、小声で喋る!
颯馬『当たり前だ! なんで、この地の目の前で、皇帝陛下や月様、華琳や雪蓮達が居るんだ!? そんな矢先に、このような文が来るんじゃ心配もしたくなるだろうが!?』
そう言って『矢文の紙』を見せる。
于吉「貴方が砦から離れて、私の問い掛けに応えてくれなければ、あの方々を包囲して全滅させますよ?」
颯馬「────そうか! やはり『白装束』を操るのは、お前の仕業だったのか!? 俺の考えが甘いばっかりに────!!」
于吉「では、颯馬殿! 北郷一刀の傍に行って下さい! 勿論、関羽殿も連れて───!」ニッ!
愛紗「言われなくても参るつもりだ!! 案内しろっ!」
二人は、砦の防塁を飛び越え、于吉に近付く。
ーーー
小太郎「颯馬様ぁ─────!」
義輝「颯馬!」
左近「必ず戻ってくるんだ!!」
鹿介「天城殿!」
長慶「………颯馬」
一存「久秀の野郎ぅ~!!」
ーーー
信長「行くなぁ! 颯馬! これは罠だ!!」
颯馬「………『行く事は、流れの如し』……。 行かないと、月様や皆の命が危ないから……心配して貰ったが、すまない!」
信長「…………たわけがぁ!!」ダン!
ーーー
凪「天城様ぁ! 私も共に!!」
于吉「貴女は駄目です! 貴女は氣を操り、攻撃できますからね? もしかすると、私の邪魔立てするかもしれませんので!」
光秀「それでしたら、私が参りましょう。 ご覧のように、寸鉄も身に帯びていませんよ? これなら、心配も無用でしょう!」
于吉「…………分かりました。 但し、貴女一人だけです! 宜しいですね! ────それでは、付いて来て下さい!」
★☆☆
月「あ、天城様! どうして……貴方までぇ!!」
雪蓮「颯馬ぁ──!!」
一刀「あ、天城様! 逃げてくれ! 早く! 早くーー!!」
ーーー
于吉「天城颯馬……こうして貴方と、ユックリ喋れるのは……始めてだけど、私に力添えしてくれる将達が……早急に応えが欲しいそうだよ?」
順慶「ジィ────────!」
久秀「ふんっ!」
颯馬「その応えとは……!」
于吉「『問い』は一つ! 『選択』のは……三つ! 選べるのは……一つ! よぉく考えて……応えて貰いたいですね?」
颯馬「─────言え!」
光秀、愛紗「……………………」
左慈「俺が言ってやろう! 『松永久秀』『筒井順慶』の二人の将の下へ戻る意志は?」
于吉「そして、私からの『選択』です。 もし、これ以外の選択を取れば、此処に将兵、漢王朝の皇帝陛下諸共───包囲殲滅させます!」
『───────────!』
颯馬「選択肢は─────!」
左慈「これだ────!」
于吉は、用意した竹簡を取り出し……読み上げる!
★☆★ ★☆★ ★☆★
選択肢
①……二人の下へ戻る。 ならば……将兵は全員助けましょう! ただ、天城颯馬、貴方は他の将と一生会えない事を覚悟して貰いますよ!!
②……二人の誘いを断るのなら、関雲長の刃で殺されなさい! そうすれば、将兵全員の命を助けましょう!!
③……二人の誘いを断るのなら、北郷一刀を天城颯馬、貴方自身で殺しなさい! そうすれば、将兵全員の命を助けましょう!!
以上となります。
★☆★ ★☆★ ★☆★
華琳「どちらを選択しても……颯馬に関して、不利な内容ばかりじゃない!」
桂花「こういう場面こそ、アンタの知謀が役に立たせる時じゃないの! もし、一刀を犠牲にしてみなさいよ! 私が代わりに仇を討ってやるから!」
春蘭「これが終われば───全員! たった斬ってやる!!!」
秋蘭「姉者……今回は……止めはしない。 存分に暴れまくるぞ!!」
道雪「颯馬殿………!」
ーーー
雪蓮「私達が……あれほど世話になったのに……! 目の前で、不利な状況に陥っているのに!! 何も出来ないのぉ!? ねぇ! 冥琳!?」
冥琳「私だって……何とかしてやりたいさ! しかし、人質に皇帝陛下まで入ってしまったのは、策が裏目に出たか!? くそぉぉぉ!!」
ーーー
蓮華「誰か! 誰か! 助けてあげて!! 颯馬が、颯馬が!!」
小蓮「お姉ちゃん! しっかりして!!」
祭「権殿! ここは最後まで、見守りましょう!! 天城の数々の策! この極致でも、必ず起こしてくれましょうぞ!!」
ーーー
朱里「………駄目だよ、駄目だよ! 雛里ちゃん!! どう足掻いても、策を覆せれない! 天城様を犠牲にするか、一刀さんを犠牲にするか! 完全な二択問題だよ!!」
雛里「朱里ちゃん……………!!」
ーーー
桃香「どうしようも……無いの………かも」
鈴々「諦めちゃ駄目なのだぁ! 絶対、諦めちゃ駄目なのだぁ!!」
星「………しかし、私達には……どうにでもならん!」
ーーー
季衣「流琉! 兄ちゃんが生きてるけど────!!」
流琉「天城様の………選択次第………!」
ーーー
猪々子「あの野郎ぅぅ! アニキや天城の兄ちゃんまで!! 許せねぇ!!」
斗詩「………………………!」
麗羽「我が君! 死なば………諸共ですわ!!」
ーーー
霞「詠! ねね! 何ぞ、何ぞ! 策とかねえのか? パアァと解決出来るようなヤツは!? 軍師が……颯馬が危ないのやでぇ!?」
ねね「考えがあれば、既に行っているですぞ! ………あぁ! 何も浮かばないですぅ!!」ガジガジ!
恋「………………」
詠「颯馬! ………ゴメン、ボクの頭じゃ……何も浮かばない……! アンタを越えるつもりだったのに!!!」
月「………私は、信じています。 必ず……解決できる策を、お持ちだと!」
ーーー
金糸「朕請無理貫! 謝謝! 天城君!」
(私達が無理を云ったために! ごめんなさい!! 天城殿!!)
銀糸「いえ、まだ早いです! 天城を天の御遣いの力! 信じましょう!」
白菊「買いかぶり過ぎたかのぉ! 翠、蒲公英! 陛下の護衛を頼む! アタシが血路を開いてやっからよぉ!!」
翠「ま、待ってくれよ! 母様! まだ……勝負はわからねぇ!! そこまで待っても遅くは無いだろう!?」
蒲公英「タンポポもお願い! 結果を待ってから行動起こすから!!」
白菊「ふん! 仕方ないねぇ! 結果待ちだよ!!」
★★☆
順慶「于吉! 私達の説明した事と違いますわよ!?」
久秀「そのような選択肢があっても……いいと思うわよ? 強制的に此方に来るより、何かしらの救いや罪悪感があった方が、操り易いんだもの」
順慶「久秀……恐ろしい娘!」
ーーー
于吉「………さて、どうします?」
颯馬「……俺の腹は……最初から決まっているよ!」
『②を選ぶ!!』
ーーー
『───────────!』
順慶「颯馬様!! なぜ! なぜですの!? どうしてー!!!」
久秀「…………私達の事が………それ程まで……憎いの!?」
一刀「天城様!! ③を選べ!! そして……俺を殺して生きてくれ!!」
愛紗「───────!!」
光秀「………………………」
ーーー
颯馬「俺は、光秀一人を生涯、愛す事に決めている。 それに……北郷殿! 貴方も生きて貰わないと困るんだ! だから、俺一人の理由で終わらせる! 愛紗! 例の短刀を持っているか!?」
愛紗「はっ、はいっ! 何時も肌身離さずに持っております!」
颯馬「そうか……! 丁度いい! その短刀で俺を刺せ!」
愛紗「─────────!!」
ーーー
一刀「止めろぉ!! 愛紗! 止めるんだぁ!! 殺すのなら俺を!!!」
于吉「では、短刀を見せて貰えませんか? 久秀殿のような小細工の可能性もありますからね? 左慈、北郷一刀を黙らせてくれませんか? こうも騒がしいと、死に行く者に対して妨げになります!!」
左慈「口に布切れを入れておけ! 呼吸は出来るようにしておけよ!?」
一刀「ムグムグッ!! ムグッー!!!」
ーーー
愛紗は、颯馬の許しを得てから……于吉に渡すと……丹念に見る。
于吉「ほぅ! 業物では無いですが……切れ味は凄そうですね?」
颯馬「昔、義輝が襲撃を受けた際に、それが足下に転がっていたため、血路を見いだし命拾いした逸話がある。 俺が御守り代わりに貰ったのだ!」
于吉「大丈夫ですね! それではお返しします!」
愛紗「……………………」
愛紗は受け取ると……短刀を鞘から抜いた!
颯馬「それじゃ……愛紗! 後を頼む!!」
愛紗「本当に……ですか? 本当に……刺してしまいますよ?」
颯馬「構わんさ! 云っただろう? 愛紗に殺されば……本望だと!」
愛紗「あ、天城様! 申し訳ありません─────!」ダッ!
──────ドスッ!!
颯馬『ぐはっ!!』
ビシャッ! ビシャッ! ズブズブッ!
颯馬「────ゴホッ!」バタッ!
愛紗「………はぁはぁはぁ! あっ? あぁ?」
颯馬は愛紗に刺され、背中に刃が突き抜け………!
そして……颯馬の身体が、糸の切れた操り人形の如く……倒れた!
愛紗は、自分の手の平が……赤く染まるのを確認する。
愛紗「ああぁ! 嫌あぁぁぁ────────!!!」
数々の英傑が注目する中………愛紗の悲痛な叫びが……広がっていった…………。
ーーーーーー
あとがき
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
まぁ………こんな結果になりました。
今度は、二週間ぐらい先の投稿になります。
また、宜しければ読んで下さい。
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義輝記の続編です。 宜しければ読んで下さい!
10/6終わりの部分をちょっと加筆しました。