No.727657 紫閃の軌跡kelvinさん 2014-10-03 22:25:44 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:21059 閲覧ユーザー数:20334 |
―――『オルフェウス最終計画』……その第一幕である『福音計画』によって起こった『リベールの百日事変』。
―――その災厄を国家といくつもの組織が協力して、スピード解決に至ることが出来た。
―――だが、これは結社『身喰らう蛇』の第一幕に過ぎない……
―――第二幕『幻焔計画』
災禍の気配漂う軍馬の紋章を掲げる紅き帝国……エレボニアの地において、一人の青年が一つの種を蒔く。その種が芽吹くとき、其処に結実するはかつてのリベールにおいての結束の強さを発揮させるため。無論、そのような力が使われるようなことなどあってほしくはないのだが、残念なことに戦火という光景はすぐそこにまで迫ってきていた。
その青年の呼びかけに呼応し、帝国の隣国でありエレボニアの南に位置する王国……リベール王国。その国に暮らす一人の青年が荷物を持ち、飛行艇に乗り込んだ。飛行艇が飛び立ち、ひとまず落ち着いてからデッキに足を運び、予め渡されていた手紙の封を切り、便箋を取り出して目を通す。目を通すと、他の乗客に見られないようにすぐさま燃やした。この手紙の内容は他に開示することを許されないものであるからに他ならない。
「(……はぁ、父さんも人使いの荒いことで)」
そう言いたげな表情を浮かべたの青年の名は、アスベル・フォストレイト。表向きは遊撃士と軍人、裏では星杯騎士“守護騎士”の肩書を持つ人間であり、八葉一刀流の全ての型の皆伝を修めている程度の人物。
その彼が先ほどまで読んでいたのは、彼の父親であり王国軍のトップにいる人物からの『依頼』であった。具体的には、帝国の調査ということだが、表立ってそんなことをやれば国際問題になりかねない。そこで、遊撃士という身分を通じての情報収集のみならず、実際の状況を見るための『尖兵』として向かうことになる。
単純にそれだけならば警戒されるかもしれないが、これにはオリビエもといオリヴァルト皇子からの要請もあっての事だ。トールズ士官学院……帝国中興の祖と謳われるドライケルス帝が晩年に設立した士官学校であり、彼が理事長を務めている学院への留学生という形でアスベルはその学院に入ることとなる。
エレボニア帝国とリベール王国は『百日戦役』の関係もあって思わしくない関係であったが、昨年のアリシア女王陛下の訪問と首脳会談を機に少しずつ改善の兆しを見せていた。だが、そう全てがうまくいくはずもなく、とりわけ留学生制度は他の政策よりも遅れが生じていた。
無理もないことだ。かつての敵国に留学しようという考えを持つというのは、なかなか難しい。大使館があるとはいえ、留学生の安全の確保は色々と難しい問題である。それと、百日事変での帝国軍の王国領無断侵入もあって、進捗状況はとても芳しくない状態だった。そこで、そのテストケースとしてアスベルを留学させることでその不安を払拭させようという状況に相成った。
特科クラス≪Ⅶ組≫……その面子を聞いたときは色々と度肝を抜かされたのだが、その最たる存在はというと……
「いや~……まともな生活が送れそうだよ。」
「それでいいのか、ルドガー(お ま え)は。」
「仕方ないだろ!あの色ボケどもに追われなくてもいいというのは……ううっ」
「その、悪かった。」
元『執行者』No.Ⅰ……『使徒』第一柱“神羅”ルドガー・ローゼスレイヴの存在だ。本来ならば七耀教会と結社は対立関係にあるのだが、この人物は教会に対して害をなすような行動をとっていないため、保留という形となっているというのも理由の一つであるが、アスベルとルドガーは“転生者”……生まれ変わる前の世界では親友のような関係であり、その記憶を保持したままこの世界に来たため特に対立するようなことにはなっていない。本来の事を考えるとまずいような気もするが、一応公にしないことを条件に総長にも話している……すると、帰ってきた返事は
『無理に敵対すれば、こちらも面倒が増えそうだな……暫くは黙っておこう』
という言葉であった。この先の事を考えるとその方が一番の最善策であろう……ルドガー本人にもそのことを尋ねると、『俺はあくまでも“見届け”しかしない。味方しようが敵対しようが、好きにしていい』ということだった。とどのつまり、どう転んでも『幻焔計画』そのものには影響を及ぼさないという判断での見届け役のようだ。
「でも、今後の事を考えると『深淵』や『鋼』と鉢合わせになる可能性があるぞ?」
「そこに関しては……いざとなったらボコッてでも逃げる。」
「(勝てない、というあたりが流石だなぁ)」
「そういうお前だって、彼女と出会う可能性があるんだが?」
「流石にそれは無いと思うけれどなぁ。原作のような険悪さは無いわけだし。」
そう話している間にも、二人を乗せた飛行艇は紅の帝都……ヘイムダルへと近づいていた。
―――全てを覆すために……自分たちが受けた経験を……悲劇を二度と繰り返させないために
『やはり、この戦いは避けられないということですか。』
『“槍聖”……伊達に、この二つ名は名乗っていないよ。』
―――例え、それが困難な道であろうとも……今はただ進むと決めた
『俺がどう動こうとも変わらないって言ったな……それが妄言であったと後悔しようと遅いってこと、証明して見せる。』
『面白いですわ。証明してみやがりませ!!』
―――そこに敵味方という組織の枠は無い。あるのは『望む未来』を手にするための意志
『こいつは面白い……久々にやる気が出てきた。さあ、死合おうじゃねえか!!』
『貴様の炎に、俺の決意を溶かしきれるか……勝負だ、“劫炎”』
―――彼が構築した遊戯盤……だが、その盤上が既に“王手”であることを指し示すために。
『さあ、勝負といこうじゃないか……我が好敵手!』
『いいだろう。だが、君がいかなる手を尽くそうとも、僕はここで倒れるわけにはいかない。勝負だ、“怪盗紳士”!!』
―――Legend of Heroes Sen no Kiseki Plus
――― ~紫閃の軌跡~ Shisen no Kiseki
というわけで、テンションアガットした結果、小説投稿となりました。前作を投稿した場所で投稿しないのか?という疑問も出てくるとは思いますが、予定は一切合切ありません。
個人的事情になりますが、前作との関わりで小説の展開について色々言われたことが起因し、最終的にモチベーションを折られたのと相まって体調的な問題もあって止む無くああいう形での完結となりました。私なりのやり方を否定されてしまったような感じであった(まぁ、展開に齟齬が生じていたのは事実でしたので、内緒でちょっとずつ修正していましたが)こともあり、暫くは読み専に徹していましたが、閃Ⅱのプレイで少しモチベーションが戻ってきたので……という感じです。
本調子とは言えませんので、更新は遅めになると思います。あと、『紫炎』での設定を全て生かすかどうかは調整中です。閃Ⅱでのこともありますので……
ただ、これだけは断言しておきます。
リィンの女たらしと天然は原作の5割増しになると
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世界を少なからず知る者によって変えられた未来……その先に待つ者は誰にも解らない。敵と味方……その組織のしがらみを超え、目指すはすべてを覆すために。
『幻焔計画』……その果てに待ちうるものとは。
※この小説は某所に投稿している『紫炎』の続編扱いとなります。
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