No.716890

峰麗子 短編小説【うららこな休日】

桜坂学園☆初等部の短編小説です。

・公式サイト
http://www.sakutyuu.com/

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2014-09-13 10:54:13 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:705   閲覧ユーザー数:704

おはこんばんはです~。桜坂学園初等部5年、峰麗子です。

 

麗子って書いて、うららこって読みます。

 

これは、私がアイドル部に入る少し前のお話です。

 

 

 

 

その日は学校がお休みで、大好きなお兄ちゃんとさばげーをしていました。

 

……ちょっと間違えました。お兄ちゃんと、大好きなさばげーをしていました。

 

しかもその日は、楽しみにしていたバトルロイヤルの開催日です。

 

バトルロイヤルとは、一人一人が敵どうしになって、最後の一人になるまで

戦うゲーム方式です。

 

他のみんなはヒットで退場して、残ったのはお兄ちゃんと私だけになりました。

 

「麗子……また腕を上げたな」

 

木の陰に隠れながら、お兄ちゃんが言いました。

 

「ふっふっふ~。お兄ちゃんでも、容赦しないですよ~」

 

元々、私にさばげーを教えてくれたのはお兄ちゃんです。

 

今では連勝記録を抜いてしまうほど、私の方が強くなっちゃいましたけど。

 

「この新型ワルサーP38で、八つ裂きにしてあげます~」

 

「待て。待て待て待て」

 

お兄ちゃんが焦って片手を挙げました。ゲーム中断の合図です。

 

「麗子。今の発言はまずい」

 

「えっ?」

 

いつも優しいお兄ちゃんが、なぜか困ったような顔つきになっていました。

 

「お前の言うことは……なんていうか、過激過ぎるんだ」

 

私は首を傾げました。

 

「大丈夫です、お兄ちゃん。ゲームの中では……」

 

「兵隊さんは串刺しにされても、全身蜂の巣にされても死なないんだよ?」

 

「死ぬとか死なないとかじゃなくて! お前の発言が青少年健全育成条例にひっかかるんだよ!」

 

……というわけで~。

 

青少年なんとか条例に引っかかってしまったらしい私は、あえなく退場になりました。

 

 

 

ゲームはお兄ちゃんの勝ちで終わって、その後お弁当タイムです。

 

「そういや麗子、学校の方はどうなんだ?」

 

「学校、ですか?」

 

お兄ちゃんの質問が意外だったので、お弁当を広げていた手が

 

思わずぴたりと止まりました。

 

「もうすぐ5年生だろ? そろそろクラブ活動とか、始まるんじゃないのか?」

 

「あっ……そうですね~。この前確か先生が、そんなことを言ってました」

 

この後私は、友達に誘われるままアイドル部に行って、

 

いろいろあってそのまま居ついちゃうわけなのですが……。

 

それはまだ、もう少し先のお話です。

 

お弁当のタコさんウインナーをぐさりと刺しながら、

 

私はにっこりと微笑みました。

 

「さばげー部があったら入りたいです~」

 

「桜坂学園にそれはないだろ」

 

なぜか渋い顔をしながら、お兄ちゃんが私のお弁当を見つめました。

 

「あと、タコさんを処刑みたいに突き刺すのはやめろ」

 

そんな風にして、うららかな……じゃなくて、うららこな休日は過ぎていきました。

 


 
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