No.714530

リリカルHS 65話

桐生キラさん

こんにちは
今回は長いです。頑張って読んでもらえると幸いです
レーゲンの視点で語られる、これまでの出来事…

2014-09-08 16:11:13 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:1019   閲覧ユーザー数:921

 

 

 

 

 

レーゲンの日記

 

 

 

4月6日

 きょうから、しきさんのしどうのもと、にっきをつけることになりました。もくてきは、じのべんきょうと、ぼくのきおくそうしつにかんけいあります。かいていけば、なにかをおもいだせるかもしれない、とのことです。

 それにしても、ひとがたはべんりです。あと、しきさんのりょうり、おいしかったです。

 

 

 

4月10日

 きょうはしきさんたちのたいりょくそくていがありました。そのあいだ、ぼくはそのようすをとおくからながめていました。しきさん、すごいんですね。50mそうでだれよりもはやくはしって、ほうがんをだれよりもとおくにとばして。はやてさんはばけものといっていました。なにやらしょうぶをしていたらしいですけど、しょうはいははやてさんのかちでした。しきさんはすごくくやしそうでしたけど、けーきおいしかったので、なにもいえませんでした。

 しきさん、ごちそうさま。

 

 

 

 

 

 

5月4日

 まい日の日かであるこの日記も、だいぶなれてきました。だんだんかん字もかけるようになりました。しきさんのおかげです。そんな今日は、ヴィータさんとあそびました。おひるをいっしょにたべて、ゲームをしました。やっぱり、ゲームに出てくるしばしょうは、しきさんにそっくりです。それを言うとしきさんはいつもにがいかお。なんでだろう?

 

 

 

5月14日

 今日もまたしゅうげきがありました。あいかわらず、人形のばけもの。いっぱいいましたが、今日はシグナムさんとリインちゃんもいっしょだったので、くろうはしませんでした。たたかっている時、リインちゃんがシグナムさんとユニゾンしていたので、ためしにぼくもしたらできました。しきさんとのユニゾン、よくわかりませんが、とてもなつかしい気分になりました

 

 

 

5月22日

 今日はえん足にいきました。ゆうえんちです!ゴーカートでは1ばんになれたし、ジェットコースターもすごいはくりょくでした。おひるに食べたごはんは、しきさんのりょうりとくらべると、あまりおいしくなかったのがざんねん。さいごにかんらんしゃにのっていると、しきさんとはやてさんがいいふんいきになりました。このお二人はとてもなかよしです。

 そんな中、またもしゅうげきをうけました。今回はいつもとはちがい、強そうな人がきましたが、そんなに強くはありませんでした。というより、しきさんとなのはさんとフェイトさんが強すぎました。少しこわかったです…

 てきの名前はタナトス。タナトスはぼくがとじこめていたと言っていました。なぜ、とじこめるひつようがあったんでしょう?でも、タナトスをとりこんだ時、きおくにかかっていたモヤが、少しはれた気がしました。でも、まだおもいだせません。

 いったい、なんでなんだろう?

 

 

 

5月24日

 今日はしきさんの実家へとやってきました。古風な木ぞうづくりのお家で、とても広いおやしきといった感じでした。しきさんの実家で、しきさんのお父さん、れいじさんと会いました。とてもやさしそうな男性で、どことなく、しきさんにもにていました。そのれいじさんいわく、どうやらタナトスは、神器とよばれる古代ベルカのぶ器らしいです。とても強力なぶ器らしく、それがげんいんで封印されたと、れいじさんはすいそくしていました。

 ぼくも、その神器の一つなのでしょうか

 

 

 

 

 

 

6月10日

 今日ははやてさんのおたん生日でした。ぼくは朝からしきさんのお料理作りをお手つだいしました。おてつだいをして、しきさんが料理にたいしてとてもしんけんなんだと思いました。だきょうをしないしきさんは、とてもかっこよかったです。それから、いっぱい料理を作って、それをはやてさんの家に持って行き、みんなで食べました。とてもあたたかく、とても楽しくて、ずっと笑いっぱなしなおたん生日会。すてきな一日でした。

 

 

 

6月20日

 今日はしきさんの付きそいでミッドチルダにやってきました。ミッドチルダは地球と違い、ま法文化が発達している世界ですが、生活そのものは、地球と大して変わりはありませんでした。

 そのミッドチルダでは、さまざまな出会いがありました。赤毛の少年のエリオ君、優しいおばあちゃんのミゼットさん、仲良し姉妹のギンガさんとスバルさん、そしてしきさんが保ごしたルネッサちゃん。みなさん個性的で、いい人たちばかりでした。

 また、ミッドチルダで遊びたいな!

 

 

 

6月21日

さきさん怖いさきさん怖いさきさん怖いさきさん怖いさきさん怖いさきさん怖いさきさん怖いさきさん怖いさきさん怖いさきさん怖いさきさん怖いさきさん怖いさきさん怖いさきさん怖いさきさん怖いさきさん怖いさきさん怖い

 

 

 

 

 

 

7月13日

 しきさんとの生活もずいぶん慣れてきました。文字、特に漢字もいっぱい覚えて、ゲームをしたりマンガを読んだりする事がとても楽しくなりました。そんな今日は、はやてさん達がテスト勉強をしていました。高校の勉強は難しいらしく、なのはさんは頭から煙を上げていました。そういえば僕、しきさんが高校の勉強をしているところ、学校以外では見たことありません。大丈夫なんでしょうか?

 夕方ごろ、リインちゃんとゲームをしていると、プロメテウスの襲撃を受けました。プロメテウスと闘う前に、しきさんとシグナムさんが勝負を始めた事には驚きましたが、お互いなんともないようで何よりです。プロメテウスは炎を操る手練れでしたが、リインちゃんとシグナムさんの協力もあり、なんとか倒す事ができました。

 そしてプロメテウスを回収すると、僕は一部の記憶を取り戻した気がしました。タナトスやプロメテウスなどの神器の名前を、はっきり思いました。ただ、僕自身の事は今だにモヤがかかっている。だけど、その後はやてさんが教えてくれたゼウスという名前は、とても懐かしいと思いました。ずいぶん呼ばれていなかった、呼んで欲しかった、そう思いました

 

 

 

7月23日

 今日から夏休み!ということで、僕達は早速早起きして、はやてさんにドッキリを仕掛ける事にしました。いや、シャマルさんのお願いですよ?毎日を頑張っているはやてさんに朝ご飯を作って欲しいという、健気なお願いですよ?だからカメラは必須なんです!みんなの寝顔、プライスレスでした!欲を言えば、リインちゃんの寝顔も見たかったなぁ。はやてさんには怒られましたけど…

でも、今日のこの出来事をきっかけに、しきさんとはやてさんの仲が縮まった気がします。はやてさんの、しきさんを呼ぶ名が、「士希君」から「士希」になりましたから。これはこれで、良かったのかもしれません。

 頑張れしきさん!

 

 

 

7月30日

 今日から馴染みの八百屋さんからのお願いで、海の家のお手伝いをする事になりました。せっかく水着も買ったので、終わったら海で泳ごう!なんて考えていたけど…お仕事って大変!というか、めちゃくちゃ忙しくて、終わる頃には疲れ切って倒れてしまいました。しきさんにおぶって帰ってもらう事に、ちょっと悪い気はしたんですが、しきさんの背中に背負われて、とても安心して、寝ちゃいました。

 ごめんなさい、しきさん。それと、ありがとう!

 

 

 

 

 

 

多分8月5日

 現在僕はしきさんの実家にやってきています。昨日から来ていたのですが、昨日は夜までしきさんの家族と宴会をしていて、日記を書く暇がありませんでした。しきさんには家族がいっぱいいます。

まず、両親である零士さんと咲夜さん。そして…咲希さん怖い。義理のお姉さんの月さん、詠さん、恋さん。妹さんに秋菜さん、蓮鏡さん、悠香さん、凪紗さん。妹さん達の母親の秋蘭さん、雪蓮さん、悠里さん、凪さん。そして親戚的位置にいる猪々子さん、流琉さん、斗詩さん。他にも、お友達の霞さん、音々音さん、華佗さん、華雄さんといっぱいです。

 みんなとても仲良しで、とても賑やかで、こんな温かい家庭で育ったしきさんが、少し羨ましくなりました。あれ?なんで羨ましいって思ったんだろう?あ、でも、咲夜さんにお酒を飲ませちゃいけないのはわかった。教えてもらった東家家訓に「咲ちゃんにお酒を与えないでください」というものがある意味、よくわかりました。

 

 

 

8月18日

 最初は怖いと思っていた幽霊さん達との生活も、3日もすれば慣れてしまいました。自分の適応能力が高いのか、それともしきさんが人間だろうと幽霊だろうと、分け隔てなく平等に接するからなのか、わからないけれど慣れました。

 幽霊さん達の名前はプレシアさん、アリシアさん、リニスさん、そしてアインスさん。先の三人はあのフェイトさんのご家族なんだとか。僕は今日この日まで、彼女達の姿は視えませんでしたが、彼女達はきっと優しい人達なのだろうと思っていました。だって、しきさんがあんなに必死に幽霊さん達に尽くしているのだから。そしてそれは、思ったとおりでした。しきさんとユニゾンし、しきさんの視ている世界を視て、彼女達のフェイトさんに対する愛情と優しさに触れて、しきさんが必死になっている気持ちがわかりました。

 例え死んでしまって、その人に対する想いは変わらない。きっといつまでも、見守っているのだと思いました。僕は覚えていないけど、僕を生んでくれた人も僕を想ってくれているのかな?だとしたら、僕は記憶を思い出したい。

 

 

 

8月24日

 僕は今日、死ぬかもしれない…というのも、僕はこれからザフィーラさんと死地へ赴くのだから…

僕らはいつもの仲良しメンバーと一緒にキャンプへとやって来ました。そこで僕らは、しきさんとはやてさんをいい加減くっ付けようと考えています。どうやらフェイトさん達もその様子だったので、きっと上手くいくでしょう。そのためには、最大の障壁であるシグナムさんを止めなければいけない。恐らく、シグナムさんは妨害してくる。だから僕が、マスターであるしきさんを守るために、ザフィーラさんと一緒に立ち向かう!

 だからしきさん、僕らが命張って引き止めるので、頑張って決めてください!

 

 

 

 

 

 

8月31日

 はぁ…はぁ…な、なんだったんだ、あの記憶は?

夏休み最後の日でありバイト最後の日、僕は初めてのお給料を貰ってルンルンとした気分で海を眺めていたら、突然襲撃を受けました。オケアヌスです。オケアヌスは数多の海獣を引き連れて襲って来ました。結論から言えば、キレたしきさんとはやてさんの敵ではありませんでした。ああいうのを、一方的な殲滅と言うのでしょう。

 そしてオケアヌスを回収すると、たった一瞬だけど記憶のフラッシュバックがありました。そこで見えた風景は、この世のものとは思えない、灰色の世界でした。直感しました。あれはかつての、戦乱時代のベルカだ。何十、何百、何千という人々が死んでいく。僕はかつて、あんな世界にいたのか?怖い怖い怖い。人が傷ついていく姿が怖い。人が死んでいく姿が怖い。そして何より、僕が人を殺していたかもしれないことが怖い…

 僕はオケアヌスを回収して、思わず走り去ってしまいました。もし、あんな記憶ばかりなのだとしたら、僕は記憶を思い出さない方がいいのではないか。そう、思ってしまった

 

 

 

9月9日

 あの日以来、僕は家で留守番することが多くなった。オケアヌスを取り込んでからと言うものの、僕は様々な魔法を思い出しつつあり、それを試してみたいと思っていたからだ。そして可能なら、それらをコントロール出来る様にしたい。力の暴走でしきさんを巻き込むわけにはいかないから。

 魔法形式ははやてさんや夜天の皆と同じようにベルカ式。今まではできなかった飛行や魔力弾による弾幕の展開など、いろいろと思い出していた。そんなある日の今日、魔法の練習をしていると偶然リインちゃんと出会ってしまった。何をしているのか問いかけられたので、僕は素直に魔法の練習と答えた。するとリインちゃんも魔法の練習に付き合ってくれた。「一人でやるより二人です!」リインちゃんはそう言ってくれた。嬉しかった。リインちゃんの優しさが。いつかリインちゃんに、お礼をしないとな

 

 

 

9月13日

 今日はうちにエリオ君が来ました!三日くらい前から約束して、それからというものの、しきさんはソワソワしっ放しでした。前日なんて全然寝てなくて、深夜に起きてはケーキを作ったりしていました。しきさん、どんだけ楽しみなんでしょうね。

そんなエリオ君との一日は、食べて動いて食べてみたいな一日でした。エリオ君、あのデカ盛りラーメンを平らげるとかすげぇ…

 最後は、まぁその…しきさん頑張れとしか言えませんでした。魔法を思い出して、シールドなんかも張れるようになったんですけど、僕にはまだ、なのはさんの一撃を耐えられるとは思えませんでした。

 ごめんなさい、しきさん。

 

 

 

 

 

 

10月3日

 昨日はとても長い長い一日でした。深夜にしきさんがうなされていた事から始まった、しきさんの過去に迫った一日。しきさんの見ていた悪夢が何かはわかりませんでしたが、きっとただ事ではない。そして何故か、他人事のようには思えない。でも、僕に出来ることはなく、はやてさんにお願いしました。きっと、恋人なら、はやてさんなら何とかしてくれる。そうも思ったから。結果、上手く行ったようでした。しきさんの顔は少し晴れていましたから。

 だけど、その後に襲撃を受けました。ガイア、そしてアルテミス。ガイアからは敵意と殺気を感じませんでした。ただ、力試しをしているような、そんな気がしていました。しかし、アルテミスは対照的に殺意しか感じられませんでした。まるで、殺すことをただのゲームとしか思っていないような、そんな感じがしました。

 ガイアとの戦いは勝利するも、直後にアルテミスによる狙撃を受け、僕らはやむなくしきさんの故郷である外史へと引きます。そしてそこで、咲希さん、月さんの協力を得て、再びアルテミスと対峙。最終的には負傷したしきさんの力でアルテミスを倒すことに成功しました。

 そして僕は、封印されていた時の記憶を取り戻しました。何もない、大地だけが続いている世界。ただただ空を見上げ、時が過ぎるのを待つだけの日々。とても悲しげな風景でした。僕はあんな世界にただ一人、1000年以上も居たって事になるのでしょうか。

 

 

 

10月4日

 アルテミスを取り込んでからというものの、様々な記憶が断片的に蘇りつつあります。例えば、夜天の魔道書や僕を作ったマイスター。どんな顔かは思い出せませんでしたが、神器を作っている時の様子は、まるで子どものようでした。よく「やべっ!私天才じゃね?またアイディアが浮かんだよ!」なんて言っていました。

 あの人は、ただ物作りが趣味だった。それだけは今でもはっきり覚えています。神器も、そんなマイスターの趣味の産物。いや、それだけではない。僕らの役目は、そのマイスターを護ること。そして、この世の争いを止めることだ。多くの神器は使われることなく封印されましたが、古参であるミネルバ、ガイアは間違いなく戦争を止める為に戦った事がある。そして、それは僕もだ。

 やっぱり、あの時見た光景は、僕が見ていた世界なのだろう…

 

 

 

 

 

 

10月31日

 今日は文化祭&しきさんの誕生日でした!文化祭は今日で二日目ということで、メインは音楽祭でした。みなさんの演奏、とても素人とは思えない出来に、思わず身震いしてしまいました。しかし、やっぱり一番はしきさんのクラスでした!フェイトさんとなのはさんの歌、とってもカッコよくて素敵でした!個人的には、しきさんやはやてさんにも歌って欲しかったのですが、時間の関係上、それは叶いませんでした。お二人も歌は上手なのになぁ。

 そして文化祭後の打ち上げでは、しきさんの誕生会が開かれました。実は事前にはやてさんから連絡を受け、クラスのみんなや八神家、アリサさんにすずかさん、エリオ君とルネッサちゃんと一緒にサプライズをしようと企画していました。こっそりしきさんへの誕生日プレゼントを買うのは苦労しました。しかし、頑張った甲斐もあってサプライズは成功!しきさんはとても驚き、そして喜んでくれました。

 しきさん、はやてさん、ルネッサちゃんと一緒に帰った帰り道、三人が並んで歩く姿を見て、僕は決心します。この三人を、士希さんを、必ず護ると。それが、神器として、今までお世話になった士希さんに出来る事だから。

 

 

 

11月20日

 僕らが封じられていた理由…それは僕らが、神器が、殺すための道具だったから…マイスターは僕らを作ったは良いけど、その性能面において、重大な設計ミスを犯していました。それは、いわゆる非殺傷設定に出来ない事。はやてさんたちが使うような、魔力ダメージだけを与えて、スタン状態にするものじゃない。肉体を直接傷つけることしか、僕たちにはできない。そして、個々の強力な性能故に、他者の、悪党の手に渡ることを恐れたマイスターは、僕らを封印することを余儀無くされた。

 僕らを封印する時のマイスターの顔は覚えている。とても悲しげで、後悔に満ちた顔。マイスターはとても優しくて、人より知的欲求が旺盛で、物作りが趣味で、平和を誰よりも望んでいた。ただ、それだけだった。だからこそ、最後は謝っていた。僕らを生み出したこと、そして封印することを。

 マイスター、謝らないでください。マイスターが僕たちを生んでくれたから、僕たちは士希さんに出会えた。こんな楽しい生活を送ることができた。だから、マイスターは悪くありません。どうかこの思いが、マイスターに届くように…

 

 

 

12月23日

 ある程度の記憶を取り戻した僕ですが、いくつかわからない事があった。

一つは、封印が解かれ僕が外にいることです。マイスターは確か、夜天の書を使い僕を無人世界に封印したはずだ。その封印は、僕に対してではなく無人世界に対して。誰にも感知されず、誰にも破られない結界のような封印を施し、それは決して解かれるはずはなかった。僕自身も魔力を使い、封印の補助、その後の結界強化に力を当てていた。なのに何故、今になって破られたんだ?

 もう一つわからないのは、タナトス、プロメテウス、オケアヌス、アルテミス以外の神器を取り出せないこと。倒したにも関わらず、ガイアが取り出せないのは、ガイアを取り込んでいないから。ミネルバに至っては会ってすら居ない。だが、僕にはこの6人以外にも神器があり、それを取り出せたはずなのだ。皆外に居るのでは?と考えた事もあったが、今まで取り込んだ神器の話によると、それはないらしい。この6人以外は、皆ある意味僕の中に居るのだと。

 そして最後に、僕自身の能力についてだ。みんなそれぞれ固有の力を有している。なら、僕の力は?ゼウスと言う名がわかっているのに、一向に思い出せないのも何故だ?なにか、意味があるのか?

ガイア、ミネルバを取り込めば、これらの答えはわかるのだろうか?なら、あの二人に会うべきだろう。もし何かトラブルがあってここにいるのなら、士希さんに迷惑をかけてしまうことになる。それだけは、あってはならない。今まで散々迷惑を掛けているんだ。これ以上は、絶対に…

 

 

 

 

 

1月1日

 今日は新年最初の日。12月31日から八神家で過ごし、皆で新年を迎えることができました。そして初詣に行き、おみくじを引き、初日の出を見て、士希さん特製お正月料理を食べ、とてもゆったりとした、それでいて楽しい時間を送りました。

 本当に、本当に楽しい…僕にはもったいない程だ。願わくは…いや、この願いはきっと、神様でも叶えてくれない。なんとなくですが、この幸せな日々も、もうすぐ終わりを迎える気がします。きっと僕は、もう一度あの世界に行かなければならない。僕が殺すための道具である以上、きっと僕が原因で争いが起こる事もあるはずだ。それに士希さんは巻き込めない。だから、時が来たらここを出て行こう。ガイア、ミネルバを回収して、全ての記憶を取り戻したら…

 だけど、それまでは、もう少しこの幸せな日々を送ってもいいかな?わがままかな?許してくれますか?士希さん…

 

 

 

2月14日

 世間ではバレンタインなるイベントが行われているらしいです。なんでも、チョコを渡すイベントだとか。士希さんと僕もこのイベントに乗っ取り、チョコケーキを作る事にしました。とても大きなケーキ。ざっと50人分はあるでしょうね。腱鞘炎になるかと思いましたよ…

 僕は八神家分のケーキ分けてもらい、それを八神家の皆に持ってあげる事にしました。すると、同じくチョコを用意してくれていたリインちゃんにチョコを貰いました。その時に、3月14日にホワイトデーの存在を知りました。なんでも、お返しをする日だとか。その時、僕は士希さんに、今までお世話になったお返しをしようと考えました。僕一人ではお菓子を作れないので、どうしても士希さんに習う事になりますが、最初の出来た物を士希さんに送ろうと思います。

 八神家を出ると、偶然ガイアに会いました。ガイアもバレンタインのチョコを渡しに来たのだとか。僕は好機だと思いました。これを機に、ガイアを取り込んで良いか尋ねました。ガイアは一瞬渋るも了承、取り込ませてくれました。そして6人、タナトス、プロメテウス、オケアヌス、アルテミス、ガイア、ミネルバが外に居る理由を知りました。この6人は、最初から僕を襲う理由なんてありませんでした。僕を拾った士希さんを襲っていたのです。彼らは、僕を護っていただけ。そしてミネルバは、いつも近い所で僕と士希さんを見守っていた。まさか、彼女だったなんてね。

 

 

 

3月1日

 僕が居た世界の封印が解かれた理由と僕の記憶を失った理由を思い出す事ができた。

 一年前、僕を封印していた世界に突然侵入者が現れたから。白衣を着た不気味な科学者風の男。その男が、なんらかの装置を使い、無人世界に張られていた結界を無理矢理解こうとした。僕は抗うも、本気で魔法を使うことに1000年以上のブランクがあり、なおかつ魔力も足りないので押されていました。

 このままではいけないと思った僕は、ミネルバを呼び出し、策を練ります。そして出た結論は、6人以外の神器を一箇所に纏め、その一箇所に魔力を一点集中させ、結界をより強固にすること。さらに、その結界を解除するための最後のキーを僕自身にすること。そして、僕の記憶を封鎖し、どこか別の世界へ飛ばすことでした。そうする事で、その世界に関する情報を秘匿し、僕自身の身も眩ませる事で、残りの神器を取り出す事を不可能にすることが出来ると考えました。

 6人を残した理由は、護衛と記憶に張られた鎖の鍵としての役割の為。あらゆるものを殺せるタナトス、炎を操るプロメテウス、水を操るオケアヌス、遠距離戦のプロであるアルテミス、防衛戦の得意なガイア、そして全てを知るミネルバ…残りの魔力を彼らに託し、僕はこの世界に飛ばされ、そして士希さんと出会った。

 これが、僕の今がある全て。後は、ミネルバを取り込み、僕の名を思い出すだけだ

 

 

 

 

 

東 士希さんへ

 これを読んでいると言うことは、もう僕はそこに居ないのでしょう。と言うより、僕の事は忘れている事でしょう。勝手ながら、この世界にいる人の記憶から、僕に関しての記憶を全て消させてもらいました。

僕はこの一年間、士希さんに本当にお世話になりました。よくわからない存在であった僕を拾い、様々な戦いに巻き込んでしまった。本当に、申し訳ないと思います。

 この日記を残したのは、忘れてしまったとはいえ、巻き込んでしまった士希さんに、せめて真実を伝えようと思ったからです。神器の真実を…

 士希さん、これをはやてさんにも見せてあげてください。もう僕もおぼろげですが、僕が知りうる夜天の魔道書のマイスターについて、少し書いておきました。マイスターは、とても優しい人であったと、知ってほしいので。

 僕はこれから、僕がもと居た世界に向かいます。士希さんのおかげで、魔力が全回復したので、これで結界を張り直します。もう二度と破られないように、二度と神器が外に出ないように。それが、僕がマイスターから受けた最後の命令だから。いや、マイスターは命令ではなく、お願いと言っていました。だから、僕はマイスターとの約束を果たす為、あの世界に戻ります。

 士希さん、毎日美味しいご飯、ありがとう。

 毎日一緒に寝てくれて、ありがとう。

 毎日遊んでくれて、ありがとう。

 毎日僕を護ってくれて、ありがとう。

 優しくしてくれて、ありがとう。

 そして、勝手に貴方のもとを去ってしまって、本当にごめんなさい。

 士希さんには本当に良くしてもらったのに、恩を返せず、本当にごめんなさい。なのでせめてもと思い、クッキーを一生懸命作りました。食べてくれると幸いです。

はやてさん達と、いつまでも幸せに暮らしてください。あの世界で、最期の時まで願っていますからね。

 さようなら、士希さん

 

   レーゲン

 

 

 

 

 

俺は日記を閉じ、クッキーの入った袋を開ける。

プレーンの、犬型で一口サイズのクッキーが入っていた。

俺はそれを口に放り込み、噛み締めはじめる

 

途端、強烈な目眩に襲われ、目の前の視界がボヤける。

そして俺の瞼には、今までの記憶がフラッシュバックし、映し出した。

あいつの姿や、声や、笑顔が…

 

士希「……あぁ…そうか…俺、なんであいつのこと、忘れちまってたんだろう…」

 

はやて「士希…?」

 

甘さは控えめだけど、優しい味のするクッキーは、噛めば噛むほど口の中で広がっていき、

その全てから、あいつの想いが籠っていた

 

 

『今までの感謝の気持ちを込めて作りました!』

 

 

クッキーを食べていると、ふと、レーゲンが言っていた言葉が聞こえた気がした

 

 

 


 
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