No.714360

義輝記 星霜の章 その十六

いたさん

義輝記の続編です。 宜しければ読んで下さい!

2014-09-07 19:55:01 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:934   閲覧ユーザー数:852

【 春蘭の見た者……の件 】

 

〖 徐州 下邳 曹操軍陣営 中央 にて 〗

 

華琳「よくやったわ、春蘭! 何時もの数十倍の活躍だったわよ!! これで私達の準備に余裕が出来るわ!!」

 

春蘭「はぁ……ありがとうございます……」

 

ーーー

 

春蘭の文字通り『万夫不当』の活躍により、一時的に兵士を下げた晋軍!

 

丁度……春蘭も意識も戻ったので、秋蘭が急いで連れ帰ったのだ。

 

ーーー

 

秋蘭「───姉者!! 大丈夫かぁ!? 呼吸は苦しくないか? お腹を下すとか体調がおかしいとか───!?」

 

春蘭「??? 何も変わりはないが……? どういう事だ!?」

 

桂花「島津義久殿から『おにぎり』なる料理を貰ったんでしょう!?」

 

春蘭「おぉ!! あれは絶品だったぞ! 味も良かったが……やはり料理の名前が『鬼斬り』と格好いいじゃないか! 食べたら鬼も斬れるそうな力を得そうな……おっ? そういえば……食べた後の記憶が……あんまり無いな?」

 

華琳「春蘭……覚えている事は?」

 

春蘭「はいっ! 赤い鎧を着用した大男が、名前を呼びながら殴ってきましたので、私も思いっ切り殴り返してやりました! 華琳様に捧げた身体を……不用意に殴り付けてくる傍若無人な輩、許す事など出来ません!!!」

 

桂花「じゃあ……『オヤカタサマ』なる謎の言葉は?」

 

春蘭「何で桂花が、その大男の偉丈夫の呼び名を知っている!? 私はその不埒な奴を何故か『おやかたさま!!』と言って殴りつけたのだ! 向こうも『ゆ○む○!!』と呼んで殴るんだ……私の名前とは全然違うのに………?」

 

桂花「………華琳様、これは?」

 

華琳「分からないわ。 もし、答えを得たいのなら……あの『漢女』に聞くしかなさそうね? それにしても、恐るべし天の国の調理……。 敵を狂わせ味方に巨大な力を与える……危険な物のようね?」

 

★☆☆

 

歳久「……不定するのも面倒です。 このまま島津本家の調理法『神便鬼毒料理』と名付けて売り出しましょうか?」

 

義久「やだぁ~!! お姉ちゃんの愛情籠もった料理を、変な物にして売らないでぇ~!!」

 

家久「…………既に人智を超えてるね。 よしねぇの料理って………」

 

義弘「春蘭の体調も良かったし、私も直ぐに戻りましょう!! 次の策に取りかからないと! それに、朱里ちゃんも心配しているから!!」

 

歳久「よしねぇ……ただの戯言ですよ。 ですが、颯馬の事を悪し様(あしざま)にまだ言うのであれば、実行する考えを持っていますよ………」

 

家久「駄目だよ! 颯馬お兄ちゃんや義輝様の名が、それこそ汚されちゃう!! ゼッタイ ダメ! 拒否、不適当、禁止、論外、不可──!!!」

 

歳久「…………くっ!」

 

 

◆◇◆

 

【 おにぎりの行き先 の件 】

 

〖 徐州 下邳 晋軍陣営 にて 〗

 

韓馥「なんだのだぁ──!? 先の力の波動はぁぁ!!!」

 

伝令兵「わ、わかりません! ただ確認出来るのは……曹操軍随一の武を誇る夏侯惇が……一騎で縦横無尽に暴れまくり、我が軍勢を退けただけ! 被害数も死傷者合わせても、一万人を越えると─────!」

 

韓馥「儂が知りたいのは、既存(きそん)の話を聞きたいのではない!! どうして、あのような力を得たと言うことだ!! あの力があれば……順慶など軽く押し倒し、左慈や于吉でさえも……儂の配下!!」

 

伝令兵「はっ! それは………判明して……おりますが……!」

 

韓馥「判明しているのなら、何故……報告せん!! それが貴様の役目であろう!? それとも……黙っていたのは、それを利用し儂の後釜に入り込むつもりだったか!?」

 

伝令兵「めっ! 滅相も御座いません! ただ、これを食した者は……狂気に駆られ同胞を死傷させた為、討ち取りました! この事を韓馥様に報告する事が宜しいのか、判断に迷いまして…………お許しを!!」

 

韓馥「ふんっ! ……では、証拠を見せてみろ! 道具か? 丸薬か?」

 

伝令兵「…………これで……御座います!」

 

伝令兵が、横に置いてある手荷物から『おにぎりの包み』を取り出す!

 

韓馥は手に取り、中を開きつつ観察する。

 

韓馥「………毒茸の類が見えるな? 確か……神に祈りを捧げる者は、これらの茸を食し、神へとの意識を繋ぐ、媒介で使ったと聞いている。 その影響もありそうだな? ふむぅ……丁度いい。 試しに一つ食すかの!!」

 

伝令兵「お止め下さい!! そのような危ない品物!!!」

 

韓馥「案ずるな……。 食すのは──ほれっ! 貴様だ!!」

 

韓馥は『おにぎり』を一つ、伝令兵に投げ渡す! 

 

伝令兵「えっ───!?!?!?」

 

目を白黒させて驚く伝令兵の前に、抜き身の剣先を向けて即す韓馥!!

 

韓馥「冗談など言うものか! お前には罰を与えてやろう! 

 

選ぶのは三つ! 一つ目はコレを食し、強者と成りて儂の側近として働き、栄華を極めるか? 二つ目は同じく食し、狂気に委ね儂を殺して後釜に座るか!! 三つ目は、食べるのを拒否し、儂に一刀両断されるかだぁ!!!」

 

伝令兵『───────────!』

 

★☆☆

 

伝令兵「ーーーーー!」ググッ── バタッ!

 

韓馥「……………ふむ? 才無き者など、所詮こんな働きしか出来んか?」

 

剣に付いた鮮血を二度、三度振って飛ばす! 

 

元『伝令兵』だった遺体は、他の兵士達に運ばれて行った。 顔には、最初の犠牲者である四人の兵士達と同じ、『満面の笑顔』が張り付いていた………。

 

韓馥「強さとしては、まあまあだったな! ───しかし、おまんらの助けなんぞいらんかったぜよ!? 念者衆、若衆よ!!」

 

韓馥の付近には、弓を所持していた漢女……じゃなく、念者衆達が控えていた。 現に、伝令兵が笑いながら、韓馥に襲いかかった時に、足に矢を打ち込み、機動力を弱らせたのは……この者達の働き!!

 

念者衆「そないな事いわれても……あたし達は……心配でぇ!!」

 

若衆「姉はん、行きましょう! 御前……失礼しはした!」

 

念者衆達は心配そうに何度か振り返るが、若衆達はそのまま……急ぎ退室する! 《未練など何も無い───!!》と言わんばかりに!!

 

★★☆

 

韓馥「深情けか………ぐふふふふっ! 世の中で忠義の兵士など数える程しか居らぬものよ!! 手っ取り早く『裏切りを無くす』には、『愛』で縛ればいいだけよ!」

 

誰も居なくなった天幕で……韓馥が一人呟く。

 

韓馥「……赤の他人同士が家庭を築くに、責任、義務などの強制的な縛りで、一生涯過ごせるものか? 多分、どちらかが捨てられ逃げられるのがオチ! 

 

ならば、愛情で繋げれば……アイツらは見捨てぬ! 現に、儂が若返り集合を掛けた時は、真っ先に駆けつけてくれたのが『念者衆』だったしな!!」

 

そのように呟いた後、自分の手の甲をさすり、腕を触り、最後に顔を撫で回す!! 若々しい肉体、皺一つ見当たらず、頭の髪もフッサフサ!!

 

韓馥「……………当時は、美しかった奴らも……既にかなりの歳を経て居るか……。 若い儂には………似合わぬな………。 ぐふふふふ………!」

 

何か、良からぬ事を思いついた悪ガキの如く、満面のイヤらしい笑いを浮かべ、韓馥は一人満足そうであった………。

 

 

◆◇◆

 

【 西涼戦 決着 の件 】

 

〖 西涼 西涼城付近 異民族陣営 にて 〗

 

鮮卑将「はぁ─っ! はぁ─っ! はぁ─っ!」

 

白菊「ふぅ~ん? 若いねぇ! あたしの艶姿を見て欲情するなんて! あっ違うかぁ! その前に若者を発情させる……此の姿が悪いんだねぇ!!」

 

鮮卑将「じゃかましい!! この化け物がぁ! テメェと三十合打ち合わせてるのに! なんで息切れ一つしないんだよ!? はぁーはぁー!!」

 

白菊「簡単な理屈だ! あたしはまだ……本気を出していないから!」

 

鮮卑将「何だとおぉ!!」

 

ーーーー

 

羌将「くっ! 手強い!! 流石に錦馬超だ!!!」

 

翠「はっはっはっ! 弱いな! あんまり弱過ぎて……うたた寝しちゃいそうだよ! 帰ったら、もう一回鍛錬をやり直しな!!!」

 

羌将「面白い事を言う小娘だ! 今まで、互角の戦いをしていたのに、何故余裕のある言動を言える!?」

 

翠「そうかい? 相手の実力も把握出来ないんじゃ……勝ち目は薄いね! ほらっ! これでも、食らいやがれぇ!!!」

 

羌将の顔の横を、翠の銀閃が閃光の如き速さで、通過していった。

 

羌将「はっ、速い!!」

 

翠「…………どうだい? 実力の差が分かったかい?」

 

羌将「ど、どうして殺さない!? お前は勝者だぁ!! 敗者は勝者の命令に従う! だから………さっさっと殺せぇ!!!」

 

翠「いや~なぁこったぁ! 深い理由なんかぁないけど……『なにも死ぬこたあねー』 さっき……そぉ思っただけだよぉ!」

 

羌将「………………?」

 

翠「『頭を潰せば、蛇は死ね』 うちらの軍師サマが言うんで……乗ったんだよ! 無益な戦を止める為にさぁ!!」

 

羌将「はぁっ!?」

 

★☆☆

 

劉宣「おのれぇ! おのれぇ!! おのれぇぇ!!!」

 

劉宣が叫ぶ! 今まで……彼らが居たゲルが……炎で覆われていた!

 

百万の軍勢が犇めいて(ひしめいて)いた所が、焔の明るさで辺りを照らす!

 

暴れる騎馬、逃げ惑う異民族、焼け落ちるゲル………。

 

この策により、彼の長年掛けて計画していた……漢王朝転覆も灰燼に帰した。

 

▼▼  ▼▼  ▼▼

 

今は昔の物語……劉宣も、元は漢王朝に仕えていた有能な臣だった。 

 

だが、ある時……政敵に謀られて南匈奴に送られて、一生涯を過ごす結果になる。 ───有能だった故の悲劇だった。

 

当時の南匈奴は、漢王朝の組織構造、政策、軍事、それらを詳細に知る人材を欲していた。 より強くより豊かに! 栄華を誇る漢王朝は……彼らの目には眩しくみえ、使者を送り要求した! 『優秀な人材を送れ!!』と!!

 

本来なら……国の重要機密を教える事など拒むはずだ! しかし、南匈奴の力を恐れ、人身御供として推挙され……有無を言わさず送られてしまった!!

 

幸い、南匈奴の単于は、劉宣を気に入って高官に取り立てる!! 劉宣は、必死になり、新しき国を盛り立て、国に貢献して、更なる地位を得られるようになった! 南匈奴と漢王朝の友好度が上がり、漢王朝としても喜んだ!!

 

しかし……劉宣の野望は……漢王朝転覆と狙いを定め、少しずつ準備を始めていた。 信用されている事を利用し、少しずつ資金を準備していく。

 

この男は───────漢王朝を憎んだ! 

 

自分という劉姓を持つ者が、蛮族の治める国に向かう事になった屈辱に!!!

 

自分を罠に仕掛けた政敵も、自分を送り出して安堵している国の民達も、南匈奴の勢力に屈伏した、腰抜けの政府首脳陣も全部潰すため!!!

 

ーーーーー

 

それから、数十年の年月が流れ───地位も資金も準備ができた! 

 

しかし、肝心な兵力が足りなかった! 数十年の間、北匈奴との交戦等で兵力が激減、数万で攻めても……漢王朝を攻め滅ぼす事は出来ないだろう! 

 

……過去に政敵だった『張譲』も今は亡く、皇帝も代替わりしている。 

 

自分の復讐とは………何だったのか虚しくなっていく……。

 

しかし、『左慈』なる若造が申し出た計画は魅力だった! 

 

『洛陽の北側から俺ら『晋』が七十万の兵を挙げる!  南側からも別勢力がこの機に乗じて攻め寄せるだろう! その兵力二百万!! お前たち南匈奴も参陣すれば……漢王朝は滅亡の憂き目に会うぜ!?』

 

勿論……直ぐには信じず、裏付けを取り間違いない事を確信した。

 

劉宣の余命も少ない! 此処で逃したら……間違いなく実行せずに終わる!

 

劉宣は………決意し、若き単于に奏上して軍事行動を始めたのだ!!

 

▲▲  ▲▲  ▲▲

 

??「貴方が………この軍勢の統括者ですか!? 私は、漢王朝の臣『董仲穎』! 素直に投降すれば命を保障します!」

 

若い女の声が………後ろから聞こえる。 

 

ユックリ振り向くと……元々の赤い鎧に、焔の色が色彩を添えて華やかに見せ、美しき銀髪と整った可愛らしい顔を、更に際立っている。

 

昔……拝謁し、密かにお慕いした『董太后』様の若きお姿に……よく似ている。 儂に向かい……微笑まれた事が鮮明に脳裏へ蘇った。

 

『董仲穎』………まさか……『董太后』様の血筋の………?

 

遠い過去の『董太后』様が、儂の愚かさを非難するかが如く、厳しい眼差しで詰問する! そんな幻想に囚われてしまうのだ!

 

劉宣「我が名は南匈奴『劉宣』なり! 敗軍の大将に対して投降など笑止千万! 我が首が欲しければ……一騎討ちで勝負致せ!!」

 

▼▼▼  ▼▼▼  ▼▼▼

 

ここまで………完全に……我が野望が水泡に帰した。 儂には家族なぞおらん! 一生独り身で暮らしたからな。 残す後悔も、心配する家族も居ない。

 

願わくば………『董太后』様に……よく似た『董仲穎』に討たれたい!

 

名誉ある一騎打ちの敗者として………。

 

無駄だと思った。 駄目だと感じた。 勝ち戦である漢王朝の軍に……一騎討ちを願っても拒否されるのが見えている。

 

▲▲▲  ▲▲▲  ▲▲▲

 

月「分かりました! 貴方が望むのであれば……お相手致します!!」

 

まさか! 受け入れられたのか!? 

 

『董仲穎』が、弓を持って構える! 緊張で顔が強張るのがハッキリと分かるが、力みは見いだせない。 寧ろ、その若さで……体得した武人の高みが見て取れる。 何時でも射れる体勢である事は、間違いなかった!

 

………精神や身体が……二十代のあの頃に……若返る気がした!

 

近くに居た愛馬に跨がり、軽く首を撫でる! 

 

劉宣「行くぞぉ!! この老骨の最後の武を見よっ!!!」

 

儂は、愛馬の腹を蹴り、突撃して行った────!!! 

 

あの世で、笑いながら待って居るだろう、張譲にタップリ文句を言ってやり……『董太后』様に涙ながら謝罪するのだ……! 

 

───────シュッーン!

 

………あの方は、儂を赦して………

 

 

◆◇◆

 

【 少女達の談笑 の件 】

 

〖 洛陽 宮廷内 風私室 にて 〗

 

風「ぐぅ~~」

 

稟「冒頭より居眠り初めて、どうするんですかぁ!!」パシィ!

 

風「おぉう! 風は出番がなかったので退屈でしたぁ~。 稟ちゃんや華雄さん達は、この前の話に登場出来たからいいですけど、風は待たされましたよ~! 具体的には七話ぐらいぃ。 だから、ふて寝してやったんですよー」

 

華雄「それくらいどうした! 皇帝陛下など一章丸ごと出番がなかったのだ!! 『私達は、ただの飾りなんでしょうか?』と問われた時、涙が止まらなかったんだぞ!?」

 

風「むっ! 流石は陛下ですー! 華雄さんに一言いうだけで、笑いのツボを捉えてウケさせるとはー。 風も益々精進をばぁー!」

 

稟「違うでしょう!! 笑いを堪える為に涙を流したのではなく、悲しんで涙を流したのが止まらなかったという表現です!!」

 

風「……と、風に都合が悪い物は捨て置いて、本題に入りますかねー?」

 

華雄「おぃ!! 皇帝陛下に関わる事を放置してどうする!?」

 

風「ふぅ~。 華雄さん、よく考えて下さいー! 今大事な事は何ですかー? 皇帝陛下の事も、確かに大事ですー! しかし、貂蝉さんの話、松永某の話を合わせると……大陸存亡の危機に入っているんですよー!?」

 

稟「私も……颯馬殿より話を幾つか聞いています。 大陸存亡の鍵になる颯馬殿、曹操軍配下の北郷一刀両名の命、触媒と化している月様の銅鏡! この三つが失われば……私達も国も世界自体も消滅すると!!」

 

華雄「そ、それは──本当かぁ!? 天城は分かるが……何で偽の御遣いまでの命が関わる!? 関係あるのなら天城の周りにいる御遣い達が関係……! ま……まさか? アイツも御遣いの一人だったのか!?」

 

風「貂蝉さんの話によれば……そうなりますー! しかも! 他の世界ではあの一刀お兄さんが……活躍して大陸を統一する運命になってるそうですー!」

 

稟「まぁ、その世界では……私も風も曹操軍に参加して、知謀を発揮していたようでしたが……」

 

風「稟ちゃん……まだ曹孟徳殿に未練ありますもんねぇ~!」

 

稟「な、何を言い出すかと思えば……! コホン! ……確かに、最近までは、ありましたよ? 天城殿の軍略を学び、自分の糧にするため動きましたが……私の行動が逆に……天城殿の足を引っ張っているような気がして………」

 

華雄「しかしだなぁ……洛陽を晋軍が攻略した時、お前達の準備した策のお陰で、十倍以上の敵を撃破出来たんだろう? 殊勲物だと思うが……」

 

稟「とんでもない! 前半は何とかなったものの、後半は松永の狙いを三人とも見誤りました! もし、白蓮殿達の……獅子奮迅の御活躍が無ければ、華雄殿、月様の命は無く、洛陽も多大な被害を被っていたでしょう!!」

 

風「…………………………あの時から、風の試練が始まったのですー! 出番の無い時に『こめんと欄』を見に行けば……『かz……風』とか真名を弄られ屈辱的な日々ぃぃぃ!! 見ているがいいですぅ! 風の活躍をぉぉぉ!! 」

 

華雄「よくそれで……弄られてると分かったな?」

 

風「それはですねぇ……一刀お兄さんと稀に文通しているんですぅ!」

 

『うおおおぉ─────いぃ!!』ビシィ!

 

華雄と稟が、左右から同時にツッコミを入れる!

 

風「ふふふっ! 計画通りですぅ────!!」

 

稟「い、幾らなんでも、滅茶苦茶な話を────!?」

 

風「そうでもないですよ? 忍びの皆さんが一緒懸命、情報収集しているので偶にお願いしているんですー! 一刀お兄さんもノリノリで書いてくれますから楽しいですぅ! この前も新しい配下の子が入ったとか………?」

 

華雄「…………そいつは強いのか?」

 

風「配下が二人……張儁乂さんと……真名しか名前が無い珍しい子の二人ですね? 面倒ですから、仮に『宝譿』ちゃんとしますかー! 宝譿ちゃんは、かなり強いようですねー!!」

 

稟「宝譿って………」

 

風「仮ですからね~!」

 

…………こんな『ガールズトーク』が一刻(約二時間)程続いた後、狼煙の報告が入る。 『西涼での戦い 勝利』…………と。

 

◆◇◆

 

【 晋軍来来の計! の件 】

 

〖 徐州 下邳 晋軍 中央 にて 〗

 

晋兵「曹操軍が退却したぞぉ!! 陣営内に入れぇ!!」

 

晋兵「中に糧食や金が残っているそうだぁ!! 分捕り自由だぜ! 急げ! 急げぇぇ!!!」

 

晋軍中央部隊……十五万が天幕に乱入! 略奪を本格的に開始した!

 

数多く並ぶ天幕、気温が寒いため暖を取る為の用意か、あちらこちらに『薪』が準備して積んである。 火を早く、そして長く保つ為に『松脂』を付けた木もちらほらと。

 

晋兵は、そんな物には見向きもせず、高価な品物、すぐ食える食べ物を見つけ出すため、辺りを手当たり次第に壊す!!

 

ーーー

 

噂を聞きつけた左右の軍勢、後方の軍勢が集まってきた!!

 

左翼側晋兵「お前達だけとは狡いぞ! こっちも命懸けで戦っているのに!」

 

右翼側晋兵「こっちも、参戦してやるわぁ!!」

 

後方晋兵「そこをどけぇ!! 儂等が次の番ぞぉ!!!」

 

ーーーーー

 

〖 曹操軍 中央 にて 〗

 

桂花「華琳様! 晋兵達が『晋軍来来の計』に嵌まりました……!」

 

華琳「雛里と朱里からの伝令は……どう?」

 

秋蘭「アレとコレをそれぞれ準備して、何時でも攻撃可能かと!」

 

華琳「春蘭! 兵を一時待機させなさい! 桂花! 朱里や雛里に伝令! 秋蘭は、別働隊に付いて頂戴!」

 

春蘭、桂花、秋蘭『はっ!!!』

 

華琳「ふふふふふふっ! 私を……曹孟徳を敗走させた罪、皆に塗炭の苦しみを受けさせた罪。 この………漢王朝史上最凶最悪な謀で、晋軍に馳走してあげなさい! 人として生まれた事を────後悔する程にぃ!!」

 

ーーー

 

朱里「はわっ! 伝令が来ました! 皆さん!! 銅鑼の合図と共に、★★付きの棒や壺を投擲して下さい!!」

 

『はっーーー!!』

 

ーーー

 

桃香「話合いの段階じゃない! 今、戦わないと………更に悲しむ人が出るから。 一刀さん、私に力を!! 皆さん! 投擲の準備、お願います!!」

 

『おぉーーーーーー!!』

 

ーーー

 

沙和「真桜ちゃ~ん! 臭いの! 臭いのぉ!! 沙和の体、香水付けても匂いが取れないぃぃのぉ!!!」

 

真桜「ウチらは、まだええぇ~! 沙和の隊なんて入れ替え作業もこなしてはったから、ホンマに蛆虫みたいになってもうたでぇ…………。 ありゃ、三日間ぐらいは、臭うでぇ~?」

 

沙和「沙和が指揮するのにぃ~!? そんなあぁ─────!!」

 

★☆☆

 

バァ────ン!

 

バァ────ン!

 

朱里『今ですぅ!!』

 

桃香『投げてぇ!!』

 

ーーー

 

長さ十寸(約30㌢)の棒に、『白い塊』が付いた物が投擲される。 少し遠いところには、鏃を外し『白い塊』を付けた物が………!

 

晋兵「なっ!? なん──『ネッチョ~』はっ?」

 

晋兵「こ、これは──『鳥黐(とりもち)』かぁ!?」

 

晋兵「ばっ、ばかぁ! 動かすな! か、髪に!!」スポッ!

 

晋兵「…………お前……ヅラ?」

 

晋兵「まだまだ来るぞ! 離れろ! 何かで覆え!!」

 

ーーーーー

 

森林に隠れていた左右の両軍から、鳥黐(とりもち)付きの矢や棒が投擲され、当たる晋兵に悉く張り付く! しかも、密集状態故……逃げる場所も無い! 隣の兵にくっ付く者、運悪く顔に当たる者と散々!

 

★★☆

 

華琳「真桜達に伝令!! 例のモノを放ちなさい!!」

 

ーーー

 

真桜「とうとうきおったでぇ!! 狙い~!! 晋軍中央!!」

 

沙和「こぉ~んな臭いモノ、のし付けて飛ばしてやれなのぉ~!!!」

 

ーーー

 

ガチャン! プッシャアァァアアァ!!!

 

空高く舞い降りた壺は………晋軍に猛烈な悪臭を……届けてくれた。

 

晋軍「ブホッッッ───!!!」

 

晋軍「いぃぃい、息が………出来ねぇ…………!」

 

晋軍「鼻が、塞げれねぇ! 喉が───痛むぅ!!」

 

晋軍「アアァ──! いい気分ダァ───!!」

 

嘔吐する者、鼻をつまみ闘争を試みる者、あまりの臭気に気がふれる者。

 

★★★

 

桂花「きゃあー! 此処まで臭うなんてぇ!! ここまで来ると、華琳様のお身体に臭いが付いてしまうわ!! それに、汚らしい軍勢なんかぁ! 消毒しなきゃ!! 左右大将に合図! 『火矢』を!!!」

 

バァン! バァン! バァン!

 

朱里「あ、合図です! 火矢の準備!」

 

桃香「次の合図で射るんですからね!」

 

バァァ───────ン!!

 

朱里、桃香『放てえぇ─────!!』

 

ーーーー

 

天幕が紅蓮の炎に包まれる! 各天幕に置いてあった着火材が燃え広がる事を助長する!! 近隣の森から採集した『松脂』を、天幕の下や天井に塗っておいた。 火の廻りは………とても早かった。

 

晋軍「逃げろ!! 逃げるんだ……うごぉ!!」

 

義弘「両側には、私達が居る事……忘れてない?」

 

ーーー

 

晋兵「だ、駄目だぁ! 駄目駄目だぁ~!!」

 

鈴々「こっちに来ても、鈴々が倒しちゃもんねぇ!?」

 

ーーー

 

華琳「私達の軍も反転する! 敵を包囲するのだ!!」

 

曹兵「はっ!!」

 

ーーー

 

晋軍「前も駄目、左右も挟まれた! 残りは後ろぉぉ──?」

 

乱立している杭と冷たい大河が………遮る。 しかも、此方まで乗って来た船は、壊されていた。

 

季衣「あっ! 見つかっちゃた! 皆! 逃げるよぉ!!!」

 

大きな鉄球を持った少女が……配下の兵と共に逃げていった。

 

▼☆▼  ▼☆▼  ▼☆▼

 

 

 『晋軍来来の計』 別名『Gホイホイの計』

 

島津お家芸『釣り野伏せ』を元に、朱里、雛里、一刀で考案した奇計。

 

華琳曰わく『漢王朝史上最凶最悪の謀』と宣う凶悪性を誇る。

 

①…敵を利で釣る。

 

②…抵抗していた本隊を疑似退却、左右翼の軍を退却させ、一部伏兵に残す。

 

③…敵が密集状態になったところ、鳥黐(とりもち)を投げる。 敵の動きが鈍る。 もしくは停止。

 

④…銀杏の皮を詰め込んだ壺を投擲! 秋の内に採集。 地下倉庫に入れて発酵、溶解したモノが浴びせられ、晋軍悶絶。

 

⑤…火矢による火計! 汚物は消毒だぁ! 

 

 

▲☆▲  ▲☆▲  ▲☆▲

 

 

これにより……約三十万の晋軍が壊滅状態になったと伝わる。

 

 

 

ーーーーーーー

ーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

来週から公私共々忙しくなるので、更新が週一回……もしくは月一回になる可能性もあります。 地元の行事の準備で夜遅くまで行うため、作品が仕上がらないものですから。

 

また、宜しければ読んで下さい!

 

 


 
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