この作品はキャラ設定が崩壊しております。原作重視の方はご注意ください。
時代背景等が崩壊しております。一刀くんがチートです。
オリジナルキャラクターが登場しております。
それでも構わないという方はどうぞ。。。。
あらすじ
魏と呉・蜀連合軍との大戦は終わり、いよいよ大陸は平和へと歩みだす。そう誰もが一瞬なりとも考えた刹那、一つの報せが三国全ての将兵を驚愕させた。
北郷一刀の裏切り、そしてその北郷一刀率いる五胡の大陸侵攻。
真実を知るために凪は五胡との戦場にてただ一人の男、愛しくあり、最大の敵となろうとしている者と対峙することとなった。
一刀が刀を抜く仕草を見せるとほぼ同時に、凪は一刀へと突っ込んでいった
虚を突く一撃ではあったが、凪の拳は一刀に届く前に刀で弾かれた
一刀「本気で楽進と戦うのは……初めてだったか」
初めて、戦場で敵として受ける一刀の本気の殺気に凪は唾を飲んだ
凪「質問に答えろ……」
一刀「曹操を見限った。それだけだ」
凪「嘘だ!!」
怒声と共に凪の氣弾は一刀の足元へと着弾し、砂煙を舞い上げた
砂煙が舞い上がるとほぼ同時に、その砂煙を切り裂くようにして一刀の氣弾が凪へと迫った
それを真横に飛ぶことで避けた凪は、そのまま一刀との距離を詰めて近接戦闘を挑む
ただ静かに立っていた一刀は、そのまま凪の連撃を真正面から受け止める
怒涛の連撃を放つ凪と、その連撃を表情一つ変えずにさばき続ける一刀。その光景に近くで見ていた司馬師が息をのんだ
しかし、不意に速度を上げた一刀の一撃によって、凪は後退させられた
司馬師「北郷、いつまで遊んでいるつもりですか!」
司馬師の言葉に何か言葉を返すでもなく、ただ一刀は司馬師を一睨みした。それだけで司馬師は次の言葉を失った。そして、恨めしそうに表情を歪め、凪と一刀の二人を睨んでいた
そう、武官ではない司馬師ですらはっきりと分かるほど、今の二人には差があった。それは体力的なものであり、技術的なものであり、なによりも精神的なものから生まれる差であった
そして、一刀の視線が楽進へと戻るとその体から、かつてないほどの闘気が溢れ出した。それを見て凪も改めて構えなおすと、全神経を右手へと集中させた
凪「(一刀さん……!)」
迷いを振り払うように右手へと神経を集中させようとする凪であったが、それを待つほど一刀は甘い人間ではなかった
先に動いた一刀は一直線に凪へと駈け出した。いつの間にか鞘に納めた刀に右手を添えながら、一気に凪との距離を詰めた
それに対して凪はその場を動かず、右手を腰の高さで引いた状態で一刀を待ち受けた。一刀から教えられた手刀による突き。日々鍛錬を続けてきたその手刀は今や岩石に綺麗な穴を穿つほどの威力まで昇華していた
生半可な攻撃では自分が殺される。そう確信できるほど一刀の放つ闘気と殺気は凄まじいものであった
凪「(半歩……)」
血の滲むような鍛錬を通して培ったその動き、そして必殺の間合いを凪は体で覚えていた。そして、その体は凪の意思とは無関係に、防衛本能のままに、自身へと迫る脅威に対して手刀を突き出した
~凪side・始~
今までで最高の一撃。そう自分で思えるほどの一撃を私は一刀さんに放っていた。
「(これでも届かないのか……)」
故に、改めて一刀さんとの力量差を感じさせられた。世界がゆっくりと進む中、間違いなく私の手刀が一刀さんを貫く前に、一刀さんの獲物が私の胸を貫くだろう
「(それでも…一刀さんに殺されるなら…)」
そんなことをふと私は考えてしまった。そして、静かに瞼を閉じ、来るべき時を待った
そして……
一刀「敵を前に死を受け入れるようじゃ……長生きできないぞ、凪……」
私の耳に入ってきたのは、いつもの優しい一刀さんの声だった
「か、一刀……さん……」
私は少しの間、何が起こっているのか理解できずにいた。ゆっくりと、優しい声に促されるように目を開いてみれば、一刀さんの一撃は間違いなく貫いていた………司馬師の体を
私の耳元にある一刀さんの『村雨』から司馬師の血が伝い、地面に血だまりを作っていく。その血は、私の手から流れる一刀さんの血と地面で混ざり、より広く地面へ広がっていった
司馬師「北郷……貴様…っ!」
一刀「悪いが…お前と喋るつもりはない」
私の手を腹から無理矢理引き抜いた一刀さんは、『村雨』を一振りし、司馬師の首を撥ねた
一刀「良い一撃だったぞ、凪」
そう言って微笑みを浮かべた一刀さんでしたが、すぐに片膝をつき大量の血を吐き出しました
「か、一刀さん! す、すぐに治療を!」
私は一刀さんに肩を貸すため近づこうとしましたが、その必要はないと言わんばかりに、『村雨』を私の眼前へと突き出し、一刀さんは自分の足で立ち上がりました
一刀「敵将に肩を貸す奴があるか。それに、俺にはまだ……やるべきことがあるからな…」
そう呟き、顔を上げた一刀さんの視線の先には連合軍と戦い続けている北郷隊の姿がありました。私には、一刀さんのやるべきことというのが、その時は理解できずにいました
雲義「一刀! 生きてるか!」
そこに聞き覚えのある声が聞こえてきました。この人物なら私に協力して、一刀さんを一緒に連れ帰ろうとしてくれるかもしれない。そんなことまで考えていました
一刀「生きてるよ。かなり危ないけどね」
雲義「そうか、では……」
そう、だから……
「えっ……」
不意に首筋へと襲い掛かった衝撃に耐えることも出来ず、私の意識は簡単に奪われた……
~凪side・終~
雲義「本当に良いのか…一刀…」
一刀「こうでもしないと行かせてくれないからな……あとは頼んだぞ」
腕の中で意識なくもたれかかってくる凪の髪を、愛おしそうに撫でながらそう言った一刀の一言に、雲義は悲しげな表情を浮かべながら、ただ黙って頷いた
それに微笑み返すと、一刀は大きく息を吸い込み
一刀「北郷隊反転! これより我らの本当の戦いを始めるぞ!!」
戦場全体に響き渡るほどの声で出された一刀の指示に、戦場の空気が止まり、その間に北郷隊は一糸乱れぬ動きで応える
一刀「北郷隊、我に続けぇぇ!! 歩みを止めるな!! 振り返るな!! 我らが血! 我らが魂! 全てを賭して我に続け! 我らが切り開くは戦場にあらず! この大陸の未来ぞ!!」
反転した北郷隊に合流した一刀を先頭に、北郷隊は真っ直ぐに五胡の大軍へと突き進んでいった。そして、五胡の兵士達は生まれて初めて本当の恐怖を感じる。それは一刀だけに対するものではない
足を矢で撃ち抜かれようと、腕を砕かれようと、首を切り落とされようと、一歩でも前へと歩を進め、一人でも多くと斬りかかってくる北郷隊
初めて感じたその感情に、五胡の兵士たちは動揺し、その抑え方を知らない彼らはあっという間に瓦解していった
華琳「魏の精兵よ! 我らが武神の姿から目を離すな! あの背に続け! この機を逃すなー! 全軍突撃ぃぃぃ!!」
劉備「今こそこの大陸に本当の平和を取り戻す時! 恐れず前へ! 私たちには仲間がいるから!」
孫策「呉の兵たちよ! 北郷隊の勇姿をその眼に焼き付けよ! そして歩め! その勇姿を我が眼へ焼き付けてみせよ!!」
そう叫ぶ三人は、溢れ出す涙を隠そうともせず、馬へと跨り自らも突撃を開始する
曹仁「一刀殿の裏切りは……全て五胡を滅ぼすための策です……」
そう頭を垂れたまま告げる曹仁の表情を、誰も見ることはできなかった
曹仁「涼州に赴任して間もなく、一刀殿は五胡と連絡を取り、共に三国を滅ぼそうと持ちかけました。全ては五胡の懐へ刃を突き立て、ここぞという時に切り裂くため。己が命を犠牲にした策……」
桂花「やっぱり……」
華琳「やっぱり…とは、どういうことかしら…桂花」
今すぐにでも斬りかかりそうな殺気を出す華琳に、肩を震わせながら桂花は
桂花「ほ、北郷の様子を探らせていた者から、北郷が五胡となにか連絡を取り合っているという報告があったので…」
曹仁「それも全て一刀殿がわざと流した情報。そうすれば荀彧殿は警戒して国境付近の兵士を、それとなく増やすだろうと。皆さんの軍が到着する前に涼州を五胡が超えてしまえば、侵攻を阻止することが難しくなります」
稟「まさか、馬騰殿や黄蓋殿が生きていたのは…」
曹仁「三国の間にある蟠りを少しでも抑えるために…」
華琳「私が涼州侵攻を決める前から…この策を考えていたということね…」
曹仁「はい…。その時から一刀殿は…」
『命がけの策を実行すべく、行動し続けていたのです……』
ひたすらに前進を続けていた北郷隊に五体満足の人間は、一刀含め誰一人いなかった。しかし、北郷隊は五胡の本陣へとたどり着いてた
鴉「やぁ、北郷君。随分とボロボロだね~」
フラフラとした足取りで、ヘラヘラした笑みを浮かべながら、鴉は一刀にそう声を掛けた
一刀「黙れ」
そんな鴉に向け刀を振る一刀。不用意に近づいた鴉の首と胴体はその一撃で切り離されたが、鴉はまるで何事もなかったかのように話を続けた。その手に自分の首を持ちながら
鴉「まぁまぁ、君のお目当てはこの先にいる五胡の王でしょ? さぁ、どうぞ」
わざとらしい動作で道を譲る鴉を気にも留めず、一刀は歩みを進めた。いま一刀がいるのは五胡の本陣。しかし、そこは不気味なまでに人の気配がなく、五胡の兵士の姿はなかった
その本陣の奥に建てられていた小さな砦、そこで一刀を一人の人物が待ち受けていた
左慈「待っていたぞ……北郷」
座っていた玉座からゆっくりと立ち上がった左慈を、一刀は黙って睨み続けていた
左慈「ふん…その体では満足に刀を振るうことも出来まい…つまらんな」
素手のまま一刀と一定の距離で左慈は立ち止まると
左慈「一撃だ…」
そう静かに呟いた。刹那、左慈が足から氣を放出し、一気に一刀との距離を詰めた
空気の弾ける音とともに二人がすれ違う。その振動だけで小さな砦が震え、瞬く間にヒビが入る
一刀「確かに……一撃だ……」
左慈「馬鹿な…」
無表情でそう呟いた一刀の背後で、左慈が血を吐きながら地面へ倒れこむ。そんなに止めの一撃として、刀を突き立てると、一刀はその場に座り込んでしまった
一刀「ふぅ……もう動けそうにもないな……」
鴉「その状態で動けてたことが異常なんだけどね」
一刀「鴉か……」
座り込み、項垂れたままの一刀へと、鴉はゆっくりと近づいていった
鴉「そう、鴉です。本物の鴉ですよ。さて、北郷一刀君。君には帰るべき場所へと帰っていただきます」
一刀「帰るべき場所?」
鴉「そう帰るべき場所です。北郷一刀が帰るべき場所です」
既に朦朧としてきた意識の中で、やけにはっきりと聞こえてくる鴉の声に、一刀は首を捻りながら聞き返した
鴉「帰るべき場所を思い浮かべてください。俺はそこへ君を送り届けましょう。それが私ができる、北郷一刀への感謝です。さぁ、あなたの帰るべき場所を思い浮かべなさい」
そんな鴉の言葉に誘われるかのように、一刀は瞼を閉じて、自分の帰る場所を思い浮かべた。そして、一刀の体は光と共にその場から消えた
鴉「もっとも、僕の感謝が必ずしも北郷くんの、そして北郷君の周囲の人間に喜ばれるとは限らないけどね……」
すでに誰も居なくなったその場所で、鴉は不気味な笑みを浮かべながら、一人そう呟いていた
~凪side・始~
五胡との大戦から数日、私は許昌近くの森で一人静かに月を見上げていた
大戦を終え、三国ともに一旦自国へと戻り、再度主要な将兵のみがここ許昌へと集まることになっていた
見慣れた城内を見慣れない人物たちが歩く。そんな違和感も徐々に薄れていくのを感じる
しかし、どれだけ時間が経っても私の心にはぽっかりと穴があいていた。意識を取り戻した時には、戦いは終わり、私の大切な人は行方不明となっていた
五胡の敗残兵の仕業なのか、それとも混乱からか、五胡の本陣は三国連合軍が到着するころにはすでに焼け落ちていた
焼け落ちた本陣からは僅かな金品のみが見つかり、それ以外のものは何も見つからなかった
「一刀さん…」
一刀さんは生きている。焼け跡から遺体の一つも見つかっていれば、私はこの考えを捨てれただろうか? いや、きっと捨てられないだろう。そして、私はいつまでも一刀さんを待ち続けるだろう
「馬鹿な女だと…笑われるだろうか…、いや、笑顔が見れるならそれでも…っ!」
自然と溢れ出す涙。毎夜の如く泣いている私の目は赤く、華琳様たちはすごく心配してくださった。でも止められないのだ……
会いたい人が、愛する人がいない。ただそれだけで涙が溢れる
「一刀さん……」
一刀「凪の泣き顔なんて、初めて見たかもな」
その声が耳に入った瞬間、私の涙は止まり、色々な考えが私の中を駆け巡った。そして、様々な思いを抱きながら、私は恐る恐る声の方へと顔を向けた
そこには、月の明かりに照らされた木々しかなかった。しかし、私はその声を頼りに一本の木に背を預ける
何故か木の反対側に行くことも、覗くことも出来なかった
これは現実なのか…そんなことすら考えてしまうほど、月明かりに照らされた森はどこか幻想的で…そして…
「お別れを言いに来たんだ…」
次に聞こえてきた言葉が…信じられなかった…
~凪side・終~
「お別れって……どういうことですか」
「そのままの意味だよ。俺は俺の世界に戻らなきゃならない」
「戻りたいのですか…」
「戻りたくないよ。みんなと…凪と会えなくなるしね」
「なら戻らなければいいじゃないですか!」
「出来るならそうしたいけれど…」
「一刀さんに出来ないことなんてありません! 一刀さんは強くて! 頭が良くて! 大陸最強で! 私の師匠で! 私が愛している人で! 一刀さんは…一刀さんは!」
「さよならなんだよ…凪…」
「嫌です! さようならなんて言わないでください!」
「もう会うこともないだろうな」
「ようやく平穏な日々を一刀さんと過ごせるのに!」
「さようなら…」
「嫌だ! 嫌だ! 嫌だ…いやだよぉ…」
「さようなら…魏の獅子…」
「これからも…私の傍に居てくださいよ…」
「さようなら…俺の愛弟子…」
「一刀さん!」
「さようなら…愛してるよ…凪…」
「一刀さん…一刀さん!」
「………」
「隊長!…一刀隊長…一刀さん」
「…………」
「一刀…一刀っ!!」
月明かりに照らされ、少女は泣き崩れた。まるで胸にぽっかりと空いた穴を、その涙で埋めるかのように…
どれだけ呼んでも、答える声は無く、求める姿はどこにもなかった…
どうもお久しぶり過ぎるkarasuです。仕事が忙しくて更新できませんでした。本当なんです! 信じてください! なんでもはしませんが……
さてさて、楽しんでいただけたでしょうか? なに? ハッピーエンドじゃないって? 大佐…私は胸の張り裂けるような、納得のいかない、そんなENDが大好きなんですよ(鴉 ◉◞౪◟◉)
ここまで読んでいただき誠にありがとうございます。
これからもほそぼそと、ゆっくりと続けていきます。
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過度な期待はせず生暖かい目で読んでください。<●><●>