No.711908

〜なんとなく 壊れている自分 Vol.7〜

夢で見た事を書いている詩集…と言うより散文集です。前の詩集に10編書いたので次の巻に移動してみました。
新しい詩をトップに、以下、下に行くにつれて古い詩になるように並べ替えてます。

◇超短編集のみ、ブログにて展開しています→ http://blog.livedoor.jp/gaeni/archives/cat_1213008.html
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2014-08-28 21:23:28 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:764   閲覧ユーザー数:764

15.1.20

「見ないふり」

 

学校のトイレの壁に 落書きをした

黒い鉛筆で描かれた

美しい風景画

 

けれども それを

見ようとはしない

まるで 空気のように

みんな 見ないふり

 

夕焼けの空に染まった

赤茶色の教室の

壁や黒板にも

落書きをして回った

 

けれども 誰もが

それを見ないふり

 

僕の 存在も

きっと 見ないふり

 

 

2014.12.27

「虚像と現実」

 

薄暗いゲームセンターで遊んでいたら

ぞろぞろと人が流れてくる

何となく流れていた人達に着いて行くと

更に薄暗い映画館にたどり着いた

 

途中で貰ったゼリーには

虫が入ってて 気持ち悪くて捨ててしまった

 

薄暗い映画館

私の座った真横に席があるのは分かる

最後列だと言う事も分かる

 

けれど 前の座席は見えないし

上映している映画も

上映しているのか していないのか

分からない程 薄暗い

 

そんな中 フと 明るい光が差した

私の真後ろ フと開いた出入り口から

センター街の光が漏れている

 

真っ暗で虚像の世界の映画と

光輝く現実世界のセンター街

 

私はその対比を

奇妙な感覚を持って見つめていた

 

 

2014.12.14

「私の家」

 

カフェで見かけた嫌いな子は

私の姿を見るなり逃げて行った

 

カフェで見かけた知り合いは

私と一緒にホテルに泊まろうと誘って来た

 

付き合いきれなかったから

私はカフェから徒歩15秒の

我が家のある古アパートに帰って行く

 

真っ暗な倉庫のような空間に

むき出しになった赤い鉄筋

その上に 無数の自転車が並び

その地上5階にある白い扉

あそこが私の家

 

でもよく見ると

そこから大量の水が漏れ出している

 

私は驚き

大量の自転車を薙ぎ払いながら

白いハシゴを登って行く

 

一番上まで登って気付く

大量の水が溢れているのはお隣さんで

私の家は無事である事を

 

無理を承知で鉄筋を飛び渡り

何とか私の家の前に来るけれど

その扉は小さく

私の頭くらいしか入りそうにない

 

ここまで来て フと思ったの

 

私の家って ここで良かったかしら?って

 

 

2014.10.15

「ペットショップ」

 

ヤケに天井が高いデパートらしき場所の一角に

無造作に置かれた檻が沢山あった

血塗られたような色で塗装された不気味な檻に

人間と思しき生命体が入れられていた

 

人間と思しき……

人間だと思うし 違うような気もする

ともかく そんな生命体が展示してあった

 

店員さんらしき姿は無く

檻だけが沢山ある異様な光景

私はその一つ一つを見て回った

攻撃的な目で見つめてくるもの

動く気力も無く丸まっているもの

様々な人間だと思しき生命体を見て回った

 

そして フと 私は足を止めた

影になって見えないフロアに行こうとすると

目の前に あの血塗られた檻が現れた

引き返そうと振り向いても あの血塗られた檻が行く手を阻んだ

 

そう 私は あの血塗られた檻に

いつの間にか閉じ込められていたのだ

 

そして私もいづれ 長い時間をかけ

今まで見てきた人達と同じように

人間と思しき生命体へと 変革するのだろう

 

 

2014.10.9

「高圧電線の向こう」

 

その高圧電線の向こうには

その鉄塔の向こうには

こことは違う次元が広がっている

 

一緒に歩いて行って見ようか?

一緒に異次元に飛んでみようか?

 

……え?

高圧電線の鉄塔を過ぎても

世界が変わっていないだって?

相変わらず太陽は沈みかけ

相変わらず空は美しい夕焼け

 

何を言っているんだい?

見た目は何も変わらないさ

それでも僕たちは

向こうとは違う次元に来たんだよ

 

違うと思えないのは

変化を恐れる気持ちが

どこかにあるからじゃないか?

 

さようなら 今までの世界

こんにちは これからの世界

きっとこれは歓迎すべき事

僕たちは新しい次元で生まれ変わる

 

これから全てが変わる

僕は歓喜の涙を流す

事態が飲み込めず ボンヤリする君を横目に

僕は喜びに震えている

 

きっとこれは歓迎すべき事

僕たちは新しい次元で生まれ変わる

 

 

2014.9.22

「街のお洋服屋さん」

 

ふらりと街を歩いていると

興味を引かれる洋服屋さんがあったから

立ち寄ってみる事にしたの

 

一階にあるのは黒い服ばかりだったけれど

私が興味を引かれたのは更に上の階

どんなお洋服があるのか

それはさっぱり分からなかったけれど

謎めいた電光掲示板に興味を持ったのよ

近未来的な街の風景と 不思議なメッセージを流してた

よく分からない電光表示板に

 

最初は普通の階段で

本当に普通のお店だった

 

けれど 途中から段々暗くなり

普通の階段が 透明なアクリル板のハシゴに変わってゆく

 

そうして行き着いた最上階

透明なアクリル板に行く手を遮られてしまった

それでも何とか手で押して板を避けて

出た先には

お店なんか無くて

ただ 真っ暗な空間が広がっていた

その中で 赤い電光表示板が

謎めいたアナウンスを流し続けていた

 

「あなたの謎は解けましたか?」

「あなたは一体何者ですか?」

「ここはどこですか?」

 

私はその電光表示板の前で

ただ 立ち尽くすより他に無かったの

 

 

2014.9.9

「審判」

 

気がつくと

私は上空にいた

 

足元には 一面の雲が広がり

上空には 一機のヘリコプター

そこから垂れ下がる 一本の救援ロープ

私はそれに捕まっているのだ

 

不思議と

強風も 恐怖も感じず

私はこの宙ぶらりんの状況を保っていた

 

この雲の下には

私が暮らしていた街が広がっている筈だ

 

一体何があったのか?

私が知らない間に

天変地異Lvの災害でもあったのか?

 

……いや 違う

 

私の足元に広がる雲は天国だ

そして その雲の下に広がるのは

恐らく地獄だ

 

上空にあるヘリコプター

そこの中にいる救援部隊は

救援ロープに捕まる私を無視するように

何やら ずっと話し合いをしている

 

私がこれからどうなるか?

その運命を担っているのは

上空にいる救援部隊だ

 

彼らは

人か?

天使か?

悪魔か?

 

そして

私に下される審判は

天国か 地獄か ……

 

 

2014.9.5

「気がつけば一人」

 

気がつくと私は

喪服を着て

知らない人の葬式に参列していた

 

名前を聞いても 本当に知らない人

物凄く広い葬式会場

そこにいるのは お坊さんと 私だけ

 

最後のお別れにと

棺桶の中を見せられたけれど

黒こげになった その遺体には 顔が無かった

 

どこから沸いて出て来たのか

いつの間にか 棺桶の周りには

綿菓子みたいな人が集まって

機械的に 事務的に 涙を浮かべ 泣いている

 

私はそれを見て確信したの

そう この人を知っている人は

この世にはもう 誰一人としていないと言う事実を

 

 

2014.9.3

「カニバリズム」

 

この世にある 全ての時計を

燃やして壊して 消し去ったとしても

時の流れは止められないのさ

 

人は皆 そうなんだ

人は皆 時間を食らって生きている

良くも悪くも 時は続く

時は流れ 淀みなく 平等に

金持ちも貧乏人も

その流れには逆らえないのさ

世界中の時計を壊して捨て去っても

時の流れは止められないのさ

 

それはすなわち

人は皆 自らの身体を食らって生きている

自らの時間 自らの魂 自らの肉体 自らの鼓動

意識していようがいまいが

人は皆 自分を食らって生きているのさ

その運命からは 誰も逃れられない

泣いても 叫んでも 恨んでも どうしても

お前はお前を食らう事を止められないんだ

 

どう 足掻いても な

 

 

2014.8.28

「宇宙マントラ」

 

私は歯車の中にいた

ゆっくりと回転する中を

回転に合わせるように ゆっくりと歩いていた

 

私は劇を見に来ていた筈なのに

いつの間にか 劇の中にある筈の装置に取り込まれていた

足元を見ると そこには沢山の人が歩いている

 

劇の名称は 確か 「地球の疑似体験」

 

なら 歯車に取り込まれた私も 演出の一部なのか?

だが 私は永遠にここにいるつもりも無かった

何とか抜け出したいと 思うようになっていった

 

そうしたらどうだろう

足元に広がっている光景は

人々が歩く路地ではなく

広大な宇宙が広がっていた

 

暗闇の中に キラキラとした星空が広がっている

私は外に出たいと

思いっきり力を踏みしめジャンプした

するとどうだろう

重力と言う概念を失った私は

勢い良く 宇宙空間へと飛び出して行った

 

猛烈な勢いで星空達が遠のいて行く

勢いがつきすぎた私は 宇宙の果てまで飛び出し

気がつけば 星すら無い 永遠の暗闇の中にいた

今までいた星空が ほんの一つの点にしか見えない場所まで飛ばされていた

 

だが 今度は落下が始まった

重力と言う概念が無い筈の宇宙で

その 今までいた ほんの一つの点にしか見えない光に向かって

ただただ 落ちて行った

 

だが 落ちた先は私の知っている宇宙では無かった

猛烈な勢いで飛び出し 一つの点に見えた星は

その時点で変異していたらしい

星々はじゅうたんのように平らに並び

そこに不可思議な文様を描き出していた

 

見た瞬間 何故か私はそれをマントラだと思った

具体的に神の絵が描かれた訳でも 言葉が書かれた訳でもないのだが

何故か私は それをマントラだと思ったのだ

 

それからマントラの中央に落下し

そしてトランポリンのように空中に放り投げられ……

 

それを何度繰り返したかは分からない

 

けれど 今 言える事は

私も今やそのマントラに取り込まれ

輝く星の一つになった

 

それだけは確かなのだ


 
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