No.706273

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第178話

2014-08-05 00:14:12 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1876   閲覧ユーザー数:1703

 

 

 

 

 

 

~アルゼイド子爵邸・執務室~

 

「貴族派が水面下で動き始めている……!?」

アルゼイド子爵からカイエン公爵の訪問の詳細な話を聞いたラウラは声を上げた。

 

「うむ、先月あたりから貴族派が頻繁に動き始めている。各地で会合が繰り返され、結束を再確認しているようだ。……そちらのお嬢さんは当然知っている情報だろうが。」

「んー、まあね。とうとう革新派と本格的にやり合うつもりかって情報局もピリピリしてるし。」

アルゼイド子爵に視線を向けられたミリアムは真剣な表情で頷いた。

 

「そうだったのか……」

「本当に内戦が始まってしまうのでしょうか……?」

「くっ……そんな事が。」

ミリアムの話を聞いたリィンは重々しい様子を纏い、セレーネは不安そうな表情をし、ユーシスは唇を噛みしめた。

 

「でも、カイエン公って言えば貴族派でもリーダー格だよね?わざわざ来るっているのはさすがにビックリしたよー。」

「うむ……私も驚いた。貴族派全体の大規模な会合を近い内に開くつもりらしくてな。それに必ず出席するようにとこんな辺境まで訪ねて来たらしい。」

「で、ですが父上はあくまで貴族派からは……」

アルゼイド子爵の話を聞いたラウラは信じられない表情でアルゼイド子爵を見つめた。

 

「……はい。距離を取っておられます。さりとて革新派にも近づかず中立を貫いておられますが……」

「だが、先方からしてみれば貴族ならば貴族派に所属して当たり前という理屈なのだろう。気の進まぬ貴族たちも強引に引き込んでいるという話も聞く。」

「……当然、俺の実家もそれに関わっている筈ですね。」

「うむ……そうだな。”四大名門”の主導権をカイエン公とアルバレア公のどちらで取るか……やや揉めていると聞くが基本的には同じ方針であろう。」

「………………」

「ユーシスさん……」

自分の推測に答えたアルゼイド子爵の説明を聞いて黙り込むユーシスに気付いたエマは心配そうな表情をした。

 

「その、自分の実家については何かご存知ありませんか?今はメンフィル帝国貴族とは言え、元はエレボニア帝国貴族ですし……」

「それは大丈夫だと思うよ。エリゼはリフィアのお気に入りだし、リウイお兄ちゃん達もリフィアのお目付け役を務められるエリゼを信頼しているし。以前の夏至祭の時にリウイお兄ちゃん達がエリスを助けに行ったでしょ?あれって、エリスがエリゼの妹だからだよ。」

「え……」

自分の心配に答えたエヴリーヌの話を聞いたリィンは呆け

「フフ、そちらのお嬢さんの言う通り、そなたの実家ならば心配は無用だろう。シュバルツァー卿と言えば私以上の頑固者として有名だ。元は祖国の話とは言え、貴族同士の胡乱な動きに加担するとはとうてい思えぬ。加えてそなたの妹―――エリゼ嬢がリフィア殿下の専属侍女長を務めている事からメンフィル皇家に信頼されている話は夏至祭の際、リウイ陛下達自らエリゼ嬢の妹―――エリス嬢の救出に向かった事によって有名になった上、エリス嬢の件を考えるといざとなればリウイ陛下達も動いて下さるだろう。」

「そ、そうですか……少しばかり安心しました。」

「まあ……!さすがエリゼお姉様ですわ。」

アルゼイド子爵の説明を聞いて安堵の表情をし、セレーネは目を丸くした後微笑んだ。

 

「ふむ……待てよ。―――そういう事なら、まだ打つ手があるやもしれん。クラウス、またしばし留守にする。悪いがよろしく頼んだぞ。それとセリカ殿にはお見送りができなく、申し訳ないと伝えておいてくれ。」

「かしこまりました、お館様。」

その時何かに気付いたアルゼイド子爵はクラウスに指示をし

「ち、父上!?」

「あはは、いきなりだねー。」

アルゼイド子爵の突然の行動にラウラは驚き、ミリアムは無邪気な笑顔を浮かべた。

 

「即断即決が信条でな。―――各地の中立派の貴族と連絡を取り合う事にする。貴族派全体の強引な動きに取り込まれる事がないようにな。」

「あ……」

「……父上。」

「……確かにそれが賢明であるかと思います。」

アルゼイド子爵の話をリィン達が聞いていたその時

「――そういう事なら俺もお共させてもらいますよ。」

トヴァルが執務室に入ってきた。

 

「トヴァルさん……」

「おお、そなたも来たか。」

「ええ、こちらに来たのがカイエン公だと知りまして。ちなみにバリアハートから来たリムジンに乗って行きましたよ。」

「バリアハートから……!?」

「まさか……アルバレア家の!?」

トヴァルの情報を聞いたリィンは驚き、ユーシスは血相を変えた。

 

「ああ、君のお兄さんだったか?ルーファス・アルバレア―――あの御曹司が迎えに来てたけど。」

「…………」

「あの人が……」

「まあ、ルーファス殿と言えばアルバレア家の嫡子だ。カイエン公が訪問するのであれば出迎えに来てもおかしくあるまい。それはともかく……他にも何かあったようだな?」

トヴァルの情報にリィン達が驚いている中、アルゼイド子爵は冷静な様子で受け止めて続きを促した。

 

「ええ、お嬢さんたちが気になる話を持ってきましてね。……レグラムの街道外れに”機械仕掛けの魔獣”が出ました。」

「!……そうか。一昨年のカシウス卿の反攻作戦以来というわけだな。」

「ええ、そうなりますね。考えてみれば子爵閣下とはその時以来の付き合いですか。」

「ああ……奇遇なものだ。―――他にも放たれた気配は?」

トヴァルの話に懐かしそうな表情をしていたアルゼイド子爵はすぐに表情を引き締めて続きを促した。

 

「それ以外には、全く。これは俺のカンですが陽動の可能性が高いですね。」

「私もそう思う。―――ふむ、やはりそなたには一緒に来てもらうとしようか。」

「そう来なくっちゃ!」

「父上……」

「何やら込み入った事情がおありみたいですね……?」

「悪い、まだちょいと不確かな情報なんでな。何かわかったらサラ経由でちゃんと情報を流すからさ。」

そしてリィン達はアルゼイド子爵とトヴァルを駅前で見送ろうとしていた。

 

~レグラム~

 

「―――それじゃあ、午後の追加分を渡しておくぞ。」

仲間達と共に見送りに来たリィンにトヴァルは午後の課題内容が書かれてある封筒を手渡し、リィン達は課題内容を確認した。

 

「区切りがついたらギルドに戻って書類整理をやってくれ。カウンターのメモに手順は書いておいたからさ。」

「わかりました。」

「任せるがよい。」

「書類整理……めんどくさ。」

「エ、エヴリーヌさん。」

「夜になったら戸締りをしてそれで今日の実習は終わりだ。明日には、俺の代わりに別の人間が来る手筈になってる。」

「了解した。」

「それでは留守を預からせていただきますね。」

トヴァルの指示にリィン達はそれぞれ返事をした。

 

「フフ、せいぜい励むことだ。それと、慌しく去る事になって本当にすまない。」

「父上のなさりようには昔から慣れっこですゆえ。」

「―――手合わせ、本当にありがとうございました。また会える機会を楽しみにしております。」

「うむ、そなたの剣はまだまだ伸びるはずだ。娘共々、これからも切磋琢磨するがいいだろう。”飛燕”の剣(つるぎ)を取り入れたそなたの”八葉”がどのように成長するのか、楽しみにしている。」

「……光栄です。」

アルゼイド子爵の言葉にリィンは静かに会釈をして答えた。

 

「他の者も、無骨者の娘だが今後ともよろしくお願いする。男手一つで育てたゆえ、浮いた話のひとつも無いのがいささか心配ではあるが……」

「ち、父上……!」

苦笑しながら言ったアルゼイド子爵の話を聞いたラウラはジト目でアルゼイド子爵を見つめたが

「まあ、大剣を振り回すラウラをお嫁さんにしたい男なんて、中々いないだろうね。」

「グッ……」

「エ、エヴリーヌさん。さすがにそれは言いすぎですよ……」

「フフ、耳の痛い話だな。」

エヴリーヌに図星を突かれて唸り声を上げ、セレーネは冷や汗をかいて指摘し、アルゼイド子爵は苦笑していた。

 

「ふふっ、こちらこそ喜んで。」

ラウラ達の様子を微笑ましそうに見守っていたエマはアルゼイド子爵に微笑み

「たしかにラウラは女の子にモテてるよねー。」

ミリアムはからかいの表情で言った。

「どうかお気をつけて。」

「数々のご配慮、感謝する。」

「はは、それじゃあな。サラのやつにもよろしく言っておいてくれ。」

そしてアルゼイド子爵とトヴァルは駅の中に入って行った。

 

「ふう……あの人は。」

二人が去るとラウラは呆れた表情で溜息を吐いた。

 

「はは……凄いお父さんじゃないか。自由で、懐も広くて、それでいてあの強さ……ラウラがそういう風に育ったのもわかる気がする。」

「なっ……」

リィンの指摘にラウラは驚き

「ふふっ、そうですね。あの親にしてこの子ありを地で行ってるというか……」

「確かに言葉遣いとか似ていたね。」

「あれだけの人物が近くにいたら当然、高みを目指す訳か。」

「もしくは偉大な親に萎縮して劣等感を持つかだが……どうやらアルゼイド家の息女は健やかに育ったらしい。」

「ふふっ、きっと大切に育ててもらったのでしょうね。」

「え、ええい。からかうのは止めるがよい!……コホン。トヴァル殿からレグラム支部を預かったのだ。残る半日、我らは我らの指名を果たす事にしよう。」

エマ達からの集中攻撃に声を上げたラウラは話を誤魔化そうとした。

 

「あはは、誤魔化したー。」

「誤魔化してないっ。」

そしてミリアムの指摘をラウラは必死の表情で否定した。

 

その後リィン達は残りの課題の消化を開始した。

 

 

 

 

 

閃ⅡのOPやサイトを見ていてふと思いました。ジョルジュの姿が影も形もねえ!?トワとアンゼリカは勿論、敵キャラになったクロウですら出て来ているのに、ジョルジュは出て来ていないってどういう事でしょうね?OPにも映っていないって、まさかとは思いますが碧の某弁護士のように実は何かを企んでいた黒幕とか?(冷や汗)ないと言いきれない所が軌跡シリーズの怖い所ですよね(冷や汗)なんせ前作ではいい人の面を被ったキャラが続きの作品で豹変していますからね。”教授”、ディーターやマリアベル、アリオスに某弁護士という前例がありますし、極めつけは閃のラスボスはまさかのパーティーメンバーのクロウという結果ですからねぇ(遠い目)


 
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