No.705986

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第174話

2014-08-03 18:32:51 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2949   閲覧ユーザー数:2740

 

 

 

~アルゼイド流・練武場~

 

「お兄様っ!」

「……リィンさん……!」

地面に膝をついたリィンを見たセレーネとエマは声を上げて仲間達と共にリィンにかけより

「父上、お怪我はありませんか!?」

「ああ……フフ、情けない所を見せてしまったな……」

ラウラに心配されたアルゼイド子爵は苦笑した。

 

「うっわー……とんでもない勝負だねー。」

「ああ……だがやっとわかった気がする。リィンが子爵閣下に手合わせを願った理由が。」

表情を引き攣らせているミリアムの言葉に頷いたガイウスは重々しい様子を纏ってリィンを見つめ

「……阿呆が。こんなものを抱えていたのか。」

「”力”に振り回されていたから、使い物にならないね。」

ユーシスとエヴリーヌは呆れた表情で言った。

 

「リィンさん、大丈夫ですか!?」

「お兄様!今治療します!」

リィンの状態を見たエマは心配そうな表情で声を上げ、セレーネは治癒魔術を開始し

「……幾ら何でも、今のはやりすぎじゃなかったか、ご主人様?」

メティサーナは複雑そうな表情でセリカに視線を向けた。

 

「……大丈夫です……ちゃんと手加減してくれましたから……セリカ殿にまでお手を煩わせてしまい、申し訳ありませんでした……」

リィンは静かに答えた後セリカに視線を向け

「―――あれ以上やり合っていたら、本気の殺し合いになるから止めただけだ。―――そいつも治療してやれ、シュリ。」

「はい、ご主人様。」

セリカは静かに答えた後シュリに指示をし、指示されたシュリは治癒魔術でリィンの傷を回復し始めた。

 

「フフ、セリカ殿に美味しい所を奪われる形になったが……その様子だとわかったようだな?」

「……はい。」

アルゼイド子爵に視線を向けられたリィンが静かに頷いたその時、アルゼイド子爵リィンの前に膝をついてリィンを見つめて言った。

 

「―――力は所詮、力。使いこなせなければ意味はなく、ただ空しいだけのもの。だが――――在るものを否定するのもまた”欺瞞”でしかない。」

「はい……天然自然(てんねんしぜん)―――師の教えがようやく胸に落ちた心地です。ですが……これで一層、迷ってしまうような気もします。」

「リィン……」

アルゼイド子爵の問いかけに頷いて答えたリィンの答えを聞いたラウラは複雑そうな表情をし

「……それでよい。まずは立ち上がり……畏れと共に足を踏み出すがよい。迷ってこそ”人”――――立ち止まるより遥かにいいだろう。」

アルゼイド子爵は静かな表情で頷いてリィンを見つめた。その後それぞれの身体を休める為に練武場から出ようとしたリィン達だったが、リィンが突如セリカを呼び止めた。

 

「―――セリカ殿。折り入って頼みがあります。」

「え……」

「む?ご主人様に何の用だ?」

「リィン……?」

「ふむ……」

セリカを呼び止めたリィンの行動にシュリとメティサーナは首を傾げ、ラウラは戸惑い、アルゼイド子爵は静かな表情でリィンを見つめ

「……言ってみろ。」

セリカは答えを促した。

 

「貴方を良く知るプリネさん達から貴方が使う剣技は”ディル・リフィーナ”では今では使い手が非常に限られており、伝説と化している東方の剣技だとお聞きしています。」

「で、”伝説の剣技”ですか……」

「ふえええ~っ、”嵐の剣神”って異名が付いている通り使っている剣技も凄いんだ~。」

リィンの話を聞いたセレーネは目を丸くし、ミリアムは驚き

「――――”飛燕剣”の事か。何も俺一人だけが使える訳ではない。世界のどこかに”飛燕剣”を伝承している者がいるかもしれないし、エステルとヨシュアも一部だが”飛燕剣”を習得している。」

セリカは静かな表情で答えた。

 

「ええっ!?エステルさん達がですか!?」

「そだよ。サティアの事で感謝したセリカがエステルにねだられて2人に”飛燕剣”を教えたんだよ。」

驚いているエマにエヴリーヌは頷いて答え

「サティア……?」

「―――余計な事を言うな。それで頼みとは何だ。」

エヴリーヌの口から出た聞き覚えのない名前にガイウスは不思議そうな表情をし、セリカは目を細めてエヴリーヌを睨んだ後リィンに答えを促した。

 

「はい……セリカ殿が扱う剣技――――”飛燕剣”を俺に教えてください……!」

「リ、リィン!?」

「一体何を考えている?お前には”八葉一刀流”があるのではないか?」

頭を下げたリィンの行動にラウラは驚き、ユーシスは眉を顰めた。

 

「みんなもさっき見せたあの”力”……”あれ”に呑み込まれない為にも俺自身強くならなければいけない。」

「…………………」

「ふむ、確かに己自身を強く保てば、力に振り回される可能性は少なくなるのも事実だ。」

リィンの説明を聞いたエマは複雑そうな表情をし、アルゼイド子爵は納得した様子で頷いた。

 

「しかし……だからと言って他流派の剣技を習得する事で己自身を強くする事はできないと思うのだが……」

「ああ……せいぜい気休め程度しかならないだろう。だけど例えどれだけ可能性が低くても、俺は踏み出さなければならないんだ。」

「フフッ、確かに他の流派の剣技を取り入れる事で新たな境地に到るだろうな。」

ラウラの疑問に答えたリィンの答えを聞いたアルゼイド子爵は微笑みながら頷いた。

 

「ご主人様、どうするのだ?」

「―――断る。何故俺が赤の他人の面倒を見てやらなければならない。」

メティサーナに尋ねられたセリカは静かな表情で答え

「お願いします……!俺にはみんなを傷つけない為に……そして守る為に新たな力が必要なんです……!いつか必ずご恩は返すつもりです……!」

リィンは頭を深く下げた。

 

「……あの、ご主人様。僅かな時間でも教えて差し上げてはどうでしょう?」

するとその時リィンの様子を見たシュリはセリカに申し出た。

 


 
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