No.700822 ソードアート・オンライン アクチュアル・ファンタジー STORY19 VS騎士長やぎすけさん 2014-07-14 20:19:42 投稿 / 全3ページ 総閲覧数:1004 閲覧ユーザー数:980 |
STORYⅩⅨ VS騎士長
グリームアイズを撃退したキリトとデュオは、度々襲ってくるモンスターを退けながら森の中を突っ切る。
森を抜け、人の手が入った空間を歩くと、2人は教団本部前の広場に辿り着いたところで一旦足を止めた。
デュオ「着いたな」
キリト「待ってろよ、アスナ」
2人が再び歩き出そうとしたその時、前から誰かが歩いてくるのが目に入る。
これでもかという程姿勢正しく、そして重々しく近付いてくるその姿に、キリトとデュオはただならぬ威圧感を感じていた。
やがて顔がはっきり見える位置まで来ると、それがシュヴァルだということに気付いた。
前に会った時と同じく、白を基調とした金と赤の刺繍入りの制服しっかりと着込み、腰には純白の鞘に収められた大振りの片刃直剣が吊るされている。
だが前回話した時のような穏やかさは感じられず、その険しい表情は、まるで決闘に赴くかのような形相だ。
デュオ「機嫌悪そうだな。何かあったのか?」
デュオが冗談めかしにそう言ってみるが、仏頂面のシュヴァルは何も言わない。
どうやら、冗談で笑ってくれるなどという雰囲気ではないらしい。
ゆっくりとした足取りで歩いてきたシュヴァルは、キリトとデュオの前で立ち止まった。
こちらを睨み付けてくるシュヴァルを、キリトも鋭い眼で睨み返す。
キリト「“奴”のことは分からなかったが、代わりにお前らに聞きたいことができた」
キリトの口調は、いつもの飄々としたものではなく、明らかに威圧的なものが含まれている。
キリト「教えてくれ、教団の目的はなんだ?天使がどうとか、一体何をしようとしているんだ!?」
キリトが一歩詰め寄ると、シュヴァルは腰に帯びている剣の柄に手をかけた。
シュヴァル「貴様らが知る必要は無い!」
その言葉と共に剣を抜き放つと、キリトに斬りかかった。
突然の攻撃をキリトはギリギリ、バックステップで回避するが、シュヴァルは腕を捻って剣の刃を返し、そのまま切り上げる。
左下から上がってくる剣を、横から割り込んだデュオの剣が弾き返した。
キリト「何すんだ!!」
すぐさま抜剣したキリトは、身構えながらシュヴァルに問う。
そしてデュオもまた、シュヴァルに強い敵意を向けていた。
デュオ「随分と物騒な真似してくれるな」
口調は穏やかだが、眼からは光が失せており、その瞳からは殺気が放たれている
しかし、そんな2人を前にしてシュヴァルが見ていたのは、キリトが構えた黒い剣だった。
シュヴァル「その剣、研究室に保管されていたものか・・・どうやらヴォイドの言っていたことは本当だったようだな」
キリト「どういう意味だ!?」
シュヴァル「反逆者が知る必要はない!」
もはや話すことは無いといった様子で、構えた剣を横薙ぎに振るう。
2人はバックステップで後退して構え直し、シュヴァルを睨んだ。
デュオ「アスナのことがあるから傷付けたくなかったが、そっちがその気なら容赦する必要はねえ!」
デュオのその言葉に、シュヴァルは苦笑した。
シュヴァル「“傷付ける”だと?我ながら、甘く見られたものだな・・・」
ゆっくり剣を構えたシュヴァルの体が、淡い金色の光が包み込まれる。
次の瞬間、そこにいたのは淡い金色の光を放つ翼を広げた“天使”だった。
頭の上には金の輪があり、背中には鳥類のような翼、全身は体と同化したクリーム色の鎧が包み、左手には金の模様が入った楕円形のアメジスト色の盾、右手には琥珀を削って作ったような両刃の直剣を持っている。
大振りで先細りになっているその剣はとても美しいが、翼を模した鍔以外に装飾の類は一切なく、明らかに実戦用だとわかる。
その姿を見て、2人の表情が歪んだ。
デュオ「天使のつもりなんだろうが、纏ってる禍々しさで悪魔か堕天使にしか見えねえな」
キリト「こんなもののためにアスナは・・・」
2人が吐き捨てるように言うと、飛翔してシュヴァルは切先を2人に向けて言い放った。
シュヴァル「騎士長として、貴様らを捕える。それが教皇のご意思である以上は!」
キリト「何が教皇だ!ふざけるな!!」
その言葉を最後に、3人の激しい戦闘が始まった。
キリト視点
剣を構えて突出してくるシュヴァルを、デュオが正面から受ける。
デュオ「ぜあぁぁぁ・・・!!」
デュオが絶叫と共に剣を打ち合わせた瞬間、凄まじい衝撃と金属音が辺りを駆け抜けた。
火花が飛び散り、剣圧で風が起きる。
鍔迫り合いの格好になった両者は、互いに一歩も譲らない。
だが次の瞬間、シュヴァルが一瞬だけ剣を引いたことで均衡が崩れた。
バランスを崩したデュオに、シュヴァルが盾を突き出して攻撃する。
デュオも間一髪剣の柄頭でそれを弾き返すが、そこへさらに右斬り上げが迫る。
デュオ「ちっ・・・!」
舌打ちしつつ戻した剣で追撃を捌いたデュオの体が、後ろに飛び上がった。
デュオ「キリト!」
キリト「わかってる!」
合図と同時にデュオの下を通って接近した俺は、シュヴァルに斬りかかる。
だが、シュヴァルは焦る様子もなく、迫る2本の剣を左手の盾で淡々と捌いていく。
そして剣と盾が接触するその瞬間、構えていた盾が突然前に突き出された。
よろめき、体勢を崩した俺に、シュヴァルが反撃してくる。
迫ってくる突きをどうにか弾くが、逸らし切れなかった刃が脇腹を掠めた。
キリト「ぐ・・・っ!」
出血と共に襲ってくる痛みを堪え、シュヴァルを蹴り飛ばそうとしたが、シュヴァルは素早く後方に飛んでそれを回避した。
デュオ「キリト!」
そこへデュオが、左手で構えたリボルバーから5発の弾丸を発射する。
しかしシュヴァルはそれらを盾で防ぎ、剣を振り被る。
突然、デュオの周囲に無数の剣が出現し、その切先をデュオに向けた。
そしてシュヴァルが剣を振り下ろすと、それらが一斉にデュオに向かう。
キリト「デュオ!」
デュオ「来るな!」
援護しようとした俺に、デュオは叫んだ。
大きく剣を構え、次いで体を軸にして回転するように振り切る。
剣の軌跡が、直径約2,5mの円を描いて周囲の剣を弾き飛ばす。
するとシュヴァルは剣を地面に突き刺し、空いた右腕を上空に向かって掲げた。
それに呼応するようにして、その空間に長さ3mはある巨大なランスが現れる。
生み出されたランスを手にしたシュヴァルは、それを大きく振り被ってこちらに投げ付けた。
凄まじい速度で迫る槍を、俺は転がって躱す。
起き上がり体勢を立て直そうとした時、眼前には既に新しい槍が迫っていた。
デュオ「キリト!」
飛来した槍が俺の胸に突き刺さる寸前で、割り込んだデュオが槍を弾いた。
しかしそれによってデュオも体勢を崩し、剣はデュオの手から離れて転がる。
その間にシュヴァルは、3本目の槍を生み出して振り被っていた。
デュオ「好き放題やりやがって・・・!」
デュオがぼやいた直後、振り被られていた槍が投げられる。
デュオ「キリト走れ!」
その言葉を合図に、デュオが俺の体を横に押し出した。
理由はわからなかったが、俺はデュオを信じて駆け出す。
振り被って見ると、上体を僅かに逸らして飛来する槍を紙一重で避けたデュオは、自分の頭の横を通り過ぎる槍の柄をキャッチしてみせた。
デュオ「お返しするぜ!!」
デュオが投げた槍が俺を追い抜いて、シュヴァルに向かう。
まさか槍を投げ返されるとは思っていなかったらしいシュヴァルは、俺を迎撃しようと構えていたために槍を避けられず、辛うじて盾で防ぐだけだった。
その上、殺し切れなかった衝撃で盾には亀裂が走り、上体が逸れて体勢が大きく崩れる。
デュオ「もう一発!」
叫び声に次いで、今度はデュオの剣が回転しながら飛んで行く。
それはシュヴァルが反射的に突き出した盾の亀裂部分に突き刺さり、盾そのものを限界まで弱らせる。
デュオ「砕け散れ!!」
とどめとばかりに放たれた弾丸が、盾に刺さったままの剣の柄頭に直撃して剣を食い込ませた。
既に限界だった盾は、その追撃によって亀裂を増やし、ついに砕けた。
シュヴァル「何・・・!?」
あり得ないこと続きで焦ったシュヴァルは、一瞬だけだが完全に静止する。
キリト「うおぉぉぉぉ!!」
ギリギリまで迫っていた俺は、この機を逃すまいと、絶叫しながら一気に斬り込む。
そこで狼狽していたシュヴァルが、俺の存在に気付いて身構えるがもう遅い。
【ダブルサーキュラー】の動作で斬り込んだ俺の剣は、一撃目で防御を崩し、続く2撃目が胴体に食い込む。
次いで振り切った剣を返し、斬り上げから今度は【スターバースト・ストリーム】の動作へ繋げる。
初撃が入ると、あとはもう感覚に任せて限界まで速く打ち込む。
だが、
シュヴァル「負けるかぁぁぁぁ・・・!!」
15撃目が入る直前で叫び声を上げたシュヴァルが、俺の打ち出した突きを弾いて受け流した。
体勢が崩れた俺に、シュヴァルはすぐ剣を左に構えて、そこから右に振り抜かれる。
それは俺の胸を、横一線に切り裂く。
キリト「がはっ・・・!!」
鮮血が飛び散り、HPが大きく削られる。
だがこれで終わりではない。
続いて右上から斜め左下に斬られ、次に腹部を貫かれた後、刺さっている剣をそのまま上に振り上げて俺を上空に吹き飛ばす。
この連撃をまともに受けた俺のHPが激減していき、あっという間にイエローゾーンに達した。
斬り裂かれた胴と、貫かれた腹から大量の血液が吹き出し、激痛が全身を駆け抜ける
体が痙攣し、意識が朦朧としてくるが、絶え間ない痛みによって意識が途絶える前に呼び戻される。
デュオ「キリト!!」
駆けてきたデュオは、シュヴァルにがむしゃらな剣撃を叩き込んで後退させると、素早く俺の口にハイポーションを突っ込んだ。
デュオ「大丈夫か!?」
痛みに顔をしかめながらも頷き、流れ込んでくる液体を飲み下す。
デュオは俺を庇うように前進し、少し離れてシュヴァルとの打ち合いを演じる。
やがてHPが回復してくると、傷は塞がり、痛みも引いていく。
辛うじてイエローゾーンを脱した俺は、すぐに立ち上がった。
シュヴァルと激しく打ち合っていたデュオは既に傷だらけで、HPもだいぶ削られていたが、俺が立ち上がったことに気付くと、すぐに後退して俺の隣に並んだ。
デュオ「いけるか?」
キリト「おう!もう大丈夫だ」
デュオ「無理はするなよ」
キリト「わかってるさ」
再び構え直すと、俺は左手を胸に当てて心の中で呼び掛けた。
キリト〈アリス、ユージオ、頼む。俺たちに力を貸してくれ〉
すると、返事の代わりに俺の胸から光が溢れ、そこから2人の騎士が飛び出してきた。
俺の周りを旋回しながら降りてきた騎士は、シュヴァルを見据えたまま俺の左右に着地して抜剣した。
シュヴァル「それが貴様の騎士か・・・」
おそらくヴォイドからの報告で知っていたらしいシュヴァルは、特に驚く様子もなく新たな敵に対して身構える。
ユージオはシュヴァルと目が合うと、その瞳に敵意を表した。
ユージオ「あなたが何者かは知りませんが、僕の親友を傷付けるなら、僕はあなたを許さない!」
強い口調で言い放った青銀の騎士ユージオに、金色の騎士アリスが告げる。
アリス「一気に決めるわよユージオ」
ユージオ「うん!」
2人の騎士は、手に持った剣をシュヴァルに向けて叫んだ
アリス&ユージオ『エンハンス・アーマメント!!』
次の瞬間、アリスの剣が無数の金の花吹雪になって吹き荒れ、ユージオの剣は強烈な冷気を発する。
花吹雪と化したアリスの剣は、シュヴァルに襲いかかる。
シュヴァルはそれを避けようとはせず、無数に存在するそれらを斬り払おうと剣を振るう。
シュヴァルの動きは止まるが、同時に花吹雪もシュヴァルに接近出来ない。
だが、俺が呼んだ騎士は1人じゃない。
もう一人の騎士、ユージオの剣から溢れた冷気は氷の茨を作り出し、それは地面を伝ってシュヴァルに迫る。
それを見たシュヴァルは飛翔での回避を試みるが、吹き荒れる金色の花吹雪がシュヴァルを包み込み、動くことを許さない。
シュヴァル「何・・・!?」
やがてシュヴァルに絡み付いた氷の茨は、その棘をしっかり食い込ませ、シュヴァルの動きを封じた。
アリス「さあ、キリト、デュオ!」
ユージオ「あいつにとどめを!」
2人の騎士の言葉に、俺とデュオは顔を見合わせて頷く。
そして、剣を構えて走り出した。
俺たちが近付くと、花吹雪は道を開き、奥にシュヴァルの姿が見えた。
デュオ「行くぞ、キリト!」
キリト「おう!」
未だ花吹雪を払い続けるシュヴァルに向かって、俺たちは剣を振り被る
キリト「お・・・おおおおおおッ!!」
デュオ「ぜあぁぁぁ・・・!!」
振り返ったシュヴァルの胴体を、俺たち2人の剣が×字に斬り裂いた。
シュヴァル「がはッ!!」
二重の斬撃によって斬り裂かれたシュヴァルは、絡み付いていた氷の茨もろとも吹き飛ばされ、地面に転がって元の姿へ戻った。
奴にもう戦う力は残っていないと判断した俺は、心の中で2人に礼を言う。
すると、アリスとユージオも光に包まれて姿を消した。
デュオ「もうやめろ。お前の負けだ」
倒れたシュヴァルに歩み寄ったデュオがそう言い放つが、シュヴァルは諦めていない。
シュヴァル「まだだ!まだ終わってない!!」
先程まで使っていた琥珀色の剣は消え失せたため、シュヴァルは元々持っていた片刃の直剣でデュオに斬りかかる。
デュオがそれを防いだので、俺がシュヴァルの剣を弾いてその体を押し返す。
吹き飛んだシュヴァルは仰向けに倒れ、剣が手から離れて転がった。
デュオ「いい加減にしろよ・・・」
倒れているシュヴァルにデュオが剣を突き付けた。
デュオ「さて、話してもらおうか。てめえの知ってること全部・・・」
デュオが見下すように言い放ったその時、
?「お
後ろから、聞き覚えのある声が響いた。
振り返るとそこに立っていたのは、教団の制服に身を包んだアスナだった。
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戦闘シーンが若干長いです。