No.704985 ソードアート・オンライン アクチュアル・ファンタジー STORY20 閃光VS劫火やぎすけさん 2014-07-30 14:23:53 投稿 / 全3ページ 総閲覧数:1300 閲覧ユーザー数:1267 |
STORYXX 閃光VS劫火
キリト視点
キリト「アス、ナ・・・?」
何故こんなところにアスナがいるのか、分からない
はっきりしているのは、今のこの状況は傍から見れば、俺たちがシュヴァルを殺そうとしているようにしか見えないということだ
立ち尽くしていたアスナはシュヴァルに目をやると、険しい表情で俺たちを睨み、すぐにレイピアの柄に手を掛けながら言い放った。
アスナ「今すぐお
キリト「これは・・・違うんだ・・・」
アスナ「離れなさい!!さもないと・・・」
アスナは一気にレイピアを引き抜く。
澄んだ音を発して抜き放たれたレイピアが、光を反射させて輝いた。
俺は事情を説明しようとしたが、デュオが片手でそれを遮った。
デュオ「わかった、わかった」
デュオは俺を引っ張り、シュヴァルから離れる途中で耳打ちしてくる。
デュオ「下手に動くとアスナと戦うことになる。出来ればそれは避けたい」
そう釘を刺された俺は、相棒に連れられてゆっくりとシュヴァルから離れた。
少し離れるとデュオはそこで立ち止まり、アスナに問いかける。
デュオ「離れたぜ。次はどうすれば?」
ふざけた言い方をするデュオの首筋に、アスナのレイピアが突き立てられる。
アスナ「調子に乗らないで・・・」
静かに言い放つアスナに、デュオは両手を上げて降参のポーズをとる。
アスナはレイピアを引き戻して振り返り、シュヴァルの前で膝を付いた。
シュヴァル「アスナ・・・」
アスナ「大丈夫、お
アスナは懐から結晶を取り出すと、シュヴァルの胸に押し当てる。
すると結晶が砕け散り、同時にシュヴァルのHPが回復し始めた。
シュヴァル「私のことは良い。それよりその2人を捕らえろ」
シュヴァルの言葉に、アスナは再び振り返った。
そして俺たちを見た瞬間、アスナの瞳が戦闘の時のそれに変わる。
アスナ「わかった」
シュヴァル「油断はするな。私も回復したら行く」
立ち上がったアスナは、再び握り直した剣を俺たちに向けて構えた。
デュオ「まずいな・・・」
2人に聞こえないくらいの声で呟くと、デュオはポーチから1つのアイテムを取り出す。
広範囲回復アイテムの【回復スプレー】だ。
SAOで言うところの回復結晶に近いもので、吹き付けるとそのプレイヤーのHPが一瞬で全快する優れもの———————ただし結晶と同じくかなり高値な上に、掘り出し物でしか売っていなかったため3つしか持っていない。
デュオが自分と俺にスプレーを吹きかけると、噴射されたライトグリーンの霧が俺たちのHPを全快させ、同時に傷の痛みを消し去る。
回復して立ち上がった俺たちに、アスナの鋭い声が届いた。
アスナ「教団の一員として、貴方たちを捕らえます!」
キリト「待ってくれアスナ・・・」
説得を試みようと話し掛けるが、アスナは全く聞く耳を持たない。
デュオ「無駄だ、キリト。今のアスナは教団の一員、その教団の人間で、ましてや
キリト「デュオ・・・」
確かに理屈ではわかっている。
それでも、アスナと戦うことだけは絶対に避けたかった。
だが、そうしている間にも、剣を携えたアスナは明確な敵意とともに確実に近付いてくる。
そんな俺を見ていた相棒が、見兼ねたように言った。
デュオ「キリト、アスナとは俺1人で戦う」
キリト「えっ・・・!?」
デュオ「どのみち、今のお前じゃ彼女とはまともに戦えない」
キリト「だけど・・・」
デュオ「心配するな。間違っても殺しはしない。上手くやるから、俺を信じろ」
キリト「・・・わかった・・・」
今まで何度も俺を助けてくれた相棒を信じ、俺はゆっくりと下がった。
会話を終えたデュオは、アスナと向き合う格好になり、再び剣を構える。
デュオ「一応訊くけど、話し合うつもりはあるか?」
デュオが言った時には、アスナはすでにデュオの懐に飛び込んでいて、冷たい瞳でデュオを見据えながら冷徹に言い放った。
アスナ「あると思う・・・?」
デュオの脇腹にアスナのレイピアが飛んでくる。
デュオ「いや、無理そうだ」
返しつつ、デュオは剣の腹を使ってその軌道を逸らし、そのままアスナの首筋目掛けて剣を横薙ぎに叩き込む。
対するアスナは、体勢を低くして斬撃を回避し、弾かれた剣の勢いを利用してデュオの左側へ回り込んだ。
そこから、レイピアを体の中心に構えて捻りを入れつつ素早い突きを繰り出す。
間違いなく、SAOでアスナが得意としていた技“リニアー”だ。
だが、それが放たれる瞬間、デュオは一瞬だけニヤリと笑みを浮かべた。
次いでデュオは体を反らしてアスナの突きを紙一重で避けると、そのまま体勢を低くした体を捻ってその場で回転する。
そしてアスナと向き合う形になった時、デュオは剣を大きく振り上げて突き出されたままのレイピアを弾き上げた。
得物を弾かれたアスナは一旦距離を取ろうとするが、デュオの攻撃はまだ終わっていない。
デュオは左腕を剣から放し、空いたその手でアスナの左腕を掴むと、剣を振るった勢いを利用して引っ張る。
バランスを崩しそうになったアスナは、体勢を崩すまいと左足を付いた。
そこに空かさず足を掛けて、デュオはアスナを地面に倒した。
アスナ「きゃっ!!」
仰向けに倒れたアスナに、デュオは馬乗りのような体勢になった。
デュオ「以前ほど強くないな・・・」
そう呟くデュオの下で、アスナは拘束から逃れようとジタバタと踠くが、デュオが首元の地面に剣を突き立てると、観念したのか大人しくなった。—————ちなみにこの時、アスナに馬乗りになっているデュオに対して俺がかなり苛立っていたのは秘密だ—————
デュオ視点
デュオ「落ち着いたか?」
不意に俺が問い掛ける。
それに対してアスナは顔を逸らし、無表情のまま言い返してきた。
アスナ「この状況で落ち着いているように見えるの・・・?」
デュオ「少なくとも、さっきよりは落ち着いて見えるな」
アスナ「そう・・・」
その短いやり取りの後、俺は剣を引き抜いて背中の鞘に戻し、立ち上がって一歩下がった。
そんな俺の行動を理解しかねたらしく、アスナは驚きながら上体を起こした。
アスナ「どうして・・・?」
デュオ「俺たちはお前らと戦うつもりはない。信じられないかもしれないが、俺たちは何度もお前と生死をともにしたんだぜ」
俺の言葉にアスナは一瞬だけハッとした顔をしたが、すぐに表情を険しくして返してきた。
アスナ「・・・それなら、何で義兄さんと戦ったの?」
デュオ「生憎、話を聞かない奴と会話する術は知らなくてな」
キリト「デュオ」
ここで勝負がついたと確信したのか、キリトが俺とアスナの許に近寄ってきた。
デュオ「ちゃんと無傷で済ませたぞ」
キリト「若干納得できないところがあるが、まぁ2人とも無事で良かった」
デュオ「その言葉はまだ早いらしいぜ」
俺が視線をキリトの後ろに向けると、キリトとアスナもそれに倣う。
そこにいたのは、HPを全快させたシュヴァルの姿だった。
シュヴァル「貴様ら・・・」
剣を構えているところからして、まだ戦うつもりのようだ。
デュオ「まだやる気か?」
俺も剣を構えて迎撃体勢を取る。
キリトもアスナの手を取って起き上がらせてから、抜剣して構えた。
シュヴァル「教皇直々の御命令である以上、私は負けるわけにはいかんのだ!」
キリト「そんなに教皇が大事か?
シュヴァル「黙れ!!」
聞く耳を持たないシュヴァルは、キリトを斬り捨てようと剣を振り被る。
だが、その刃が振り下ろされることはなかった。
キリトとシュヴァルの間に、アスナが立ちはだかったからだ。
アスナ「お
シュヴァル「邪魔をするなアスナ!これは私が賜った使命なのだ!」
アスナ「嫌。どうしてか分からないけど、わたしはこの人たちを死なせたくない」
シュヴァルは剣をさらに強く握り締めて振り被るが、両手を広げて立ちはだかるアスナは決して動こうとしない。
そんなアスナの姿に何を思ったのか、しばらく硬直していたシュヴァルは振り上げていた剣をため息とともに下した。
シュヴァル「わかった。今回はお前に免じて、話だけは聞いてやろう」
アスナ「お
シュヴァル「ただし、少しでも納得出来なかった場合は即座に貴様らを斬る」
威圧感の籠った言葉に気圧されながらも、俺たちは頷いた。
キリト「あぁ・・・」
デュオ「それで充分だ」
シュヴァル「では聞かせてもらおうか」
シュヴァルは剣を鞘に収め、姿勢正しく立って俺たちを見据えた。
デュオ「先に、訊きたい。あんたは教団の目的を知っているのか?」
シュヴァル「誰もが望む理想郷を作ることだと聞いている」
デュオ「やっぱりか。そんなことだろうと思ったよ」
シュヴァル「なんだと?」
キリト「教団の目的は理想郷の創造じゃない」
シュヴァル「何!?一体、どういうことだ!?」
デュオ「奴らの目的は・・・」
?「おっと・・・いささか喋り過ぎではないかな?」
突然聞えてきた声に、俺は言葉を切って剣を構える。
すると次の瞬間、地面から湧き上がるように現れたヴォイドがアスナの首筋に剣が突き付けた。
シュヴァル「何の真似だ、ヴォイド!!」
シュヴァルが叫びながら剣の柄に手を掛ける。
それに対してヴォイドは余裕の表情で答えた。
ヴォイド「生憎だが、これは教皇の御命令だ」
シュヴァル「・・・何!?」
動揺した様子のシュヴァルを見て、ヴォイドは下卑た笑みを浮かべた。
ヴォイド「教皇様はな、貴様では頼りないとお考えになったのだよ。このガキ2人に、貴様が負けるのではと。そこで私は、教皇様にこのガキの1人が貴様の
嬉々とした様子で、ヴォイドが語り終えると、シュヴァルはがっくりと膝を落とした。
シュヴァル「馬鹿な・・・」
ヴォイド「く、く、く悔しいか?だが事実だ。貴様はそこで見ているが良い」
シュヴァルを罵ったヴォイドは、下卑た笑みのまま俺に視線を向けた。
ヴォイド「しかし・・・そんなにこの娘が大事か?」
キリト「彼女には関係無い・・・その手を離せ!!」
キリトが叫ぶが、それが気に食わなかったのかヴォイドは顔を歪ませた後、再び先程と同じく下卑た笑みを浮かべる。
ヴォイド「小僧、まだこの状況を理解出来ていないようだな」
ヴォイドは、アスナの首に押し当てた刃を僅かに食い込ませた。
アスナの首から一滴の赤い雫が流れ、その白い肌に細い筋を作る。
キリト「・・・やめろ!!」
咄嗟にキリトが声を上げるが、その声は情けないほど弱々しいものだった。
それを聞き、ヴォイドはさらに笑う。
ヴォイド「ならばその剣を渡せ・・・余計なことはせず、鞘に収めて目の前に置くのだ」
言われるままに、キリトは鞘に収めた剣をベルトから外して、その場に置いた。
ヴォイドはシュヴァルに目を向ける。
ヴォイド「シュヴァル・・・あの剣をこちらに持って来い・・・」
ヴォイドの言葉を受けて、膝を付いていたシュヴァルがゆっくりと立ち上がった。
アスナ「お
ヴォイド「おっと・・・“エサ”は大人しくしていてもらおうか」
シュヴァルに駆け寄ろうとするアスナを、ヴォイドはニヤニヤと薄気味悪い笑みを浮かべたまま押さえる。
シュヴァルは剣を拾い上げ、そのままヴォイドに向かって歩いていく。
あの勇ましかった騎士長の哀れなその姿に、ヴォイドは勝ち誇った顔をしていた。
シュヴァル「ヴォイド!!」
不意に怒声が上り、シュヴァルがヴォイドにタックルを仕掛けた。
その衝撃でヴォイドはよろめき、黒い剣が俺の目の前に転がる。
デュオ「キリト!!」
キリト「おう!!」
すぐさまそれを拾い上げ、キリトに向かって放り投げる。
キリトが剣をキャッチして背中に付け直すと、俺たちは同時に抜剣した。
シュヴァルが作ったこのチャンスを逃さないために、俺たちはヴォイドに飛び掛かる。
だが、突然押し寄せてきた凄まじい波動に、俺たちは押し返された。
見ると、ヴォイドがその姿を————あのゴキブリ人間とも言うべき醜悪な———怪物に変えており、片手にはアスナを抱えて飛び上がっていた。
ヴォイド「シ、シ、シュヴァル・・・貴様、教皇様を裏切るつもりか・・・!?」
上空から見下すようにしているヴォイドに、どうにか立っているシュヴァルが答える
シュヴァル「教皇様が民を利用するようなことをなさるはずはない!」
ヴォイド「き、貴様がどう考えようと、き、教皇様のお、御心は1つだ!」
シュヴァル「黙れ!貴様のような外道が知ったような口を利くな!!」
ヴォイド「き、ききき、貴様こそ、だ、黙れ・・・!!こ、こここの負け犬がッ!!」
ヴォイドは叫びながら、右手の剣をアスナに突き付けた。
先程のエネルギー放射を間近で浴びたためか、アスナは気を失ってぐったりとしている。
ヴォイド「出来ればこの場で剣は確保しておきたかったが・・・貴様ら3人が相手では分が悪い・・・ここは退くとしよう」
言い残して飛び去ろうとするヴォイドに、キリトが突進していく。
それを見た俺はすぐに剣を持ち上げ、その刀身の腹を上に向けるように持ってから、キリトにアイコンタクトした。
直後、疾走してきたキリトが剣の上に乗る。
アステリオスの時同様、キリトが乗ったと同時に剣を思い切り振り上げた。
キリト&デュオ『逃がすかあぁぁぁぁぁッ!!』
剣が振り上り切られたタイミングで、キリトが刀身を蹴って飛び上がる。
跳ね上げられたキリトが、上空で羽ばたいているヴォイド目掛けて飛んでいく。
だがそんなキリトに気付いても、ヴォイドは動じる様子すら見せなかった。
アスナから離した剣を振り上げ、手を伸ばして突っ込んでくるキリトに振り下ろす。
キリト「ぐっ・・・!!」
間一髪のところでキリトはそれを捌いたが、それによって勢いを殺され、すぐに落下が始まる。
ヴォイド「小僧!この娘を助けたければ、その剣を持って“神の間”に来るが良い!」
落下していくキリトを見下しながら、ヴォイドはゆっくりと上昇していく。
ヴォイド「安心しろ、すぐには殺さない。だが急がねば、命の保証はせんぞ」
最後にそれだけ言い残すと、ヴォイドは勝ち誇った笑い声を上げて建物の上に飛んで行ってしまった。
シュヴァル「教皇が・・・アスナを・・・?」
デュオ「奴らはアスナの記憶を奪って自分たちのために利用してるんだ。今さら何をしてもおかしくはない」
未だ信じられないといった様子のシュヴァルに、俺は吐き捨てるように言った。
直後、地上に着地したキリトがシュヴァルに掴みかかる
キリト「奴はどこに行った!?神の間ってのはどこにある!?」
シュヴァル「本部の最上層にある、幹部しか立ち入れぬ部屋だ・・・貴様らは先に行け。私もすぐに追う」
デュオ「よし!行くぞキリト」
キリト「あぁ!」
俺たちは互いの顔を見合わせて頷き、教団本部に向かって駆け出す。
その時のキリトの瞳には、強い殺意が満ちていた。
おそらくは、俺も同じようなものだっただろう。
Tweet |
|
|
2
|
1
|
追加するフォルダを選択
データがぶっ飛んでしまって投稿が遅くなりました