No.700507

【真・恋姫†無双if】~死を与えることなかれ~7話

南無さんさん

こちらは真・恋姫†無双の二次創作でございます。
思春回想編です。ペースが中々あがりません~
稚拙な文章、口調がおかしい所があるかもしれません。
それでも、暇な時間に読んで頂けたら嬉しいです。
よろしくお願いします。

2014-07-13 16:45:46 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:7410   閲覧ユーザー数:5821

~思春視点~

 

 

「はぁ!!」

 

「ぐわああああ!!」

 

 

一人、また一人、敵を斬り倒していく。今の私は持てる全ての力を出しきれている。

 

これも、北郷の鼓舞による影響だろうか、…きっと、そうであろう。

 

あの様な号令を目の当たりにしたら、武人として血が滾るというもの。

 

 

「甘寧殿とお見受けいたす!!御覚悟!!」

 

「はぁ!!」

 

「む、無念。されど、悔いは無し…!!」

 

 

すまないが、倒される訳にはいかないんでな。約束したんだ、この戦に勝利すると。

 

…約束、か。そう言えば、北郷と約束を交わしたのは二度目になるな。

 

最も、あの時のは強制的に交わしたのであったがな

 

 

 

 

 

 

 

 

っつ!!…しくじった、よもや、この私が不覚をとるとは。

 

慢心していたつもりはないが心の何処かで油断していたのかも知れない。

 

だが、有益な情報は得られた、急いで雪蓮様に報告…を。

 

っく、こんな所で意識が朦朧…と……

 

 

「………?……春?…思……!?」

 

 

 

 

…ここは、何処だ?確か私は雑木林で倒れた筈だが、

 

っつ!!身体を起こそうとすると、激痛が走るな…!!

 

 

「おっ!目を覚ましたな、思春」

 

「ほ、北郷!!何故貴様が!!―――ぅぐ!!」

 

「ほらほら、そんな大声を出しちまうと、傷に障るぞ」

 

「う、五月蝿い!!余計なお世話だ!!そんな事よりも問いに答えろ!!

 此処は何処だ、何故貴様がいる!!」

 

「…何故って、憶えてないのか?俺が雑木林で剣術の訓練に励んでいたら、

 急に後ろから、思春が傷を負って現れてその場で倒れた事を」

 

「…何」

 

 

言われてみれば、確かに意識を失った覚えがあるのだが、

 

その際、北郷が居たかまでの記憶が全くない。

 

 

「そんで、俺は一大事だと思って思春を抱え帰還して、

 雪蓮と蓮華、それと医師を呼んで診察してもらい、

 雪蓮から思春を看ておくようにと指示されて、

 現在に至る、といった所。あ、そうそう、それと此処は俺の自室」

 

「なっ!?何故私の自室に連れなかった!!」

 

「いや、だってさ、思春怒りそうじゃん。

 私の部屋に勝手に入り込むとはいい度胸だ、鈴の音が聞きたいらしいなって」

 

 

………否定が出来ん。

 

 

「そう言えば、蓮華が俺に白い目で熱視線を送っていたな、何でだったんだろ?

 隣に居た雪蓮はやけにニヤニヤしていたし、俺、おかしな事したかな?」

 

 

…この男は馬鹿か、どうしようもない鈍感男だ。

 

 

「成る程、だから私は寝床で寝ていたという訳……ちょっと待て、

 雪蓮様と蓮華様も見たのか、私のこの醜態を」

 

「醜態かどうかは知らないが、ついさっき、言ったろ。

 雪蓮と蓮華を呼んで医師に診察してもらったって」

 

 

…血の気が失せていく。この様な醜態を御二人にお目に掛かれたいたとは、

 

い、いかん、思いの外、衝撃が凄まじく意識をまた失いそうになる。

 

 

「…大丈夫か。顔色が悪いぞ?」

 

「喧しい、そのうっとおしい顔を退けろ」

 

 

貴様と話をしても、これぽっちの徳もない。

 

急ぎ、雪蓮様へ報告する為に、部屋から出るとしよう。

 

 

「はいはい、止めー」

 

 

布団から出ようとしたら、北郷に止められた。

 

私は、その行動に苛立ち低い声色で警告する。

 

 

「どけ、邪魔だ…!!」

 

「それが、そういう訳にはいかないんだな。二人が戻るまで思春を

 診ている様にと命令を受けているんだ。悪いけど、大人しくしててな」

 

「貴様の言う事など聞かん!!」

 

「まぁ、別に、それはそれで俺は構わないけど、言う事を聞かないと、

 主君の顔に泥を塗ることになるぞ」

 

「どういう意味だ」

 

「全てを伝えたのに、思春が独断で部屋から飛び出してしまった。

 なぁ、雪蓮。部下の不始末は上司の責任、という訳で、

 思春に変わり、蓮華にお仕置きしようって進言するから」

 

「なっ!!」

 

「いやぁ、そしたらノリノリでお仕置きするだろうな、

 そうなったら、思春は不忠者だ」

 

「き、汚いぞ!蓮華様を脅迫材料に使うなど…!!」

 

「人聞き悪い事を言うなよな。これは脅迫ではなく、単なるお楽しみだ」

 

「何がお楽しみだ!!」

 

「はっはっは、それで思春君。以上の事を聞いても退室するのかね」

 

「くっ…!!」

 

 

私は仕方なく寝床へと戻った、こいつの言う事を聞くのは癪に障るが

 

蓮華様の為だ致し方ない。しかし、北郷がこの様な手段を用いるとは、

 

正直、微塵にも思わなかった。…くそ。心底腹が立つ。

 

 

「まぁ、もう少ししたら二人が、報告を聞きにここに来るから

 それまで、休んでなよ」

 

 

北郷は勝ち誇った顔から一転して、慈愛に満ちた表情でこちらを窺い、

 

近くにある椅子に座ってきた。何だか、今日は調子を狂わせられる。

 

 

「話が変わるけどさ。珍しいな、思春が不覚をとるなんて。

 そんなに厳しい任務だったのか?」

 

 

脈絡なく、急に私が請け負った任務について質問してきた。

 

何のつもりだ、この男は。私が素直に問いに答えるとでも思っているのか。

 

 

「ケチケチするなよ、教えてくれたっていいじゃないか」

 

「…断る」

 

 

その様な事を答えても利益がない。黙っておくのがいいだろう。

 

 

「………お仕置き」

 

「なっ!?き、貴様、卑怯だぞ!!」

 

「何が?只、俺はお仕置きと言う言葉を口にしただけで、他意はないんだけど」

 

 

惚けた仕草を見せおって、この外道が!!御二方が気に掛けていなければ、

 

直ぐに刀の錆にしてくれるものを…!!答えるしかないのか、忌々しい…!!

 

 

「…別段、何時もと変わらぬ情報収集活動であった。しかし、欲を出しすぎて

 深追いしてしまい、不覚をとった、それだけだ」

 

「そうだよな、思春が傷を負うとしたら、無理をする位だもんな。

 まぁ、だからといって、不覚をとっていい理由にはならないけど」

 

「貴様に説教される謂れはない」

 

「でもな、うーん。…この際だから、はっきりと言わせてもらうけど

 最近の思春は無理しすぎじゃないか」

 

「さっきから何なんだ貴様は。これは私の問題だ。

 故に好きにしても構わないだろう…!!」

 

 

先程の脅迫紛いな行為と、急な説教で私の怒りに数値が膨れ上がっていく。

 

この男は、本当にイライラさせてくれる。

 

 

「いやな、俺が雪蓮に情報の重要性と利点を進言して、

 これまで以上に密度に収集活動を努める事になっただろう。

 その所為で無茶をさせているのかなと思って」

 

「ふん、自意識過剰だ。貴様の所為だとは微塵も思っていない」

 

 

だから、その口を一刻も早く閉じろ。

 

だが、その思いも空しく予想外の台詞が返ってきた。

 

 

「…優しいな、思春は、そう言って俺に安心させようとしてくれるんだ」

 

「なっ!?その様な事はこれぽっちも思っていない!!」

 

「はっはっは、照れるなよ」

 

「照れてなどいない!!」

 

 

貴様は馬鹿か!!どうして、この会話の流れからその様な事を思いつく。

 

正真正銘、疑い様がない大馬鹿者なのか…!!

 

 

「さて、冗談はさておき、ここから忠告と言うかお願いと言うか…」

 

「はっきりしろ……!!」

 

「じゃあ、言わせて貰うけど、傷を負ってまで無理をするな。

 思春は我が身を省みてない、それでは駄目だ」

 

「…貴様、喧嘩を売っているのか…!!士の本分は死を恐れず主君に殉ずること、

 故に、多少の無理をするのは道理だ!!」

 

「そもそもが間違っている。確かに士の本分はそうなのかも知れない、

 だが、それは武士の時だけだ。俺が言ってるのは諜報者時の本分、

 即ち、絶対に生きて情報を伝えると言う真逆の気概を指しているんだ」

 

「それが、何だと言うんだ!!私は蓮華様の為なら命を掛ける覚悟がある。

 その様な事は大差ない!!」

 

「本当にそう思っているのか?」

 

「無論だ!」

 

 

感情が激昂に支配される。この男に何故、ここまで言われなければならないんだ!!

 

 

「よく考えてみろ。このまま行くと間違いなく重傷を負い命を落とすことになる。

 そうなったら、孫呉は諜報者と言う両の片翼の翼が捥がれ、多大なる損傷を

 負う事となる。それに、何より、蓮華を始め皆が悲しむ。そうなったら遅いんだよ」

 

「私はその様なヘマなどは犯さない。故にその戯言は無用だ!!」

 

「戯言じゃない!!」

 

「―――――!?」

 

「思春が心配なんだよ!愚直で忠義溢れる将だから、自分を労わらない。

 その証拠が今日の失態だ!!さっき言ったとおり、このまま行くと

 本当に命を落とす事になる!!」

 

「……」

 

「頼む、思春。無理をしないと約束してくれ」

 

「…何故、貴様が」

 

 

頭を下げているんだ。冷静さを失っていた頭が次第に元に戻り、

 

素直に考えると北郷の方が正しいと一目瞭然だった。

 

頑なに拒み続け、自分の主張が通らないから幼子の様に駄々をこね

 

相手が北郷だから認めたくないと思っていたのか。

 

何て、蒙昧なんだ私は。

 

 

「……わかった。約束してやろう。だが、勘違いするな。

 決して貴様の為ではなく蓮華様の為に交わすという事を」

 

「ああ、それで構わない。…ありがとう、思春」

 

「…ふん」

 

 

恥ずべき心を隠し。悟られぬ様、普段の態度をとった。

 

すると、北郷は柔らかい笑顔を浮かべながら満足そうに私に手を伸ばしてくる。

 

 

「…一つ聞いてもいいか」

 

「なんなりと」

 

「何故、私の頭を撫でている…!!」

 

「いやぁ、嬉しくて、ついつい」

 

 

この男は…!!少しばかり見直したと思っていたら直ぐに調子に乗りよって!!

 

 

―――――ガチャ

 

 

殴ってやろうと思っていたら、唐突に扉が開かれた。

 

 

「一刀。思春の具合はど……う?」

 

「ん?どうかした蓮華。…おやおや、いつの間にそんな親密な

 関係を築いたのかしら~」

 

「いえ!これは…!!」

 

 

部屋に入られた雪蓮様はニヤニヤと顔を綻ばせながら、こちらを窺い、

 

蓮華様は驚きの眼から一転して、目が座っている。

 

 

「ついさっき、今や思春とは俺は心を通わせる程の仲になったんだよ。

 はっはっは!!」

 

「え!?し、思春。本当なの!?」

 

「……死ね!!」

 

 

堪忍袋の緒がついに切れた。私は、これまで我慢していた怒りを

 

利き手に宿し、思い切り北郷の腹部を殴った。

 

 

「うおおぉ、し、思春。そこは、鳩、尾………」

 

「キャー!!か、一刀…!!」

 

 

北郷は泡を吹きながら、床に倒れこんだ。

 

ふん、自業自得だ。それらを観ていた雪蓮様はゲラゲラと御笑いになられ、

 

蓮華様は北郷の身を案じてか近くにより介抱していた。

 

 

「雪蓮様、お見苦しい所をお見せしてしまい申し訳御座いません。

 それと、早速でございますが報告が……」

 

「ふふふ、その様子だと一刀は伝えるべき事を伝えたようね。

 いいわ、聞きましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

…懐かしい、振り返っても、北郷は今も腹が立つ奴である。

 

しかし、今は二回目の約束を優先しなければ、必ず、この戦に勝ち

 

北郷を安心させてやろう。私は辺り一帯の敵兵に鈴の音を響かせる。

 

 

「鈴の音は…黄泉路を誘う道標と思え…!!」

 

 

 

 


 
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