No.693904

【真・恋姫†無双if】~死を与えることなかれ~6話

南無さんさん

こちらは真・恋姫†無双の二次創作でございます。
急にお休みが入ったので、突貫作業で仕上げました。
目がチカチカします~。
稚拙な文章、口調がおかしい所があるかもしれません。
それでも、暇な時間に読んで頂けたら嬉しいです。

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2014-06-14 18:13:23 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:7810   閲覧ユーザー数:6191

~蓮華視点~

 

 

合戦の幕が開き三刻が経過していた。これまでの戦況は一刀の号令の

 

お蔭で兵数の不利を覆し、孫呉は優勢を保っていた。

 

この優勢で改めて一刀の凄さを思い知らされる。あの時の鼓舞もそう、

 

凄いと同時に実に一刀らしい号令だと思った。

 

私には到底真似できないだろう。でも、悔しいとは思わない。

 

一刀にしか出来ない事があるのなら、私にしか出来ない事がある。

 

それを、教えてくれたのは他でもない、一刀。貴方だったわね。

 

 

 

 

姉様の様になりたいと、その全てを模倣していた、あの頃。

 

焦りに焦り、追いかければ追いかける程、姉様の偉大さを痛感された。

 

私は出来損ない、非凡の才など持ち合わせていないと、

 

自分自身、何時も蔑んでいた。けど、一刀はそれは違うと隣で励ましてくれた。

 

最初は煩わしいと思った。貴方なんかに何がわかるのよと煙たがり、

 

苛立ち、自分の情けなさから来る怒りの捌け口にしていた。

 

しかし、それでも、一刀は何度も私の傍に赴き否定をし続けた。

 

私は等々悩みを吐露する事にした。姉様の背中を追いかければ霞んでいく。

 

私は姉様の様にはなれないと。すると、一刀は声を出して笑い始めた。

 

意を決して悩みを打ち明けたのに、なんて酷い人だと思ったわよ。

 

一頻り笑った後、一刀は陳謝したのだが、それは当たり前だ、

 

蓮華は雪蓮のようにはなれないだろと、柔らかい口調で言ったわよね。

 

 

『蓮華は蓮華。雪蓮にはなれないし、その逆も然り。平たく言えば、

 蓮華では雪蓮の様に武で兵を導く事は出来ない。

 では、何で導けばいいのか、…手助けはここまでだな。

 後は蓮華、君が考えるんだ。雪蓮より勝っているものとは何か」

 

『で、でも私には何も無い!!』

 

『いや、必ずある。蓮華、自分に秘めている内なる可能性を

 信じるんだ』

 

 

この日から一私は変わった、私の本質とは何か、一刀が言った通りに、

 

自らの武で威光を示すのは不可能とわかった。

 

すると、我執に囚われていた心が解放され、訓練と政務を重ねていく内に、

 

眠っていた、才能に気付かされた。

 

私の才能は慧眼、視野を広くし本質を見抜いて、適材適所に将兵を送る。

 

これこそ、姉様に勝る私の才能だと感じた。

 

それ以来、私は妬みなどせず、自分にしか出来ない事に、より一層、力を注いだ。

 

そして、今でも一刀には感謝している。私が才に目覚めたのは、

 

全て、貴方のお蔭。

 

…ねぇ、一刀、貴方が何かを隠しているのは知っている。

 

でも、問わない事にしたの。貴方が黙っているのは私達を想っての事と、

 

わかっているから。でも…でもね―――――

 

 

「…孫…様!!」

 

 

…私が推察した悪い予想は当たってないよね。

 

……死んだりなんかしないよね。…ねぇ、一刀。

 

 

「孫権様!!」

 

「――――っつ!!ご、ごめんなさい!!」

 

「いえ!!それよりも御指示を…!!」

 

 

いけない、気持ちを切り替えないと、これじゃあ一刀に顔を合わせられないわ。

 

私は戦場を見渡し戦況を確認する。そして、先程、報告を受けた情報を

 

頭に入れ鳥になった様な感覚で、戦場を上から見渡す。

 

劣勢になりそうな部隊は――祭の部隊ね。恐らく敵兵が近づき過ぎて、

 

弓兵が機能しなくなる。それと、姉様とその部隊が突撃を敢行しようとしている。

 

思うに曹操の首一直線と言った所かしら。

 

全く、なまじ武に自信がある者の行動は素直すぎて困るわね。

 

 

「我が部隊は二つに分ける!!一つは私が率い孫伯符の援護に入る!!

 もう一方は、黄蓋の援護に回ってくれ!!」

 

「はっ!!!!」

 

「これより、我ら死地に入る!!皆の者、天の御使いの鼓舞を

 胸に秘め、威風堂々と敵軍を駆逐するぞ!!」

 

「おおおおおおお!!」

 

「全軍、目的地まで突撃!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

~亞莎視点~

 

 

戦場に木霊する断末魔、必死に頭を回転させ、流れを離さない様に、

 

随時、戦況を把握する。約束したんだ、一刀様の分まで戦うと、

 

だから、兵に無様な所は見せられない。

 

 

「右翼!突出し過ぎています!!あと少しの辛抱ですから堪えて下さい!!」

 

 

一刀様が居なければ、私はこんな風に大声を上げて兵に指示できなかった。

 

一刀様が私を変えてくれた、一刀様が私に勇気を奮い立たせてくれる。

 

そう、あの時から、何時も私の心の中心に居るのは一刀様だった…

 

 

 

 

 

 

 

 

自分が大嫌いだった。目付きが悪く人々から誤解され怖がられていた事。

 

大事な任務を承った時、直ぐに緊張して実力の半分すら力を発揮できずにいた事。

 

将に気に入られているだけの欠落者、そんな烙印を一部の人から押されていた。

 

悔しかった、何より情けなかった。私を信頼して任務を与えた冥琳様の顔に

 

泥を塗り続けている事が。人知れず自室で涙を流し何度も枕を濡らしていた。

 

そんな時、突然、戸を叩き私の下に訪れたのが一刀様だった。

 

何でも冥琳様から提出された課題がどうしても解らないから、手伝ってくれ、

 

お願いと頭を下げられながら泣きつかれた。

 

私は人に頼まれたら断れない性質なので、了承した。

 

その際、誠心誠意を以って伏兵の対処法、様々な陣形の利点、弱点など、

 

丁寧に教授した。

 

 

「助かったよ。凄く丁寧で解りやすく、すらすらと頭の中に入っていった。

 亞莎に教わって良かった、これで、冥琳から大目玉を喰らわなくてすむ」

 

 

一刀様が子供の様にカラカラと笑っていたのを、今でも鮮明に憶えている。

 

とても眩しかった。それでいて、何故か、その笑顔に安心していた。

 

 

「それじゃあ、次は俺が亞莎に恩を報いる番だ。 …何か悩みがあるんじゃないか?

 教わっている際に何度か上の空になっていたしね。

 もし、悩みがあるのなら俺に打ち明けてくれ。身体の中に秘めておくのは良くないよ」

 

 

私は目を丸くした、どうやら無意識に悩みを仕草に出していたみたいだ。

 

考えた末、打ち明ける事にした、緊張で力を発揮できない事、

 

期待に応えられず、不甲斐なさから自分が嫌いになっている事。

 

その全てを吐露した。

 

 

「…亞莎は自分を卑下し過ぎているんだと思う。

 後は、自分を信じること、即ち自信を待つだけなんだ」

 

 

私は、黙って一刀様のお言葉に耳を向ける。

 

 

「俺は知ってるよ。亞莎は寝る間を惜しまず、日々、軍学に励んでいるのを。

 その努力は決して嘘を吐かない。だから、必ず、誰からも認められる軍師になれる。

 後は、もう一度言うけど自信を持つだけなんだ」

 

「で、でも、駄目なんです!!

 自分でも、何とかしようと必死に克服しようとしたんです。それでも…」

 

 

急に、一刀様が私の両手を強く握ってきた。そして、真剣な眼差しで、

 

私を見詰めている。その一連の行動に私はドキリと心臓が高鳴り、

 

鼓動が聞こえてしまうのではないかと思うくらい、早鐘を打っていた。

 

 

「…俺が付いている。誰よりも亞莎を知っていて、芯が強い子だと知っている。

 だから、本当に辛い時は何時だって背中を押すし、亞莎が望むなら

 胸を貸したっていい。だから、もう一歩足を踏み出そう。

 今度は人の期待に応えるだけではなく、自分の為にも…!」

 

 

嬉しかった。一刀様が私を気に掛けてくれるのが。

 

何より私の為に力を貸してくれるのが。その証から目からあるものが流れそうになる。

 

 

「…では、早速ですが胸を貸してもらっても…いいですか?」

 

「うん、いいよ」

 

「一刀様!!――――かずと、さまぁ」

 

 

私は子供の様に声を上げながら泣いた。心に響いた、一刀様の御言葉が、

 

悩みに悩んでいた思いが、身体の中から抜け出し雲散していった。

 

この時、私は身も精神も強くなろうと誓った。私を期待してくれる人の為にも、

 

何より、一刀様が仰って頂けなければ気付かなかった、自分の為にも。

 

そして、後日、たまたま冥琳様にお会いした際に、一刀様の課題を

 

手伝ってしまったが、よろしかったのかを訊ねた。

 

 

「…課題?その様な物は出していないが」

 

 

それを聞いて瞬時に悟った。一刀様は私を励ます為に優しい嘘を吐いていた。

 

…ズルイです、これでは甘えてばかりではないですか。

 

…見ていて下さい、一刀様。私は立派な軍師になってみせます。

 

それが、今、私が出来る唯一の感謝の印です。

 

 

 

 

 

 

 

 

…何故、急に昔を思い出したのでしょうか。今は戦に集中しなければ

 

ならないというのに。

 

―――むっ!!…楽進、于禁、李典の三部隊が間延びしている!!

 

 

「今こそ好機です!!我が部隊で突撃を敢行し敵部隊を分断させます!!」

 

「おおおお!!」

 

「呂蒙隊、突撃です!!」

 

 

 

 


 
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