No.699946

一発ネタ!!超・最低系オリ主

piguzam]さん

こんな主人公は他に見ない程に酷いwww

2014-07-11 12:41:27 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:6128   閲覧ユーザー数:5213

 

 

前書き

 

 

 

俺の書く小説の中でも一位に輝く最低なネタ

 

 

 

見れば貴方にも分かる筈……ッ!!

 

 

 

小生、怒りで血管がブチ切れそうでしたんぬ(#^ω^)ピキピキ

 

 

 

 

 

 

 

 

「う~ん……おろ?」

 

微妙に気怠い体をベットから引き起こす。

寝ぼけ眼に見えてくるのは酒、タバコ、エロ本だらけの我が部屋。

その中に埋もれる様に見える置き時計の指す時間はPM14:00。完璧に寝過ごした。

まぁこれといって用事もある訳でも無い俺には気にする事じゃござんせん。

そのまま目を擦って開けば、やけに黄色く見える窓の外の憎いアンチクショウな太陽。

あれ?何か体がダルイというか――。

 

「……OH」

 

妙に湿ったベットに散乱する大人の玩具♪何やらかした昨日の俺っちぇ……。

ふと枕元を見れば、其処には一枚の見慣れない女三人がカメラ目線でキスしてる写真。

「昨日は激しかったね♡また連絡してよー♪」と口紅で書かれてる。

ご丁寧にキスマーク3つまで……どうやら酒に酔ってまたやらかしたらしい。

 

「道理で何やら気持ち良い夢見る訳だ……ごっそさんです」

 

適当に道具を片してから風呂に入り、適当に朝食を摘む。

正に自堕落生活まっしぐらなニートっぽいけど、俺っち収入はそこそこ良いのさ。

まぁ不定期だけど、そこはクライアントの信頼の現れと申しますか?

依頼が減った事は一度も無い。

 

TRRRRRR

 

「っと。んな事考えてる間に電話が……ん?クロノから?」

 

ソファーの近くに置かれた電話を取れば、懐かしい旧友からの連絡。

しかもモニター式の通信ではないか。

意外な顔をしつつ電話を取れば、そこには管理局の制服をピシっと着こなした青年、クロノ・ハラオウンの姿が。

 

『(シュン)仕事の話だ』

 

「ちょちょちょちょーい。挨拶すっ飛ばしていきなり過ぎっしょー?朝の挨拶は大事なんだぜー?」

 

『馬鹿言ってるなよ。もう昼過ぎだぞ?』

 

「いや、俺今起きたトコ。ぐっも~に~ん、クロノー」

 

『……ハァ』

 

挨拶という大事なステップすら踏む気を見せない友に注意すれば、額に手をやって呆れる始末。

あれ?今の呆れる要素あった?

 

『……こっちが朝の5時に起きて仕事している間、君はこんな時間まで惰眠を貪って優雅に食事か?良いご身分なものだ』

 

「いやいや。そりゃ管理局がワーカホリック過ぎるってだけじゃん?正規局員、しかも提督ともなればしゃーねーさー」

 

『まぁ、望んでこの地位に居る事は確かだが……』

 

「だろー?しかもあんな綺麗な嫁さん貰ってその嫁さんを養う為の仕事だろーに?それで俺に文句言うのは筋違いって奴よ」

 

『その愛しい嫁さんから昨日『何時迄も帰ってこないと不倫するぞ』ってありがたいラブコールがあったばかりさ……』

 

「OH……有給、使えよ?料理が美味しくて夜景が綺麗なホテルなら紹介してやっから」

 

ホロリ、と涙を誘うこと間違い無しな友の儚い笑顔。

それを見て福引で当てた超・豪華ホテルのチケットをタダで譲ってやろうという気持ちにさせられてしまう。

俺の気遣いにありがとうと返しながら目元を少し擦ると、クロノは再び真剣な表情を作り直す。

そーいや仕事の話、だっけ?

 

『話は逸れたが、君に仕事の依頼がしたい。報酬は期待してくれて良いぞ』

 

「お前が仕事の話持ってくるなんて、珍しい事もあるもんだなー?普段はゲンヤさんから依頼もらってるんだけどよ」

 

ゲンヤさんとは、俺によく仕事を依頼してくる時空管理局の地上部隊陸士104部隊の隊長さんだ。

気の良いおやっさんで、プライベートの絡みもそこそこある。

主に飲みにいったり、エッチなお店紹介してもらったりとかなんだが、最近は行けてない。

理由としては、最近ゲンヤさんの娘さんの長女が俺っちとゲンヤさんの動向に目を光らせてるからだったりする。

どうやらそういうのに免疫が無いらしく、顔を真っ赤にして「エ、エッチなのはいけません!!」ときたもんだ。

だから「エッチなのは男の証SA☆」と爽やかに反論したら、黄金回転のコークスクリューブローで俺の黄金鉄球×2をシュートされた。

一瞬、自分は女だと認識しちまった恐ろしい秘奥義である。

 

『いや、今回は地上部隊とは別件なんだ……本局として依頼したい』

 

ちょっと前の珍事件を思い出して秘所に恐怖を感じていると、クロノから何とも面倒な台詞が出てくる。

実は前に本局の依頼を受けたら「管理局の手伝いが出来て光栄に思え」とかジジイが言い出して報酬払わなくてさぁ。

腹が立ったから知り合いに連絡してそのオッサンの悪事を掘り出し更に尾ひれをつけて社会的抹殺したったw

そんな展開が前にあったというのに、友からまた依頼されるとかマジキチ。

表情にも出ていたのか、クロノは苦笑いしながら俺を見ている。

 

「うえ……本局とかマジ萎えるー……クロノも嫌な子に成長しちまったもんだねぃ」

 

『すまないな。僕としても君に無理強いさせたくは無いんだが……今回に限っては僕からもお願いしたい。それだけ危険な任務なんだ』

 

「……危険、ねぇ?」

 

『ああ。それこそ『並の腕』には任せられない……それに、君が危惧している様な報酬の未払いは決して無いと誓うよ』

 

「ふーむ……おkおk。しゃーねーから受けましょ、そのジョブ……で?俺は何を『運べば良い』のよ?」

 

まぁ他ならぬ友達の頼みだし?受けるのも仕方無いさ。

俺はそう答えながら、クロノに仕事の内容を聞いていく。

つっても内容は『何時も通り』で、俺っちに降り掛かる危険度が増しただけなんだけどね。

とりあえず仕事の開始時間まで余り猶予が無いっていうので、俺っちはクロノと通信を切って部屋を出る。

とあるビルを改装して作った2階から階段で降りて、1階に作ったシャッターを開く。

中には仕事、普段、そして趣味と実益を兼ね備えた1台の『車』が置かれている。

 

「(バタム)っし。いーきますかぁー」

 

ギュルルルルルッ、ドボォオオオオオッ!!!

 

キーを捻れば小気味よいセルの音と、火が灯された7100CCを誇るV8アメリカンマッスルカーが唸り声をがなり散らす。

そのビックブロックエンジンが巻き起こす爆音が触媒無しの直管マフラーを通り抜け、獣の咆哮が響く。

うむ、今日もアクセルの吹けは良いねぇ。絶好調だわ。

 

「えーっと?水温、油圧、油温にタイヤ圧とニトロ充填量は良し。おっとそれから魔力圧にカートリッジの残数……おーけーおーけーバッチグー」

 

ビビルビュルビュルビッビビリュルルル、ガオンッ!!ガォオンッ!!

 

ドロドロを通り越した何とも重たいアイドリングが、アクセルを煽る度に獣の叫びへと変わる。

今日も俺っちの女は最高に機嫌がよろしいそうで。

 

『最高とまではいきません。仕事が終わったら洗車とワックス掛けを所望します』

 

「……何時も思うけどよぉ。普通そこはメンテじゃね?」

 

『マスターの愛撫が最近少なくて……失礼、スキンシップでした』

 

「欲望駄々漏れ過ぎw」

 

そんなコントを1人と1台で繰り広げつつ、俺はアクセルを踏んで道へと出る。

歩行者無し、対向車も無し。

 

「そんじゃまぁ……ジョブを始めっか。目的地、クラナガン北西に向けてー」

 

『よーそろー』

 

「それ違う。何か違う」

 

ボッ、ドォオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!

 

軽くアクセルを開けただけで、俺の操る『フォードマスタング・ファストバックGT・マッハ1』はタイヤから白煙をまき散らして恐ろしいスピードで道を爆走し始める。

レトロ風ながら最先端のナビ機能を内包したオーディオから、ノリノリの音楽が鳴り、俺のテンションを上げてくれるのだ。

 

 

 

うん。やっぱDOPEは最高……あっ、申し遅れました。俺っちは『荒木真司』と申します。

 

 

 

第97管理外世界、地球生まれの魔導師で、現在は頼まれた品物を運ぶ『運び屋』として活動中です。

この魔法が主流となってる第1管理世界ミッドチルダでは、苗字をモジッたアダ名で『アラーキー』とか呼ばれてる。

近未来的都市クラナガンで管理局(地上本部)お抱えの嘱託魔導師『運び屋』として、日々健全でエロティックな人生を過ごしてる、普通の民間人(笑)。

ちなみにこの故郷から持ち込んだアメ車のGTマッハ1,俺っちのデバイスと連結してるちょっと変わったデバイスカーです。

 

 

 

 

――これは、自堕落な魔導師が綴る、愛と憎しみと味噌汁と友情2割とギャグの物語。

 

 

 

 

 

「どもー。今回の仕事で『運び屋』を依頼された嘱託魔導師のアラーキーでーす。ヨロシクー」

 

「……」

 

「……あら?」

 

爽やかに挨拶してみたのだが、目の前で地面に座り込む金髪美人さんはポケッとした顔で俺を見てるだけ。

おかしいな?社交界でやっても間違いねー挨拶の筈なんだが?

 

『外しましたね、マスター』

 

「お前容赦ねーなーモニカ。っかしいなー?これ以上無い丁寧な挨拶だったと思うんだけど?」

 

『AMFの稼働した銃弾飛び交う戦場のど真ん中に車で飛び込んだ上に犯罪者をドリフトで轢き飛ばせば無理も無いでしょうに』

 

「いや、しゃーねーじゃん。まさか仕事の集合場所が襲撃されてるなんて思わねーし、ああしたら効率良くて早いしよー」

 

はい。只今クロノに指定されたポイントに来たんだけど、既にそこは襲撃を受けていた!!

しかも管理局側の魔導師は目の前に居る金髪ボインさん1人で、襲撃者は複数な上に質量兵器――銃火器で武装してました。

こんなヘヴィな状況に突っ込むなら、質量攻撃が一番でしょJK。

呆然とした金髪ボインさんの手には運ぶ様に頼まれてた重要書類とデータディスクが入ったケースがしっかりと握られている。

まだ最悪の状況にはなってないようですな。

 

「……ハッ!?あ、あの――」

 

「ふ、ふざけやがって!!これでもくらえぇええええッ!!!」

 

「ッ!?逃げて!!」

 

「ん?轢き残しが居た?」

 

と、ハンドルを握った俺に向かって髭まみれのオッサンが投げてきたのは……手榴弾ではないか。

俺と車を挟んで反対側に居るボインさんは、目の前の開いたドアの前で俺に叫ぼうとするが――。

 

バゴォッ!!

 

「――は?」

 

「へいへーい。危ないじゃねーのよ、おっちゃーん」

 

俺っちは慌てず騒がずに、ショットガンに変化したデバイスのモニカで、窓から銃を構えて手榴弾を撃ち落とした。

とは言っても、爆発しそうな手榴弾を強固なシールドで包み覆っただけだけど。

そのままシールドに包まれた手榴弾は地面に落ちて、シールドの中で爆発を終える。

それを見届けもせずに、俺っちはマッハ1から降りてモニカの銃口をオッサンに向けたまま言葉を放つ。

 

「両手に持ってる危ねーモンを捨てなさーい。じゃねーとこの1カートリッジ使用したお仕置き用魔力バレットがユーのケツ穴に炸裂すんぜー?」

 

「ッ!?……ちっ!!わかったよ!!ほら!!」

 

俺っちの言葉にオッサンは舌打ちをしながらも素直に武器を投げ捨てると、そのまま後ろを向いて両手を頭の後ろに組んだ。

 

「もう抵抗はしねえよ!!早く逮捕なりなんなりしやがれ!!」

 

おっさんはそう言うと、その場で立ったまま動かなくなった。

俺っちの隣に立った金髪ボインさん(もうボインさんで良いよね?)は安堵の域を吐いてる。

とりあえずボインさんを手で制しながら、俺っちはその動かなくなったオッサンにゆっくりと近寄る。

 

(くく!!馬鹿め!!俺の袖の中には一発限りの銃が仕込んであんのによ!!さぁ、油断して近づいて来――)

 

「目標をセンターに入れてー!!シュートシュートシュゥウトォオオオオ!!」

 

「へ?(バゴォオオオ!!)んぎもっちぃいいいいいいいいんんんんッ!!?」

 

「えーーーーーーーーーーー!?」

 

無防備なそのケツ……撃ちたくなるじゃないの!!

という事で、俺っちは構えたモニカの銃口から1カートリッジを豪華に使った特性魔力弾をオッサンのケツに撃ち込む。

何とも痛そうな音と共にオッサンのケツに深く、ふか~くめり込む魔力弾。

その威力たるや!!オッサンの目玉が飛び出す程だ!!

何やら後ろからボインさんの驚愕の叫びが聞こえるが気にしなーい。

ピクピクと痙攣しながら地面に倒れるオッサンを見つめながら、俺は笑顔でカートリッジをリロードする。

 

「ちゃんと気絶しない中で最大の痛みを与える様に設定してたけど、パーフェクトだモニカ」

 

『感謝の極み』

 

「さーて。こんなご時世に質量兵器なんて危ねーモンを使う輩には念を入れて、この場でちっとおねんねしててもらいましょーか?」

 

「あ、あふぅうううん!?ま、まま待て!?し、正気かお前!?せ、正義を謳う管理局員がこんな甚振る様な真似してみろ!?お、俺がムショでバラしたら速攻でメディアに叩かれるぞ!?っていうかお前も車で俺等を轢いたよな!?明らかに質量兵器だぞアレ!?」

 

何だ今の甘い声と恍惚の表情はwオッサンそりゃNGだってw放送禁止くらっちゃうw

撃たれたケツを抑えながら頬を染めつつ元気にそんな事をのたまうオッサン。

しかし俺はそんな連中には何時もこう言ってやるのさ。

 

「え?俺っち正規の管理局員じゃねーし?あれは質量兵器じゃなくて車っしょ?謂わば質量攻撃デース」

 

「キリッとした顔で割りと最低な台詞ほざきやがった!?あ、悪魔かお前!?」

 

「んー?まぁこういう危険な任務で運び屋を頼まれる事が多いから、俺っちは自分の命の危険には好きに戦える許可を貰ってんのよ。残念無念でしたー」

 

俺っちの言葉を聞いて顔を青くした違法犯罪者のオッサン。

まさかそんなハチャメチャな権限を持った男がこんなハチャメチャをやらかすとは微塵も考えて無かったのだろう。

しかし考えてみなさいな?お宅ら犯罪者よ?法を破ってる癖に法に守って貰おうなんて虫が良すぎるっしょ?

そんな皆様に、俺っちはタバコを咥えたままにモニカの銃口をオッサンの額にゴリッと押し付けて一言。

 

イピカイエー、マザーファッカー(ざまあみろ、カマ野郎)

 

にこやかにオッサンを馬鹿にしながら、魔力弾2(気絶用)をブッパした。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「そう上手くはいきませんでしたとさー!!(ギャギャギャギャギャギャギャッ!!)」

 

『犬も喰わないオチですね』

 

「キャアッ!?」

 

タイヤからスキール音を鳴らしながらコーナーを横向きに流れていく俺のマスタング。

操縦してんのは勿論俺っちで、悲鳴を挙げたのは助手席のボインさん。

後ろからはそんな俺のレディーの美しいおケツに魅了されて追いかけて来る新たなボーイ達の群れ。

 

「絶対に逃がすな!!アレを奪わないとクライアントに殺されるぞ!!」

 

「「「「「うおぉおおおおおお!!」」」」」

 

『私の追っかけにしては、少々殺気立ち過ぎてませんか?』

 

「そりゃアレだ。俺っちがお前を良い声で鳴かせちまってるからだろうぜ。アイツ等はお前によってたかって自分のクラッチを無理矢理ブチハメて、夜通し鳴かせてやりてぇのさ」

 

『成る程、身の毛がよだちます』

 

「お前よだつ毛あんの?」

 

『具体的には塗装が。鮫肌まっしぐら』

 

「止めて。お前の塗装に100万は注ぎ込んでるんだから」

 

『私の玉のお肌はマスターに夜通し熱くてヌルヌルのを塗りたくられた結果ですね。ポッ』

 

「こらこら勝手に水温上げんじゃないって」

 

「デ、デバイスとえ、えっちで下品な会話しないで下さい!!」

 

モニカと場を和ませるコントやってたら、顔を真っ赤に染めたフェイトちゃん(襲撃前に教えてもらった)に怒られたお。

でも想像だけでこのマスタングの塗装を鮫肌にされるとかマジ勘弁っす。

ダークメタリックグリーンにフロストホワイトのストライプラインを入れた美しい塗装なんだから止めて欲しい。

こんな会話をしながらも視界はフロントスクリーンを忙しなく動き、右足はアクセルとブレーキ、左足はクラッチ操作を行っている。

ハンドルも舵を正確に行いながら、曲がりのきついコーナーをドリフトで流しっぱなしで抜けていく。

対向車も居ないこの状況ならこれぐらい朝飯前だっての。

こんな感じでドリフトとグリップを使ってスピードを維持しつつ、長いストレートに出れば――。

 

「この!!喰らえ!!」

 

ドドドドドドド!!

 

『背後から直射型15発、来ます』

 

「あらほら……さっさぁあああ!!(ドスン!!)」

 

ヴァババババッバババババ!!!

 

「んぐッ!?(な、何これ!?この加速、尋常じゃない!?シートに体が……た、叩き付けられる!?)」

 

「ひゃっほーーー!!」

 

床に付く程に踏み込んだアクセルに応答して、エンジンの唸りが跳ね上がる。

ピストンの鼓動が唸り、ドライブシャフトを通じて回転力はホイールへ伝達。

ホワイトレターの刻まれたハイグリップタイヤがしっかりと路面へ喰い付き、地面を蹴っ飛ばすかの如く加速していく。

大排気量のハイパワーエンジンを積んだマッスルカーにとって、ストレートは己を誇示する最高のステージだ。

あっと言う間にマスタングは時速80キロから159キロまで加速。

後ろでマッハ1のケツに魅了されて(*´Д`)ハァハァ言ってるボーイ達を置いていく。

 

「ちくしょー!!何て加速してやがんだ!!こっちは空飛んでるんだぞ!?」

 

「あの野郎頭の螺子が2,300本抜けてんじゃねぇのか!?あんなイカれたマシン公道で走らせんなよ!!」

 

「単位がおかしい件について」

 

『失礼な。マスターのボルトは固くて太い上に剛製、ワンオフものですよ?抜け様がありません』

 

「あれ?それアンダーボルトだよね?お前に見せた覚え無いんだけど?」

 

『……え?すいませんマスター。今何とおっしゃいました?』

 

「デバイスに空耳とか無いわー」

 

「ごごご、剛せ!?(そ、それってアレだよね!?男の人の固くて太くておっきいって……ッ!?)」

 

「フェイトちゃんって耳年増なんだなー」

 

怪我の所為で満足に戦えないフェイトちゃんの真っ赤に染まった顔を見てほっこりしながら、俺はミッドの外街を駆け抜ける。

この辺りにどっか管理局の施設あったかなー?そこに駆け込めば物量で一網打尽なんだけど。

そう思いながら爆走を続けつつ、受け渡し場所に着く前に後ろの奴等を何とかする手を考える。

今回の仕事の内容なんだが、管理局のとある高官が関わった汚職とそれに連なる違法研究の示唆。

更には人身売買に売春なんかの動かぬ証拠って代物らしい。

とある管理外世界で働いていた違法研究所の職員の何人かが自分達のした事の重みに耐えかねて、自首して自供したそうだ。

その事件を担当していたのが、俺の隣に座ってる執務官のフェイトちゃん。

本局でも指折りのエリートで凄腕で、何と我が友クロノの義妹だそうだ。

何年もあいつの友達やってるのに聞いた事無かった事実に心とか折れかけた。

まぁ兎に角、フェイトちゃんは管理外世界で受けた事情聴取と証拠となるデータを持ってついさっきミッドに戻ってきた所らしい。

そしてこの証拠を地上本部に提出して汚職した高官を逮捕しようとしていた矢先に現れたのが、さっきの違法犯罪者達。

普段なら大丈夫だっただろうけど、奴等かなり厄介なAMFっていう魔力の結合を邪魔する装置を持ってきてた。

しかもミッドに着いたと安堵した隙を狙われて怪我をしちゃったから、危うく身ぐるみ剥がされて大変な事になりかけてたらしい。

そこに俺っちがマスタングで颯爽と登場!!華麗に犯罪者を轢き飛ばしてやった場面につながる、と。

 

「まぁ良かったねーフェイトちゃん。危うくあの髭だらけのオッサン達に手篭めにされる所だったんだからよー」

 

「……そ、それには凄く感謝してます……本当に、来てくれて助かりました」

 

「良いさ。女の子を守るのは男の仕事ってねー」

 

3速から4速へシフトアップしながら、俺は笑顔でフェイトちゃんに言葉を返す。

助手席に座るフェイトちゃんは少し俯き加減で、何やら悔しそうな顔をしてるではないか。

 

「……でも、私が油断して怪我をした所為で……アラーキーさんに大変な思いをさせてます……」

 

助手席でシートベルトをギュウッと握りながら答えるフェイトちゃん。

まぁ事前情報とは食い違ってたけどさー。

本当ならフェイトちゃんは物資を運ぶ俺を護衛する役目なのに、怪我して戦えないもんな。

まぁこれぐらいの窮地、今まで数多くのミッションをこなしてきた俺とモニカに掛かれば何とかなるさ。

だから俺は、敢えてフェイトちゃんに笑顔を向ける。

 

「ノープロノープロ。こんぐらいなら何て事は無いぜ。それよりも、そんな悲しそうな顔すんなら笑顔で応援して欲しいな、俺は。男ってのは可愛い女の子に応援されると、それだけでヤル気マッハなんだからよ」

 

「……アラーキーさん……はい」

 

励ます様に言ってあげれば、フェイトちゃんは少しだけ笑顔を浮かべながら俺っちの言葉に頷いてくれた。

いやー、最近はこんな純情な子に会って無かったから癒されるぜ、この笑顔。

 

『そしてそのまま昨日の3人の女性の様にペロリと食べるんですね、分かります』

 

「……え?え、えぇえええええええッ!?さ、ささ、三人!?食べ!?」

 

「モニカよー、少しは空気読んでくれってー。それじゃ俺ただの女たらしじゃねーかよー」

 

『読んでますとも。昨日女3人を同時に口説き落としてお持ち帰りした上にあんなに鳴かせ、昼には新しく獲物を吟味とかさすが私のマスター。鬼畜野郎ですね』

 

「あれ?それってグレードアップしてね?え?女たらし以上?デバイスにすら罵られますた」

 

「口説き落と!?な、鳴かせ!?……わ、私!!身持ち固いですから!!じょ、女性にふしだらな人はき、嫌いです!!」

 

「告白してないのに振られたお」

 

モニカの言葉を聞いて涙目でドアに身を寄せながらキッと睨んでくるフェイトちゃん。

心配しなくともクロノの義妹に手ぇ出したりしないって。

手ぇ出したらあの甘党大魔神のリンディさんが出てくるって事だし?

俺あの人苦手なんだよなー、だいぶ前に軽ーく一緒に飲んで絡まれてそのまま朝チュンしちまったし。

お互いに事後ならぬ事故って事で解決したけど……それから時折、あの人の艶っぽい目が怖くて仕方無いデス。

 

「隊長!!C班から連絡!!『籠の入り口は閉じた』だそうです!!」

 

「ッ!?そうか!!良し、これでアイツ等も逃げ道は無くなる!!そうしたら一斉に掛かるぞ!!」

 

「「「「「了解!!!」」」」」

 

ん?何か後ろの奴等がさっきよりもヤル気に満ちてる様な……これは何かありそうだなオイ。

俺は周囲を自分の目で見つつ、何か不審な点は無いか注意する。

 

「モニカ。後ろの奴等の気配が変わったし、ちょいと何か無いか網、掛けてくんね?」

 

『了解しました…………マスター。どうやら奴等の別部隊がこの先の曲がり角にある桟橋の操作所に侵入した様です。桟橋を少しづつ跳ね上げられてます』

 

「ッ!?」

 

「わぁお。マジか……止められそう?」

 

モニカから伝えられた情報に慄くフェイトちゃんと、そこまで深刻そうに思えない声音で呟く俺。

ま、桟橋を『上げた程度』の事ならまだ大丈夫なんだよな、俺とモニカからしたらよ。

一応桟橋のコントロールを奪えるかモニカに聞くが、帰ってきた返答は無情。

 

『無理ですね。これはリモートからの侵入には強いプロテクトが掛けられています』

 

「そうかぁ……まっ、大丈夫だろ」

 

『えぇ。今の所、此方が逃げ切れないという事はありません……マスター。ゲンヤ殿から通信が入りました』

 

「ん?繋いでちょ」

 

俺の軽い言葉にモニカが了解と返すと、音声のみの無線が車内に流れ始めた。

 

『おいアラーキー!!無事か!?』

 

「ちゃーすゲンヤさん。いきなり無事かってのはご挨拶っすねー?」

 

『こっちはさっきお前の現状をクロノ提督から聞かされて、何人か動かしてきたトコなんだぞ!?お前が無事じゃなきゃ意味無くなるだ――』

 

「ん?どうしたんすか?ゲンヤさーん?」

 

『ア、アラーキーさん!!私です!!大丈夫なんですか!?』

 

いきなりゲンヤさんの声が途絶えたかと思えば、次に聞こえてきたのは綺麗な女の声。

この声の主は良ーく知ってる。

何せ俺の黄金鉄球をオシャカにしかけてくれたパワフルガールだから(震え)

 

「おう、ギンガちゃんじゃないの。今は運転中だから、そのキュートなお顔が見られなくて残念。元気してたー?」

 

『今どんな現状か判ってるんですか!?』

 

「モチのロンよー。何せ今も後ろから、俺のマッハ1のケツにキスしたがるチェリーボーイ達がわんさか追ってきてるからw」

 

『そんな危険極まりない状況で余裕カマさないで下さい!!少しは緊張感ってものが無いんですか!?』

 

「俺が緊張感を持つのはベットの上でレディのエンジンを優しくメンテして、湿ったプラグに点火してやる時だけってね」

 

『…………(プッツン)』

 

あれ?何か無言になったかと思ったら最後に聞こえちゃいけない音が?

そのまま静まり返る無線の向こう側、助手席のフェイトちゃんも真っ赤な顔で睨んでくる。

おっかしーな?無駄にキリッとした良い声で答えたのが不味かった?

 

『……おい、アラーキー。帰ってきたら速攻で逃げろ』

 

帰ったら逃げろって何その矛盾?どゆことなのゲンヤさん?

 

『今、ギンガが無表情で左のブローを振ってウォームアップしてる……あの時の3倍だ』

 

それは 威 力 が で す か ? 

 

それとも 速 度 が で す か ? 

 

はたまた 抉 り 込 み で す か ?

 

というか 幻 の 左 じ ゃ な い で す か 。

 

どれであっても俺っち終了のお知らせです。本当にありがとうございました。

怖すぎて聞けないけどどの辺りが3倍かスゲー気になるんですけど?

一歩間違えば即死亡に繋がるデンジャラスなドリフトしてても冷や汗掻かない俺が震えちまってます。

何を間違えたんだろうか?ひょっとしてからかい過ぎた?

それとも彼処は「ギンガちゃんのエンジン」と言っておけば良かったか?

 

「そこの所どう思う?フェイトちゃん?」

 

「……知りません(ぷい)……怒られちゃえば良いんです」

 

俺の頭では理解出来ずにフェイトちゃんに質問するも、取り付く島無し。

な~んかツいてないぜ~。

 

『と、兎に角、今俺達は桟橋の前に到着した!!GPSの通りなら、お前が向かってる桟橋の前になる!!』

 

「お?そりゃ丁度良いっすよ。今俺達のケツには飛行魔導師の部隊が貼っ付いてきてるんで、そっちで奇襲いけますか?」

 

『何人くらい居る!?コッチは非戦闘員を入れて15!!戦闘できるのは12人だ!!』

 

「フェイトちゃーん。後ろの奴等は……」

 

「……こちらから視認出来るのは8人。何れもB~Aランクといった所です」

 

「サンキュー。だ、そうですけど、いけますか?」

 

ドリフトして最後のコーナーを抜けながらゲンヤさんに聞けば、返ってきたのは唸り声。

後さっきから聞こえてたシュッシュッという音がブオン!!にグレードアップした音。

何の音かはこの際気にしないでおこうw

 

『少し厳しいな……お前さんと……そっちに居るのは確かハラオウン執務官だったな?二人は戦闘参加出来るか?』

 

「俺っちは何時も通りなら余裕っす。只フェイトちゃんは少し怪我しちゃってるんで、直接戦闘は厳しいんじゃない?」

 

「はい……でも、回復してきたので魔力弾と砲撃は出来ます」

 

『なら、ハラオウン執務官は固定砲台だな。アラーキー、お前は執務官の足と銃撃をやってくれ』

 

「了解でーす。後30秒位で『そっちに行きます』から、用意しといて下さいねー?」

 

『おう。分かった』

 

そこで一旦通信を繋いだまま、俺とゲンヤさんは会話を打ち切る。

さてさて、いっちょやりますかぁー。

 

「あ、あの?アラーキーさん?まさかこのまま、あの橋を超えるつもりですか?」

 

「ん?そうだけど?」

 

何やら当たり前のことを聞いてくるフェイトちゃんに普通に返せば、助手席に座るフェイトちゃんは難しい顔を浮かべる。

ちゃんと手にはデバイスを握ってるが、何処と無く不安そうだ。

まぁ目の前の橋はもう大分上がってきてるからなぁ、飛び越えなんて無理って考えてんでしょ。

 

「……正直、この車のスピードで超えられるとは思いません……やっぱり、ここは私が囮になって――」

 

「それ以上は言いっこ無しだぜ、フェイトちゃん?」

 

「……でも」

 

言おうとする言葉を途中で遮って、俺は会話を終わらせる。

それでも食い下がろうとしてくるフェイトちゃん。

この子は何とまぁ……こんな任務で怪我した自分を囮に使えと言ってくるなんて。

そんな事したらクロノにボッコボコにされちゃうじゃないか。

不安そうな表情を浮かべるフェイトちゃんに、俺はウインクしながら手元のハンドルコックを捻る。

 

「まぁ見てなって。ゲンヤさんは何も言わずに俺を信用してくれてたっしょ?少しは今回の相棒に身を任せてみな。序にベットの上でも身を任せてみる?優しくリードするよん?」

 

「……」

 

少し下世話ながらも緊張するフェイトちゃんを和ませる様にジョークを言うと、フェイトちゃんは少しだけ笑う。

しかし直ぐに笑みを引っ込め、チロッと舌を出してあっかんべーをしてきた。

 

「今は信用します。けど、ベットの上には行きませんから」

 

「ありゃ、振られちった。俺っちのドラテクは評判高いんだけどなぁ~。どんな気難し屋も悦ぶってのに」

 

「ふふん、だ。テスタロッサは乗り手を選ぶんです。取っ替え引っ替えしちゃう軽い人は、振り落としちゃいますから」

 

「上等。何時かそのじゃじゃ馬を乗りこなしてやんよ」

 

笑顔で俺っちのお誘いを華麗に断り、心にくる辛酸な言葉を言われるとは。

何ともまぁ随分な言われ様だぜ。

しかも自分のミドルネームをフェラーリ・テスタロッサと掛けるとはな……確かにそれぐらい良い女だけどね。

さっきまでの緊張は解れてくれたのか、フェイトちゃんは真剣な目付きでバックミラーを睨む。

俺っちはハンドルコックを捻り終えて、計器に表示される充填量を計る。

……良し、何時でも使えるな。

ゲンヤさんに言った時間まで、残り10秒。

距離は400メートル……ちょうどゼロヨンの距離だな……行きますか!!

 

「こっからの加速はフェイトちゃんには未体験ゾーンだぜ!!きっちり初めてを感じなよぉ!!」

 

「ふふ。感じさせてみせてください!!」

 

余裕を持った表情で俺っちに軽口を返すフェイトちゃんに笑いながら、俺っちはシフトを5速に叩き込んでアクセルを踏む。

ミッドチルダの科学力を学んで魔改造したマスタングの7.1リットルクレートエンジン。

出力は通常でも985馬力を叩き出すレトロロケットマシンだ。

更にバンパー内に収めたスーパーチャージャーの吸気率を上げて加速性を向上。

この時点でフロントタイヤの接地面はほぼ無くなる。

助手席に座るフェイトちゃんは少しキツくなり始めただろうが、それでもバックミラーから視線を外さない。

 

「ッ……残り、6秒です!!」

 

「おう!!じゃあいっちょ、ハデにいきますかぁ!!モニカ!!」

 

『充填OK。Please push the switch』

 

マッハ1に差し込まれた待機状態のモニカから、始動可能の文字が打ち込まれる。

俺はニヤリと笑いながら、ハンドルに埋め込んだNOSと書かれたスイッチ2つを――。

 

 

 

同時に押し込んだ。

 

 

 

「――」

 

言葉では表せられない。

そんな、風の支配を切り抜ける暴力的な加速。

シートに体が埋め込まれるぐらいの強いGを感じる俺達。

既にフロントは完全に浮き上がって、微妙にウイリー走行になってるにも関わらず、マスタングの加速は止まらない。

橋の手前、ゲンヤさんとの約束の時間まで4秒。

 

 

 

3秒――。

 

 

 

持ち上がった桟橋にフロントが乗り、そのまま橋を駆け上がる。

 

 

 

2秒――。

 

 

 

傾斜のキツイ坂道にも関わらず、マッハ1はスピードを落とさない。

 

 

 

1秒――。

 

 

 

やがて、車は橋を登り切り――。

 

 

 

 

 

――ゼロ。

 

 

 

 

 

何とも言えない浮遊感と、マッハ1のスクリーンいっぱいに、魔力弾が映し出される。

 

「わ、ぁ……ッ!!?」

 

「YEEEEEEEEEEEEEEEHAAHHHHHHHHHHHH!!!」

 

全ての魔力弾はマッハ1を通り過ぎる様に後ろへと流れていき、マッハ1は交差して、桟橋の向こうへと飛翔を続ける。

やがて、車は重力に従って下へ下へと高度を下げ――。

 

ドォオオン!!

 

とても重厚な音を奏でて、道路へと着地した。

 

ズドドドドドドドド!!!

 

「「「「「ぐわぁああああああ!!?」」」」」

 

そしてマッハ1の後ろに居た違法魔導師達は、その悉くが魔力弾の餌食と成り果てる。

まだ中には何人かがシールドを張って防御してるみたいだが、俺っち達も散々ケツを突かれたんだ。

こっからは反撃しても問題なしでしょ!?

着地から乱れた反動を立て直しつつ、ハンドルを切りながらクラッチを切ってサイドブレーキを引く。

マスタングは綺麗な半円の挙動をとって、向きを180度旋回させ始めた。

 

「フェイトちゃん!!GO!!」

 

「ッ!!プラズマスマッシャー!!ファイア!!」

 

ズドォオオオオン!!

 

旋回サイドターン中にフェイトちゃんにこえを掛けると、フェイトちゃんは既にシートベルトを外していた様だ。

俺の声に直ぐ様反応して、フェイトちゃんは窓から身を乗り出し、背後に魔法陣を展開しながらぶっとい砲撃をカマした。

たったそれ一発だけで、残っていた複数の魔導師がハエの様に落ちていく。

いやー怖いわ。砲撃スキル0にして紙防御の俺っちには絶対耐えらんねーってアレ。

そういや本局には砲撃を主とした重防御の砲撃魔導師なんてイカれた魔導師タイプを生み出した子がいなかったか?

確か俺っちと同じ地球出身の高町なのはだっけ?あのスタイルは俺っちにとって天敵だな。

何てことを考えていると、ドア部分に腰掛けていたフェイトちゃんが笑顔で車内に戻ってくる。

砲撃カマせてスカッとしたぜ!!みたいな顔だね……うん。この子を怒らせるのは極力止めようか、俺。

まぁ兎に角、頼まれていたブツもゲンヤさんに引き取ってもらったし、地上本部まで行く手間が省けて良かったぜ。

フェイトちゃんの純潔も守ったし、いやぁこれでめでたしめでたし。

 

「アラーキーさぁん♪歯、食い縛って下さいね♡」ニコニコ

 

「やーやー落ち着こーねベイビーガール?明らかに狙ってるのは俺っちの腹より下なのに歯を食い縛れってどういうことだYO?そんなにあの言葉が気に入らなかった?」

 

「 気に入ると 本気で 思ってるんですか? 」

 

とても綺麗な笑顔で俺っちを見るギンガちゃんだが、拳は唸って轟いてるジャマイカ。

いかーん、このままでは数々のエンジンをメンテしてきた俺っちの調整ロッドがおじゃーん。

 

「おーけー分かった。ギンガちゃんこれから俺と一緒に食事でもどう?奢っちゃうよ?」

 

「……まさか、食べ物で釣られる安い女と思われてるとは思いませんでした♪」

 

「いやだなぁ。そんな訳無いじゃん?っていうか俺っちが食事だけで帰らせるとでもー?」

 

「…………ふぇ?」

 

にこやかに言葉を並べつつ近づけば、ギンガちゃんはナックルの回転を止めてポカンとした表情を浮かべる。

その隙を突いて、俺っちは彼女の右手を優しく握って引き寄せる。

虚を突かれたギンガちゃんは「わ、わ!?」と驚きながら俺の胸元にすっぽりと収まり、真っ赤に染まった顔で俺っちを見上げた。

 

「え、えぇぇええ!?ア、アラーキーさ――」

 

「ふっふっふ。おいしい食事でギンガちゃんが満足したら、オレっちも満足させてくれないと不公平だろ?……食事の次は、俺がギンガちゃんを食べたいなー?」

 

「た!?た、た、食べ!?食べ!?……あ、あ――あうあぁああーーーーーーーーーーーーーーッ!!?」

 

その言葉で許容量をオーバーしてしまったのか、ギンガちゃんは目をグルグル回しながら俺を突き飛ばし、何処かへ駆け抜けていく。

普通なら轢かれる心配もあるが今は心配無用。

ああなったギンガちゃんは俺っちのマッハ1すらも軽く吹き飛ばしかねないパワーを秘めているから!!

兎に角、これで俺っちの調整ロッドの平和は守られた訳なのです。

いやー、これで杞憂も無くなったし、そろそろ愛しいマイハウスへ帰りま――。

 

「――ッ!!」

 

ブォンッ!!←繰り出されたハイヒールの先っちょ。狙いは俺の股のあ・い・だ・♡

 

……うん。

 

 

 

\(^o^)/

 

 

 

キーーーーーーーーンッ!!

 

 

 

「――フンッ!!」

 

自分の調整ロッドがポッキリと折れた感覚がしました。

へし折ってくれた張本人――フェイトちゃんは長い金髪を翻してプリプリ怒りながら足音高く俺から離れていく。

カツカツと強めに響くハイヒールの音が、地面に崩れ落ちた俺の耳に良~く聞こえてきます。

……これからも、使えるかねぇ?

 

 

 

 

 

――それから、俺は自らをフェラーリと称した、じゃじゃ馬の可愛い金髪娘。

 

 

 

 

 

――そして、パワフルで可愛らしい紫の髪の少女と、何度も事件を経験する事になる。

 

 

 

 

 

時に笑い、時に涙し、時にラブコメる。

 

 

 

 

 

そして、時に炸裂する鋭いトーキック(被害者は俺のみ)

 

 

 

 

 

これはそんな波瀾万丈な人生の、ホンのプロローグなのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――魔法少女リリカルなのは。『Driver IN Midchilda』

 

 

 

 

 

 

後書き

 

 

ね?最低系でしょwww

 

 

 


 
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