No.698072

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第131話

2014-07-02 14:59:20 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2742   閲覧ユーザー数:2453

 

~地下墓所~

 

「ほう?」

「「に、兄様……?」」

「リ、リィンさん……?」

リィンの申し出を聞いたリフィアは興味ありげな表情をし、エリゼとエリス、そしてアルフィン皇女は戸惑いの表情でリィンを見つめた。

 

「言ってみろ。誘拐されかけたエリスの家族―――シュバルツァー家の跡継ぎであり、”七大罪”の一柱と”精霊王女”を我らメンフィルの戦力として引き込んだ功績を残しているお前にも当然発言の権利はある。」

「ハッ、ありがとうございます。まずはエリスが陛下達に無許可でアルフィン皇女殿下の付き人を務めていた件についてですが……昨日(さくじつ)大使館を抜け出してお忍びで帝都に来訪し、エリス達と出会っているリフィア殿下がエリスがアルフィン殿下の付き人に指名されている事を知る事もできたと思われます。」

「なぬ?それはどういう事じゃ?」

「に、兄様……?一体何を……」

リウイの問いかけに答えたリィンの推測を聞いたリフィアは眉を顰め、エリゼは戸惑いの表情でリィンを見つめた。

 

「昨日、リフィア殿下はエリスとアルフィン皇女殿下が親しくしている所を御身の目で見ていました。――――皇族が特定の貴族と親しくなる。この意味は聡明な陛下やリフィア殿下ならお分かりになるかと愚考いたします。」

「―――なるほどな。通常皇族が特定の貴族と親しくしていると、その貴族は大抵付き人に命じられる。確かにその事に気付かずに友人同士と思われる程親しい様子を見せているアルフィン皇女やエリスに二人の関係すら尋ねなかったリフィアの落ち度だな。」

「むう………言われてみれば確かにそうじゃな……」

リィンの指摘に納得した様子で聞いていたリウイは口元に笑みを浮かべてリフィアを見つめ、リフィアは唸った後疲れた表情で溜息を吐いた。

 

「そしてエリスが攫われかけてしまった件ですが…………ここは陛下の寛大な御心で、大目に見て頂けないでしょうか?幸いエリスは”陛下が常任理事を務めているトールズ士官学院に所属する俺達が無事奪還する事ができ”、目立った傷もありません。」

「……つまりはエレボニア帝国の不手際を見逃せ、と言いたいのか?」

リィンの言葉を聞いたリウイは真剣な表情でリィンを見つめて問いかけた。

「―――はい。誘拐未遂で終わった事件を追及しすぎてしまっては、”大陸最強”と称えられているメンフィル帝国の”器”が小さいのではないかと、エレボニア帝国だけでなく他国から勘違いされてしまう恐れも考えられます。」

「………………………」

「ほう……?リウイを相手に随分と大きく出たな……?」

「「に、兄様…………」」

リィンの推測を聞いたリウイは目を細め、リフィアは不敵な笑みを浮かべ、エリゼとエリスは表情を青褪めさせ、周囲の人物達がそれぞれ息を呑んで見守っていた。するとその時

 

「―――リィンさんの言う通りですよ、あなた。」

優しげな女性の声が聞こえて来た。

「え…………」

聞き覚えの声を聞いたツーヤが呆けたその時、戦衣装を身に纏っているイリーナがエクリアと共にリウイ達に近づいてきた。

(うわっ、凄い美人の人だね……)

(しかもスタイル抜群だね。隣にいるメイドと容姿が似ているけど……姉妹なのかな。)

イリーナの容姿を見たエリオットは驚き、フィーはイリーナの傍に控えているエクリアの容姿とイリーナの容姿を見比べて首を傾げ

(なっ!?あの方は……!)

(せ、”聖皇妃”――――イリーナ皇妃じゃないか……!どうしてここに……!)

イリーナの正体がわかっていたラウラとマキアスは信じられない表情をした。

 

「あ、貴女は……!」

イリーナの姿を見たリィンは目を見開き

「イ、イリーナ様!?どうしてこちらに……!?」

イリーナの登場に驚いたペテレーネはイリーナを見つめて尋ねた。

「―――テロリストによる騒動が収まったと聞いて、リウイがエレボニア帝国軍にエリスさんが攫われかけてしまった件についての責任を追及しすぎていないか心配になってこっちに来たのよ。―――それよりあなた。エレボニア帝国に無許可で軍を帝都に投入した件やレンがテロリスト達を勝手に処刑した件もあるのですから、悪いのはお互い様ですよ。」

「……しかしそれをする原因になったのはエレボニア帝国の不手際なのだが?」

「それでも、です。幾ら何でも無許可で帝都内に軍を投入する事や犯罪者の処刑をするのはやりすぎです。帝都内の市民の方達は勿論、軍の方達もかなり混乱しているでしょうし…………招待された”客人”がやっていい事ではありませんよ?」

「………………………………」

イリーナの指摘にリウイは黙って考え込み

「――――いいだろう。まずはエリス、それにアルフィン皇女。エリスがアルフィン皇女の付き人を俺達に無許可で務めていた件については不問にしておく。今後公式の場でエリスがアルフィン皇女の付き人を務める際はエリス本人がメンフィル帝国(俺達)に報告するようにするか、もしくはアルフィン皇女あるいはエレボニア帝国がエリスが公式の場でアルフィン皇女の付き人を務める件を報告するようにしろ。」

やがて答えを出してエリスを見つめて言った。

 

「!は、はい……!寛大な御心遣い、ありがとうございます……!」

「ありがとうございます……!今後はエリスの手を煩わせず、わたくし自身が報告の手配をさせて頂きます……!」

リウイの言葉を聞いたエリスとアルフィン皇女はそれぞれ明るい表情で会釈をし

「よかったわね、エリゼ……」

「はい……」

エクリアに微笑まれたエリゼは静かな笑みを浮かべた。

「―――ただし。わかっているとは思うがエリスは我らメンフィル帝国に所属する貴族の子女だ。アルフィン皇女はエリスが女学院を卒業すれば自分から離れなければならない身である事はしっかりと覚えておくように。エリスもアルフィン皇女と友情を深めるのは構わんが、線引きはしておくように。でなければ、実家どころかリフィアや俺達に信頼されている姉(エリゼ)にまで迷惑をかける事になるぞ。」

「…………はい。」

「かしこまりました。以後気を付けます。」

「此の度は妹がご迷惑をかけた上陛下達にお手数をかけて申し訳ございませんでした……今後はこのような事がないよう、私が妹にメンフィル帝国の貴族の子女としての心構えを教育させて頂きますので、どうかご安心ください。」

そしてリウイの言葉にアルフィン皇女は一瞬辛そうな表情をした後すぐに表情を戻して会釈し、エリスとエリゼもそれぞれ会釈をした。

 

「そしてエリスが攫われかけてしまった件についても、無許可でメンフィル軍を帝都内に投入した事やレンがテロリスト達を処刑した件に目をつぶる事を条件に追及はしないでおく。」

「重ね重ね、本当にありがとうございます……!」

「寛大なお心遣い、ありがとうございます……!今後2度とこのような事がないよう、エリスさんの護衛に細心の注意を張らせて頂きます……!」

リウイの答えを聞いたアルフィン皇女は安堵の表情で会釈をし、クレア大尉は安堵の表情で会釈をした後すぐに気を取り直して真剣な表情で敬礼をした。

 

 

 


 
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