No.698037

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第130話

2014-07-02 08:39:24 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2342   閲覧ユーザー数:2111

~地下墓所~

 

「き、消えた……」

「くっ、またしても面妖な術を……」

「しかもテロリスト達にまで逃げられてしまったな……」

「捕まえる絶好のチャンスだったんですけどね……」

ブルブランが消えるとエリオットは呆け、ラウラやマキアス、ツーヤはそれぞれ悔しそうな表情をし

「……陛下、リフィア殿下、それにペテレーネ神官長。エリスの為に動いて頂き、本当にありがとうございました……」

「ありがとうございます……お蔭でエリスを無事、奪還する事ができました。」

リィンはリウイ達を見つめて頭を下げ、リィンに続くようにエリゼも頭を下げた。

 

「フフ、気にしないで下さい。妹さんが無事で本当によかったですね。」

「うむ!それに自国の民を救うのも皇族として当然の事だ!」

「…………エリゼにはリフィアの件でいつも世話になっているからな。その礼の一部を返したまでだ。」

二人にお礼を言われたペテレーネは微笑み、リフィアは胸を張り、リウイは静かな表情で答えた。するとその時

「……ん……?」

「わたくし……どうして……」

エリスとアルフィン皇女がそれぞれ目覚めた。

 

「エリス!」

「姉様……?」

「殿下、ご無事ですか!?」

「リ、リィンさん……?ええ、何とかお蔭様で……それより一体どうなって――――え。」

エリスと共に目覚めたアルフィン皇女はリウイ達に気付いた。

 

「リ、リウイ皇帝陛下!?それにリフィア皇女殿下やペテレーネ神官長まで……!一体どうしてこちらに……」

「陛下達はエリス達の救出の為に駆け付けてくれたんだ。」

リウイ達を見て驚いているエリスにリィンが説明し

「ええっ!?陛下達が私の為に……ですか?一体どうして……」

説明を聞いたエリスは驚いた後不思議そうな表情でリウイ達を見つめた。するとその時

 

「アルフィン殿下!」

「あ……」

「この声は……!」

聞き覚えのある声が聞こえ、声を聞いたエリオットは目を丸くし、マキアスが驚いたその時クレア大尉とサラ教官が駆け付けて来た。

 

「殿下、お怪我はありませんか!?」

「クレア大尉……ええ、大丈夫です。」

「……どうやら全員無事のようね。」

クレア大尉がアルフィン皇女を心配している中、サラ教官はリィン達を見回して安堵の表情をした。

 

「お、おかげさまで……」

「ええ……リウイ陛下達が駆け付けてくれたお蔭で何とか……」

「というか、一足遅すぎ。」

エリオットとマキアスはそれぞれ答え、フィーはジト目でサラ教官を見つめた。

「ゴメンゴメン……って、あれ?テロリスト達は?もしかして逃がしちゃったの?」

「……リウイ陛下達が彼らを追い詰めたのだが”怪盗B”によって、逃がされてしまいました。」

「”怪盗B”ですって?どうして奴が……」

ラウラの答えを聞いたサラ教官は眉を顰めた後真剣な表情で考え込んだ。

「……どうやら”身喰らう蛇(ウロボロス)”の”計画”の為にテロリスト達が必要だったようです。――――”幻焔計画”と言っていました。」

「”幻焔計画”…………どうやら連中は今度はエレボニアで”リベールの異変”のような事を起こそうとしているかもしれないわね……」

「ええ……恐らくそうでしょうね。」

リィンの話を聞いて真剣な表情で考え込んで呟いたサラ教官の言葉にツーヤは頷いた。

 

「………………リウイ陛下。殿下達の救出に陛下達自らが動いて下さった事やテロリスト達の仕業によって帝都内に放たれた魔獣や人形兵器の掃討にメンフィル軍に協力させて頂いた事、誠にありがとうございました。」

リィン達の話を聞いて黙って考え込んでいたクレア大尉は気を取り直してリウイに会釈をした。

「礼は不要だ。―――それより今回エリスが攫われかけた責任……エレボニア帝国はメンフィル帝国に対してどう取るつもりだ?」

「え…………」

「なっ!?」

「ええっ!?せ、責任!?」

「い、一体どういう事なんですか……!?」

「!!まさか……!」

「………………」

リウイの言葉を聞いたエリスは呆け、リィンとエリオット、マキアスは驚き、何かに気付いたラウラはサラ教官と共に真剣な表情でリウイを見つめ

「………ッ……!………私如きの身では判断しかねます。」

クレア大尉は唇を噛みしめた後すぐに気を取り直して静かな表情で答えた。

 

「あ、あの……エリスが攫われてしまった責任とはどういうことですか……?」

その時アルフィン皇女が戸惑いの表情で尋ねた。

「ハア……―――アルフィン皇女。お主、エリスがメンフィル帝国の貴族の子女とわかっていての質問か?」

アルフィン皇女の質問に呆れた表情で溜息を吐いたリフィアは真剣な表情でアルフィン皇女を見つめて尋ねた。

「え…………………――――!!あっ…………!」

リフィアの指摘に呆けたアルフィン皇女だったが、他国の貴族の子女が自分の傍にいたせいで、誘拐に巻き込まれてしまったという事実に気付いて表情を青褪めさせた。

 

「―――加えてエリスさんの姉―――エリゼさんはリフィア殿下の専属侍女長を務め、将来はリフィア殿下にとってなくてはならない臣下へと成長する事を期待されている方です。万が一、エリスさんがテロリスト達によって攫われてしまった場合、テロリスト達がエリスさんの身を盾にエリゼさんやメンフィル帝国に何らかの要求をしてきた可能性も考えられます。もしそうなった場合、間違いなく国際問題へと発展してしまうでしょうね。」

「……………」

「……ぁ………………」

「エリス…………」

静かな表情で語ったペテレーネの推測を聞いたエリゼは目を伏せて黙り込み、エリスは自分が誘拐されかけた事が国際問題に発展しかける可能性がある事を指摘されて表情を青褪めさせ、エリスの様子に気付いたリィンは辛そうな表情をした。

 

「―――それとエリスとアルフィン皇女にも言いたい事がある。シュバルツァー家がエレボニア皇家と縁(ゆかり)がある事は知っている。その関係でエリスがアルフィン皇女の付き人を務めている事も別に構わんが……付き人を務めるならせめてどちらかからメンフィル帝国(俺達)に一言言って欲しかったのだがな?下手をすればエレボニア皇家による引き抜き行為、もしくはエリスの実家――――シュバルツァー家の裏切り行為にも見られてしまうぞ。」

「も、申し訳ございません!私(わたくし)の軽率な行動で陛下達にご迷惑をかけた所か、不信感まで抱かさせしまって……!―――どうか罰するなら、姫様ではなく私を罰して下さい!今回攫われかけてしまった件については私の責任ですし、私達―――シュバルツァー家は祖国を裏切るつもりなどございません!」

「エ、エリス!?」

リウイの指摘を聞いて慌てた様子で答えて頭を下げた後決意の表情でリウイを見つめ、自分を罰するように言ったエリスの言葉を聞いたリィンは表情を青褪めさせた。

 

「エリスの責任ではございませんわ!エリスが攫われかけてしまった責任はわたくしにありますわ!わたくしがエリスがメンフィル帝国の貴族の子女と承知していながら、陛下達に許可を取る事なくエリスを付き人に指名した件もそうですし、エリスがわたくしの付き人を務める事によって起こる危険の可能性も考えずに護衛の配慮すらしていませんでしたもの……!どうか罰するならわたくしを罰して下さい!」

その様子を見たアルフィン皇女は血相を変えてリウイを見つめた後頭を下げ

「姫様…………」

「…………アルフィン皇女殿下の責任ではございません。エリスさんがメンフィル帝国の貴族の子女と承知しながら、警護を怠った事や他国の貴族の子女であるエリスさんがアルフィン殿下の付き人に指名された事を承知していながら陛下達にご報告しなかった私達に責任があります……どうか罰するなら殿下ではなく私達を罰し下さい。」

アルフィン皇女の行動を見たエリスは驚き、クレア大尉は少しの間考え込んだ後リウイを見つめて頭を下げた。

 

「クレア大尉……」

「…………」

リウイ達の様子を見守っていたマキアスは辛そうな表情になり、ツーヤは複雑そうな表情で黙り込み

「ねえ。この場合、誰が悪い事になるの?」

「ぼ、僕に聞かれてもわからないよ……」

「……………………」

フィーに尋ねられたエリオットは不安そうな表情になり、ラウラは重々しい様子を纏って黙り込んでいた。

 

「………………―――恐れながら陛下。本来なら俺のような訓練兵如きが意見を述べるのは筋違いと承知していますが、どうか聞いて頂いてもよろしいでしょうか?」

するとその時考え込んでいたリィンは静かに前に出てリウイを見つめて言った…………

 

 

 


 
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