No.695868 IS〜深緑の狙撃姫〜「あらゆる熱を冷ますくらいに冷めた氷結の眼差し・・。」十河さん 2014-06-22 18:51:39 投稿 / 全9ページ 総閲覧数:2201 閲覧ユーザー数:2063 |
一夏の部屋
三人は焔を連れて自室に帰る。
そこには仮面ライダー部の面々がいた。
「お帰りなさい。・・その子は?」
「こいつは・・。」
「鳳凰焔です。・・かつてフェニックスゾディアーツとして敵対していました。」
それを聞き、一夏やティアナ、鈴を除く一同が驚く。
「どうしてその子を連れて来たの!?」
「言いたい事はわかる。だがもう焔は敵じゃない。信じてくれ、頼む。」
一夏は頭を下げる。
それを見て全員が驚いた。
偉人クラスでないと頭を下げないあの一夏が頭を下げるという事だ。
それだけ焰を信じているのだろう。
「・・そうね。一夏がそう言うなら信じるわ。知ってるだろうけどあたしはロックオン・ストラトス。仮面ライダーメテオよ。」
「私はティアナ・ストライサンド。仮面ライダー部での役割はブレイン・・戦術を組み立てたりスイッチの調整を行うよ。」
全員から自己紹介を受けた焔は仮面ライダー部に入部。
夜も遅いので細かい話しは明日にしようということになった。
翌日・昼前
一夏たちは箒の特訓で夕方に焰と話し合いをしようということになった。
訓練が終わり、ティアナと箒は紅椿に発現した新たなる力について話し合っていた。
一夏とロックオンは簪から話しがあると言われ、少し前に帰った。
「紅椿の新しい力・・疾風(はやて)」
「まるでトランザムの様に超高速で動ける様になり、急停止することで赤の残像が出現して相手に切りかかる・・。」
「上手く使えば奇襲からの連続攻撃にもフェイントにも使える。」
「ただね・・。」
練習を見ていて分析したティアナがスイッチカバンの画面を見せる。
右に比べて左のグラフが下がっている。
「右が通常で左が疾風を使った後。通常に戻るタイムを計測した結果、二分間スペックが第一世代と第二世代の間ぐらいにまで落ちる。まさに諸刃の剣。まるでオリジナルエクシアの時のトランザムだね。」
「オリジナルエクシア?」
箒は聞き慣れない単語を聞いたので聞き返した。
「・・エクシアはかつて自衛目的で開発して、ロックオンのお母さん・・ミーナさんが操者をやっていたの。ある日、うちの会社が襲われてお姉ちゃんとミーナさんが迎撃したんだ。」
過去、ミストナックに亡国企業が攻めて来た。
目的は太陽炉及びガンダムのデータを奪うこと。
「くっ、これはちょっとマズイかな?」
「どうします?おとなしく投降しますか?」
デュナメスを纏ったレベッカがエクシアを纏ったミーナに対してイジワルな質問をする。
「そんなワケないでしょ、私もレベッカもまだまだイケるはず。」
「ふふ、すいません。ちょっとイジワルしてみたくなりまして♪」
「てめえら、おとなしくそいつをよこしやがれ!」
ミーナにオータムが駆るラファールの攻撃が襲いかかるが二つのブレイドで軌道を逸らしたり弾いたりして防ぐ。
しかしレベッカの銃撃を避けた別のラファールがミーナに迫り来ていた。
「まだ!」
「ヤバ・・!」
避けきれないと判断したミーナは急いでブレイドを構えようとするが間に合わない。
「ミーナさん!」
「させると思うか?」
「くっ、構える隙もない・・!」
レベッカもライフルを構えようとするがこの時はまだ亡国企業にいたMが妨害、ビームサーベルで攻撃を受け止める。
(ここまでなの・・!?)
(私たちがドライブやガンダムを守らないといけないのに・・!)
容赦無く迫り来る攻撃に二人は最悪の結末が過る。
(・・イヤだ!こんな所で・・!)
(ここで倒れるのはイヤだ!)
その時、エクシアとデュナメスが赤く輝いた。
BGM:FIGHT
ミーナは振り下ろされた近接ブレードを避け、レベッカはMの妨害を振り切った。
「何だよ、それは!?」
「私が振り切っただと・・!?」
離れた場所へ移動、背中合わせに立った二人はモニターをチェックする。
「・・トランザムシステム・・?ミーナさん、これって・・。」
「これがガンダムのワンオフアビリティ・・?これなら・・!」
「「行ける!」」
通常ではありえない機動性に亡国企業は驚き動きを止めるが二人にとってはその一瞬は命取りだ。
二人は残像を残しつつオータムとMに襲い掛かる。
「ぐっ、がっ!?」
「捉えられない・・!ありえない!こんなスピードを操るとは・・!」
「私たちは守る!」
「ドライブも!ガンダムも!子供たちの未来も!」
ミーナはセブンソード、レベッカはライフルを巧みに操りながら動き回る。
「これが!」
「私が!」
「「ガンダムよ!」」
二人の猛攻を受け、オータムのラファールの各部から火花が上がり、Mのラファールは機能停止して落下。
「くそ・・!離せ!」
「よっとと。お前さんはこんなとこで死んでいいタマじゃない。すまんね。」
Mは下で待機していたディーンが受け止め、暴れるMを気絶させた。
「クソッタレが!覚えてろ!てめえらは必ずこのオータムが倒す!」
オータムは不利とマドカの回収不可能を悟り、Mを置いて撤退。
ドライブとガンダムを巡る防衛戦はミストナックの勝利で幕を閉じた。
そしてMは捕らわれるが監視の目が緩く、この程度ならば奪取も可能だろうと思っていた。
「く、クソ・・。私は織斑千冬と同等の身体能力を持っているのに・・!」
「お前は織斑千冬のクローンだかなんだか知らんがお前が織斑一夏・・だっけか?そいつや織斑千冬を倒したってお前以外の誰かになれるわけないだろうが!このバカタレ!(ゴチン)」
「〜〜〜!〜〜〜!」
Mはドライブの調整をしていたディーンに叩きのめされ、今も頭にゲンコツを受け悶える。
Mは信じられなかった。
世界最強の織斑千冬の身体能力を持った自分がこうも圧倒されるなどと。
「そうね、今この瞬間を生きているのは貴女という一人の人間よ。生まれとかそんなのとか関係なくね。」
「・・・。」
「ま、己自身を見ようとしないで復讐に近い感情を持った今のお前さんでは例えISを使っても俺には勝てんよ。」
「M・・だっけ?貴女は脱走しようとして、今もデータを奪取しようとした。さすがにここまでされると寛容できなくなっちゃうわ。貴女に監視が着くけど自由にしていいし、何か欲しいものがあれば遠慮なく言ってね?」
「・・・。」
この時Mは悟った。
この二人にはどうやっても勝てない。
それどころか自分を叱ってくれた。
この後Mはマドカと名乗り、ディーンらの手によってナノマシンを破壊。
さらにかなり捻くれた性格を矯正、今では立派なガンダムの操者となった。
「ミーナさんとレベッカお姉ちゃんはこの時に初めてトランザムの存在を知った。当時のトランザムはね、一回使うと疾風を使った後の紅椿の様に機体性能が大幅に落ちるの。幸い相手側にはそれがわからなかったみたい。その後トランザムを研究、トランザム使用を前提にそれぞれのプランに沿った強化を図ったのが・・。」
「ケルディムやシャルロットのアリオスか・・。」
箒の言葉にティアナは頷いて答える。
「後は簪ちゃんのエクシアも改修したからそれも該当するよ。一夏くんのダブルオーガンダムはかなり特殊でドライブを二つ搭載。紙面上では出力が二倍以上出る算段だった。だけど最初はツインドライブの調整が上手くいかなくてトランザムを使うとオーバーヒートを起こしてたの。後に支援システムのライザーシステムを搭載したオーライザーを装備することで安定してトランザムが使えるようになったし、今のダブルオークアンタはツインドライブ完全対応の太陽炉に変わったみたいなんだよね。・・話を戻すけどロックオンのお母さんはジェノバの傀儡・・たぶん太陽炉とガンダムのデータを盗んで作ったスローネシリーズの襲撃にあって辛うじて次世代のガンダム・ダブルオーガンダムとかのデータを守ったんだけど機体は大破、お母さんは死んだの。・・私たちが今使ってるのはファッションや女性のステータスアップを助長する道具ではなく、簡単に人を殺せる兵器なんだって、理解しなきゃいけない・・。・・わかるよね?あなたは黒い感情に身を任せて一度ロックオンを殺害しようとした・・。さらにあの時、暴走していたとはいえシャルちゃんを殺しているんだから・・。」
「・・・。」
そう言ったティアナの眼は冷徹で感情の無い目をしていた。
それは兄との約束。
GNドライブとガンダムは世界を変えることが可能なハイスペック技術の塊であり、それがもし過激派等に渡ってしまい、解析が成功すれば世界は実質女性が支配するだろう。
だからこそディーンはティアナにしっかりと教育をした。
箒はティアナの言葉を聞き、今度こそ間違えず、ここを卒業した後も間違いの無い選択をすると心に誓った。
箒は画面の端っこに映っている画像を見つける。
「ん?ティアナ、これは?」
「え?ああこれ?」
ティアナは箒が指差した画像を拡大する。
それはエクシアが何らかのユニットを装着、GNソードを始めとした実体剣系を背部のジョイントアームに、ビームサーベル等ビーム兵器系を両肩に装備した姿だ。
「これはね、エクシアのプランの一つで高機動型ユニットを着けた物。その名もアヴァランチエクシア!」
「アヴァランチエクシア?」
箒は頭に?を浮かべる。
「これはエクシアの各所に粒子コンデンサーを設置、それを一気に解き放つ事で爆発的な加速を得られるの。アヴァランチは雪崩の意味を持っていて、その爆発的加速でその射線上の敵をまるで雪崩がなだれ込むように短時間で撃退する。そのためのユニットなんだ。でも粒子を全部放出するとチャージに時間がかかるから連続使用ができない上に消耗が激しい。さらに言うと今のエクシアは貯蔵タンクだからどうしようか迷ってるの。後は簪ちゃんの耐Gがわからないといけないんだ。」
「なぜ更識の耐Gがわからないといけないのだ?絶対防御があるから別に問題ないのではないのか?」
ティアナは画面を操作、出て来たのは粒子解放、トランザム、そしてその両方を同時解放した速度のグラフのようだ。
「別に個々を単体で使うだけなら問題ないよ。けど両方を同時に使ったら凄まじいGが襲い来る。それこそ絶対防御を越える可能性がある位にね。」
「そこまでなのか・・?」
「うん、少なくとも紅椿以上だよ。その位の爆発力があるけど射撃戦には不向きかな。GNソードのライフルモードしかないから。」
ティアナは時間を見るとお昼前だった。
「お昼も近いし、そろそろ片付けよっか。」
「そうだな。」
二人は片付けを始める。
箒は気づいていなかった。
アヴァランチエクシアの画面の後ろにドライブの代わりにエクシアリペアと同じタンクを両肩のドライブがあった場所に装備したダブルオーライザーが写っていた事を・・。
そして簪は楯無に呼び出されていた。
その事に簪は疑問に感じる。
長い間話しをしなかった姉がなぜ今になって呼び出したのか?
その事をロックオンたちに相談してみた。
『簪、疎遠しているとはいえ姉がいるのは羨ましいよ。簪も知っている通り、あたしは戦場で育ったから父さんたちに会うまで家族っていうのを知らなかった。だから簪が羨ましいの。本当の姉妹がいるっていうことがね。あたしとしてはわかりあってほしいな。・・これはあたしの本当の気持ち。』
一夏にこの話をした時、彼はこう言った。
『簪、俺と姉さんの様に・・長い間疎遠だった姉さんが自らの罪を数え始めたからこそ支えたいと思う様になった。お前らも俺らと同じ様にわかりあえるはずだ。』
(ロックオンや一夏くんも言ってた、姉さんと早めにわかりあった方がいいって。・・ううん、きっとわかりあえるよね?一夏くんも長い間疎遠だった織斑先生とわかりあえたんだから。)
簪としては複雑な気持ちだったが一夏と千冬が和解できた事を思い出し、それを見習い今日こそ姉に自分の想いを話し、わかり合おうと心に決めていた。
そしある場所にて。
「粗方揃ったな。」
「財団Xから提供してもらい、倉持へ輸送されているのを奪ったもの・・特殊なスイッチとメモリ。」
「あとは・・(ヒュン)」
リーダー格の男がナイフを投げる。
ドスッ
投げられたナイフは写真を貫く。
その写真にはある人物の幸せいっぱいの笑顔が写っていた。
「ふふ、何年もかけてやっとお前の情報を掴んだんだ。お前に笑顔は似合わない。お前に一番似合うのは人を殺す時のあの鋭く、あらゆる熱を冷ますくらいに冷めた氷結の眼差し・・。だから俺があの時の・・死神だった時の記憶を呼び起こしてやるよ・・。」
貫いた写真に写っていたのは・・。
「銀の死神・・いや・・。」
男は舌なめずりしながら貫いた写真に写っている人物を見る。
「ロックオン・ストラトス・・。」
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ふぅ・・。
ちょっと劇場版ルート入りかけ?