No.694566

小説14

H@さん

引き続き小説訓練をします。練習続行中です。><

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2014-06-16 22:09:06 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:261   閲覧ユーザー数:261

澄に怪我を負わされた男が澄に『別れたい』と言ったのには大きな理由があった。それは、その発言に至る前に澄が京都で結婚詐欺で逮捕されてその面会に付き合わされたり、出所の日に身元引受人として呼びつけられて振り回されているうちにつくづくこの澄という女のことが心底嫌で怖くなってしまったからだ。

 

澄の友人の方も当時は災難だった。出所を早めるために保釈金が必要だったので澄が留置所か拘置所にいる間に変わりに銀行通帳と印鑑を警察の保管ロッカーから出してもらって渡されて、それをそのまま近所の銀行に持って行って150万円も下ろしてまた留置所だか拘置所にそれを持って行き、そのままそのお金を保釈金としたので、澄は、すぐにそこを出ることが可能になったのだった。

 

思い出せば思い出すほど、澄という女の恐ろしさ愚かしさがオーバーラップして脳裏を駆け巡って行く、それはまるでシネマのいくつかのシーンが脳味噌の中でチカチカと光を点滅しながら重複して重なってはまた広がって散らばり拡散して行く様子にも似ていた。

 

男は澄に別れたいと言った後、刃傷沙汰になり顔に大怪我を負わされて恐喝されて即金で78万円ほどを下ろして澄の銀行口座に振り込んだのだが、友人は澄に頼まれて様子を伺う電話をかけさせられた時に、この大変哀れな被害者男から聞いていた。実はもっとお金を持っているのだが、澄のことだからあると教えると、あればあるだけ全部欲しがるから言えない、このことは黙っておいてくれと必死で頼んだのだ。

 

ただ、この時の男の代償は想像しているよりかなり大きかった。名誉教授だった大学の職場を追われ、―いづらくなって自ら辞職したらしかった―また、妻にも正直に浮気の話をしたと言っていた―この男は、今回の浮気を人のせいにしたくはないと思ったらしかった―まさに天国と地獄を行ったり来たり、澄と出会うとたいがいの男はみんなそういう所謂、まるで悪魔に魅入られたような結果的に不幸に追い回されて行く起承転結の経過を辿っていたと思う。

 

それなのにその後も、いつ何時であっても澄に恋焦がれ夢中になり我を忘れて入れあげて破産して行く男性は後を絶たなかったのだ。正に悪女列伝と言ったところだろう。一風変わったムードと魅力を持っており、出会う男殆ど全てが滅んでいた。また、馬鹿力がすごく男でもすぐ悲鳴が出たり絶叫してしまうことが多々あったので、その辺も出会う男殆どが気づけば愛の奴隷、スレイブと化して行く所以の大きな要因となっていたと思われる。

 


 
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