始めは私の“目標”だった。
体術を使う私にとってあの方は尊敬するに値する存在。
だから私は弟子入りした。
極めるべき所まで極めようと…
だけど、私はそれ以外の目的もあって弟子入りしたのかもしれない。
あの方に近づこうと、あの方に追い付こうと、あの方と肩を並べれるようにと、
…あの方の、側に居たいと。
「そっち行ったで、凪!」
「分かっている!」
真桜の言葉に凪は忙しいと思いながらも返事をする。
現在魏の領地内で三羽烏とその部隊、それに仮面隊はドグマファイターの集団と戦闘をしていた。
少し離れた所では、リトが変身するクウガマイティフォームが地獄谷五人衆の相手をしている。
「凄いの~!一気に五人も相手にしてるの!」
「せやな、さっすが凪の師匠さんや」
ここ最近、怪人や戦闘員の出現率が増えている。
おかげでここ毎日戦闘ばかりしていた。
リトや恋といった強者がいることで大きな被害は無くなっているのだが、隊全体で疲労が溜まっているのだ。
「どぉぉぉりゃぁあああ!!」
「ガァアアアアア!」
「ギシャァアアアア!」
「クケェェェエエ!」
「超変身ッ!……落ちろ!」
クレイジータイガーとヘビンダーに【マイティキック】を連続で当て、撃破。
上から攻めてくるサタンホークにはペガサスフォームとなり倒していた。
優位に立っているクウガPF、このまま残りの二体も倒す…と誰もが思っている。
だが…二体のうちの一体、ゾゾンガーが標的を変え、凪達の方へ走ってきた。
「グゴォォォオッ!!」
「こ、こっちに来たの!」
「しゃあない、一か八か…螺旋槍で…」
乱回転させた螺旋槍を構える真桜の横から影が飛び出す。
影…凪は無謀にもゾゾンガーに飛び蹴りを繰り出した。
しかし、ゾゾンガーは少し怯んだだけで凪の足を掴む。
そしてそのまま、自身の持つバズーカを凪に押し付けた。
「なっ…!?」
「凪っ!」
「凪ちゃん!!」
引き金を引こうとするゾゾンガー。
凪は抵抗するがやはり人間と改造人間…力の差は歴然だ。
―――ここで死ぬのか…?
―――嫌だ…私はまだ…
凪は自身の死の予感をし、目を瞑る。
ここまでなら彼女の予想通り死んでいただろう…
「凪ぃぃぃいいい!!」
クウガが来る事が無ければ。
「本当に…申し訳ありませんでしたッ!!」
「あー…いいって。だから頭上げろよ」
凪は現在戦闘が終わった場所でリトに土下座をしていた。
…バズーカで攻撃されそうになった凪を救ったのはドラゴンフォームとなったクウガだった。
距離もそれなりに離れていたので身軽なドラゴンフォームとなったのが理由だが、凪をかばった時にバズーカの攻撃を受けてしまい怪我をしてしまった。
だがそのあとは残りのストロングベアと共に倒し、現在は現場の後始末をしている。
「ほら凪ィ、リトはんもええって言うとるやないか。ちゃっちゃと片付けよか?」
「そうなの。もう夜になっちゃってヘトヘトなの~…」
一緒に残っていた真桜と沙和は少し疲れぎみで言う。
連日の出勤だ…やはり疲れているのだろう。
凪は納得いかないと言う表情をしながらも、立ち上がり作業に入る。
リトはやれやれと思いながらも作業に移ろうとした。
「俺なら怪我がすぐ治るんだけどなぁ」
「そうやないでリトはん。凪は悔しいんやと思うで」
「悔しい?…って人間と改造人間とでは色々と差が…」
「それとは別や。凪も馬鹿やない。悔しいんはリトはんの修行が役にたたんかった事やと思う」
「俺の修行が…?」
「そうなの!凪ちゃん沙和達と話すときいっつも修行の事とリトさんの事ばっかり喋ってるの」
真桜との会話の途中、沙和も入ってくる。
その顔は少しイタズラっぽい感じがするが、リトはそれよりも話の内容が気になった。
「今日は辛かったとか、知らない技を教えて貰ったとかいっぱい言ってるの!」
「せやから凪はリトはんの体術が通用しなくて悔しいんやよ」
「……そっか。じゃあ、次からはもう少しきつめに修行するかな。師匠として頑張るわ」
「師匠として…か」
「そこはもうちょっと違う返事にして欲しかったの」
「ウェ?0w0」
一瞬某スペードのライダーになった気がするが…リトは一応スルーしておいた。
――――怪人用の修行もさせとくかな、と考えてみる事もしばしば。
それに、リトは前から作っておいたあるものも渡そうかとも思っている。
…そんな中、やけに烏が騒ぎだしていた。
うるさいと思いながらもリトは空を見上げる…と同時に超直感が騒ぎだす。
なにかが来る…そう思い辺りを見渡すと、遠くから風を切る音がした。
その音はだんだんとリトに近づいて…その音の根元は鋭い爪でリトを引き裂こうとする。
「ケェェッェェエ!!」
「うおっと!?」
「リトはん!?」
「リトさんどうしたの!?」
「師匠!?」
真桜や沙和、遠くから来た凪はリトの突然の叫びに反応する。
一方のリトは攻撃された相手を見て苦い顔をしていた。
その顔は以前鋼鉄参謀を見たときと同じ物だ。
「カイザーグロウ…か。もしかして…もしかするとなんだよな」
「師匠…奴は?」
「カイザーグロウ。ドグマ帝国の帝王で…多分不死身の肉体持ってる」
リトを襲った怪人…カイザーグロウは宙に浮かび上がりながらリトを見据えている。
そして甲高い声を上げると、リト達の目の前の地面から黒い渦が発生しドグマファイターと数体のドグマ怪人が出てくる。
「「「ケィーッ!」」」
「チッ…けっこう多いな。しかもカイザーグロウか…」
「どうするの…?」
「…凪、俺はカイザーグロウと何体かの怪人とやる。その他はお前がやってくれ」
「し、師匠!?」
「頼んだぜ、―――」
最後の部分は聞き取れなかったが、凪が驚く中リトは懐からあるものを凪に渡す。
反射的に凪がそれを受けとるとリトはオードライバーを付け、仮面ライダースーパー1に変身した。
「コォォォ…変身ッ!」
「よーし!お前らー!ここが踏ん張り時なのー!今夜は腰がガクガクになるまであいつらの汚い穴に槍をぶちこんでやるのー!」
「「「サーイエッサー!!」」」
「凪、ウチらも行くで……凪?」
気合いを入れてドグマファイターに突撃する部隊とは反対に、凪はリトから貰った物を握りしめながら俯く。
正直言って、怖いのだ。
もし先程のように殺されかけたらどうしよう…ではなく、リトの期待に答えられるかどうか。
それが今の凪の一番の恐怖。
「私は…私は、この力を…使いこなせるのだろうか…?」
「凪ちゃん…」
「未熟な私では…師匠の足手まといに、」
なるのではないか…と言う前に、パァンッという渇いた音が鳴り響く。
凪はその音を聞き、次に感じたのは頬の痛み。
数秒して気付いた…自分は、目の前にいる真桜に叩かれたのだと。
「ま…おう…?」
「…この、バカちんが!リトはんがそれ渡した意味分かっとるんか!」
「そうなの…リトさんは凪ちゃんの事信じてるからそれを渡したの!じゃなきゃ、頼むなんて言わないの!」
「沙和…」
「いいか、凪…自分は一体何者や?凪はリトはんの何なんや?」
「私は…師匠の…っ…」
凪は先程の事を思い出す。
リトがベルトを渡した後に言って聞き取れなかった最後の部分を。
『頼んだぜ、――子』
「私は…」
『頼んだぜ、―弟子』
「私は師匠の…」
『頼んだぜ、愛弟子』
目を閉じ、ベルト…メテオドライバーを腰に装着させる。
そして、覚悟を胸に目を開く。
「私は師匠の…平沢梨斗の――― 一番弟子だ!」
〔メテオ・レディ?〕
「コォォォ…変身ッ!」
横のレバーを倒し、遥か上空から蒼い光が凪に降り注ぐ。
次第に光は凪を包み込み、蒼い球状のエネルギーが弾けとぶと…そこには黒いスーツのライダーがいた。
「仮面ライダー…メテオ。私の拳は
メテオに変身した凪は手始めにファイヤーコングに重い一撃を与える。
よろめくファイヤーコングは反撃しようとするが、メテオギャラクシーを使い手刀をする要領でサターンソーサリーを放った。
〔サターン!レディ? OK!サターン!〕
「はぁあああ!!」
「グギャァッ!」
「…ホアチャー言わないメテオか…なんか新鮮…っと!」
珍しい物を見ていたスーパー1だったが目の前のムカデリヤの攻撃を避けていた。
現場のスーパー1はカイザーグロウとドグマ怪人の何体かを相手にしている。
スーパー1の予想通り、目の前の複製のカイザーグロウは不死身の肉体を持っていた。
忠実な再現をしているだけある……それと同時に弱点も分かっているが。
「チェーンジ!パワーハンド!……ただの正拳突きィ!!」
「ゲボルァアァアアアアア!!」
「まだまだぁ!チェーンジ!レーダーハンド!ミサイル発射!」
パワーハンドによる正拳突きでムカデリヤは体の中身を撒き散らして爆発。
さらにミサイル発射で複数の怪人を撃破し、優勢に立っていた。
〔OK!リミットブレイク!〕
「はぁあああああああああああああ!!」
「「「ギャァァァァァァアアァ!!」」」
メテオの方も【スターライトシャワー】により戦闘員及び怪人を撃破。
……少なからずメテオ…凪は修行によってかなり鍛えられている。
恋には及ばないものの、愛紗や夏侯惇といった武将に並ぶほど。
しかも変身するのは自身にもっとも合う格闘のライダー…この程度の数などどうと言うことはない。
そしてメテオは同じく怪人を一掃させたスーパー1の所へ行く。
「師匠!!」
「お、やって来たな。偉いぞ凪。…で、ちょっと相談」
「はい、あの烏ですね」
「アイツは普通にやっても倒せない。唯一の弱点は右肩…ここまで言えば分かるな?」
「大体は…でもやりましょう!」
「そうこなくっちゃ…チェーンジ!冷熱ハンド!」
〔メテオストーム! メテオ・ON・レディ?〕
スーパー1は冷熱ハンドに切り替え、メテオはメテオストームへと変わる。
カイザーグロウはそれと同時に羽を数十枚飛ばして攻撃してくるが、スーパー1はそれを火炎放射で防御。
それでも来る羽を避けつつカイザーグロウの足下に冷凍ガスを発射するも、それは避けられてしまった。
だが…それは計画の内…
「外すなよ、凪」
「はいッ!」
「ッ!?」
カイザーグロウの飛んだ先には、自身より高く跳躍したメテオストームがいた。
メテオストームはカイザーグロウの頭を掴み、密着する。
そして、すでにメテオストームスイッチを装着させたメテオストームシャフトを右肩に押し付けて。
…凪は体術一本でやって来たから武器の使い方は分からない。
だが、この武器で何ができるかは分かる。
〔リミットブレイク!〕
「メテオストームパニッシャーァァァァ!!」
「ギギャアアァァアアァアア!!」
右肩に押し付けた形での【メテオストームパニッシャー】は勢いを殺さずカイザーグロウの右肩を貫く。
あまりの痛みにカイザーグロウは飛行するのを止め、地面へ倒れる。
今しかない…スーパー1と着地したメテオストームはカイザーグロウに向かって走った。
「凪、決めるぞ!」
「はい!」
〔メテオ・ON・レディ?〕
〔メテオ・リミットブレイク!〕
スーパー1とメテオストームはカイザーグロウを踏み台に高く飛び上がった。
苦しむカイザーグロウは逃げようとするが、スーパー1の重力波によって動けずにいる。
そして、二人のライダーは月を背にカイザーグロウに急降下した。
「「ダブルライダー…月面流星キックッッ!!」」
「クケェエェエエェエェエエ!!」
スーパー1の【スーパーライダー月面キック】とメテオストームの【メテオストライク】が合わさり、カイザーグロウの右肩にぶつかる。
遠くに吹き飛ばされたカイザーグロウは奇声をあげて爆発した。
スーパー1とメテオストームは変身を解除する…が、凪は体が傾き倒れそうになるがリトに支えられる。
「あ…」
「張り切りすぎだって。体力持ってかれてるぞ」
「すみません…」
「そうじゃないだろ?」
「え…?」
「ありがとう…だろ?今日の凪、謝ってばっかだったし…少しは謝る以外の返事しとけって」
「……はい」
リトからは見えないと思う角度で凪は少し笑った。
少し前までの自分が馬鹿らしくて、少し安心して。
リトはそうとは気づかず、凪を背負った…文字通りのおんぶだ。
「はい、師匠の事笑った罰ねー。城までおんぶする」
「え…ちょ…は、恥ずかしいです…!」
「だから罰っていったじゃん。それに…弟子一人背負えない師匠は嫌だからさ」
「!…はい、その罰を受けます」
「んじゃレッツゴー」
尊敬は憧れに変わり、憧れは好意に変わり…
今の凪にとってのリトは尊敬するべき存在だけではなく、かけがえのない…大切な人。
深く深く、全身の傷よりも深く…その想いが刻まれた、そんな存在に。
XXX「…………」←どうしようもない殺気
リト「アイツどしたの?」
一刀「さあ?」
XXX「あー…イラつく。あーイラつく」
リト「どしたよ、作者?」
XXX「べっつにー?ただ日曜ほとんどニチアサ見れねーなーって思ってるだけだから」
一刀「ああ…ゴルフか」
XXX「マジふざけんなよ、プリキュアしか見れないじゃん。ガイム見せろ、バトスピ見せろ」
リト「トッキュウジャーは?」
XXX「わりとどうでも」
リ一「「おい」」
一刀「で、今回戦闘多いな」
XXX「なんかイメージ湧いたんだよね。三羽烏っていったらこんな感じって」
リト「いやむしろドグマの怪人限定なのって…」
XXX「シンボルが烏だったから。三羽烏的な意味で」
一刀「で、凪は安定のメテオ…と」
XXX「意外とさ、格闘オンリーっていう仮面ライダー少ないよねー。ちなみに凪の他に変身できるライダーはアナザーアギトとナックルです」
リト「至近距離メテオストームパニッシャーは痛そうだな」
XXX「だって武器の使い方知らなそうだったし」
一刀「リト…今度棒術練習させて」
リト「いや、ここ後書き。あっち本編」
XXX「翻訳すると“ここで言われても本編でやれない”」
XXX「さて次回は…前のコメントにもあったけど音々音マジヒロイン回するかどうか迷ってるんでアンケートしときます」
リト「同票だったり入ってなかったらメイン回に強制執筆するそうです」
一刀「…なあ。真桜と沙和の変身できる仮面ライダーは?」
XXX「え?…真桜がインペラー、バース、フォーゼ、ウィザードのランド系」
一刀「なにそれ偏って…ああ、全部ドリルか」
リト「てかランドはドリルリングよく使うだけだろ」
リト「インペラー微妙だろ」
XXX「で沙和がー、アギト、カブト、ブラーボ」
一刀「ちょっと待て最後ぉぉぉぉぉ!!?」
リト「主人公二人来て最後オカマ!?何で!?」
XXX「料理・お菓子作りが上手、もしくは女子力高そう」
リト「他にもいるだろ!?」
一刀「考え直せ!今ならまだ間n」
Ο▽Οノシ再見
リ一「「終わった!?」」
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