川に遊びに来た私らは、皆で遊ぶもんやと思い込んでいたが、
どうやらそういうわけではないらしい
士希「な、なにかしたい事とかあるか?」
いつの間にか、この場には私と士希の二人きりになっていた。
すずかちゃんが恐らく気を利かせてアリサちゃん連れて少し離れたところに行き、
それを見たフェイトちゃんがさらに察してくれて、
若干鈍感やったなのはちゃん連れて何処かに行った。
ありがたいような、助けて欲しいような、そんな気分やった
はやて「いや、ていうかあれ、絶対気ぃ遣ってくれたよな」
私は士希に言ってみる。すると向こうもため息をついた。士希も気付いてたようや
士希「まぁ、そうだろうな。まったく、恵まれていると言えば、そうなんだろうけど…」
はやて「ちょっと、なぁ?」
こんだけ応援されてんのは、ホンマに幸せな事なんやろうけどさ。みんなお節介やで…
士希「だが、こんだけされちゃ、俺もお前も、いい加減ハッキリさせないといけないよな?」
はやて「!?」
え?そ、それって…
士希「……はやて、今晩、少し時間いいか?」
きた…
はやて「…うん」
士希は顔を赤くして、それでも微笑んで。そしてその笑顔は、とても優しいものだった
士希「よかった。断られたらどうしようかと思ったよ」
士希は少し冗談っぽく言う
はやて「断るわけないやろ?それより、期待、してもええん?」
私も、冗談半分、本気半分で聞いてみる
士希「そうだな…期待は裏切らないよ」
さっきから、ドキドキしっぱなしや。息すんのも、苦しくなりそう
はやて「…そ、その用事って、今じゃアカンの?」
私ははやる気持ちから、思わずそう聞いてしまう。川ん中におっても、頭が冷えてくれへん
士希「そりゃ、悪いとは思うけどさ、ここじゃあなぁ」
士希は周りを見渡して答える。あぁ、そういうことか
士希「まったく…どいつもこいつも、ハイエナかってくらいこっちを伺ってやがる」
なのはちゃんも、フェイトちゃんも、アリサちゃんも、すずかちゃんも、
遊んでる振りしてこっちチラチラ見とる
士希「お前の家族に至っては、ヴィータちゃんとリインちゃんがガン見、
シャマルさんは寝たふりして薄っすら目ぇ開けてやがる。
シグナムはさっきから殺気が酷い。
唯一ザフィーラとアルフさんが純粋に森林浴を楽しんでるな」
だんだん冷静になって来た。よう見りゃレーゲンも水中からこっち見とるわ
士希「とまぁ、こんな感じだ。どうせならしっかり言いたい。
だから、夜まで待っててくれるか?」
士希はもう一度確かめて来る。そんなもん、答えは決まっとるよ
はやて「ええけど、それ以上待たせたら流石に怒るでな?」
士希「わかった。必ず今晩に…」
そう言って、私と士希は何かを話す訳でもなく、頭を冷やすかのようにただただ泳いだり、
浮かんだりした。周りの視線は、少し面白くないと言った感じやった
夕方ごろ。いや、ホンマに気付いたら夕方になってた。
さっきから夜の事ばっか考えて、ドキドキしっぱなしで、
正直周りが何か言ってても上手く集中できへん
アリサ「ていうか、あいつも引っ張るわね」
すずか「せっかく二人きりにしたのにねー」
はやて「いやいや、こっちガン見してたやん」
まだツッコミができるくらいの余裕はありそうやな
フェイト「あれ?バレてたの?」
はやて「気付いたんは士希やけどなぁ」
なのは「流石士希君。なんか普段は隙がないよね」
アリサ「うーん…あいつを出し抜くのは難しそうね」
すずか「せっかく士希さんが今晩何かを告白してくれるみたいなのにね」
すずかちゃん、それほとんど言ってしまっとるで
アリサ「ま、ここまで来たらはやて自身の問題よ。しっかり覚悟して行くことね」
はやて「わ、わかった!」
うわっ、緊張するなぁ
なのは「そういえば、その士希君は何処に行ったのかな?」
なのはちゃんはキョロキョロ見渡して聞いてくる。ま、この場にはおらんわな
はやて「確か夕飯の仕込みしてるはずやで。ちなみに、今日はカレーや」
アリサ「お、いいわね!なんかキャンプっぽい!」
すずか「あはは、そうだね。確か小学生の頃も、学校行事の一環でこうして山に来て、
皆でご飯炊いて、カレー食べた事があったね」
はやて「あー、覚えとる覚えとる。なのはちゃんがシーフードカレー作ろうとして、
川魚入れようとしたやつや」
なのは「ちょ!?なんで覚えてるの!?」
フェイト「先生が慌てて止めに入って、カレーひっくり返して、先生火傷しちゃったんだよね」
アリサ「あははは!あったわねぇそんなこと!カレーに川魚はないわよね!」
私らは昔話しつつ盛り上がった。
ただ、そんな中でも、私は今晩の事が気になって仕方がなかった
士希「カレーに川魚…そりゃまた…」
私らは士希特製カレーを食べつつ、先ほどの話をしてみる。
結果、士希はなのはちゃんを珍獣を見るような目で見ていた
レーゲン「シーフードカレーって、エビとかイカとかですよね?魚って美味しいんですか?」
レーゲンの純粋な質問に対し、なのはちゃんは顔を真っ赤にしていた。
忘れたい過去やろうなぁ
ヴィータ「カレーに魚ってイメージが湧かないな」
リイン「なんだか生臭そうです」
シャマル「えー?意外と入れたら美味しいかもしれないのに」
フェイト「その辺、どうなんだろう?」
すずか「教えて、士希先生!」
みんなノリノリ、ってかまぁ、単純に気になったんやろうな。私も少し気になるわ
士希「いや、俺も試した事はねぇけど、例えば魚の身を肉のかわりにするってんなら、
生臭くなるんじゃないか?」
まぁ、そうやろうなぁ。多分、味も変な感じになるやろな
アリサ「へぇ、あんたでも、わかんない事ってあるんだ」
士希「当たり前だろ?試した事のない物はどうしようもない。
ただな、カレーに魚を使うって発想は別にいいんだ」
なのは「え!そうなの!?」
なのはちゃんは目を輝かせて聞いてくる。
多分、自分の意見を肯定された事が嬉しかったみたいや
士希「あぁ、ただ、その魚をどう調理するかなんだ。
俺なら、魚を3枚におろして、フライにするな」
その士希の回答で皆が、あぁ~、と納得する。
確かに魚フライがカレーに乗ってても、不思議ではないな
士希「ま、そういうことだ。だからなのはさん、魚をカレーに使いたきゃ、
フライにするか、魚の身を使っても美味しくなるレシピを作ってからにしましょう」
なのは「う…はい…」
ま、なのはちゃんは惜しかったということで
食事を終え、皆が思い思いに時を過ごす中、私はコテージに付いていたシャワーを浴びていた
はやて「ふぅ……」
士希は今晩って言ってたけど、いつ頃の話なんやろか?時刻は9時を過ぎた。
もうそろそろな気がするけど
はやて「そういえば士希、夕飯食べてから見かけてないけど、何処行ったんやろ?」
食べてる時までは一緒やった。その後食器を片付けるって言って、それっきりや。
しまったなぁ、手伝ったればよかった
はやて「………」
念話を使えば、ある程度離れてても通じる。やけど、ここで「今どこ?」なんて聞くのは、
急かしとるみたいでなんか嫌やった
はやて「(ザフィーラ、今、士希がどこおるか知っとる?)」
なので私は、士希と同じコテージにおるザフィーラに聞いて見た。すると程なくして
ザフィーラ「(士希なら、少し出かけています。どうかなさいましたか?)」
出かけてる?一体どこに?
はやて「(いや、なんもないよ。ただ、どうしてるかなぁって思ってさ)」
ザフィーラ「(そうですか……主はやて、私は主の盾です。
何があろうと、私はあなたをお護りします)」
ん?なんや急に?
はやて「(お、おう?ありがとう?)」
ようわからんけど、お礼言っとこ
ザフィーラ「(例えこの命に代えても…)」
はやて「(何があったんザフィーラ!?)」
ザフィーラは答えてくれやんだけど、何やら決意したようやった
時刻は11時。皆はそろそろベッドに行くということで、
先ほどまで騒いでいたのが嘘のように、今は静かやった。
聞こえるのは、私の心臓の音だけ
士希「(はやて、今からいいか?)」
きた!
士希の念話を受け、更に鼓動が早くなるのを感じる。いよいよや
はやて「(うん。外に出ればいい?)」
士希「(あぁ、頼む)」
士希の返事を聞いて、私は外に出た。この時、私は途端に身だしなみが気になった
しゃ、シャツ一枚に短パンやけど、ええかな?化粧とかするべきやったか?
アカン!なんで今になって気付いたんや!いくらでも準備する時間あったやろ!
士希「おう、待たせて悪かったな」
グルグルといろいろ考えつつも、外に出た私の視界には、すぐ士希が映った。
士希の格好も、私と大して変わらへん。黒いTシャツに黒いジーパン。
士希らしい服装やった
はやて「ええよ。それより、今までどこにおったん?」
士希「あぁ、今から案内するよ」
案内?って事は、今までおらんだんて…
士希「だが、その前に…」
士希は私に近付いて抱き寄せる
ええ!?なになに!まだ心の準備できてないで!
はやて「ど、どうし……あぁ、そういうことな」
私が士希に聞く前に、答えに辿り着いてしまった。
さっきまで私がおった場所には、シグナムが立っていた
シグナム「主はやて…私は主はやての幸せを願っています。これは事実です。
そして雑賀士希、私は今からお前がしようとしていることも止めはせん。
だがな!主はやてに想いを告げる前に、私に殴られろ!そしたら認めてやろう!」
士希「チンピラかよ…」
最後の最後で、ラスボスが立ちはだかった
Tweet |
|
|
3
|
0
|
追加するフォルダを選択
こんにちは!
キャンプ編Hサイドその2!