No.677528

【デジナミ】意外な一面【交流】

もうすぐお花見イベント開催ですね!楽しみだー!
と言う事であんまり関係ないのですが、ハッカー交流小説をあげて見ますー!
前々から絡ませたい絡ませたいと言いながら出来ていなかったので…
とは言ってもそこまで長くはないのですが。

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2014-04-09 13:53:17 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:887   閲覧ユーザー数:869

「…おおっ?」

オーシャンゾーンの一角、自分達がよく利用している街の片隅で、よく見知った友人、アスクの後ろ姿を見掛け、

声を掛けようと手を大きく振ろうとして、パートナーに制止を掛けられる。

「もう、ヌコってば…なによー」

「いや、アスク、誰かと話してるだろ」

「えっ」

言われてよくよく目を凝らしてみると、なるほど本当に誰かと話している。しかも、それは彼の親友である赤髪の少年ではなく、女性だ。

「女の人だよ!!!」

「見りゃ分かる」

「誰だろうね…!!!!」

内容こそ聞こえないが、剣呑とした雰囲気ではない事は伝わってくる。むしろ、好意的な気配すら感じたのは気のせいだろうか。

いつも仏頂面で冷たい顔をしているあのアスクが、そこそこ表情豊かに会話をしているなんて尋常ではない。

明日は槍でも降るのかもしれないとおぼろげに考えていると、頭の上に乗せているパートナーから半ば呆れたような声が上がった。

「気になるなら名前調べて見ればいいだろ」

「あっ、それもそうね」

言って、手元のテジヴァイスを操作して話し相手の名前を調べる。

どうやらハウンドと言うらしく、ついでに自己紹介欄も見てみたが、どことなく礼儀正しい人なんだなと感じさせる文体だった。

「……至って普通の人だね!」

「そりゃそうだろうよ…何を期待してたんだ」

ヌコは頭を垂れて深く深く、溜め息を吐く。なんて事はなく、彼女もハッカーなのかなと漠然と考えただけである。

もしそうなら、仲良くなれるかなと思ったくらいなのだ。

改めて見てみると、凛とした顔立ちに、長い黒髪をツインテールで結い、更にオレンジ色の飾り布を巻いているなど、

色々ちぐはぐさを感じるが、総じてバランスが取れているようにも見えるから不思議である。

取っ付きにくそうな面立ちをしているが、話している途中に柔らかく表情を崩す事もあるので、もしかしたら気さくな人なのかもしれない。

「何をしているんです?」

「うわっ!?」

一生懸命に会話の内容を聞こうと、耳をじっと澄ませていると、背後から唐突に声がかかり、口から心臓が飛び出るほどヒヤリとした。

胸を押さえて息を荒く吐きながら驚かした人物をジト目で睨み付ける。

「…なんですか?」

「もー!!驚かさないでよ!」

口を尖らせて抗議すると、頬を軽く掻きながら背の高い赤い髪の彼は苦笑する。

「君が勝手に驚いたんでしょう」

やれやれと言わんばかりの面持ちに、頬をぷくーと膨らませて不服ぶりをアピールすると、

ひいの肩の上から「リヴァがお餅みたいな顔してる!」と、赤い毛玉…もとい、フウヒモンがひょこりと顔を覗かせてくる。

お餅と言われて、レディにお餅とは失礼な。と頬に貯めた空気を吐き出した。

「で、どうしたんです?」

「あっくんがね、女の人と話してるから観察してるのよ」

「女の人?……ああ、あの方ですか」

アスクの方に向かって視線を動かすと、なんだ、と言わんばかりの表情をするひい。

自分だけがあの人を知らないのかなと思うと、些かむっとした気持ちにもなるが、ここで拗ねた所でなにも起こらないのでやめておく事にする。

その代わりと言っては何だが、答えを急くような視線をじっと彼に送り続けてあわせて口も噤んだ。

オーシャンゾーンの決して人通りが少なくはない街の一角。喧騒の中に静まり返った二人が一組。

「…アスク君のお姉さんのご友人ですよ。昔から一緒に遊んだりしてるようですよ」

「幼馴染みってこと?」

「そんな感じだと思いますよ」

「ふうん…なーんだ、ちょっとつまんない」

リヴァの言葉にやや呆れたような溜め息が二方向から聞こえる。ヌコとひいのようだったが、聞こえなかったふりをして受け流す事にした。

その内に昔馴染み二人の話は終わったらしく、こちらに気が付いたアスクがブイモンのシエンを引き連れながら歩み寄ってくるのだが、

その面持ちは先程と違って、いつもの憮然としたそれだったので、如何にハウンドと話していた彼が穏やかだったのかを思い知る。

「む…」

こちらに来てすぐに自分の顔を見、何でここにいるのと言わんばかりの面持ちを覗かせる。

その顔にリヴァも「むっ」と返し、腰に手を当てて彼の顔をしっかりと見据えた。

「あっくんその顔酷い。私、いちゃダメだったの?」

「ダメなんて言ってないでしょ。何でいるのかって思っただけだから。後、あっくんはやめてって何度…」

「あっくんはあっくんですー!」

「いやだから」

「あっくん!あっくん!あっくん!」

意地悪に自分がつけた彼のアダ名を連呼すると、困ったような面持ちでパートナーのシエンと、ひいに交互に視線をやって助けを求めるが、

どうやら却下されたようで、やれやれと溜め息を吐きながら肩を落とす。

「…悪かったよ」

「よろしい。そしたら、どうしようか!どこ遊びに行く?泳ぐ?」

「今日は、ゴーストデジモンが出るって噂のダンジョンに行く予定ですよ」

二人の腕を掴んで走り出そうとした矢先、ひいからのストップがかかる。

「泳ぐなんて御免です」と、毒づきながら続けてきたので、リヴァはぱっと掴んでいた手を離し、

頭の上に乗せていたヌコに手を回して下ろすと、それなら早く行こうと促す。

そんな自分を見てか、フウヒモンを抜かしたその場にいた全員が溜め息を吐いたのだった。

 

 

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○月×日 リヴァ

オーシャンゾーンで面白いことないかなー!ってぶらぶらしてたら

丁度あっくんを見かけたの!声を掛けようとしたら誰かと話してて…

それが女の人で…これはにおう!と思って観察してたら

あっさりひい君に否定されちゃった…昔馴染みのお姉さんだってー!

ちょっとつまんない…むう。

でも、いいわ!気持ち切り替えて、ゴーストデジモンが出るって噂のダンジョンに行きましょ!

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