No.682217

【デジナミ】金欠打開策【お花見】

最終日に滑り込み失礼しますー!
結局表紙つけなかった…後日もしかしたらつけるかもしれないです。
描いてる絵は間に合うだろうか…(仕事

お借りしました!

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2014-04-28 10:05:44 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:797   閲覧ユーザー数:773

「あー…困ったな」

桜が満開のブロッサムゾーン、お花見エリアにあるレストランに視線を向けなかがら頬を掻く。

デジヴァイスからウィンドウを開いて自分の所持金と持ち物を確認するが、大体持っている物は必需品、更には所持金はカツカツである。

「無駄遣いが多すぎマース。シンジはダメダメデース」

「十中八九お前のせいだぞメルキュン」

「What?Why?ワタシ無駄遣いしまセーン」

随分と悪びれないこの歯車型のデジモンは素知らぬ顔でひらりひらりと体を揺らす。

イラッとしつつ顔もひきつりつつだが、まだ怒る事はせずに言葉を返し、金欠である理由を彼に説こうと試みる。

「お前の素早さのパラが上がらないからいつも先制されて回復ディスクをよく使うし、MPの消費が高い技ばかり出すし、よく食べるし」

「シンジの指示が下手なのデース。後、技はワタシを引き立てるかっこいい技でなくてはいけまセーン。

最後に育ち盛りだから仕方ありまセーン」

「うわうっざ!」

試みてみたものの、そんな事はお構い無し。

逆に何故自分が理解してないのかと自信溢れる様で言われてふとこちらが悪いのではないかという錯覚に捕らわれるが、

いかんとも思い直して頭を振った。

「お前指示しても聞かないだろ!MP無駄遣いするな!後育ち盛りって柄じゃないだろ!あーもう…はあぁ…」

最終的に言っていて悲しくなってきたので、がっくりと肩を落とすと、ふとその肩に何かが触れる感触。

顔を上げればそこにはいつものパートナーの姿。

「シンジ……元気出してくだサーイ」

「大体お前のせいだから!!!」

ガッとメルキュンの本体部分、ギザギザした所を掴んで揺さぶったが、パートナーが反省するはずもなく、更に虚しさが募るだけだった。

 

「なあ、あれなんだ?」

パートナーのnightが鼻先で指し示した先を見ようともせずに「知らない」と答えたら、

サンダルのままの素足を勢い良く後ろ足で踏まれ、途端に激痛が走る。

「いっ…!いっ…!」

言葉にならない痛みに足を抱えてピョンピョンと飛び回る自分の姿を見ながら満足そうに笑う相棒がとても恨めしい。

「ま、見に行ってみるか。おいセツ、遊んでないで行くぞ」

「誰のせいだ…誰の…!」

少しずつ和らいできた足を擦りながら、スタスタと歩いていくnightの後ろを着いて行くと、なるほど人だかりが出来ている。

何が行われているかは分からないが、やはり興味に駆られ、人を掻き分けながら進んでいくと、

どうやら大道芸よろしく手品をやっているようだ。

「見えないな」

「俺は見えるよ」

「だろうなセツは無駄にでかいからな」

「無駄ってなんだよ」

人だかりの中心にいるのはくすんだ青い髪の少年だった。

人懐こい笑みを浮かべ、手にしたシルクハットから次々と色々な物を出したり、トランプを活用したりと中々に興味深い。

更にそれをサポートしているパートナーのハグルモンが大概自分の手柄のように威張り出したり、

やる気がなかったりとコミカルさもプラスされて、この人の集まり様であるようだ。

「おいセツ肩貸せ。乗せろ」

「はっ、何で…お、重っ!」

「グダグダ言うな」

頭の上にnightが顎を乗せた所で、観客に助力をして貰うタイプの手品をしていた少年の視線がこちらをがっちり捉えた。

「じゃあ、そこの頭の上にパートナーを乗せてる方、手伝って下さい」

「えっ」

「ハーイ、ご指名デース」

「うおっ、近過ぎるだろお前!」

「ワタシのイケメンさにトキメキを隠せないのデスねー?仕方ないデース。世の摂理デース」

「なんだこいつうぜえ」

どうやらnightには相性が悪過ぎる相手だったようで、

わざとらしく溜め息を吐いて見せるハグルモンに更にイライラを募らせているようだ。足が出るのも時間の問題だろう。

「メルキュンお前少し黙ってくれ」

「無理デース」

「いいか、黙ってる方が最近はクールでかっこいいんだぞ」

「…………」

「黙った」

言われた通りに黙り出した所を見ると、案外と単純なのかもしれない。

そんな事をぼんやりと考えながら、青い髪の少年に手招きをされ、そのまま手品の舞台へ上げられたのだった。

 

「手伝ってくれてありがとうございます」

手品のお代にとシルクハットに詰め込まれたアイテムやこのゲーム内の通貨であるbitを回収しながら彼は微笑む。

「構わないよ」

「これでくもちゃんにお菓子とかあげられるな」

ホクホク顔の彼を見て、ようやっと目的を解したnightmareは、頷きながら腕を組んで、撤収の準備が整った少年へと告げる。

「手品しなくても、レストランでバイトすれば料理貰えたんじゃないの?」

「えっ」

「うん」

一瞬の間。

その後に顔をゆっくりとパートナーへと向け、再度おうむ返しに「えっ」と同じ言葉を投げ掛ける。

「知ってマシター常識デース」

「言ってくれよ!!!」

「忘れてマシター」

「ほんっと……」

がっくりと肩を落とし、最終的に膝まで突いた彼と、シュールな動きでひらひらと飛び回っているハグルモンを見ていると、

まだ自分はマシなのではないだろうかと少し思えて、ちらりとドSのパートナーを横目で盗み見たのだった。

 

 

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○月×日    シンジ

くもちゃんとお花見をする為に料理を用意しようと

したんだけど、手持ちのアイテムもお金がなかったから

手品で何とかしようと思って、見に来てくれたお客さんにも

手伝って貰ったのに、そのお客さんから言われた衝撃の事実は

「レストランでアルバイトをすれば料理が貰える」だった…

メルキュン早く言ってくれよ…

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