No.676042

新・戦極†夢想 三国√・鬼善者を支える者達 第025話

久々の恋姫投稿。

最近漫画の置き場所にガチで困っていますww
いやまぁホントに。
今回後半は紅音の話です。

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2014-04-03 23:38:10 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:1419   閲覧ユーザー数:1292

新・戦極†夢想 三国√・鬼善者を支える者達 第025話「忠誠と涙」

重昌は西涼に帰り次第、新たなに配下に加わった華雄、皇甫嵩、董卓、賈駆、孫権、甘寧の任官式を行った。

しかし、帰ってきたら帰ってきたで、長安への移転などと仕事も山積みであるので、とりあえずは主要メンバーだけを集めて軽い盃だけ交わす程度の飲み会を開いた。

臣下の儀を執り行うとして、いつものごとく重昌が用意した酒に彼の血を二、三滴混ぜ、今回新たに加わる者の杯にそれが配られた。

だがその酒を皆が一斉に飲み干すと、異変が起きた。

「………貴方、もしかして、一刀なの?」

最初にそう言ったのは孫権であった。

それ以前に一刀はこの世界の孫権に真名の交換をしておらず、何故この世界の孫権が一刀の名前を知っているのかとも思った。

しかしその表情は何処かで見たことがある感じに見えた。

それは遥か昔に無くした愛しい人。

すると、他の者も董卓も一刀に対して「ご主人様?」と、賈駆も賈駆で「もしかして、バカ君主!?」などと節々に何かを思い出したかのように、そして一刀と愛紗にとっては懐かしい響きが耳に鳴る。

自身もまだ頭の中が整理出来ていないまま「蓮華達……なのか?」などと答えると、彼の名を呼んだ三人は、一斉に一刀に飛びついた。

それでも一刀は彼女らに何が起きているのか皆目検討がつかなかった。

皆が落ち着き、改めて話を聞くと、重昌に注がれた酒を飲んだ瞬間に、皇甫嵩以外の5人の中に、とある記憶が蘇ったという。

その記憶とは、一刀にとっての始まりの外史のことである。

尚、一人飛びつかなかった甘寧も思春としてしっかり記憶を取り戻している。

なぜ飛びつかなかったのかというと、蓮華曰く「恥ずかしかった」からだそうだが、本人は顔を赤く染めながら全力で否定していた。

だが何故この様な現象が起きたのか、重昌はある仮説をたてた。

理由は判らないが、彼女らは重昌の『血』を飲んだおかげで記憶が蘇った様であった。

一刀の話によれば、皇甫嵩は前回の外史に登場していない。

つまりこの作用は、前回の外史で『北郷一刀』と関わりを持った人物のみに影響するようだ。

華雄に関しては、記憶が蘇ったと言うより、「以前夢の中で斬られた様な」程度であったので、この記憶介入方も絶対ではないらしい。

そして改めて一刀により皆の紹介がされ、新たに影村軍に介入した将は、各将と真名の交換を行い、本日の軽い飲み会は終了した。

これにより、新たに各将の隊の割り当ても決められた。

馬騰・前線復帰。

復帰と言っても既に隠居した身であるので、改めて当主に返り咲く権利はなく、本人もそれは望んでいない。

影村軍の中で、ならず者達が集まる、一番厄介で最強の『鬼兵部隊』の隊長へと就任した。

皇甫嵩・元王宮近衛部隊隊長の実績が認められ、葵と共に『鬼兵部隊』に配属され、副隊長に任命される。

張譲・漢王朝での自らの地位を全て捨て、重昌に付き従うことを決め、犯した罪もあり、地位が安定するまでしばらくは彼の補佐役を命じられる。

華雄・影村軍の新たな将として歩き出し、近々発足する重昌の新たな私兵部隊の隊長を務めることが決定しており、部下に董卓と賈駆を付けることを命じられる。

流石にかつての主君を自らの下に置くことは拒んだのだが、半強制的であったので渋々了承する。

ちなみに月の方はこの件に関し、むしろ喜んで了承したという。

董卓・名を李儒と改名し、影村軍の文官の一人として身を置くことが決定した。

また華雄に付くことを命じられた際、彼女は彼女で喜んで引き受けている。

これからは彼女が華雄の抑え役にまわることであろう。

賈駆・洛陽で劉弁の暴政を影から抑えていた知性と、反董卓連合相手に、一人でその知識を振るったことから、影村軍の軍師の一人として認められ、重昌からは華雄の専属軍師に命じられる。

勿論この命令に当初は不満たらたらであったが、喜んでかつて自らの臣下に仕える親友を見て彼女も「先生と月が言うなら」と言いつつ、渋々了承した。

そしてその日の夜。

重昌は瓢箪と盃片手に城の城壁の上にいた。

月を魚に晩酌をしており、飲んでいた瓢箪が空になりかけた頃、それを見計らってか恋歌が新しく酒の入った瓢箪を持ってきた。

「流石私の嫁さんだ。用意がいい」

彼は盃をそのまま恋歌に向けると、彼女はそのままトクトクと注ぎ、彼はその盃をまた空にする。

その動作が数回行われると、恋歌の方から口を開いてきた。

(みやび)ちゃん、あの子もなかなかいい娘じゃない。なんで真名を呼ばれることを嫌がっているのです?」

雅とは、華雄の真名のことである。

「……本人曰く、恥ずかしいそうだ。名前と雰囲気が合わないと言って」

「ええっ?とても似合って可愛いですのに」

「………そうだな」

恋歌の問いも何処か上の空で聞いている重昌に、恋歌は彼にまた訪ねた。

「どうしたんだい?いつもは酒を飲む時私を誘う癖に、今日は一体なんなんだい?」

恋歌は重昌と二人でいる時は、大分フランクな喋り方になります。

盃の中の酒に映る月を見ながら、彼は恋歌に語りかけた。

「………恋歌、また俺は、友達を無くしたよ」

少し沈んだ声で話す。

「そいつは俺なんかが淹れる茶が好きだったらしく、戦場で自分の惚れた人物を救うために命を落としたよ。全く、何やってんだか。自分が死ねば元も子無いのに」

彼が持つ盃の手は震えており、盃一杯に注がれた酒は、少し溢れ始めていたが、恋歌は重昌の頭をそっと抱えて自分の胸に押し当てるように持ってきた。

「………泣くかい?」

彼女はそう尋ねたが、彼は頭を振って否定した。

「全く、あんたは元々泣き虫なんだからね。たまには泣いて発散するのもいんだよ?」

それでも重昌は泣かない。

自らに下した罰の為、彼は泣かない。

彼の涙は既に枯れているのだから。

その代わりに彼は言った。

「もう少し………このままで」

しばらくすると、恋歌の胸にうずくまった重昌の頭から、彼の規則正しい寝息が聞こえてき、彼の手はダラリと下がり、注がれた盃と一緒に酒も城壁上にこぼれ落ち、月明かりの下、城壁下に映る影には重昌が恋歌にもたれかかるように、二人が一つになった様なシルエットが写し出されていた。

オマケ回

今日も一日が終わり、葵と紅音は近くの酒屋に飲みに来ていた。

「ぷわっはっはー。やっぱり仕事終わりの酒は格別だぜぃ」

注文した酒とツマミが来た瞬間、それぞれの入れ物に注がれた酒をカチンと鳴らしてまたそれぞれの喉に潤しを求めて駆け込む。

紅音が軽く喉を潤す程度に飲んでいると思いきや、葵は豪快にそのジョッキ程に注がれた酒を飲み干していた。

「相変わらず飲むわね。一応病み上がりなんだから、少しは抑えなさい」

「病み上がりっていつの話よ。俺が病気してたのなんて、もう大分前の話じゃないか」

そう大笑いしながら話す葵に、紅音は「やれやれ」と言わんばかりに酒を飲む。

「それにしても………色々あったわね」

「ホントだな。重兄ぃがいなければ、今頃俺もお前もこうして酒を飲んでいることなんて出来なかったかもな」

実はまだ西涼が葵の統治であった際、同盟と義姉弟の契りを交わした韓遂に裏切られる事件が起き、重昌はその韓遂の謀略を防いだのだ。

さらに時を同じくして、彼の見立てで葵に病気が判明した際、早期発見が幸を呼び、彼女は重昌に後を任せて悠々と隠居にこぎつけた。

ちなみにその時に葵は重昌と義兄妹の契りを交わしたのだ。

韓遂に裏切られて間もなかったので、これには色んな障害がついてまわったのはまた別の話。

やがて酒は進んでいき、店が閉店に近づく頃には、葵は既に酔いつぶれて寝てしまっており、紅音は葵を背負って、城までの道のりを歩いていた。

【確かに……重昌様がいなければ、今の私も無かっただろうね】

それは洛陽でのことであった。

重昌指揮の下、連合は洛陽復興に向けて全力をあげ、街の瓦礫撤去などを終えた辺りで、紅音は自宅にて白装束を着ていた。

机の上には自らの遺書。

彼女は近衛の隊長として働いていた際、その強さと美しさから多くの男性の憧れの的ともなり、その美貌は劉弁にも目を付けられていた。

彼はそんな彼女を閨に誘ったが、結果は聞くまでもなくであり、断られた腹いせとして彼女の飲み物に薬を仕込み捕まえ、最終的に彼女を縛って強姦した。

そんな強姦魔にいつかは誰かに捧げる筈であった処女を散らされるだけで、彼女の苦痛は終わりではなく、そこからが更なる地獄の始まりであった。

劉弁は毎晩の様に彼女を嬲り、さらに自分が飽きると、あの忌まわしき地下へ彼女を幽閉した。

彼女は朝昼晩問わずに、多くの男達の慰み物にされ、何もかも絶望をし諦めかけた頃に、あの反董卓連合が起き、その混乱に乗じて地下より脱出。

身を潜めている間に洛陽での事情を知り、この混乱を収めてくれる人物を待った。

そして現れたのが影村なる男だ。

地下に幽閉されていた際、男は憎悪と嫌悪の対象でしかならなかったが、彼は違った。

傷つき倒れた者、家族を失った者、足や腕を失った者などに対しても親身に検診を行い、さらに自分の友人である月も一目置いていたという。

本来、月は人見知りで、見たこともない人物に心など許すはずも無かった筈である。

そんな彼女が一目置くのであれば間違いはなく、その考えも間違いでは無かった。

彼になら劉協様も任せることは出来る確信も出来た。

これで悔いはないと思い、彼女が剣を抜き去り自分の首を切ろうとした際、彼女の自室の扉が突然開き、そこには重昌が立っていた。

何用かと思えば、彼は酒を片手に紅音に対しニカッと笑いながら「一杯やろう」と言った。

突然のことで戸惑ったが、最後に飲む酒も悪くないと思い、その重昌の申し出を快く了承した。

彼に注がれた酒は鼻を潰すようなキツイ匂いで、喉に熱が溜まるような飲み物であり、だがしばらく飲んでいると、その酒もなかなか旨みを感じるようになってきた。

「……この不思議な酒はなんですか?」

「これは、日本酒だ。米を発酵させて作った、私の国の酒だ」

言っていることは良く判らなかったが、米から酒が出来る事実を知り、まだまだ大陸は広いことを彼女は知った。

「それで、ここに何しに来たのですか?」

彼女はそう聞いた。

自分はこれから死ぬ。

その決心は変わることは無いし、これから死ぬ者に対し何しに来たのだと。

だが彼は少し恥ずかしそうに言った。

「私はお前をもらいに来た。……男として女の君を」

彼女には彼が何を言っているのかが判らなかった。

拘束され、嬲られ、慰みものにされたかつての近衛女隊長をもらいにきたと言うのだ。

そんな彼の案を、怒りも通り越し呆れてしまった。

「影村殿、判っているのですか?私の体h「汚れてしまっている……か?」……えぇ、そうです。私の体は既に汚れている。そんな中でその様な同情は、返っていい迷惑です」

重昌の紅音を見つめる瞳を彼女は直視出来ず、逆に顔をそらせてしまうが、重昌は彼女の両肩を持ったので、彼女もビックリしたのか彼の顔を見てしまう。

「同情?そんなのではない。私は、君に惚れたんだ。特に君が奏でる琴の音に、その指先に。あんな音を奏でる君が汚れているはずなんかない!!」

それでもまた彼女は視線を逸らし、彼の手を振り払った。

「それでも………もし、私が貴方の傍にいれば、貴方の地位さえも危ぶんでしまいます」

紅音は剣を取り出してそれを重昌に渡してきた。

「どうか、介錯をお願いしたい。私は、あなたにならこの身を切られてもいい」

清々しい笑顔で重昌にそう頼むその表情は、一切の迷うもなく、その美しさに彼も少したじろぎ頭をガリガリと掻いた後、彼女に訪ねた。

「だったら、皇甫殿。もし、君の体が汚れていなかったら、私の思いを受け入れてくれていたのか?」

彼女は「え?……えぇ?」と言いながらも、顔を赤く染めて、小さく頷いた。

そんな彼女を見て重昌は高らかに笑い、彼女の腰を持って自分の体に抱き寄せた。

「汚れている?地位?名声?そんなもの、惚れた女の前でなら霞んで見える。不名上等、『色欲魔』と揶揄されようが上等。地獄の閻魔にこんな美人を取られるぐらいなら、私が奪ってやる」

そして紅音は彼にお姫様抱っこで抱えられると、彼女の部屋の寝具に連れて行き、そこに彼女を寝かせ、自分はその彼女の隣にいき紅音を先寄せた。

「私は今までの男とは違う。君が望まないのであればこれ以上のことはしない。私は、君とこうして、二人きりになりたかったのだから」

そんな彼の胸に収まり、紅音もその腕に抱かれる幸福感に包まれるが、彼の下半身を見れば、彼の雄を象徴するとある一部が、高らかに憤りを上げていた。

また彼の顔を見返すと、彼は恥ずかしそうに鼻をポリポリと掻き「そりゃ、私も男ですから」と言い、そんな表情に、紅音もクスリと笑いを堪えずにいた。

そして彼に言った「……もし、よろしければ。……こんな私でよろしければ……抱いてください」っと。

そこから二人は真名を交換し、彼女は真の幸福感に包まれた。

今まで男により無理矢理与えられていた快楽も、彼に与えられた快楽はそれとは比べ物になるものではなく。

彼女は重昌に本当の意味での女性の幸せを教えられた。

これが、紅音が王朝での地位を捨ててまで重昌についてきた理由である。

実際、重昌が紅音を配下として、また側室の一人として迎えると宣言した際、彼をよく知る者は何も言わなかったが、世間は彼を「色欲魔」や「所詮、顔が良ければ、誰だっていいのだろ?」と言っていたが、彼はそれを笑って流したのだ。

これらも彼女は戦い続ける。

自分の為に、新たに出来た仲間の為、そして愛すべき男の為に。

 


 
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