『帝記・北郷:十五~人間~』
合肥の決戦は新魏の勝利に終わった。
孫権の身柄を確保することは出来なかったが、多くの兵士を討つまたは生け捕り、甘寧、呂蒙といった主要な将を捕えられた孫呉に再侵攻の力は無く、地方豪族の一部はすでに北郷軍への臣従を願い出始めていた。
そんな中、新魏軍は合肥で兵を整え侵攻の構えを見せながら孫呉を威圧しさらなる離反者を誘発させ、孫呉の主力は荊州へ行く道中から帰還した風炎の軍を中心に合肥の敗残兵を受け入れながら迎撃の態勢を見せていた。
濡須。
合肥から辛くも脱出した将兵達は、魯粛軍によって作られた陣営に集結し態勢を立て直すと共に実質的な呉の跡継ぎである孫尚香のいる建業からの指示を待っていた。
それと同時に行方知れずとなっている蓮華の捜索の為に明命を派遣。その安否の確認にも全力を注いでいる。
「残兵をかき集め、付近のまだ孫呉に忠誠を誓う豪族から兵を募って……ようやく三万か。新魏軍が来たらひとたまりもないな」
他人事のように言いながら筆を進めるは、現在濡須守備軍の最高司令官である魯粛こと風炎。
口ではそう言いながらも、冥琳を超えるとも言われる稀代の戦略家は新魏の侵攻はまだ時間がかかると推測していた。
新魏は洛陽一帯に旧魏の勢力を抱え、長安の方向には恭順の意思を示しながらも油断の出来ない劉備への警戒もある。
その状況下で不用意に孫呉に侵攻して泥沼の戦いを展開するよりも、こちらが内部崩壊するような手を打ってくるはずだ。
「元々豪族の集合体に近い国柄だからな…孫家の屋台骨が二度も折れた今、分裂させるのはそう難しいことじゃない」
「一回目はお前の責任も大きいんだがな」
書簡を手に天幕に入ってきた隻腕の若武者の言葉に風炎は筆を置きながらそんな軽口を叩く。
龍志もあのまま濡須に同行して風炎の副官を務めていた。
大陸屈指の戦略眼と発想力を持つ風炎に、国志無双の戦術眼と統率能力を持つ龍志。
おそらく今現在における三国でこれほど恐ろしい組み合わせは無いだろう。
「で、何か用か?」
「ああ、頼まれていた糧秣の調達が終わったからその報告だ」
手にしていた書簡を机の書簡の山に重ねる龍志。
「未処理はこっちだったか?」
「その隣だ」
おもむろに隣の小山に置きなおした。
「で、その分裂策だが、呉事態はどう動くかな?」
「十中八九、降伏だろうな。牡丹様は孫家というよりも孫呉という国を護ろうとされる方だ。加えて今回は漢王朝という後ろ盾がある…曹魏の時よりもまとまるのは早いだろう」
「意外だな。君と牡丹はもっと仲が悪いと思っていたが?」
「悪いさ。しかしそれとこれとは話が違う」
牡丹こと張昭と風炎の仲の悪さは、三国志演義を読んだことのある方ならば察しはつくと思う。
実はこの二人、孫呉の陣営ではそこまで多いという訳ではない徐州出身者である(それなりにいることはいるが)。
現代の日本でさえ、同じ県の出身者というのはそれなりに親近感が沸くものだ。まして千八百年前の中国。同郷というのは非常に大きく、勢力内に出身地によって派閥ができることも歴史を紐解けばかなりある。
ちなみに同郷というだけでなく、名士としてどの地で評価を受けたかというのも大きい。徐州出身の諸葛亮が荊州名士として名を馳せているのが良い例だ。
名士と聞いても我々はピンとこないが、当時の名士と言うのは豪族以上の発言力や影響力を持ち、彼等の力がなければ国家の経営は成り立たず、しかし重んじ過ぎれば君主の権力を脅かしかねないという程の存在であった。
歴史的に見た曹操と荀彧、孫権と張昭の対立の原因の一端がそこにある。
さらに補足するならば、当時の名士のほとんどが掲げていたのは『後漢王朝の再興』であり、張昭を始めとする呉の文官が実質はどうであれ漢帝を擁立する曹操に降伏を唱えたのはそういう意味でも必然である。まあ、保身の意味合いも無かったとは言えないが……。
なにはともあれ、同郷であり徐州名士である魯粛と張昭(作中では風炎と牡丹)の確執の原因は大きく二つある。
一つは、思想の違い。歴史的に見て魯粛は漢王朝に敬意など持っておらず、かなり早い段階で孫権に帝位即位を薦めている。これでは名士の中の名士である張昭とウマが合うはずがない。
もう一つは国内の世代格差だ。程普と周喩が始めは折り合いが悪かったことからも解るように、呉の内部には世代による確執があった。
まあ、この辺を詳しく書いて言ったら話がまとまらないので、そんな背景があるんだなぁ程度にこれから読む中で覚えていてもらえれば幸いである。
話を戻そう。
「まあ、今回ばかりはやむをえないだろう。今ここで争えば、呉国はそれこそ千年の衰退を起こしかねんからな」
そう言って風炎が深々と溜息をついた時だった。
凄まじい勢いで一人の兵士が天幕に入って来るや、息も絶え絶えに膝を付く。
「何事だ?」
その兵士の背をさすりながら、龍志はその兵の鎧がかなり損傷を受けていることに気付く。
「い、一大事…です……蜀軍の…侵攻により……荊州において我が国は…領地を失いました……」
「なにぃ!!」
思わず椅子を飛ばしながら立ちあがる風炎。
龍志も愕然とした表情で兵士の顔を見つめた。
しかし、兵の顔は疲労困憊といった有様で戯言を述べているようには思えない。
ザワリ
一迅の風が天幕の入口を揺らした。
同じ報告が、合肥に駐屯する新魏軍にも届いていた。
合肥で大勝利を治め、勢いに乗って進撃してもおかしくない新魏軍が未だにここにとどまっているのは、呉を威圧する為や万が一の時にすぐさま都に引き返す為と言うのもあったが、他にも理由がある。
新魏軍の理想としては、早急な孫呉の平定の為にも蓮華を捕縛することが望ましかった。しかし彼女は生死不明。姉である雪蓮は修行から帰ってきていない。
また、先の戦で美琉が行方不明になり、華雄も蓮華が河に落ちたことを告げるやどこかに行ってしまったという事も大きい。
主力の将二人を失い、元より長期戦を避けたい新魏軍は政務の都合でまだ到着していない蒼亀の軍を待つのも兼ねて、蓮華、美琉、華雄の行方を追いながら合肥で息を整えることとなったのである。
「何だって!それは本当なのか!?」
「はい。先程荊州方面に放っていた密偵が、敗残兵を連れて戻って来ました。どうやら蜀は二十万もの大軍を動員して、荊州南郡を完全に制圧したようです」
炎の言葉に諸将の間に動揺が走った。
二十万。それほどの大軍は蜀のほぼ全軍に等しい。つまり、蜀は漢中や益州の守りを捨てて荊州を攻撃したという事になるのだ。
だが、長安の秋蘭や襄陽の曹仁。そして蜀に勅使として派遣された紅燕の報告からはそのような形跡は見られない。
「それが。敵軍は荊州の蜀領土で急にその数を増したため、呉軍は対応が間に合わなかったとか…しかもそ奴等は一様に白装束だったとのこと」
「白装束!?」
再び諸将の間に緊張が走る。
白装束の集団。それは彼等が龍志や蒼亀から聞かされていた曹操暗殺事件の黒幕であり、彼等にとっての最大の敵である可能性が高い。
いや、そう考えて間違いはないだろう。
「さらに、南郡の諸城を奴等が襲った時、急に霧が立ち込めたり空に龍が現れたりといった奇怪な出来事が相次いだとか……」
「それはまさか…」
「妖術ですね。それも初歩的な」
その声に一同は会議場入口に立つ人物を見る。
「遅くなりました陛下」
「蒼亀さん……」
蒼い礼服に冠という何時もと変わらないいでたちの天才軍師は会議場の中央まで歩くと、一刀へ恭しく頭を下げる。
その冷静な立ち居振る舞いに、不思議と諸将の心は落ち着きを取り戻していった。
それを狙っていたのかどうかは知らないが、蒼亀は文官の首席の位置に立つと一刀に発言の許可を得るように手を軽く掲げ、彼が頷いたのを見て口を開く。
「正直うかつでした。劉備は曹操殿を誤射して以来、心身衰弱状態であったと聞いています。そのような状態を、于吉達が見逃すはずがありません」
「じゃあ、すでに蜀は……」
「ええ、敵の手に落ちたとみて間違いないでしょう」
う。と誰かが呻いた。
無理もない。洛陽を中心とした一帯ではなく、益州という天険の地を拠点にした蜀が敵に回ったのである。洛陽も山岳部や虎牢関、函谷関によって守りを固められた要害ではあるが、新魏の拠点に近いという利点がある。しかし益州は中原から遠く、進軍だけで凄まじい労力がかかってしまう。
加えて蜀は天府と呼ばれたほどに肥沃な大地を持っている。蜀と言うと僻地のイメージが強いが、三国の内唯一、諸葛亮が侵攻先で行ったものを別にして屯田制を国内で導入せずに済んだ国でもあるのだ(元々兵力が少ないことや未開地が多い事もあるが)。
「攻めには適さないが守りには強い天険の国・蜀…少ない兵力も白装束共のせいで補われ、それを率いるは大陸屈指の名将達に妖術使い……かなり不味いねぇ」
藤璃が乾いた笑みを浮かべる。
「しかし、それならばどうして呉に攻め入ったのです?呉と共同戦線を組んだ方が我々と戦う上では有利なのでは?」
「理由は幾つかあるわ」
周倉の疑問に答えたのは躑躅だった。
「一つは、いかに王としての重責を感じているとはいえ、孫権は簡単に傀儡にできるほど精神が不安定じゃなかったのでしょう。私はあまりそちらは詳しくないから予想に過ぎないけど」
ちらりと蒼亀を見ると、蒼亀は小さく頷き予想が間違っていないことを告げる。
「仮に傀儡にできたとしても、解けやすい暗示しかかけられなかったでしょう」
「それから、孫策の身柄を私達が押さえていたこと、同程度の器の前王と新王じゃあどちらに軍民がついてくるかは自明の理でしょう?」
蓮華を傀儡にしても、こちらに雪蓮がいる以上は効果は薄い。むしろ蓮華の行動を逆手にとることすら不可能ではない。
「それらを踏まえた上で、私達が版図を広げる前に呉の領地をできるだけ削り取りたいっていのが最終的な理由でしょうね」
やれやれと躑躅は美しい柳眉を八の字にして肩をすくめた。
「正直、見くびっていましたわ。まさか蜀がこんなに早く落ちるなんて…紅燕。何かしら予兆は見られなかったの?」
「そうねぇ…勅使が来たにも関わらず劉備は重病ってことで出てこなかったわ。でも、兵の様子や将達の雰囲気から、侵攻の準備をしているようには思えなかった……何時から劉備が敵の手に落ちていたかは解らないけれど、事の引き金を引いたのは私達見たいね~」
躑躅と同じように肩をすくめる紅燕。
言葉には出さないが、二人とも龍志戦死の報告で判断力が鈍っていたのは否定できないのだ。何時も通りに見えるが、その実腹の中は軍師の誇りを傷つけられた悔しさと不甲斐なさで煮えくりかえっているだろう。
「じゃあ…これからどうするかだな」
一刀の言葉にまず進み出たのは、やはり筆頭軍師である蒼亀。
「いかに兵が増産でき、妖術を使えると言っても蜀の国力で天下を取るのは容易いことではありません。むしろ敵の狙いは時間稼ぎにあると言えるでしょう」
「時間稼ぎ?」
「ええ。おそらくは強力な妖術…我らを瞬く間に壊滅させるような大禁呪を」
「なっ!?」
蒼亀の言葉に声を失う諸将。
大陸の半分を有する漢帝国と新魏軍を一瞬で壊滅させるような妖術があるというのだ。
もしそうなれば、古くは幽州から始まった彼等の戦いは全て無意味なものと化す。
「しかし、それらの妖術に適した霊地は我々の協力者により監視体制にあります。あと考えられるのは洛陽と益州。この二つのどちらか、あるいは両方で術式を完成させるための儀式が行われているはずです」
そこで。とここで蒼亀は一呼吸置き。
「我らはこれより本国に帰還し、まず長安方面に増援を送って漢中からの攻撃に備えます。白装束の力により兵力を得た蜀が動くとすれば、こちらの主力がこの地におる今をおいて他にないでしょうから、これは一刻の猶予もありません。同時に襄陽の曹仁殿の元にも援軍を送り荊州と呉に侵攻している蜀軍を後方から牽制してもらいます。その間に陛下は兗州方面から洛陽を攻撃してください。元々は四方からゆっくりと止めを刺していくはずでしたが…時間がありません。そして洛陽を陥落させた後は、全兵力を持って蜀攻略に移ります」
「しかし、そんな動きに対応できるだけの兵士はどうするの?それに、呉への対策もなされてないわよ」
「曹操殿のおっしゃる通り。まずは兵力ですが、これは軍師として進言したくない策ですが、青州黄巾党と国境の守備に当たっている人員を可能な限り動員しましょう。異民族対策は薄くなりますが、烏丸、鮮卑は義兄さんとの協定をまだ守っていますし、匈奴は青鸞の政策がまだ生きています。彼等をうまく取り込んで他の異民族への防壁にしましょう。兵力はこれで賄えるはずです。問題は呉ですが……」
苦虫を噛み潰したような顔を一瞬だけ浮かべ、蒼亀は言葉を紡ぐ。
「孫策殿が戻っていらしていたら、彼女を送り込めば事足りたでしょうが、まだお戻りになられていません。また、敵も呉の豪族が我々につくことがないように手を打ち始めているでしょう。それらの謀略に抗いながら、圧倒的な兵力を持つ蜀と戦戈を交える……それだけの将器を持ち、かつ呉の人民の支持を受けている人物」
ふっと彼は笑い。
「それにはぴったりの人物がいるじゃないですか……」
再び濡須の呉陣。
昼間の報告を受けて、陣営はにわかに慌ただしく動き始めた。
柴桑で迎撃態勢を整える冥琳の元に龍志と穏が一万の兵を引き連れ向かい、風炎は濡須の守備をしながら新魏の動きに合わせて動く。
大まかにいうとそんな方針を決め、明朝の出立の準備を整えた龍志は昂る気持ちを覚ますべく、陣営から離れた長江の畔でぼんやりと河を眺めていた。
彼の身を焼く思い。
それは今彼が、いやこの世界が直面している状況と似た経過を辿り崩壊した外史への哀悼とその再来を防がんとする決意。
「華龍…」
初めて仕え、初めて愛した少女・秦の始皇帝。
彼女が歴史とは全く違う形で作った国は、管理者達にその世界ごと破壊された。
外史は邪道だから、そんな言いがかりによって。
「………」
握りしめた右手を見る。
あの頃の自分には力が無かった。
吹き荒れる妖術。死に物狂いで習得した兵法を無為なものにされる悪夢。
蒼亀がいなければ何度死んでいただろうか。
自分を守ってくれた仲間達がいなければ、こうして命をつなぐことができただろうか。
「……今の俺には力がある」
あの時と同じにはいかない。負けはしない。
管理者達の屍の山を築き、『祟り成す龍』と恐れられた身は伊達ではない。
しかし……。
「だが、俺の胸から離れないこの躊躇いは何だ?」
何だ。とは言ったが解っている。
怖いのだ。
人外の力を使えば、今まで人として彼がこの世界で築いてきた関係は崩壊しかねない。
二度と、一刀の元に戻れないかもしれない。
人あらざる力の持ち主を誰が好んでくれようか。
道具としてではなく人として。
「自らの意思の存在を疑いながらも、その意思が織りなしたものを惜しむ…か。皮肉だな」
「しかし、それが人間と言うものでしょう」
背後の闇から声が聞こえる。
聞きなれたそれに、龍志は振り返ることなくただ一言。
「やはり来たか」
「ええ、こうなった以上、義兄さんに会わないわけにはいかないでしょう」
闇から影が出てくる。
それは月光に照らされて、その容貌を露にした。
「それは、俺に呉をどうにかしろと言う話の為か?」
「おや、お見通しでしたか」
影―蒼亀はさして驚いた風もなく言う。
「雪蓮が戻っていないんだろう?この間夢奇先生がそう言っていた」
「修業中…ですからね。戻ってきたら期待できますよ」
ふふふと笑う蒼亀に、口の端を歪める龍志。
「で、お見通しだってことは何か策が?」
「少々な。まだ不完全だが、とりあえず蜀軍の一部を釘付けには出来ると思う」
「そうですか…まあ、あなたのことだから何とかして下さるでしょうが」
「ふ、天才軍師殿に言われるとは心強い」
「ええ、天才軍師のお墨付きです。あ、これは役に立ちそうなものを詰め込んでみました」
そう言いながら蒼亀はどこからともなく取り出した大きな革張りのトランクケースを龍志に差し出した。
「…軽くオーパーツだなこのトランクは」
「中はもっとオーパーツですよ」
何を持って来たんだ一体。と言った顔をする龍志に、裏ルートで手に入れるのは大変だったんですよと悪びれた様子の無い蒼亀。
血の繋がらない兄弟の、兄弟としての久し振りの時間。
「それからこれは北郷様からです。」
「一刀から?」
蒼亀が差し出したのは四つ折りにされた一枚の小さな紙。
「あなたと連絡をとってみるつもりですけど、何か伝えたい事はありますか?と言ったらこちらを。随分迷われたらしくて、夜に私が出てくる寸前まで部屋にこもられていましたよ」
蒼亀の言葉を聞きながら、龍志は受け取った紙を開いていく。
そこには短く、こう記されていた。
『待ってる。龍志さんに何があろうと俺は待ってる』
「一刀…」
胸が熱くなる。
彼は自分の悩みなど知らないはずだ。だが、今自分が最も欲しかった言葉はこれだ。
待っている。
(一刀…君は俺が人間をやめても待っていてくれるのか?…いや、愚問だな。君は待つんだろうな。忘れていたよ、君はそういうやつだった)
「……義兄さん」
「ああ…」
「自己の意思と外史の定めに悩む気持ちは、管理者だった者として解ります。しかし…今は前に進みましょう。五百年の歳月の果てにようやく仰いだ主…その御心の為、そして五百年の間に散らした命の為にも」
「そうだな…」
一刀からの紙を再び四つに折って、龍志は丁寧に胸元にしまう。
リーン
彼の首に釣られた鈴が、澄んだ声をあげた。
その頃、揚州の四ヶ所の地にて。
「こっちよ美琉。ここを出れば柴桑はもうすぐだ」
「気安く真名で呼ばないでください」
「はぁ…そうツンツンしないでいいじゃない。私の曼珠っていう真名も預けたんだから」
「……孫呉の天下、それを繋ぐ方策…それにはやはり……」
「風炎さ~ん。早く寝ないとお肌に悪いですよ~」
「ああ、すまないな穏殿」
「星が美しいな今宵は…こんな夜は酒に限る」
「星ってば、なんだかんだ言いながらいつも飲んでるじゃない~」
「…ふん。今の蜀では飲みたくもなる。お前もそうだろうが陳到将軍」
「どうかしらね…それよりも真名で呼びなさいよ~」
「ふ、これはすまなかったな揚羽」
「龍志様…」
「おう姐ちゃん。こんなところでどうしたんだい?」
「……野盗か」
ザンッ
「ギャアアアアアアア!!」
「……龍志…様」
北郷一刀の一の臣にして五百年を生きた人を超えた龍・龍瑚翔。
彼の長きにわたる旅路の終焉が、近付いて来ていた。
後書き
お久しぶりです。タタリ大佐です。
しばらく外伝を書いていたので、そちらを読まれていた方はそこそこお久しぶりです。
とりあえず、第二部は一刀と龍志の二人の話ということでしたが…うん。やっぱ龍志寄りです(笑)
さしあたり、第三部(最終章です)はほぼ一刀の話になると思うのでしばしご容赦を……。
ちなみに、今回の最後に出てきた人たちの内四人が、龍志編のメインヒロインになります。
正直、だれをメイン中のメインにしようかは悩んでいるんですが…。
A:クーデレ眼鏡の美琉で決まりっしょ!
B:ちょっとツンデレ男勝りな風炎だろ!
C:まだまだ未知数なおっとり巨乳の揚羽に期待!
D:原作キャラだが華雄でいいじゃん!
E:てめえ、あんな外伝書いときながら思春は無視かよ!
とまあ、こんな感じで脳内が大変な事になっちょります。
皆さんは何か御意見等ありますでしょうか?反映できるかは解りませんがお聞きしておきます。
では、再開した帝記・北郷を今後もよろしくお願いします。
追伸
今回の戦略に関する補足は今後もしていきますので、現段階での多少の無理は目をつぶってください。
後書き
人を超えた人として
北郷一刀の友として
柴桑にて蜀軍と死闘を繰り広げる龍志
そんな彼の前に現れた人物は、予想だにしない人物であった
帝記・北郷:十六~五百年の敵~
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お久な帝記・北郷の続き
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