2月14日、バレンタインデー。
女性が自分の好きな男性にチョコを送るという、それはそれでなかなかに素敵な行事が存在する。
この日の為に多くの女性は、自分で作ったり店で買うなどしてどうにかチョコを調達する。誰に本命チョコを渡すのか、誰に義理チョコを渡すのか、それは人によって違うだろう。
では、OTAKU旅団のメンバー達はどうなのだろうか?
今回は、彼等の様子を覗いて見るとしよう―――
まず、Blazの場合…
「Blaz~♪」
Blazの部屋にて、右目に眼帯を着けた少女がBlazに向かって抱き着いているところだった。
「ん、ニューじゃねぇか。どうした?」
「はいこれ、チョコレートだよ~」
「チョコ? …あぁ、そういや今日はバレンタインデーだったか。サンキューな、ニュー」
「えへへ~♪」
Blazに頭を撫でられ、猫のように彼に頬を擦り付けるニュー。
ちなみにその陰では…
(本当にあれで良かったんですか? 鈴羽さん)
(良いってば。チョコ作りに私達も協力してるなんて、いちいち伝えるのも野暮ってもんでしょ?)
クロガネのクルー達が、こっそり聞き耳を立てていたという。
ルカの場合…
「ほら、何してるのアキヤ? さっさと次の買い物に付き合いなさい!」
「ちょ、待ってくれよアリサ…!!」
海鳴市にて、アリサの買い物に付き合わされているところだった。アリサが手ぶらなのに対し、ルカは両手に荷物を抱え脇に荷物を上手く挟み込む事で、どうにか持ち歩けている状態だ。
「えっと……ごめんね、アキヤ君。そんなに苦労させちゃって」
「い、いや、良いんだよすずか。女の子に重い荷物は持たせる訳にはいかないから…」
「すずか、謝る必要なんて無いわよ。その馬鹿は私達に今まで連絡というものを一つも寄越しちゃくれなかったんだから、心配させた罰って奴よ」
「く、アリサが鬼畜過ぎる…!!」
ルカは両腕がプルプル震えてきているが、荷物を落とさぬようどうにか耐える。そんな彼に隠れて、アリサとすずかはコソコソと話す。
(で、でも、このままじゃ何だか悪いよアリサ。後でちゃんとお礼はしなきゃ…)
(分かってるってば。何の為に私達がこんなのを用意したと思ってんの、見返りくらいちゃんと渡してあげるわよ)
(…そっか。うん、そうだよね)
アリサとすずかの手には、包装紙に包まれたチョコレート。どうやらちゃんと、彼の為に報酬は用意されているようだ。
「ぐ、ぅ…ヤバい、腕が…!!」
もちろん、今のルカにとってはそんな事を考える余裕も無かったのだが。
支配人の場合…
「やれやれ、昨日はえらい目に遭ったな」
食堂にて、支配人は緑茶を飲みながら昨日の出来事を振り返っていた。
昨日、何があったのかというと…
『ごめん支配人さん、今日だけここ貸して!』
『むしろ、貸さなかったらシバき倒すよ!』
『いや駄目だってシバき倒したら!?』
女性陣によって、ほぼ強制的に厨房から追い出されたからだ。
一部のメンバーに至っては何故か脅迫までしてきたのだ。支配人はその気迫に思わず圧倒され、つい厨房を貸してしまったという訳である。
「全く、あれから女子共はどうしてるんだか…」
全てが終わった後に厨房を覗いてみたら、何故か厨房のあちこちがチョコで汚れてしまっていた。明らかに何かトラブルがあった事だけは支配人もよく分かっている。
「何事も起こらなければ……いや、もはやそれも無駄な願いか」
厨房の掃除は既に完了しているものの、支配人は不安を感じずにはいられなかった。何せこの
「レ~イ!」
「ん?」
そんな支配人の下に、フィアレスとユイの二人がやってきた。
「ほい、手作りチョコだよ」
「…一生懸命、作った」
「あ、あぁ。ありがとな二人共」
支配人はフィアレスとユイからチョコを受け取りつつも、恐らく大変な状況に巻き込まれるであろう他のメンバー達に対して心配せざるを得なかった。自身の目の前にいる女子二人に昨日の状況を聞きたかったが、何故か怖くて聞き出せない。
(あぁ、今日も色々大変な事態が起こる気がするぜ…)
そしてその心配は、後々的中する事になる。
げんぶの場合…
「~♪」
げんぶは包装紙に包まれた二つのチョコを手に持ったまま、鼻歌を歌いつつ格納庫まで向かおうとしていた。ちなみに彼が持っているチョコは、それぞれ妻と娘の分である。
「ん?」
しかし格納庫に到着してから、げんぶはとある光景を見て唖然とした。
「…何だこれ」
「ぐ、げふぅ…!!」
「い、息が出来な…ごふぁっ!?」
「ブクブクブクブクブクブクブクブク…」
格納庫で作業中だった筈の技術スタッフ達が、吐血したり泡を噴いたまま倒れていたのだ。しかもその中には…
「ん……げ、お前等!?」
なんと、miriやokakaまでもが泡を噴いたまま倒れていたのだ。げんぶは急いで彼等の下まで駆け寄る。
「どうした、何があった!?」
「げ、げんぶ……気をづげろ……ぞのヂョゴはヤバ、い…グフッ」
「お、おい!?」
miriが力尽きる寸前に指差した方向を見ると、そこには食べかけのチョコが落ちていた。げんぶはそれを手袋をつけてから拾い上げる。
「…チョコ?」
Unknownとディアーリーズの場合…
「「はぁ…」」
大広間にて、二人は溜め息をついていた。
何故なら…
「…うぉわ、すげぇ数のチョコだなおい」
ガルムの言う通り、Unknownとディアーリーズの前には大量のチョコが積まれているからだ。二人はこれまでの間に、
「本当、モテる人間ってのは大変だねぇ」
「いやはや、全くだ」
ガルムは早苗から貰ったであろうチョコを齧り、awsは呆れた様子で積まれているチョコを眺める。
「あぁ、どうしよう……こんなに食べ切れないって…!!」
「あは、ははは……だからバレンタインデーの日だけは姿を隠そうと思ってたのに……すぐ姉貴に居場所がバレて、捕まって……何故か俺まで厨房に連れて来られて…」
「え? もしかして、アン娘もチョコ作ったのか?」
「…あぁ、その通りだよ」
「「うわぁ、どんまい過ぎる」」
「しかも……ここにあるチョコのほとんどが、酒が入ってたり媚薬が入ってたりしてんだよ!! こんなのを俺達に食わせて楽しいか女子共はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
((まぁ女子にとっては楽しいだろうな、うん))
Unknownが高く吠えるのを見て、ガルムとawsは内心で突っ込みを入れる。ただしそれを言ってしまうと後で怖い為、二人は敢えて何も言わない。
その時…
「あ、ウル兄ちゃんだー!」
「!」
そこへ咲良がトコトコ走りながらやって来た。更に…
「「あ…」」
咲良の後ろから、美空もやって来た。両手を後ろに持っていったまま、何やら恥ずかしそうに顔を赤らめている。
「はいこれ、ウル兄ちゃんへのチョコだよ!」
「え、あ……これを僕に?」
「うん、アスちゃん達と一緒に作ったの! あと、みっちゃんも作ったんだよ! ウル兄ちゃんにあげたいからって!」
「え……そうなんですか? 美空さん」
「あ、あの…………はい」
美空は顔を赤らめたまま、後ろに持っていっていた両手を前に出す。彼女の手には、赤い包装紙で包まれたチョコが握られていた。
「あの……ウル、さんに…いつものお礼、したかった……だから…」
「美空さん…」
ディアーリーズも少しばかり顔を赤くして恥ずかしそうにしながらも、彼女から差し出されたチョコをゆっくりと受け取る。
「ありがとうございます、美空さん。とても嬉しいです」
「…!」
ディアーリーズが笑顔になり、それを見た美空も嬉しそうな表情になる。
((う~ん、青春だなぁ~…))
ガルムとawsは微笑ましいような表情で彼等の様子を見ていた。ちなみにUnknownは涙を流しつつ、貰ったチョコを次々とヤケ食いしていったという。
ロキの場合…
「はい、バレンタインのチョコです」
「おぉ! ありがとな、リリィ」
ロキもまた、リリィからチョコを貰っているところだった。その為、ロキの手元には三個目のチョコが渡ってきた事になる。ちなみに一個目はユウナの分、そして二個目は…
(…さて、どうするべきか)
そう、ルイの分である。
タカナシ家次女であるルイは、昔から料理が苦手なのだ。それも下手をすれば、不味い料理に慣れているロキですら血反吐を吐いて倒れてしまうくらいに。
そんな彼女のチョコを、思い切って食べてしまって良いのか。それとも、まだ自分の命は大事にするべきなのか。
ロキが悩んでいたその時…
「キィ~リィ~ヤァ~♪」
「へ……おぶぅっ!?」
ロキの後ろから、一人の女性が抱き着いて来た。その際、ロキの首元から何やら変な音がしたのはここだけの話だ。
「さ、咲さん!?」
「あ、やっほーリリィ。久しぶり~♪」
現れた女性―――
「ちょ、咲……苦じぃ…!!」
「うわわ、ごめんキリヤ!! 大丈夫!?」
ロキが苦しそうにしてるのを見て、咲は慌てて離れる。ロキは呼吸が出来て安心する一方で、彼女が離れた事で若干残念そうな気持ちも少なからずあった。
「ぜぇ、ぜぇ……咲、何でお前までここに?」
「あぁうん。今日ってバレンタインデーじゃん? だからキリヤにも、チョコを渡そうと思って」
「!? チョコ、だと…!!」
咲の言葉に、ロキはその場から素早く後退する。その表情はまるで、処刑される事が決定した囚人のようだった。
「ちょ、違うよ!? 私の手作りじゃないから大丈夫だって!!」
「へ? あ、あぁ、そうなのか…」
手作りじゃないと聞いて、ロキはすぐに安堵した表情になる。
「ま、まぁ、手作りじゃないと分かれば…」
ロキは包装紙を剥ぎ取り、咲から貰ったチョコを一口齧り…
「―――ごぶはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
そして、盛大に吐血した。
「「え、ちょ、キリヤ(さん)!?」」
倒れたキリヤに、咲とリリィが駆け寄る。
「な、何故だ……ぐぶぅ…!!」
「キリヤさん!? しっかりして下さい!!」
「あ、あれ、何で!? ちゃんと店で買ったのに!?」
二人に運ばれていくロキの姿を…
「うし、作戦成功♪」
口笛を吹き、楽しそうに見ている人物がいた。
蒼崎とFalSigの場合…
「はい、FalSigさん!」
「お! ありがとさんっと」
FalSigもまた、女性スタッフから一つのチョコを頂いていた。そんな彼を、蒼崎は恨めしそうな目で睨んでいる。
「おのれFalSig……またも女子からチョコを貰いおって…!!」
「まぁまぁ、蒼崎。アンタだって妻達からチョコは貰ってるんだろ? 良いじゃないか」
「俺はありとあらゆる女子達からチョコを貰いたいんだ!! そしての女を、俺の嫁にしたい!!」
「おぉう、想像以上の女誑しだ…」
蒼崎の目が燃えているのを見て、ハルトは若干引いたように苦笑いする。
「あ、ハルトさん!」
「んお?」
ハルトの下にルイがやって来る。
「あの、これ……もし良ければ…」
「お、もしかしてバレンタインのチョコかい? サンキュー、ルイちゃん」
ハルトがチョコを受け取った事で、ルイも嬉しそうな表情になり……そんな二人に対しても、蒼崎はギラリと目を光らせる。
「うぉんのれハルトォッ!! 貴様までもが俺をおちょくるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
蒼崎がハルトに向かって飛び掛かろうとしたが…
≪ディフェンド・プリーズ≫
「あべしっ!?」
ハルトの張った防御魔法陣により、それはあっけなく阻止された。顔面から激突し、蒼崎は床に落ちて気絶する。
「あれ? 蒼崎さん、一体どうしたんですか?」
「あぁ、大丈夫大丈夫。そこの奴は気にしなくて良いから」
「?」
「ところでルイちゃん。チョコ作るのって、結構大変だったんじゃないの?」
「あ、はい。何度も失敗したんですけど……ユウナ姉さんやアスナさん達のおかげで、何とかまともなチョコが作れたんです」
「ほほう、そりゃ良かった……ん? じゃあ、その失敗した分はどうしたのさ?」
「失敗したチョコは処分する予定だったんですけど……何故か途中で、kaitoさんが全部貰って行っちゃったんです」
「…kaitoが?」
kaitoが失敗したチョコを全て持っていった。それを聞いて、ハルトは疑問を感じ取った。
「…何か、とてつもなく嫌な予感がする」
「?」
その数分後、大変な事態は起こった。
「むぐむぐ、ん……ぐはぁっ!?」
「え、FalSigさん!?」
「ちょ、おい!? どうしたFalSig!!」
チョコを食べていたFalSigが、突然血を吐いて倒れてしまった。そんな彼に気付き、ハルトとルイが急いで彼の下まで駆け寄る。
「おい、しっかりしろ!!」
「うぐ……め、目眩が…」
「目眩!? 何で吐血に目眩まで…ッ!!」
床に落ちていた食べかけのチョコを見て、ハルトは気付いた。
「…まさか」
そして、他の場所でも…
「ごはぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「うぉい!? どうしたアン娘さん!?」
「あれ、チョコに何故か白身が入っちゃってますよ!?」
「はぁ!? 何でそんなもんが入ってんだよ!!」
チョコを食べていたUnknownが、チョコに混じっていた白身の所為で突然再起不能になったり…
「ぶふぅっ!? な、何だこ、れ…」
「あれ、Blaz!? どうしたの、しっかりしてよぉっ!!」
「ちょ、大変!! 皆、急いでBlazを運び出して!!」
「「「はっ!!」」」
ニューから貰ったチョコを食べた後、何故かBlazも顔を青ざめたままベッドに突っ伏したり…
そして、その原因は…
「~♪」
この男、kaitoにあった。彼は自分の部屋にある大量のチョコを見て、面白そうに口笛を吹いている。
「イタズラ大成功~♪ まさかここまで上手くいくとは」
今までの事態も、全てkaitoによる仕業だったのだ。彼の能力で男達の貰ったチョコの中身を、ルイが失敗したチョコと摩り替え、男達に食べさせていたのだ。ちなみにUnknownの場合、わざわざ彼の弱点である白身まで混ぜたりとかなり徹底している。
「さ~て。イタズラは成功した事だし、しばらく身を隠そっかな~♪」
もちろん、バレれば全員から制裁を下される。そうなる事も見越した上で、彼は
しかし当然、そんな彼に何の報いも来ない筈が無かった。
-ブゥゥゥゥゥン…-
「え、ちょ…!?」
突然、kaitoの姿がその場から消える。
「―――あでっ!?」
そこにkaitoが転移され、彼はそのまま床に落ちる。
「痛てて……あれ、トレーニングルーム? 何だってこんな場所に―――」
「よぉkaito……来てくれて嬉しいぜぇ?」
「え…」
ドスの利いた低い声が聞こえ、kaitoは顔を青ざめながら後ろを振り向く。
「え、あ、え…ZEROッ!!?」
「ハッハァ…!!」
待っていたのはZEROだった。彼は首をゴキゴキ鳴らしつつ、楽しそうに笑みを浮かべている。
「団長から聞いてるぜ……今日はお前が、俺を満足させてくれるってなぁ…!!」
「はぁ!? 団長が!?」
どうやら、クライシスに吹き込まれてここに待機していたようだ。となれば、今回のkaitoのイタズラもクライシスには既にバレている事だろう。
「いや、ちょ、そんなの自分は知らな…」
「どうだって良いんだよ、そんな事はよぉっ!!!」
「ひぃっ!?」
kaitoの顔の真横に、一本の大剣が突き刺さる。
「さぁ、俺とたっぷり殺り合おうぜぇ…?」
「あ、あはははは…」
数秒後、トレーニングルームからは物を次々と破壊する音、骨の折れるような音、そしてkaitoの断末魔だけが響き渡ってきたという。
更にその後、kaitoの部屋にあったチョコは無事に全員の手元に戻り、イタズラの被害に遭ったメンバー達もkaitoに対して一斉に制裁を下したのは言うまでもない。
その夜。
「全く、今日はヤケに騒がしい一日でしたね…」
「む、そうかね? デルタ」
クライシスとデルタの二人は、席に座りながら紅茶を飲んでいた。クライシスは機嫌良さそうにしているのに対し、デルタは何処か不機嫌そうにしている。
「バレンタインデーだか何だか知りませんが、そんなのでいちいち騒いで貰っては、こちらも正直鬱陶しくて敵いませんよ。そうは思いませんか? クライシス」
「ふむ、お前はそう感じるか。この
「あのですね、あなたがそんな事を言うから彼等は……ん?」
ここで、デルタはある事に気付いた。
「…クライシス。何ですか? それは」
「む、これかね?」
クライシスは懐から、包装紙に包まれた箱を取り出す。
「お前から見て、これは一体何だと思う?」
「クライシス? あなたまさか…」
「フフフフフ…♪」
「ちょ、何ですかそれは!? ちょっと、クライシス!?」
クライシスが面白そうにその場から立ち去って行き、デルタは慌てて彼の後を追いかけるのだった。
「…ふぅ」
しばらくパソコンと向き合っていたのか、竜神丸は自身の肩を揉み解しながら休憩しているところだった。この日はずっと研究室に閉じ篭っていた為に、部屋の外で色々な騒ぎが起こっている事など知る由も無いだろう。
「お疲れ様です、博士」
「おや、ありがとうございます」
そんな彼にイーリスが、淹れたばかりのコーヒーを差し出す。竜神丸は熱いのも気にせず、コーヒーをグイッと一口飲む。
「ふぅ……さて、イーリスさん。確保したプラーガの方はどうなりました?」
「プラーガのデータは、こちらで既に纏め終えています。実験は今からでも充分に可能な状態です」
「分かりました。こちらのデータを纏め次第、すぐに取り掛かりましょう」
「了解しました」
竜神丸はそう言って、コーヒーを飲みながら再びパソコンと向き合い始めた。そんな彼の後ろで、イーリスは後ろに隠していた包装紙に包まれたチョコを取り出す。
(バレンタインチョコ……作る事だけは問題なく出来た。でも…)
イーリスが向けた視線の先では、何も気付かないまま作業を進めている竜神丸。恐らく彼は、この日がバレンタインデーである事もすっかり忘れてしまっているだろう。
(…やはり、これは必要ないか)
イーリスは何処か諦めるかのような表情をしつつも、そのチョコを懐にしまう。
「さて! こちらの作業は終わりましたので、プラーガの実験に取り掛かりましょう。イーリスさん、準備は出来てますね?」
「…はい、既に準備済みです!」
竜神丸の部下、イーリス・クレント。
この日もまた、彼女は従うべき上司に従い続ける。
ちなみに…
「ハァックシュン!! …ふぅ、なかなかに寒い場所だな。ここは」
他の次元世界へ任務に出ていたおかげで、二百式は騒動に巻き込まれずに済んでいたという。
ご覧頂けただろうか。
これがOTAKU旅団による、バレンタインデーの騒々しい一日である。
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