No.660578

【恋姫二次創作】死神の毒 終焉への布石

ね・む・い

2014-02-04 23:14:25 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1284   閲覧ユーザー数:1212

洛陽。

 

反董卓連合により董卓は滅び、復興がなされた。

 

その中の曹操軍では、洛陽の民に炊き出しを行っていた。

 

現曹操軍所属の装は、大きな鍋をかき混ぜて料理を作っている。

 

いつも触角のようにピンと立つ髪の毛は、手拭いで頭を覆うことで後ろに倒れ、口元も手拭いで唾が入ったりしないように衛生面を重視していた。

 

鍋の前には一列に洛陽の民が並び、奥の方では春蘭が列を揃えさせている。

 

装の近くでは季衣が目を輝かせて、鍋の中を見つめている。

 

華琳「しかし、意外ね。」

 

装「ん、何がです?」

 

華琳「貴方が料理を作れるという事がよ。」

 

装は何故か料理が上手く(毒は入ってない)、普通に好評で民の信頼を集め始めていた。

 

少量の調味料で、より美味しく、より満腹になれる、そんな料理を作っていた。

 

装「まぁ、今まで色々な人に教わりましたからねぇ。」

 

華琳「そんなに上手に作れるのなら、紹介して欲しいくらいだわ。」

 

装「何時か紹介しますよ。」

 

そんな話をしていると、洛陽の門の方から桃香と一刀が歩いてくる。

 

装「そろそろ、僕は失礼しますよ。」

 

華琳「えぇ。約束だから仕方ないわ。」

 

装「季衣、鍋をお願いしますねぇ。」

 

季衣「分かった!!」

 

装「つまみ食いは駄目ですよ?」

 

季衣「わ、わかってるよ。」

 

装は鍋から離れると頭の手拭いと口元の手拭いを外し、マントの中にあるポケットへと仕舞う。

 

季衣は何処からか木でできた足場を持ってきて、鍋をかき混ぜられるようにする。

 

装と華琳はゆっくりと桃香と一刀の方へ向かう。

 

華琳「行く前に一つ質問に答えてもらえる?」

 

装「良いですよ。なんでしょうか?」

 

華琳は立ち止り、先ほどとは全く変わり、真剣な表情になる。

 

装の表情もやや真剣になり、華琳の方を向く。

 

華琳「貴方は劉備の下で何をしようとしているのかしら?」

 

装は口元を少し歪ませる。

 

まるで少し楽しそうに、そして、少し狂気を感じるように。

 

装「何をしようと、と言われましても。僕はただただ劉備さんに仕えているだけですからねぇ。」

 

華琳「なら質問を変えるわ。貴方は何を隠しているのかしら?」

 

装「隠している物が何かあるとお思いで?」

 

華琳「実はウチにね、李典という娘がいるの。」

 

装「初耳ですね。居ることも、名前も。」

 

華琳「その娘の父親が、護衛を何人か連れた状態で、商売に行った時に殺されたそうよ。」

 

装「ケケッ、それは不幸ですねぇ。」

 

華琳「貴方は殺した犯人を知っている。違う?」

 

装「劉備軍がその時、その街に滞在していた。故にその事件と何か関係がある。良く調べましたが、偶然でしょう。僕らは公孫賛殿とのやり取りで大忙しでしたから。」

 

華琳「偶然……ねぇ。では、貴方は色々な者の師をしているらしいわね。」

 

装「えぇ、様々な者の師をしております。」

 

華琳「しかも、教えた者たちは全員相当な才能の持ち主ね。貴方は心眼でも持っているのかしら?」

 

装「あまりにも……いや、まるで知っているかのように弟子を選んでいると?」

 

華琳「私も人を見抜くのには自信があるわ。だけど、まだ開花していない者の実力を見抜くなんてそうそうできない。さらに、貴方みたいに沢山開花前の才能を見抜くなんてね。教師だからって全ての教え子が、天を支えるほどの力量を手に入れる。おかしいと思わない?」

 

装「ほぅ。」

 

華琳「もう一度訊くわよ。貴方は何を隠し、何を知っているの?」

 

華琳がそう質問をすると同時に、装は自分の口に人差し指を当て、シーッと小さい声で言う。

 

装「それ以上はいけませんよ?それを知れば貴女は絶望し、失望し、渇望します。楽しく生きていたいなら、これ以上知ろうとしないことです。」

 

装はいつも閉じているように見える目を大きく開く。

 

その瞳は闇のように真っ暗で、光を知らない狂気を宿した目だった。

 

装のマントの端にちらちら見える謎の刃物がより狂気を増させる。

 

華琳は息を飲み、思わず少し後ずさりをした。

 

装「もう、まもなくわかります。直に物語は台本を外れる。そして、永遠の物語は終演する。知らぬが仏、ですよ。」

 

装は真っ黒の瞳を瞼で隠し、いつもの顔に戻る。

 

しかし、口元は三日月を描き、華琳に恐怖を残した。

 

装は華琳の方から桃香の方を向き歩を進めて行った。

 

華琳「李典の父を殺したの者を知っているのね。」

 

華琳は平静を保ち、話を変える。

 

装はピクッと反応をする。

 

装「ん?それは先ほど否定したはずですが?」

 

華琳「私は貴方達が公孫賛の下に居た時の街だなんて言ってないわよ?」

 

装「公孫賛殿はその時、街でいつも商いをしている男が殺されたと聞きましたのでねぇ。」

 

装は華琳の方を振り向き、明るい声で言う。

 

装「ケケッ、確か……李なんとか。今思い出しましたよ。」

 

装はそれだけ言い、華琳もその後は何も言わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「ソウ!!」

 

桃香「ソウさん!!」

 

装の姿を遠目から見ていた二人は、曹操との会話が終わるのを見て、全力で装の下へと走ってきた。

 

装の顔は先ほどのように狂気は感じず、むしろ優しい印象を受ける顔だった。

 

ソウ「お久しぶり……というほどでもないですかねぇ。」

 

桃香「さぁ!!みんな待ってるよ!!早く帰ろう!!」

 

桃香は久しぶり?に会う義兄弟にテンションは上がり、手を引っ張って自分たちの陣営を指差す。

 

一刀も桃香が握っていない方の手を握り、ソウを引っ張る。

 

ソウ「ケケッ、そうですか。僕を待っていてくれるねぇ。あの人も言っていました。」

 

一刀「あの人?」

 

ソウの何故だか寂しそうな、憎そうな顔を見て、一刀は思わず質問した。

 

ソウはすぐに表情を戻し、一刀の方を見て言う。

 

ソウ「昔、僕を待っていてくれる、と。共に自由になろう、と。言ってくれた人が居たんですがね。」

 

桃香「その人ってソウさんの彼女?」

 

桃香が喜々として訊く。

 

女性としてはやはり色恋沙汰には胸が躍る。

 

しかも、普段周りから全く隙が無いような完璧人間だと思われている人間の恋。

 

普通の恋よりも興味が湧く。

 

ソウ「友人……いや、上司ですよ。」

 

桃香「なぁ~んだぁ。」

 

桃香は明らかにガッカリする。

 

結構失礼だったりする。

 

ソウ「まぁ、その人も時間には抗えませんでしたがね。」

 

ソウの一言に、桃香は既にその人はこの世に居ないことを知り、少し暗い顔になる。

 

ソウ「せっかく帰るんです。そんな暗い顔しては、僕が帰ってくるのがまるで不満があるみたいに周りに思われますよ?」

 

桃香「ふ、不満なんて全くないよ!!」

 

ソウ「なら、ほら、笑って笑って。」

 

装は自分の口の端に指を当て、両端を上にあげて、口を三日月形にする。

 

一刀「ソウの言う通りだよ。今は笑ってみんなの下へ帰ろう。」

 

桃香はコクンと頷き、花が咲いたように笑った。

 

これから何が起こるか知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

作者です。

 

これから最終章へ物語は進みますー。

 

今まではゲームに従っていたので、地の文はそこまで多めじゃありませんでした。

 

が!!

 

これからはオリ√!!

 

地の文倍増!!

 

ストレスマッハ!!

 

疲労困憊!!

 

さらに『何時か』一番最初からリニューアル版を書きます。

 

内容は一緒ですが、ところどころ丁寧な書きまわしや、地の文が増えたり等々。

 

つまり何が言いたいか。

 

オリ√ならば性格も少しは歪む!!

 

変な風になったら勘弁してね!!

 

あまりにも変なら修正するけどね。

 

 

 

では、次話を待て!!

 

 


 
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