No.659123

ガールズ&パンツァー Nazi Zombie Army Ⅱ エピローグ

バウアー「良く帰ってきた。西住みほ!俺の鉄十字勲章をやろう!」

2014-01-31 17:01:08 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:2107   閲覧ユーザー数:2087

 

「隊長・・・しっかり・・・隊長・・・!起きてください・・・!バスラー隊長!」

 

「まだそんな時間じゃ・・・」

 

微かに聞こえてくる高い女性の声に、みほは寝ぼけた声で返した。

 

「寝ぼけ・・・場合・・・ありません・・・!両足・・・!足・・・左手・・・無くなってる・・・!」

 

「えっ・・・?」

 

無くなっていると言う言葉に反応したみほは目覚めた。

自分に無事かどうかを問い掛けてくる女性の声、銃声や砲声、着弾音、怒号が喧しいほどはっきりと聞こえてくる。

 

「こ、ここは・・・?」

 

目を開いたみほは、背中に何か堅い物に凭れ掛かっている感覚がし、赤十字のマークを付けたヘルメットを付けた女性に問う。

その女性は先程被っている赤十字ヘルメットに、第二次大戦時のドイツ国防軍の血塗れな陸軍型の野戦服を着て、治療道具に医薬品等入った鞄を提げ、右手に包帯を持っている事から衛生兵と分かる。

 

「ここって・・・少佐殿は戦車から出て来たのですよ?」

 

「戦車から・・・?」

 

やや疑問を感じながら左腕を上げると、左手からの先が無くなっており、骨が剥き出しになっていた。

 

「えっ、なにこれ・・・!?」

 

やや慌てたみほは、視線を下へ下げると、さらに驚くことになる。

 

「内臓が・・・両足が・・・!?」

 

自分の腹から大腸と小腸が飛び出し、脚からの先の両足が無くなり、大腿骨が剥き出しになっている。

それに今自分が座っている場所が自身の血で赤い水溜まりが出来ていた。

これを見たみほは恐慌状態に陥る。

 

「いや・・・!私・・・死にたくない・・・!」

 

パニックになって暴れ回るみほに、ヘルメットを被った女性士官が抑え付ける。

 

「じっとして!さらに内臓が出ることになる!」

 

女性士官はみほに落ち着くよう言い、ずっとこちらを見ているkar98kを両手に握り、ヘルメットや弾帯を身に着けた二人の茶髪と縁髪の女性兵士に担架を持ってくるよう指示した。

 

「そこの二人、担架持ってきて!この戦車長さんを救うのよ!」

 

「「は、はい!」」

 

二人は返答した後、担架がある方向へと走っていった。

 

「さぁ、貴方は死なないように、気をしっかり保って!」

 

強く問い掛ける女性士官の声に、みほは落ち着きを取り戻す。

それと、今自分が着ている衣服はドイツ国防陸軍の黒い戦車兵の戦闘服と分かった。

あそこで炎上している増加装甲を付けたタイプであるⅣ号戦車H型が自分の戦車であろう。

車体に燃え盛る死体が乗っているのが見える。

先程自分に問い掛けてきた女性兵士の姿は無かったが、左を向けば、MP40を左手に持って、三脚付きのMG42に付く三人の機関銃手に何か指示を飛ばしている。

遠くの方に見える幾つかのⅣ号戦車H型とⅢ号突撃砲G型が、歩兵と共に小山の向こう側へと向かっている事から、あの山の向こうに敵が居ることが分かる。

そして、自分があの地獄と化したドイツへ来る前に来た、同じ女だらけの軍隊の世界と察した。

 

「担架、持ってきました!」

 

「よし!衛生兵、大事に運ぶわよ。せーの!」

 

担架が辿り着いたのか、両足と左手がないみほは、士官と衛生兵に大事に抱えられるかのように二人の兵士が持つ、担架に乗せられた。

 

「行って!慎重によ!」

 

みほが担架に乗ったのを確認した士官は、二人の兵士に早く行くよう肩を叩いた。

兵士は彼女を乗せて、最前線から離れようとする。

乗せられながら右を向いてみると、分解した迫撃砲を背負った兵士や弾薬箱を運ぶ兵士が、他の歩兵や戦車と共に、自分とは逆方向の最前線の方へ向かっていくのが見える。

暫く痛みは続くが、その時にはいつの間にか野戦病院まで来ていた。

叫び声や余りの痛さで泣き叫ぶ声が、みほの耳に入ってくる。

 

「ここで降ろして。内臓が飛び出してる・・・これは重傷だわ。直ぐに軍医を!」

 

赤十字マークの天幕の前で降ろされると、看護婦がやって来て、彼女の容態を見た後、近場にいた衛生兵に医者を呼んでくるよう指示する。

看護婦はみほに視線を戻し、鞄からモルヒネを取り出して、まだある右腕の付け根を消毒した後、モルヒネを注射した。

 

「これで痛みは退くはずよ・・・気をしっかり持ってね」

 

みほの髪を撫でながら、看護婦は自分の飛び出した内臓を抑え込み始めた。

 

「グァ・・・!」

 

「そんなに痛みは無いはず、頑張って・・・!」

 

少し痛みはしたが、段々と痛みは消えていった。

 

「あっ、軍医さん。これはかなりの重傷です!どうしましょう?」

 

軍医が衛生兵に連れてこられると、看護婦は衛生兵の方を振り向いて、どうするのかを聞いた。

その後、みほは医者が来たことに安心感を覚え、ゆっくりと目を瞑った。

 

 

「西住殿・・・!」

 

「みぽりん・・・!」

 

「西住さん・・・!」

 

「みほ・・・!」

 

目を瞑って眠りの世界へ行った途端、今度は聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「みほ・・・!」

 

「みほ・・・!起きなさい・・・!」

 

「あれ・・・お姉ちゃんに・・・お母さん・・・?」

 

姉であるまほと、母であるしほの声が聞こえてきた為、みほは目を覚ました。

 

「あぁ、西住殿!」

 

「西住さん!」

 

「みぽりぃん!」

 

「どうやら大丈夫だったようだ・・・」

 

彼女が起きたことに喜びを隠せないチームメイト達は、みほの手を取って喜び、姉と母は安堵した。

いつの間にか、何処か和室の布団の部屋に寝かされており、そこに見掛けない巫女服を着た若い女性と、以下にもエクソシストな長身の白人男性が居る。

 

「おぉ!目覚めましたか!」

 

「良かった・・・」

 

巫女とエクソシストは、胸を撫で下ろし安心する。

どうやらしほが雇い入れた者達らしい。

目覚めたみほは、自分の身体が全てあることを確認した後、顎に人差し指を付けて、疑問を思った。

 

「あれ・・・確か私・・・戦場にいて、滅茶苦茶になった第二次世界大戦に居たような・・・?」

 

「何を寝ぼけている?お前は今抱えているそのさがる・・・」

 

「サガルマータの遺物とか言うのを抱き抱えて魘されていたらしいわよ」

 

まほが言おうとした事に、しほは言って、みほが気付いてない今までの詳細の事を話した。

 

「えっ?確かみんなと・・・」

 

沙織達の方を向くが、彼女等は知らないようだった。

 

「え、私達もその滅茶苦茶なドイツに?」

 

「それって、どんなドイツですか?」

 

まず始めに沙織が疑問に思えば、華がみほの言っていたドイツの事を聞いてくる。

 

「えーと。第二次世界大戦末期のドイツで、ヒトラーが黒魔術でゾンビを召還して、そこで私達は生き残りと私達と同じく異世界から来た彼等と一緒に、ゾンビと・・・」

 

「映画の話しか?」

 

「凄い夢を見られていたのですね・・・所で、戦場というのは・・・?」

 

話を聞いていた麻子が思ったことを口にすると、優花里は納得した後、戦場について聞いてきた。

 

「戦場は・・・なんか優花里さんの持ってる漫画みたいに女の子だらけの軍隊に・・・」

 

「おぉ、それは意識だけが異世界に・・・」

 

「よほどの悪夢を見ていたのだろう。管理人が一晩中魘されていたと言っていた」

 

質問に答えるみほに、優花里は興奮するが、言い終える前にまほが途中で遮った。

次にしほが口を開く。

 

「知り合いのドイツのエクソシストさんと巫女さんの話しに寄れば、貴方の手の中にあるそのサガルマータの遺物が原因らしいわ。それに、貴方が寝ている間、額に遺物に刻まれているマークが浮かび上がっていたのよ」

 

「なんとか除霊が出来て良かったです。もっとも、このお嬢さん(フロイライン)の御陰でありますが・・・」

 

「いえ・・・私はただの噛ませ犬だったようで・・・」

 

しほからの詳しい説明の後に、エクソシストの男が巫女を褒め、その巫女は照れ始めた。

 

「あっ、みんなも似たような物を持ってたけど・・・どうしたの?」

 

みほはチームメイト達に、自分と同じサガルマータの遺物を持っていないかと聞いたが、全員が首を振った。

 

「家にありましたが、朝起きたら無くなってました」

 

「私も・・・家中探し回っても無かった」

 

「私も。おばぁに聞いても持って行って無いと言うし、綺麗さっぱり無くなっていた」

 

「私もです。父と母に聞いても、そんな物は分からないと返ってくるだけで」

 

この返答に、みほは遺物を見た後、覚えていないかを問う。

 

「そうなんだ・・・みんな、本当に覚えてない?」

 

「えっ、私達もみほと同じ世界に居た?ないない」

 

「私は別の夢を見てましたわ」

 

「自分は・・・恥ずかしくて言えません!」

 

「私は追いかけ回される夢は見たが」

 

「そうなんだ・・・」

 

自分の思ってたのとは違う返事が来た為、みほは襖から見える青い空を見上げた。

 

「さぁ、みほが起きたところで、長居は無用。貴女達はお家にお帰りなさい。まほ、彼女達を」

 

「はい、お母様」

 

「あっ、はい。御邪魔しました。西住さん、帰ったらメールを出しますね」

 

「御馳走様です・・・みほ、大事に休めよ」

 

「押しかけてすいません。じゃあね、みぽりん。身体は大事にするんだよ」

 

「お宅に押しかけてすいませんでした!では、西住殿、大事を取ってお休みくださいませ!」

 

「うん、大事にするよ」

 

しほが手を叩くと、華は彼女にお辞儀をして、この部屋から沙織達と共に出た。

布団に居るみほは、笑顔で彼女達を送る。

だが、沙織は、自分達を送るまほに、恋人が居るかどうかを聞いてくる。

 

「あの、まほさん。恋人は居ますか?」

 

「さっき居ないと言っているだろう!」

 

そんな声を聞きながら、みほは沙織達とまほが完全に居なくなるまで見送った。

 

「では、また取り付かれる前に、遺物を」

 

「は、はい」

 

エクソシストはみほから遺物を回収した。

彼女は、エクソシストが誰かに似ていることに気付く。

 

「あの・・・?」

 

「何か?」

 

「エクソシストさんのお名前は・・・?」

 

「私は、私はコルネリウス・ブルンスマイヤーと言います。普段はドイツ南部の小さな教会で牧師をしており・・・」

 

聞き覚えのある声に、みほはエクソシストがコルネリウスだと思った。

 

「あの、私の顔に何か・・・?」

 

「いえ、何処かで見たことがあるかなーと?それと、私を助けてくれてありがとうございます!」

 

コルネリウスからの問いに、みほはそう返し、お礼を言った。

それと除霊師である巫女とコルネリウスを呼んだしほにも礼を言う。

 

「お母さんも・・・私のことを気遣ってくれてありがとう」

 

「勘違いしないで。私はこんなふざけたチベットのオカルト道具に、西住流で大会覇者の貴方が殺されるなんておかしいと思っただけだわ」

 

「ツンデレですね」

 

照れ隠しをするしほに、正座をしていた巫女は、そう呟いた。

 

「さぁ、貴方達も。お代は依頼通り払うわ。それと・・・」

 

巫女とコルネリウスと話す母の姿を見ながら、みほは襖から見える空を見上げた。

そんな彼女に幻聴が聞こえてくる。

 

『あの世界に召還された全員、生きてるよ』

 

「そうか・・・安心した・・・」

 

あの世界で無惨に殺された者達が生きている事を知り、安心する。

こうして、彼女の最後の高校生活が再開した。

 

 

 
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