No.655007

【獣機特警K-9ⅡG】消えた密猟者(前編)【交流】

古淵工機さん

久々に事件をひとつ。
今回は海の女たちも吼える!!

■出演
ステラ:http://www.tinami.com/view/652081

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2014-01-16 00:04:02 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:808   閲覧ユーザー数:762

ドルフィンベイ近海。ここでは、今まさに事件が起きていた。

「そこの小型貨物船!直ちに停船せよ!!繰り返す!直ちに停船せよ!!」

小型のパトロール艇のキャビンから身を乗り出し、勢いよく怒鳴りかかるボーダーコリー形ロボットの女性。

彼女はANCF海洋パトロール隊の隊長ステラ・アジリティである。

 

「停まれと言ってるのが聞こえないの!?ここは禁漁区よ!貴船には密漁の疑いが…」

パトロール艇が貨物船に近づいたそのとき、貨物船の船室から2名くらいの男が出てきて突如、ガトリング砲を発射してきたのである!!

 

「!? あいつら、どうあっても積荷を見せない気か!!」

すぐさま、近くに待機していた海洋保安局(FCG)の巡視艇ラミナ・ポセイドン号がステラの乗るパトロール艇の援護に回る。

「貨物船に警告する!貴船はたった今ANCF籍の小型艇を攻撃した。これは海賊行為である!武装を解除し直ちに投降せよ!!繰り返す…」

と、ラミナ・ポセイドン号のブリッジでは海洋保安官が警告を出していたが、相手は当然聞き入れる様子もなく、それどころか攻撃を続けたのである!!

「繰り返す、これは海賊行為…ぐわっ!!」

砲撃を受けたラミナ・ポセイドン号の船体が大きく揺らぐ。

「どけ!まどろっこしい!!」

ブリッジの奥に座っていた中央第1管区部長のホワイトライオン形ファンガー、トモエ・ル・テリエが保安官からマイクを取りあげ、貨物船に怒号を飛ばす!

 

「警告したはずだぞてめえら!ムダな抵抗なんざやめて大人しくしな!さもないとその船のどてっぱらに風穴が開くぞ!!」

それを合図に、ラミナ・ポセイドン号に取り付けられた機銃が貨物船のほうに向けられる。

「グズグズすんな!第一種警戒配備!相手が攻撃してきたら威嚇射撃だ!いいな!!」

「へ、へい!!」

その動きを察知したのか、貨物船は少しずつ減速していく。

「へえ、脅しが効いたようだな。いい子だ…」

その一部始終をステラの乗るパトロール艇も見ていた。

「トモエさん、うまくやってくれたみたいね。これより貨物船に接近、積荷の確認に向かい…」

その時、パトロール艇に積んであった通信機にトモエの声が響く。

「ステラ!様子がおかしい!!すぐに退避しろ!すぐに退避…」

「えっ、様子がおかしいってどういう…きゃあ!!」

 

ステラが気づいたときには遅かった。

なんと、あろうことか貨物船は90度回頭してANCFのパトロール艇を直撃。

「くそっ!砲撃用意!!撃て撃て撃て!!」

トモエの号令で、ラミナ・ポセイドンに取り付けられた機銃がいっせいに火を噴く。

だが、敵もこのことは想定していたようで、一人の男が甲板に乗り出しロケットランチャーを撃ってきたのだ!!

「うわぁっ!くそっ!!被害状況は!!」

「左舷中破!銃座全損…反撃できません!!」

「くそっ…ステラは!?」

「私たちなら無事です!あのパトロール艇は3人乗りでしたが全員無事です!それより…あいつらは!?」

「ああ、アタイらとしたことが油断しちまった。すぐ救出する!」

かくて、自力で泳ぎ着いたステラ以下3名の隊員はラミナ・ポセイドン号に収容された。

 

「しかし、このまま黙ってるわけにもいかねえ…すぐに追跡だ!!」

「それが…レーダーから相手の反応が忽然と…」

「なんだと!?」

 

辺りを見回しても、例の貨物船はいつの間にやら姿を消していた。

「くそっ…奴らご丁寧にステルスまで持ってやがったのか…!」

トモエは歯を食いしばりながら、コンソールに拳を叩きつけた。

…それから数日、ラミナ警察署会議室。

「では今回の事件の概要を説明する。トモエ海上保安部長、およびステラ海洋自然保護区長。よろしく頼む」

署長エルザ・アインリヒトの言葉を合図に、まずステラが切り出す。

「はい。今回の事件は密漁ではないかと思ったのです。ここ最近禁漁区内の動物…特にイルカやラッコなどが生息数を減らしていたので不審に思ったところ、一隻の貨物船を発見したのです」

その言葉に、捜査課のジース・ミンスターが質問を投げる。

「つまり、その貨物船に密漁疑惑があったと?」

「おそらく…もしそれが本当なのであれば、私どもANCFとしてもみすみす逃すわけにはいきません。すぐに海洋保安局の協力を要請し、現場海域へ向かい停船指示を出したのですが…」

 

その言葉にトモエが続く。

「敵は武装を施しておりANCFのパトロール艇を攻撃。こちらは威嚇射撃を行ったが、敵の反撃にあいラミナ・ポセイドン号は中破、ANCFのパトロール艇も破壊される被害に遭ってる」

「なるほど。それで敵の足取りはどうなっている?」

「それが、レーダーから忽然と姿を消したんだ」

「忽然と姿を消した?」

「ああ。光学迷彩と電磁妨害を同時に展開しやがってさ。おかげで今もそいつの所在はつかめていない有様だ。まったく海洋保安局の名が泣くぜ」

「そうか…わかった。我々警察も全力を尽くそう。さて、K-9隊、幻獣部隊および各部署の諸君も聞いてのとおりだ。犯人はどこに潜伏しているかもわからない。徹底して捜査にあたるように」

「了解!」

…一方その頃、赤道付近・とあるリゾート地。

水着姿の女性たちが海岸ではしゃぐ中、海を望むカフェテラスでのんびりとコーヒーをたしなむテラナーの男が一人。

だが、ふいに男はこの美しい景観に不似合いともいえる怪しい船を視界に捉えた。

 

「…あの貨物船…いったい?そういえばこの前ニュースで…」

男はサングラスをずらし、その船をしばし見つめると、一言つぶやく。

「…どうも匂いますね。ただならぬ雰囲気があの船からは感じ取れる…イヤな予感がします…」

 

しばらくして、ウサギ形ロボットの女性店員が男のそばを通りかかると、男はすぐさま声をかける。

「ご馳走様。私はここで失礼いたしましょう。お代はここに置きますので」

「は、はぁ…」

そう言うと、男は足早に店を立ち去っていった。

さて、ところ変わって、ここは喫茶店カフェ・ラ・ヴォルペ。

「…ということなんだ。犯人がどこにいるのかもわからなくて躍起になってんだけど…」

と、ヴォルペパンケーキをほおばりながら話すのは久遠・ココノエ。

「なるほどね。実は似たような事件がこっちの保護区でもあったんだ」

クオンが話している相手は、ANCFラミナ自然保護区のミランシャ・キーン。

「そっちでも?一体何があったのミランシャさん!」

「ライオンにトラにチーター。なぜか肉食獣ばかりが持ち出されてね。追跡を試みたけどいつの間にか犯人はもぬけの殻ってワケなのよ…」

その隣に座っていたANCFの隊員・ナディが拳を握り締めながら叫ぶ。

「密猟者め!一体何考えてる!」

さらに、同じANCFの隊員マイ・シューティングスターがクオンに訴える。

「お願いです!なんとしても探し出して捕まえてください!!」

「同時期に海と陸とで動物の違法捕獲…そして消えた犯人…怪しいな…」

 

と、つぶやいていたクオンのテーブルに、入り口側から一枚のカードが突き刺さった。

「これは…怪盗ノワールのカード!?」

ANCFの隊員、シンディが声を上げる。

「きっと手がかりを掴んだんだわ、そうよねクオンさん?」

「ああ。まず間違いはなさそう…こ、これは!?」

クオンはカードに書かれていた文章を読み、しばらく固まっていたが、やがてその眼差しは確信を帯びた輝きへと変わっていった。

「…そうか!そういうことだったのか…わかったぞ!犯人の居場所と目的が!!」

 

次回に続く!


 
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