No.651936

真・恋姫†無双~家族のために~#37拠点ー華雄ー

九条さん

新年一発目!
今回も語り多めだったので、後半少し書き方を変えています

2014-01-05 12:46:24 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1986   閲覧ユーザー数:1790

 深が目を覚ましてから皆集まり、話し合いが行われた。

 今後はどのように動いていくのか。身を隠すのか、他国へと亡命するのか。

 皆一様に深に注目していた。彼がこの集団のリーダーであることに誰も疑問などなかったから。

 

「ある程度休んだら公孫賛の領地へ向かおうと思う」

 

 そして休息期間として与えられた時間が三日。

 三日というのは思った以上に長い。やるべきことが無ければ尚更だろう。

 だが、短すぎればまだ万全とは言い難い深に無理をさせねばならなく、長すぎれば自領に戻り始めている連合軍の奴らに見つかる可能性が高くなる。

 さらに、都合上なるべく外出は控えなければならない。どこに間諜の目があるか分からないからだ。

 月、詠はともかく、他の三人は大きな印象を残してしまっている。それは皆が、頭では理解していたのだが……。

 

 

「暇だ」

 

 今後の予定を話した翌日。疲れも溜まっていたためすぐに寝たからだろうか、かなり早い時間に目が覚めた。

 寝ぼけた頭を覚醒させようと、身体を起こそうとしたところで扉が開き、この一言。声を発したのは華雄。

 いつものように腕を組み、背後に効果音でも出ているんじゃないかというぐらいの清々しい顔でこっちを見ていた。

 朝から元気だなー。

 身なりを整えるために一度部屋の外に出てもらい、素早く着替えつつ身体の状態を確かめる。

 別に、怪我をしたわけではないため身体に異常はみられなかったが、どうにもまだ疲れは取れていないみたいだ。激しく動かなければ問題はないぐらいか。

 

 律儀に部屋の外で待ってくれていた華雄を部屋に招き、改めて用件を尋ねることにした。

彼女曰く……。

 体力も万全だというのに外に出てはいけない。

 だが、自分が鍛錬するには広い場所が必要であり、この宿で鍛錬を行えば何かを壊しかねない。

 ならば他にやれることはないかと考えたところ、何も思いつかなかったと。

 それで何か案を出してもらうために俺のところに来た、ということらしい。

 本当に今まで武のことしか考えてきていなかったんだと、はっきりと分かる説明ありがとうございますって感じだな……。

 ひとしきり説明をし終えた華雄に俺は一つ尋ねた。

 

「鍛錬以外でも大丈夫?」

 

「ん? ああ、時間を潰せるのならなんでも構わないぞ」

 

 よし、言質は取ったし、あとは彼女達に協力を頼むかな。

 とりあえず華雄には俺の部屋で待っていてくれと伝えてから、俺はこの後のことを行うのに必要不可欠な人物を連れてくるために部屋を出た。

 

 

「ということで連れてきたのは月と詠ちゃんです」

 

 部屋に戻ってきてすぐに二人を招き入れる。

 呆気にとられている華雄をよそに、反応を返したのは詠だ。

 

「いきなり連れてきてなんなのよ? 身体は大丈夫なの? っていうか詠ちゃん言うなっ!」

 

「詠ちゃん……そんなこと言いながら深さんの身体に気を遣ってるんだね……ふふっ」

 

「ちょっ……月!?」

 

 反董卓連合の解散を聞いてから落ち着いてきた月と目が合った。俺は頷き返してから詠のほうへ向く。

 

「はいはい、今からちゃんと説明するから……あと身体の方は大丈夫だよ詠ちゃん。心配してくれてありがとう」

 

「……なっ……ばっ…………もう! いいからちゃっちゃと説明しなさいよ!」

 

「照れてる詠ちゃんも可愛いなー」

 

「ですよね!」

 

「……っ! …………っ! …………っ!」

 

 俺と月によって弄られた詠が、真っ赤になりながら蹴ってくるのを躱しつつ説明を始める。

 

「これより華雄には座学を教えようと思う。きちんとやる時間は無いから、汜水関での出来事の反省会のようなものになるけど……」

 

「……この猪に座学なんて……って思ったけど、それなら意味はあるわね。失敗からこそ人は学ぶもの」

 

 気が済んだのか不毛だと理解したのか、蹴りをやめた詠は俺の言葉を聞いた途端しかめっ面をした華雄に向けて自身の考えを述べた。

 それによって意見を言おうと腰を浮かしていた華雄は再び座り直した。

 

「それならその場にいなかった私達は必要ないのでは……ないですか?」

 

「月がいれば華雄はサボらないだろ?詠がいれば俺の考えとは別に軍師としての意見も聞けるから……かな」

 

 一度詠に目を向けた月はにっこりと微笑むと、こちらに向き直り頭を下げた。

 

「……ありがとうございます」

 

 たぶん俺がわざわざ言わなかったことが分かったみたいだな。月のこういうときの勘の鋭さは凄いと思う。

 

「どういたしまして」

 

 だからこそ、感謝の言葉はそのまま受け取った。

 

 さて、それじゃあ華雄の大反省会開始といきますかね……。

 

 

 

 夜、主に詠による精神攻撃をなんとか受け止めた華雄は寝台の上で仰向けになっていた。

 思い出すのは詠からの正論の嵐。その一つ一つに華雄は反論したが、努力空しく全て看破された。

 奴の言葉は分かる……分かるが納得は出来んな……。

 詠のそれは現場の者達の思いを考えられていない。そこに怒りといった感情は考慮されてない。

 だからこそ詠は最後にこう言ったのだろう。「これはあくまでも軍師としての意見」だと。

 彼女も華雄の怒りを理解できるのだろう。おそらく、董卓軍の中の誰よりも月のことを想っていたのだから。

 だがそれ以上に、深に言われた言葉が華雄の胸に深く突き刺さっていた。

 

『感情を殺せとは言わない。でも、無意味に犠牲を出すのは絶対にやっちゃいけない事だ。気持ちは痛いほど分かるけど兵を巻き込んじゃダメだ。彼らは生き抜くために命を預けているんだから』

 

 勝つためでも、敵を倒すためでもなく、生き残るため……か。

 兵など、共に戦い、共に死地に赴き、共に死んでいくものだと思っていた。月様に出会うまでは。

 その月様と同じことを言う者がいて、そいつは私よりも武に長け、知に優れ、徳を持っている。

 初めは久しく会わなかった分を弁えぬ愚か者などと侮っていたが、それは私のほうだった。

 今回の戦もこいつがいなかったら、きっとこんな結果にはならなかったのだろうな。

 俯き軽い自己嫌悪をしたあと、瞳は真っ直ぐに天井を向いていた。

 目標は決まった。単に鍛えたこの武だけは奴と並べるように……。

 

 月に忠誠を誓った時とはまた違った感情が、華雄の中で芽生え始めていた。

 

 

 

【あとがき】

あけましておめでとうございます

九条でございます

 

三が日中に投稿する予定が早速崩れ去りました……

新年開始早々ずっこけましたが、今年もよろしくお願いしますよ~

 

ちなみに新年は会社で迎えました

最初の挨拶は 「あっ、あけましたね!」

あっ……(察し

 

前回の「比翼の~」は告知通り公開停止にしました

バックアップを取ったら削除しますので悪しからず

支援下さった方には申し訳ないのですが、元からそのつもりでしたのでね……

 

今回も明命拠点と同じく説明ばかりでごめんなさい

後半は心情っぽいものを書いてみましたが、かゆうまさんの口調ってこんなんでいいのか不安(ぁ

華雄というか詠ちゃん拠点っぽくなってしまったのはきっとツンデレパワーのせい。そうに違いない。

 

残すところ音々ちゃん拠点だけになりました!

なにやらお一人だけ(?)特に期待して待っているようなので

あまり遅くならないようには書き進めております。しばしお待ちを

さりげなく時系列順に出来たので一安心していたり

 

 

今年の目標は

 

『あわよくば恋姫のオリキャラを描いてもらう!』

 

あわよくばって妥協したけど、これぐらいの心意気でってことでひとつ

 

 

稚拙な作品ではありますが、読者の皆様に感謝を

これからも何卒、応援よろしゅうですよ~

 

 

 

 

 

 

 

 

P.S

戦国†恋姫では一葉推し。


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
8
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択