No.645811

【獣機特警K-9ⅡG】ある日、サザルの村で【交流】

古淵工機さん

今回はペディ スペア氏原案のキャラがこぞって登場。
あんな目やこんな目にあっちゃったりなんかしますw

■出演
レルカ:http://www.tinami.com/view/640817

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2013-12-16 23:50:13 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:959   閲覧ユーザー数:887

ラミナ市から遠く離れた密林地帯。

舗装されていないダート路の上を、一台のワンボックスカーが走っていた。

 

「あと20分もすれば、アタシの生まれた村さ」

車を運転しているのはレルカ。助手席にはトーキョー・ベイ署署長のサウヤ、

中央座席にはキューシュー支部長のミーアとカンサイ支部長のシンシア、地球T-9隊のシラセ。

後部座席にはラミナ署生活警備課のミウ、テムナコンビ、その隣はT-9隊のマオである。

「でもお姉ちゃ…署長」

と、シラセがサウヤに訊ねる。

「あら、今日はプライベートなんだからお姉ちゃんでいいわよ」

「じゃあお言葉に甘えて。お姉ちゃん、いったい今日は何でファンガルドに?」

「ああ、ちょうど私の友人のツテでいいエステがあるって言ってたから一度体験してみたかったのよw」

さらに、ミーアとシンシアが同調する。

「あらいやだわ、いいエステだなんて。せっかくだからこの胸ももうちょっと大きくしてもらおうかしら?」

「おいミーア…それはウチに対する当てつけかいな?」

 

それを聞いていた後部座席の三人。

「あの、ミウさん…テムナさん…」

「ん?何かなマオちゃん」

「なんかお二人のお母さんからどす黒いオーラが出てるんですけど…」

「あー、いつものコトやから気にせんといて…」

「うん、関わるとかえって面倒だし…」

と、なんとなく落ち込むミウとテムナ。その傍らではマオが目を丸くしていた。

そうこうしているうちにレルカは車を停める。

「さ、着いたよ」

到着したのはネイティブファンガー・サザル族の集落。

ワンボックスのドアが一斉に開け放たれ、8人が次々に降り立つ。

「レルカ!」

レルカにとって聞き覚えのある声がやってきた。

「ナディ!帰ってたんだね?」

ANCFのレンジャー・ナディの姿だ。隣にはマイとシンディの姿もある。

「ナディたち、今日休暇。だからナディ、マイとシンディ案内してる」

「お邪魔してます」

「がう。どうもー」

 

仲良しの三人娘を見て、レルカの顔にもほっと笑みがこぼれる。

「そいつはちょうどよかったよ。ナディ、新たにお客さんだ」

ナディは目を丸くする。

「客か?見たことない人ばかりだ」

「でも、ミウさんとテムナさんは知ってますよね」

「ミウとテムナ以外、ナディ誰も知らない」

「じゃあ自己紹介しなくっちゃね。地球連邦警察トーキョー・ベイ警察署のサウヤ・レポルです。こちらは妹でT-9隊隊員のシラセ・レポル」

「で、あたしはシラセさんと同じT-9隊員でマオ・スペアっていいます!」

「私はキューシュー支部長のミーア・カワグチ」

「で、ウチはカンサイ支部長のシンシア・ツルハシです。よろしゅうな」

 

次々に挨拶する一同に、ナディたちも挨拶を交わす。

「ANCFのナディ言う。ヨロシク」

「私はマイ・シューティングスターです。こちらはもとトラのシンディさん」

「シンディです。よろしく!ところで皆さんおそろいでどったの?」

シンディの質問に、サウヤが答える。

「ええ、実はいいマッサージ師がいるって聞いてね」

「それでアタシが連れてきたんだ。ナディ、ルティの家に案内してくれるかい?」

「わかった。ルティの家案内する」

かくてナディに連れられた先はルティの家。

ちょうどルティが庭先で何かを焼いている様子だった。

「ルティ!客だ!」

ナディがルティに声をかける。

「どうもー」

シンディたちが次々に挨拶をすると、ルティの表情は見る見る笑顔に変わっていく。

「遠いところよく来たね。サザル族のルティ言うよ」

ナディ同様ややたどたどしい言葉で話すルティに、サウヤは笑顔で返す。

「レルカさんから噂は伺ってます。確か優秀なマッサージ師なんですって?」

「そうよ!ワタシのマッサージ、効果バツグン。マッサージする、みんなキレイなるね!」

と、間髪いれずにマオから質問が飛ぶ。

「で、今焼いてるのっていったいなんですか?」

「よく気ついた。これモテナシの料理。鶏肉、カミナリ豆の油漬けて野菜と一緒、バナナの葉で包んで焼く。これ食べる力つく。サザルの伝統よ」

 

そうしているうちに料理が出来上がった。香ばしい薫りが当たり一帯に広がる。

「お、焼けた。さ、みんな食べるね!」

ルティの合図で真っ先に飛び出したのはテムナだ。

「いただきまーす!あむあむあむ…」

おいしそうに鶏肉にかぶりつくテムナ。

…だが、その直後テムナの身に異変が起きた。

「うっ…!?うぎゃあああああ!!」

「テ、テムナ!?」

「なっ、なっ、何やのコレっ、か、辛い辛い辛いーーーー!!」

 

もだえ苦しむテムナを見て、思い出したようにルティが話す。

「…言い忘れた。カミナリ豆とても辛い。アナタ達舌焼けるほど。十分気をつけるね」

「そ、そんな重要なコトは先に言わんかぃっ!!うへっ、えふぇっ…」

辛さにまだ身悶えつつも、さすがはオーサカ育ち、相変わらず切れのよいツッコミである。

 

いっぽうのサウヤ・シラセ姉妹はその激辛料理を前にして、裏人格が発動していた…。

「ふっふっふっふ…激辛と聞いちゃあこのサウヤ様は黙ってられないねェ…そうだろシラセ?」

「ああ、どんだけ辛いか知らねえが食い尽くしてやんぜっ!」

そして勢いよくかぶりつく姉妹の姿を見て、マオはただ呆然と立ち尽くしていた。

「うう、姉貴にサウヤ署長とシラセさんの事は聞いてたけど…実際に目の前にすると怖いなあ…」

するとマオの肩に手を添えつつ、ミーアとシンシアが話す。

「世の中そういうものよ、マオちゃん…」

「せやせや。気にしたら負けやで?」

 

さて、モテナシ料理を食べ終えた一行は食後の休憩を取っていた。

そんな中、ふとサウヤが切りだす。

「そうだわ。シンシアさんにミーアさん。私たちマッサージを受けに来たんですわよね」

「ええ、ミウから話は聞いているけどルティさん、腕は確かだって言うし」

その話を聞いたルティもにこやかな笑顔を浮かべて答える。

「モチロンよ!ワタシ、村で一番マッサージ得意。アナタたち、マッサージ受ける初めて?」

ルティの問いに答えるシンシア。

「せやねー。噂にしか聞いてへんし。いっちょお願いできますか?」

一方、シラセとマオはナディ、マイ、シンディと一緒に遊んでいた。

「あー!チクショウまた失敗しやがった!!」

「もう、シラセさんってば…」

「シラセ、集中力足りない。もっと良く狙え」

「んーーーーだーーーとーーーーっ!!」

シラセとマオが遊んでいたのは輪投げの一種。しかしそこはサザル族、一筋縄ではいかない。

自然にあるものを利用して的を作っているため、そこを狙って投げるだけでも高度なテクニックを要するのだ。

シラセは何度投げても失敗続きであったため、怒りのあまりまたも裏人格が発動してしまっていた。

マオとマイは、ただただそれをなだめるので必死だった。

 

「次!シンディ、いきますっ!!」

気合十分。シンディは一番入れるのが難しい上のほうの的を狙う。

「…がぁぁぁうっ!!」

咆哮も勇ましく、放り上げた輪が的に命中!

「すごい!シンディさん、一発で決めましたね!」

マイが驚きの歓声を上げる。

「へへへ、伊達に野生だったわけじゃないんだかんねー」

「…そ、そんな…私、輪投げは得意なハズだったのにぃ…ぐす、ぐす…」

得意げなシンディを見たシラセは表人格に戻って落ち込む。

「だ、大丈夫だって!また次がんばればいいじゃない」

「うん、ありがとマオちゃん…ぐす…」

その様子をのんびり見ていたミウとテムナは、レルカからおすそ分けをもらっていた。

「はい、これ!」

「何ですか?」

「コーヒー豆だよ。お二人さんも仕事柄よくコーヒー飲むだろ?」

「ええ、まぁ…」

「せやけどお金とか…」

「いいっていいって。アタシからのプレゼントさね!焙煎はこっちでやってあるから、あとは挽いて淹れればおいしいコーヒーができるはずだよ」

 

ファンガルドにおいて、コーヒーはサザル族の間でも眠気覚ましとして重宝されていた。

それを文明人やテラナー移民たちが現在のように煎じて飲料として飲むようになってからは、

その文化が逆にサザル族の暮らしにも取り入れられ、一部の住民はコーヒー農園を開いて生計を立てたり、都市に出て喫茶店を開いたりするものも現れたのだそうだ。

 

「そのままブラックでもよし。砂糖とミルクを入れてカフェオレもよし。ウマさは保証するよ!」

「なるほど!冷コーもイケるっちゅうワケやね!?」

「そう。冷やしても勿論おいしいよ!」

「じゃ、これいただきますねレルカさん」

「おおきに!あとでじっくり飲ましてもらいますわ!」

「うんうん。もしなんかあったら、また店にも来とくれよ!」

コーヒーを受け取り笑顔のミウとテムナ。

「ところでミウ…」

ふいにテムナがミウに訊ねた。

「ん?なあに?」

「母ちゃんたち、今頃どないしとんねやろか…」

そのつぶやきにレルカが反応する。

「確かにあいつ、腕はいいんだけど一部の人にはものすごい激痛だからねえ…」

 

レルカの心配は的中していた。

「いだだだだだだだ!!おい!こんなに痛いなんてあたしゃ聞いてないぞ!!」

痛みのあまり思わず裏人格でまくし立てるサウヤ。

「痛い、生きてる証。悪いもの追い出せば痛み引く。アナタ健康になりたい、我慢するね!」

「ぎゃおおおおおおお!!!」

 

それを見ていたミーアとシンシアは、すでにマッサージを終えたあとだった。

「…ええ、確かにあれはよく効くけど本当に痛かったわねシンシア…」

「あー…背骨折れる思うたわ。いきなりグイー曲げんねやもんなァ」

「ゴタゴタ言ってないで…ぐわぁ!?あ、あたしを助けっ、ぎゃあ!?」

…良薬は口に苦し、とはよく言うが、さしずめこの場合、いいマッサージは結構痛いといったところであろうか。

青く澄み渡る空に、サウヤの悲鳴がこだました。


 
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