No.639711

真・恋姫†無双~黒の御使いと鬼子の少女~ 4

風猫さん

白髪の鬼子と黒の御使いの、守るために戦い抜いたお話

真・恋姫†無双の蜀√のお話です。

オリジナルキャラクターが蜀√に関わる話なので、大筋の話は本編とほぼ同じですが、そういったのがお嫌いな方はブラウザのバックボタンをお願いします。

続きを表示

2013-11-24 23:51:41 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1855   閲覧ユーザー数:1719

「………………………んん?」

 

 男はこの場にいる全員を奇妙なものを見るような目で見渡す。まぁ、平成の学生が見れば確かに奇妙な格好だろう。かくいう俺も、真っ黒な外套を着ているから、奇妙と言えば奇妙ではある。

 

 そして、劉備三姉妹はその男を様々な視線で見つめている。

 

「あー……えっと……」

 

 それに耐えられなくなったのか、男はすこし気恥ずかしそうに適当な言葉を探しているようだったが、ふと、あたりの風景の異変に気がついたようだ。

 

「って……ここ、どこだ?」

 

 ぼんやりと周辺を見渡してから、再び呟くように言葉を発する。

 

「ホント……ここ、どこだよ?」

 

 できれば、俺も聞きたいぐらいだが、ここはあえて口をつむぐことにする。男のほうは、頭を抱えて、嘆息してしまう。どうやら、状況が完全に理解できないようだ。

 

 と、そのとき、劉備が彼へ話しかける。

 

「あ、あのぉ~……」

 

 頭に疑問符をつけながら、首をかしげる男へ、劉備は問いかけた。

 

「えーっと……だ、大丈夫ですかぁ?」

 

 その顔は心底心配そうで、顔を覗き込んで顔色をうかがっている。

 

「うっ」

 

 男のほうは、顔を少し赤らめながらその瞳に見入っている。まぁ、高校生が美女に見入られたら、普通はそうなるわな、と、言っている自分も年齢的には高校三年程度だということを忘れていたが、今はどうでもいい。

 

「だ、大丈夫。心配してくれてありがとう」

 

 そう礼を言いながら、男は気恥ずかしそうに立ち上がった。

 

「ホッ、良かったぁ~♪」

 

 その様子を見て安堵したのか、劉備は優しげな笑顔を見せる。初対面の男に対して、よくそこまで心配できるものだと、少し関心する。

 

「心配してくれてありがと。……ところで。つかぬ事をお聞きするんだけど……」

 

 その顔をみて、再び顔を赤くする男は、彼女へ質問を投げかける。

 

「ここってさ。……どこ?」

(まぁ、普通はそれからだよな)

 

 俺とは違い、この男はどういった状況で飛ばされたのか理解できていないようだ。それ故に、最もシンプルな質問を投げかけたのだろうが……

 

「へ?」

 

 あっけにとられた劉備を無視して、男は自分が飛ばされた状況を話し始める。

 

「学校に遅刻しそうってんで、全速力で走っていたら、何かにぶつかった感じがして……気がつくとここに来てたんだけど」

「…………」

「それに……三人とも変な格好しているけど、もしかして、ここってコスプレとかそういうイベントの会場か何かなの?」

「こすぷれ? いべんと?」

「……??」

「……??」

 

 ……面白いぐらいに話が噛み合っていない。まぁ、男はここが日本だと思い込んでいるようだし、劉備は言葉の意味が理解できていない。そんな状況で噛み合うほうがおかしいのではあるのだが。

 

「えーっと……」

 

 男のほうも、どうやら言葉が通じていないことに気がついたようで、わかる範囲で情報を得ようとしたのか、とにかくこの場所がどこなのかを彼女に聞いた。すると、それに答えたのは関羽だった。

 

「ここは幽州啄群。五台山の麓だ」

「ゆうしゅうたくぐん?」

 

 今度は、男のほうが呆気にとられたような表情をした。かくいう俺もさっぱり分らんのだが、顔には出さない。ちなみに、雪華は俺の外套の下に隠れているが、彼女は理解することを放棄したのか、外套の中身をあさって、取り出した人形で人形遊びをしている。

 

 いまだに混乱しているのか、男は格好について聞いていた。

 

「それで、えーっと……君たちはどうしてそんな恰好をしてるの?」

 

 その問いに、答えたのかは少し微妙だが、口をはさんだのは張飛だった。

 

「お兄ちゃんこそ、変なかっこなのだ。なんか、キラキラしてるー」

「ホントだねー。太陽の光を浴びてキラキラしてる。……上等な絹を使ってるのかな?」

 

 などと話しているが、おそらく、それは何かしらの化学繊維を使っているだからだろうが、ここまで反射しているとそれ以外の糸も使っているだろうなぁ、と思っていると、案の定というか、予想通りの答えが返ってくる。

 

「これはウチの学校の制服。……制服って普通、ポリエステルとか使ってるだろ? だから普通だと思うんだけど……おかしいかなぁ?」

「ぽーりーえすてーるってなぁに?」

「へっ!?」

 

 この男もそろそろ、気がついてもいいと思うのだが。ここが自分の常識が通じない世界だということに。

 

「それに。何だかさっきから、私の知らない言葉ばかり。……お兄さん、一体何者なのかな?」

「な、何者? うーん、まさか自分がそんな風に言われる日が来るとは……」

 

 怪しまれたことにがっくりきたのか、少し肩を落とすが、すぐに気持ちを切り替えたのか、劉備に自身の名を告げた。

 

「俺は北郷一刀。聖フランチェスカ学園の二年生。なんだけど……」

 

 その自己紹介に、劉備達は完全にはてなマークを頭に浮かべている。にしても、

 

(聖フランチェスカって、女子高じゃなかったか?)

 

 親戚の人がそこの卒業生だったので、ほぼうろ覚えだが、確かそうだったはず。とはいっても、所詮は7年前の話。男女共学に変わっていても不思議ではない。

 

 自身の紹介を終えた男は、三人に名を訪ねる。

 

「キミたちは?」

 

 そう尋ねられた彼女らは、姿勢を少し正して、自身の名を告げた。

 

「私は劉備。字は玄徳!」

「鈴々は張飛なのだ!」

「関雲長とは私のことだ」

 

 そこで、北郷と名乗った男は、固まった。

 

「…………………………はぁ?」

 

 どうやら、彼女たちのことを知っているようだった。正しくは、歴史上の、だと思われるが。

 

「……ってそうじゃなくて。あのさ、別にボケなくて良いから。普通に名前を教えて欲しいんだけど……あと、ついでにここがどこだかも、本当のことを教えてよ……」

 

 その問いには少しいらついたような口調で関羽が答えた。

 

「分からない人だ。先ほどからこの場所は幽州啄群だと教えているではないか」

「お兄ちゃんってバカなのかー?」

「え……」

 

 そこでようやく気がついたのか、北郷は少しうろたえながらも、三人にもう一度問いかけた。

 

「えーっと……マジでそういう名前なの?」

「そういう名前なのだ!」

「うんうん。ウソなんてつかないよねー。……ホント、お兄さんって何者なの?」

 

 二人の答えに、よくわからなくなってきたのか、再び頭を抱える北郷。そろそろ手助けをしてやろうかと、本気で思うが、こういったことは自身で理解したほうが後々いいだろうと判断して、そのまま成り行きを見届ける。

 

 北郷のほうはぶつぶつと何かを言っている。どうやら、自分の行動を振り返っているようだ。だが、結局何にもわからなかったのか、はたまた、現状把握のほうが大事だと思ったのか、視線を劉備に戻すと、再度、彼女へ問いかける。

 

「劉備ちゃん、だっけ。ちょっと聞いて良い?」

「どうぞ♪」

「ここって……もちろん日本だよね?」

「にほん? にほんって何?」

「…………」

 

 一つ目から予想外なのか、予想通りなのか、とにかく少し落胆したような表情で、次の質問を投げかける。

 

「えーっと……じゃあ、今ってもちろん西暦2008年だよね?」

「せいれき?」

「…………」

 

 さらに落胆したような表情で、がっくりとうなだれる。

 

「うーーーーーーん……」

 

 どうやら、何かがおかしいことだけは理解したようだが、何がおかしいのかが理解できてないようだった。てか、ここまでそろっていて、なぜに過去に来てしまったということがわからんのだろうか?

 

 そんな北郷へ、今度は劉備の方から話しかけてきた。

 

「あのね、次は私が質問してもいい?」

「え!? あ、うん。どうぞ」

「お兄さんって、どこから来たの? どうしてこんなところで寝ていたの?」

「……それが分かれば苦労しないんだけどね。……ホントに何も分からないんだ。どうしてこんなところに居るのか……」

 

 人形遊びに飽きたのか、雪華はあや取りを始めた。まぁ、この子からしたら退屈な話であることは何となくわかる。てか、俺もそろそろ飽き始めてきた。放置してどこかに行ってしまおうか?

 

「うーん……じゃあね、お兄さん、どこの出身?」

「出身? 東京都台東区。浅草だけど」

 

 あー、浅草出身なのか。昔からあそこは活気があったもんだ。……一度スリに合ったが。

 

「あさくさー? そんな邑あったっけー?」

「いや、聞いたことがないな。どこの州だ?」

「州?」

「さっき教えた幽州とか、荊州とか、冀州とか。……もしかして、洛陽出身とか?」

「…………」

 

 そこまで言われようやく気がついたようだ。というか、ここまで言われて気がつかない方がおかしい気もするが。

 

「これは……夢?」

 

 そこで、俺はようやく話に割り込むことにした。

 

 

あとがき~のようなもの~

 

どうも、数時間ぶりのおはこんばんにゃにゃにゃちわ、風猫です。

 

う~む、若干あとがきネタが思い浮かばない。なので、ここはこれにて終了!

 

い、いた! いたい! 泥団子を投げつけないでください! なんだかんだで石の塊のようなものなんですよ!? 泥って言ったって、それは小さな石であることに変わりはないんですよ!?

 

うぅ、ひどい目にあった……

 

まぁ、実際にはそこまでいうことも思いつかないので、次回の更新までに何かが浮かんでいることを祈りましょう。

 

何かありましたら、コメントの方お願いいたします。

 

それではまた~(・ω・)ノシ


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
6
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択