No.639476

真・恋姫†無双~黒の御使いと鬼子の少女~ 3

風猫さん

白髪の鬼子と黒の御使いの、守るために戦い抜いたお話

真・恋姫†無双の蜀√のお話です。

オリジナルキャラクターが蜀√に関わる話なので、大筋の話は本編とほぼ同じですが、そういったのがお嫌いな方はブラウザのバックボタンをお願いします。

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2013-11-24 10:50:33 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1892   閲覧ユーザー数:1742

「……うっ」

 

 温かな光が、瞼を刺激する。ゆっくりと目を開くと、濃い青空が広がっていた。体を起して見渡せば、そこには、見たこともないような大平原と、遠くに剣山のように連なっている山々が見えた。呆気にとられていると、左手が握られる感触が伝わってくる。目線を移すと、そこには雪華が目をこすりながら自分と同じように体を起こしていた。

 

「う~、ここはぁ?」

「目が覚めたか?」

 

 ぼんやりとした目でこちらを見上げる雪華は、俺を確認するとばっちり目が覚めたようだ。

 

「ゲンキ? ここどこ?」

「知らん。どうやら、無事に着いたようではあるが……」

 

 今度は完全に立ち上がり、周辺を見渡す。と、空に奇妙なものを見つけた。

 

「流れ星?」

 

 そう、大きな流れ星がこちらへ向かって落ちてきているのだ。ただ、軌道からすると、こちらの後ろに落ちそうなのだが……

 

(音がしない?)

 

 流れ星というのは、要は宇宙のゴミやら、小さな隕石が地面に到達する前に燃え尽きる現象なのだが、あの星は燃え尽きることなく、地面へ向かっている。だが、まったく音が聞こえないのだ。耳がおかしくなっているわけでもない。

 

 そんなことを考えている間にも星は頭上を通り過ぎて、二人の後方へと落ちていき、そして、地面へと“着地した”。

 

「ゲンキ、今の……」

「……追ってみるか」

「うん!」

 

 楽しそうに頷いた雪華に手を引かれながら、俺は流れ星の落ちた地へ向かう。そこで出会う、四人のことを知らないまま。

 

~流れ星の落ちた地~

 

「ここら辺、だよな?」

 

 流星が落ちた地に着いた俺達は、あたりをキョロキョロと見渡すが、そこには何もなかった。

 

「見間違えたか?」

「……? ゲンキ! あそこに何かいる!」

 

 言われて、俺は彼女が指さした先を注意して見てみると、確かにキラキラした何かがあるのが見えた。どうやら、人のようだ。

 

「……行ってみるか?」

 

 と、聞く前に雪華は俺を引っ張ってその方角へ走り出していた。どうやら、好奇心がビシバシと刺激されているようだ。こうなった彼女は止められない。

 

 思った以上に距離はあったものの、目的の場所へはすぐに着いた。そこにいたのは、

 

「高校生……?」

 

 白い制服を着た男だった。にしても、なんとまぁ、のんきに寝ているものだ。

 

「んん……」

 

 寝返りまでうってるところを見ると、かなり寝入ってるようだ。雪華が頬を突いても全く反応を示さない。

 さてどうしたものかと思っている時だった。

 

「流星が落ちたのって……この辺りだよね?」

「私たちが見た流星の軌跡は、五台山の麓に落ちるものでした。我らの目が妖に誑かされていたのでなければ、この辺りで間違いないでしょう」

「だけど、周りには何もないのだ。……どうなってるのかなー?」

 

 三人の、女性と思われる声が耳に入り込んだ。俺は雪華に顔を隠すように指示すると、すぐに外套の頭巾で顔を隠す。その時、そのうちの一番若そうな声の女性、いや、少女がこちらに気がついたようだった。

 

 それを慌てて二人が追いかけてくる。そして、その一人がこちらの目の前にやってきた。

 

「あやー、お兄ちゃんはだれなのだ?」

「いや、誰と言われてもだな」

 

 そこまで言った時だった。彼女は足元で寝ている男を見ると、その雰囲気を一変させた。

 

「……お兄ちゃんがやったのか?」

 

 その手に持つ得物をこちらへと構えるが、俺は何もしてない。ならば、臆する必要はない。

 

「俺じゃねぇよ。ここに来た時には既に眠ってた」

「あや、そうなのか」

 

 そんなやり取りをしてると、他の二人も追いついた。

 

「あ、あれ? 鈴々ちゃん、この人は?」

 

 そのうちの一人、なんだかぽんやりとした雰囲気女性が最初にやってきた少女、鈴々へと話しかける。

 

「なんか、鈴々が来た時にはいたのだ。ちなみに、そこで寝ている人はお兄ちゃんがやったわけではないのだ」

「寝ているって、うわぁ!」

 

 ようやく気がついたのか、寝ている男を見つけた瞬間、思わず飛びのいた。それを見ていた、三人目の女性、美しい黒髪の女性は、俺へ向けて竜が象られた薙刀のような武器をこちらへ向ける。

 

「貴様ぁ! 桃香さまに何を!」

「……はぁ」

 

 こいつらは、まず疑うことが前提なのだろうか? まぁ、足元に寝ている人間がいるのでわからなくはないが。

 

「ち、違うよ、私がちょっと驚いただけなの」

「そ、そうですか」

 

 とはいいつつも納得はしてないようで、その切っ先は下げない。

 

「というか、結局お兄ちゃんはだれなのだ?」

「普通、名を聞くなら自分からじゃないか?」

「あやー、それもそうなのだ」

 

 などとのんきに喋る少女。そして、自身の名を名乗ろうとしたときだった。

 

「ん……」

 

 いまだに眠り続ける男が、寝言を漏らす。

 

「っ?! 桃香さま下がって!」

「え? ……わわっ!?」

 

 途端に桃香と呼んでいる女性を押しのけ、戦闘態勢へ移行する黒髪の女性。それを尻目に鈴々と呼ばれた少女は、男の傍へ近寄ってしゃがみ込む。

 

「おー、このお兄ちゃん、起きそうだよー。へへー、つんつん……」

「こら、鈴々!」

 

 自身の人差し指で寝ている男の頬をつつく少女をしかる黒髪の女性。そのさまはまるで姉妹のようだった。いや、三姉妹と言うべきだろうか?

 

 そして、男のほうはつつかれたことに反応したのか、再び寝言を漏らす。

 

「……っ!」

 

 再び戦闘態勢へ移行する黒髪の女性。だが、男はそのまま寝続けている。

 

「くっ……脅かしよって……」

 

 そう言う女性をにやにやと二人が見ている。

 

「な、なんです二人とも。私の顔に何かついているのですか?」

「あー……愛紗ちゃん、もしかして、怖いのかな?」

 

 そんなことを言われた黒髪の女性、もとい、愛紗と呼ばれた女性は一瞬、ドキッとした表情を見せたが、すぐに凛々しい表情で取り直す。

 

「……そんなこと、あるわけがありません!」

「ふーん……」

「な、なんですかその、やっぱり怖いんだー、とでも言いたげな笑いは! 我が名は関羽! 幽州の青龍刀と呼ばれたこの私が、このような些細なことで怖がるなど――――」

 

 と、早口に捲し立てた時だった。

 

「アッーーーーーーーー!」

 

突然、鈴々が大声をあげて、

 

「……ひっ!? な、なんだ鈴々! どうしたというのだ!?」

 

 可愛らしく驚いた彼女が慌てて聞き返した。

 

「……お兄ちゃんが目を開けそうなのだ」

 

そして、その答えは割とあっさりとしたものだった。

 

「なに!?」

「あはは、やっぱり怖いんだ?」

「そ、そんなことはありませんよ……?」

 

 と、可愛らしく反論するしているが、俺は、それどころではなかった。

 

(関羽だと? 青龍刀を使う関羽っていったら、三国志の関雲長か?!)

 

 そうなると、ここは、

 

「三国志の、中国なのか……?」

 

 ぼそりと、呟いた声は誰にも聞こえなかったようだが、聞こえていたところで、俺にはどうでもよかった。

 

(となると、残りの二人は、張飛と、劉備?!)

 

 三国志を知らない人でも、名前ぐらいは聞いたことはあるはずの有名人だ。だが、彼らは全員、

 

(……男じゃなかったのか?!)

 

 目の前にいるのは、完全に女だ。関羽と劉備に至っては、立派なものが胸についている。疑いようがない。とんでもない歴史の事実に困惑していると、場に変化が起きた。男が目を覚ましたのだ。

 

あとがき~のようなもの~

 

連日でおはこんばんにゃにゃにゃちわ、風猫です。

 

……わかってる。野郎が何言ってやがるんだって批判は覚悟の上です。でも、一度言ってみたかったんだょぉ~~~~~~~~~~~~~!

 

てなわけであとがきモドキです。

 

はい、お約束通り恋姫の登場でごぜぇます。しかも、種うm(げふんげふん もとい天の御遣い、北郷君もオマケでいます。

 

い、いたいいたい! 北郷ファンの方、石はダメです! せめて、せめてゴムボールにしてぇ!

 

……う、ぅぅ、と、とにかく、二人の御使いが出てくる本作ですが、生暖かい目で見守って下さるとありがたいです。

 

あ、あと今回のお話から玄輝の視点で描かれていきます。戸惑う方もいらっしゃるとは思いますが、なにとぞよろしくお願いいたします。

 

それでは、また次回の更新で~(とりあえず、総閲覧が200を超えたら、更新、するかもですよ? ただし、序盤に限り!)


 
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