トラックに戻る途中で、俺達の耳に飛び込んで来たのは銃声とエンジンの音だった。それもバイクやスクーターらしい音だ。まさかとは思うが・・・・俺は歩くペースを早め、銃を斧の様に左手に持ち替え、シグを抜いた。安全装置を外し、寝かせていた撃鉄を起こした。サイレンサーは既に取り付けてある。断続的に再び銃声が聞こえて来た。疑惑が確信に変わって行く。外に何台かスクーターが見えた。三台は大破、残り一台はタイヤがぶち抜かれていた。死体も転がっている。
「滝沢さ」
「静かに。」
口を開いた冴子の口を塞いだ。俺達の現在地は距離としては大体十メートル離れている。コータや片桐がいる以上不意を突かれでもしない限り問題は無いと思うが、如何せん確認する方法が無い。そんな時、一つ考えが浮かんだ。徐にM327を引き抜くと空に向かって 一発だけ発砲した。しばらく待つと、改造AR10を持ったコータがトレーラー後方、前方は片桐がシグP230とガバメントを構えて車外に現れた。
「大丈夫っぽいな。行くぞ。」
俺達の姿を見て顔を顰めた。かなり緊張していたのだろうか、コータは大袈裟に息を吐き出して銃口を下げた。
「滝沢、さっきの銃声お前か?」
「ああ。外に原チャリ止めてあるのを見てな。もしかしたらやられたのかと思って一発撃ったんだ。」
「おいおい、俺がそう簡単に死ぬと思うのか?確かに八人位来たけど、愚かにも雨の中タンデムやってたから。にしても、コータだっけ?こいつマジやるよな、一発ヘッドショットだぜ?あれ、貴理子先輩?!」
「あらぁ〜、竜ちゃんじゃな〜い。」
まるで甥っ子に再開したかの様な口振りに、俺は思わず吹き出してしまった。こいつがここまでたじろぐのを見たのは久し振りだ。
「その呼び方やめて下さい・・・・・ガキじゃないんですから。って、その槍どうしたんすか?」
「ん?ああコレ?正ちゃんの勝手に持ち出しちゃった♡」
『持ち出しちゃった』じゃねえよ・・・・良い歳こいて。
「知り合いなのか?」
「警察に入ってSPになる前は少しの間交通機動隊にいたからな。その時にちょっと。」
「麗、お前生粋の警察官家族だな。社内恋愛ならぬ署内恋愛で生まれたとは・・・・それに、こう言う気の強さは母親譲りだし。」
「まあ・・・お母さん警察に入る前はレディーズの暴走族のアタマだったからね。白バイ警官だった頃は『PSの貴理子』なんて呼ばれてたし・・・」
苦笑いしながら言われる。まあ、想像は難しくないわな。しかも百八十度立場が変わった職業に就くとは・・・・
「話は終わったか?さっさと行くぞ。いい加減寒くなって来た。」
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とある民間軍事会社に勤めていた傭兵は、僅か二十六でその生涯に幕を閉じたが、次に目を開けた時には、赤ん坊として生まれ変わっていた!
チートな特撮の武器も『神の介入』と言う事で出します。