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魔法少女リリカルなのは~原作介入する気は無かったのに~ 超・番外編 別作品とのコラボ

今回は自分初のコラボ作品ッス。

2013-10-27 00:18:31 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:24522   閲覧ユーザー数:21639

 「ねえユウ?」

 

 「何だレヴィ?」

 

 「この廊下、長いね」

 

 「ああ、長いな」

 

 「僕もう疲れたんだけど…」

 

 「我慢しろ」

 

 「ぶぅ~…」

 

 レヴィがブー垂れるのも仕方が無い。

 神様が俺、シュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリ、亮太、椿姫、澪……そして西条の9人を呼び出し、転移させたかと思えばこの謎の豪邸の長い長い廊下を歩いている。

 神様からは…

 

 『中庭目指してね。そこに食べ物や飲み物が一杯あるから』

 

 と言われただけだった。

 

 「レヴィ、俺がおぶってやるぞ。何ならお姫様抱っこでもいいけど?」(ニコッ)

 

 「僕に近付くな」

 

 「照れるなよレヴィ」

 

 …相変わらず過ぎるぜ西条。

 

 「ユウキ。あの男をここで縛っておいてくれませんか?出来れば天の鎖(エルキドゥ)で」

 

 「天の鎖(エルキドゥ)が穢れるから嫌だ。てか何でシュテルが天の鎖(エルキドゥ)の事知ってるんだ?俺、お前達の前で宝具使った事無いぞ?」

 

 「それは今回が番外編だからだユウキ。我等はお前や亮太、椿姫、澪……ついでにあの塵芥が転生者だという事も知っておる」

 

 「はい。あと今回私達がいるこの空間は『何でもアリ』『メタ発言は全て了承』『気にしたら負け』の3要素で構成された空間だという事もです」

 

 むぅ…今回が番外編である以上、ある程度の隠し事はバレてるという事か。

 

 「じゃあ、今の私達の姿が大人になっている(・・・・・・・・)理由は誰か分かる?」

 

 「あ、それは僕が聞いてるよ。今の僕達は何でも『ゲストの時間軸に合わせてSts時代に成長させている』って事らしいよ」

 

 「私もです。それに上の地の文やディアーチェちゃんの台詞で私の事を『澪』と名前で呼ばれているのは『Sts時代までに名前で呼び合う様になるから』らしいです」

 

 椿姫の質問に亮太、澪が答える。

 

 「『ゲスト』って誰?」

 

 「「「「「「「さあ?」」」」」」」

 

 その事については俺含め、誰も知らない様だ。

 

 「シュテル、ディアーチェ、ユーリ、椿姫。お前達も疲れてないか?俺に言ってくれれば遠慮無くおぶってやるから(レヴィも含めてかなり成長してるからな。出来ればおぶって背中越しにアイツ等の胸の感触を楽しみたいぜ)」

 

 視線と表情で何を考えてるのか丸分かりだぞ西条。

 

 「ていうか何で豚まで…。鳴海少将ともう一人の豚はどうしたんでしょうか?」

 

 「鳴海少将は管理局の方でどうしても外せない用事があるらしい。吉満は言わずもがな…もう阿部先生一筋だから今回のイベントにゃあ興味無いんだろうよ」

 

 澪の疑問に俺が答える。

 

 皆で喋りながら(西条は基本無視)歩き続け、ようやく扉が見えてきた。

 その扉を開けると神様が言っていた中庭があった。

 いくつかのテーブルには沢山の料理や飲み物が準備されていた。

 

 「おおおおおおおおっっっっっ♪♪♪」

 

 その光景を見て目を輝かせるレヴィ。

 

 「はー…こりゃまた大盤振る舞いだなぁ」

 

 俺も感嘆の息を漏らす。

 

 「それよりゲストの方はどこにいるんです?」

 

 「……まだ来ておらん様だな。ここにいるのは我等だけだ」

 

 ディアーチェの言う通り、四方八方見渡しても俺達以外に人影は無い。

 

 「だったら先に食べて待っていようよ」

 

 「いや、それはアカンだろ」

 

 先方に対して失礼過ぎる。

 

 「コレ、用意したの神様かしら?」

 

 「そうじゃないかな?この空間作ったのも多分神様なんだろうし」

 

 「神様…うっかりさえやらなければ優秀なんですよねぇ」

 

 転生者組は神様について語っている。

 そう…うっかりさえ無ければ仕事も家事も無茶苦茶出来るのだ。神様に家事が必要なのかは疑問だが。

 

 ギイイイィィィィ…

 

 と、俺達が中庭にやって来た方向とは別…丁度真正面にあるもう1つの扉が開く音がする。

 ついにゲストの到着か。

 扉を開けてやってきたゲスト。俺達みたいに集団なんだが…

 

 「……アレってなのは達ですよね?」

 

 「……だよなぁ」

 

 なのは、フェイト、はやて、アリシア、アリサ、すずか……何処からどう見ても俺達の顔見知りだった。もっとも、見た目が今より成長してるって事はなのは達もSts時代に合わせられてるって事か。

 

 「けど知らない人もいるわね」

 

 椿姫の言う通り、俺達の記憶に無い人物が3人、なのは達仲良し組に交じっていた。

 男性1人に女性2人。

 

 「誰だろう?」

 

 「海中の生徒や教師では無いよね。という事は彼等が神様の言っていたゲストって事かな?」

 

 亮太が言う様に、少なくとも海中では見た事無い。もっとも、アレが俺達みたいに誰かの成長した姿ならただ単にど忘れしてるだけかも。

 

 「……………………」

 

 とりあえず俺はなのは達の方へ小走りで駆け寄り始めると同時に、なのは達側にいた男性もコチラに駆け寄って来ていた………。

 

 

 

 ~~???視点~~

 

 「突然の神様からの呼び出し……しかも『思いきり楽しんで来て下さい』ってどういうこっちゃ?」

 

 「私は『皆さん、本編ではちょっとドンパチし過ぎですのでここいらでちょっと息抜きしてきて下さい。ついでにそこで出会う人達と交流でも深めて下さい』って言われたわよ」

 

 俺が疑問に思ぅとったらハルカが答えてくれた。

 

 「息抜き…のぅ」

 

 ホンマにこんなトコで寄り道なんかしてええんか、疑問なんじゃけど。

 

 「まあまあ良いじゃないですか。神様のおかげで私達は今、透さんと敵対せずに済んでるんですから」

 

 「響子ちゃんの言う通りだよ」

 

 「ここでは機動六課とか暁とかは関係無いんだから逃げないでよね透」

 

 「いや…逃げようにもどうやって逃げろと?」

 

 アリサよ。ここ、俺等の世界とは別世界の別空間なんじゃろ?転移系の魔法や術で帰れるとは思えんのじゃが。

 

 「ていうか透君。自分で斬った腕、治っとるんやけど?」

 

 「それについてはこの空間に入った瞬間、治ったんじゃけど?」

 

 はやてに尋ねられた事に俺は返事しようる。

 斬った腕の感覚もちゃんとあるし、それどころか本編でボロボロじゃった身体も綺麗になっとる。

 

 「「おいテメエ!!何なのは達に気安く話し掛けてやがんだ!!」」

 

 腕の感覚を確かめてたら怒鳴られた。

 言うまでも無く緋村と榊の2人だ。

 

 「ねぇ…何であの2人も来てるの?」(ヒソヒソ)

 

 「あの2人は来たら駄目でしょ?絶対に何かやらかすって」(ヒソヒソ)

 

 なんや…フェイトとアリシアがあの2人に聞こえん様、ヒソヒソと話しとるのが俺等には聞こえてきたけど。

 

 「今更そんな事言っても仕方ないでしょ。アイツ等だけ送り返せるならやってもらいたいわよ…ハア~」

 

 「……何であのクソ野郎まで…」(ギリギリ)

 

 溜め息を吐きながら言うハルカと歯軋りしながら言う響子。何ちゅーか…アイツ等への好感度の無さは相変わらずじゃのぅ。

 

 「大体何でソイツがいるんだよ?犯罪者の烙印を背負ったクズ野郎じゃねーか」

 

 榊の言葉は真実なんじゃけど、コイツに言われるとムカつくのぅ。

 

 「「「「「「「……………………」」」」」」」

 

 ただ、その一言が原因でハルカを除く女性陣の瞳から光が消えたんじゃが…。コイツ等が反応したのは『クズ野郎』っちゅー部分じゃな。

 

 「はいはいアンタ達。そこまでにしときなさい」

 

 ハルカが『パンパン!』と手を叩きながらなのは達を制止しようる。

 

 「デモネ、ハルカ…」

 

 「『でもね』じゃないわよフェイト。私達は息抜きに来てるのよ。それに神様が言ってた『この空間で出会う人達』がもう来てるかもしれないんだから。待たせるなんて相手に失礼だし…だからこんな所で時間食ってられないわ」

 

 「ま、そういうこっちゃ。今は先を急がんとな」

 

 とりあえず殺気を収めてもらい、とっとと先へ進む様に皆を促す。

 途中、緋村がトイレを探しに俺等から離れた時のなのは達の喜び様は半端無かったのぅ。ああいう人種が1人減るだけでこんなに喜ぶとは…。

 緋村が離脱して数分歩き続けると、やっと扉が見えてきた。

 

 「あの扉の向こうが目的地なのかな?」

 

 「多分そうちゃう?」

 

 扉を見ながらなのはとはやてが言う。

 俺はその扉のノブに手を掛け、ゆっくりと扉を開ける。

 

 ギイイイィィィィ…

 

 扉の先は大きな中庭じゃった。

 それぞれの机には数え切れん程の料理、飲み物が用意されており、どれも食欲を誘う良い匂いを放っておる。

 これも神様が用意したんかのぅ?

 

 「ねえ、透君、皆。アレ…」

 

 すずかが指差した先には既に複数の人影があった。って、ちぃと待て!!アレって…

 

 「シュテル達か!!?」

 

 俺達の対面側におるのは間違い無くシュテル、レヴィ、ディア、ユーリじゃった。レンは何故かおらんけど。

 

 「え?あれ?あの子達ってまだ子供でしたよね?」

 

 「…メチャクチャ成長してるじゃない」

 

 「見た目は私達と同い年ぐらいかな?」

 

 響子、ハルカ、フェイト…いや、俺も含めて皆その成長ぶりに驚いとる。

 

 「あの子等の成長ぶりも気になるけど……その側におるんは誰や?」

 

 はやてが言うのはシュテル達の側におる男女4人の事じゃろう。

 

 「神様が言ってた『ここで出会う人達』の事じゃない?もっとも、只者じゃないみたいだけど」

 

 「……………………」

 

 とりあえず俺は無言でゆっくり歩み寄ると向こう側からも男が1人、コッチに近付いてくるのじゃった………。

 

 

 

 ~~???視点終了~~

 

 俺と向こう側から近付いて来た男性は中庭の真ん中付近まで来ると立ち止まり、お互いに見詰め合う。

 

 「「「「「「「「「「……………………」」」」」」」」」」

 

 そんな俺と男性を周囲の連中は固唾を呑んで見守っている。

 俺と男性は同時に動く。

 

 「おいおいおいおい!!!随分元気そうじゃんか!!!」

 

 「それはコッチの台詞じゃぁ!!!最近調子はどうなんよ?」

 

 「この空間にいる限りは元気過ぎるぐらいだ。前回の話(第百話)でO☆HA☆NA☆SHI二連発食らっちゃったけど」

 

 「それは大変じゃったのぅ。俺も体調不良に加えて、腕は斬らなアカン現状に陥るわ、背後から刺されるわで苦労の連続じゃぁ」

 

 「でも俺達が頑張らないといけないよな」

 

 「じゃのぅ。護りたい奴等がおれば尚更じゃ」

 

 「「「「「「「ユウキ(ユウ)(勇紀)(勇紀君)」」」」」」」

 

 「「「「「「「「透君(透)(透さん)」」」」」」」」

 

 「「ん?」」

 

 俺と『透』と呼ばれた男性は同時に自分の背後を振り向く。

 そこにはいつの間にか自分と一緒に中庭に来たメンバーがいた。

 

 「勇紀、彼は貴方の知り合い?」

 

 「僕達が海小に転入するまえに転校していった昔の友達とか?」

 

 椿姫とレヴィが俺に尋ね

 

 「透、その人誰なの?」

 

 「もしかして未だに本編で登場すらしていない暁のメンバーだったりするのかな?」

 

 見た事無い女性となのはが透と言う男性に詰め寄っていた。

 俺が振り返ると透と呼ばれた男性も同時にコチラを向き

 

 「「あっはっはっはっは…」」

 

 笑顔で笑いあった後、

 

 「「初めまして」」

 

 頭を下げながら握手を交わした。

 

 「…って、2人共初対面かーーーーーーーい!!!!!」

 

 「紛らわしい会話をするな!!!」

 

 そんな俺達のやりとりに突っ込みながら透と呼ばれた男性は、いつの間にかはやての手に握られていたハリセンで頭をはたかれ、俺はディアーチェから拳骨を見舞われた。

 痛いよディアーチェ。お前の拳骨は基本レヴィに向けるものだろ?

 

 「お?もう交流が始まっているのかな?」

 

 「みたいですねぇ」

 

 んん?

 突然声がしたので顔を向けると、そこには俺を転生させてくれた神様と見知らぬ女性が1人。

 

 「「神様」」

 

 俺と透という男性の声が重なる。

 

 「うむ。良く来てくれた勇紀率いる『原作介入』の諸君。そして初めまして透率いる『ダメ人間』の諸君。私はソッチにいる『原作介入』の世界を担当する神だよ」

 

 「私は透さんを始め『ダメ人間』の世界を見守っている神で名をアルテミスと言います。以後、よろしくお願いしますね」

 

 どうやらこの女性も神らしい。そしてアッチにいる見た事無い3人はこの神が転生させた転生者との事。

 

 「今回は『原作介入』の作者、カルピスウォーターの初コラボという事で君達には『ダメ人間』の世界から来て貰った訳だ。忙しいトコ済まないね」

 

 「ああ、気にせんで下さい。そこにおる神様にも言われた通り息抜きには丁度ええですから」

 

 「長谷川勇紀さんも忙しいのに申し訳ありません」

 

 「別にヒマだったから良いですよ、頭下げて貰わなくても」

 

 頭を下げる神様を手で制す。

 けど俺が転生してから神様と直接対面するのは初めてだ。

 ……せっかくだし……

 

 「そう言って貰えると助かるよ。今日は思いきり楽しんでくれ。……時に勇紀」

 

 「何ですか神様?」

 

 「何故私は仰向けで倒れているんだろうね?」

 

 「ヤダなぁ。俺が足払いを掛けたからに決まってるじゃないですか♪」

 

 「…そうか。後、何故君が私の上でマウントポジションを取っているのかな?」

 

 「それは当然神様が逃げられない様にって事ですよ♪」

 

 「成る程理解した。最後に、その上にかざしてる右手は何のためかな?」

 

 「それは勿論…」

 

 俺は右手だけ魔力で身体強化する。

 

 「アンタを全力で殴るためだーーーー!!!!!」

 

 ドゴオッ!!!

 

 「ぴぎょっ!!?」

 

 「ウラウラウラウラーーーーー!!!!」

 

 ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!

 

 俺は殴る。ただひたすら拳に想いを乗せて殴る。

 

 「…何やアイツ、いきなり神様ボコり始めたんじゃけど?」

 

 「気にしないで。勇紀は『原作介入』の世界で神様のうっかりによく巻き込まれる不遇な主人公だから。今まで積もり積もった怒りを吐き出してるんだよ」

 

 「……あそこまで容赦なく殴るっちゅう事は余程鬱憤が溜まっとったんじゃのぅ」

 

 亮太と透という転生者が会話してる様だけど、今は拳をただぶつけるのみ。

 

 「ぐふっ!!済みません済みま…げふっ!!て……転移!!」

 

 俺が殴っていると神様は転移でマウントポジションから逃れ、距離を取るがそうは問屋が卸さない。

 

 ジャラララララッ

 

 「ぬあっ!!?え…天の鎖(エルキドゥ)!!?」

 

 「はっはっは。神様は神性が有り余ってますもんね。だから拘束力は半端無いッスよ♪」

 

 ついでに転移も出来まい。令呪での転移すら封じてしまう程の効力があるからな。

 そして宝物庫を開錠し、無数の宝具の先端を神様に向ける。

 ついでに俺自身は魔力を収束し、矢の形状を構築する。

 

 「ゆ、勇紀?いや勇紀様!!お願いですからその宝具と魔力を仕舞って下さい!!」

 

 「だが断る!!」

 

 俺は一斉に宝具を投擲すると同時に、溜めに溜めた収束魔法(アポロン)を放つ。

 

 ズガガガガガガガアアアアンンンンンンッッッッ!!!!!!

 

 「ぎゃああああぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!?」

 

 神様の断末魔の叫びが聞こえる。

 これで悪は滅びた。

 俺はこれまでの鬱憤を晴らす事が出来、これまでに無いぐらい上機嫌になれた。

 

 「ま……まだ私は滅びてないからな……」

 

 …チッ、生きてやがんのかよ………。

 

 

 

 「とりあえず仕切り直しという事で。『原作介入』世界の転生者で長谷川勇紀と言います。一応主人公やってます」

 

 「同じく『原作介入』世界の転生者、大槻亮太です。勇紀とは親友です」

 

 「滝島椿姫よ。私も転生者で勇紀とは恋人同士よ」

 

 パンッ…パキイイィィィン…

 

 「勇紀、いきなり何するの?」

 

 「寝言を言う馬鹿の目を覚ましてやろうかと思ってな」

 

 俺は馬鹿な事を言った椿姫に魔力弾を放ったが簡単に防がれた。

 追撃でクリュサオルを振るうがバックステップで躱された。

 

 「???あの2人、いきなり揉め始めよったけど放っておいてええのか?」

 

 「あはは…まあ、私達の世界では椿姫ちゃんが勇紀君をからかって楽しむのは日常茶飯事ですから。あ、私は暁澪っていいます。どうぞよろしくお願いします」

 

 一部視界に入る場所では澪が自己紹介をしている最中だった。

 …これ以上、椿姫を追い掛けても捕まえられそうにないから放置しよう。

 そう思って俺は皆のいる場所へ戻る。

 その後はシュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリが自己紹介をし、次は『ダメ人間』側の番になった。

 

 「じゃあ、まずは俺からじゃな。『ダメ人間』世界の主人公で井上透じゃ。ま、本編では管理局に敵対し、『暁』ちゅうグループを率いとる。そん時はマダラと名乗っちょるがのぅ」

 

 ほほう。向こうの主人公は管理局と敵対する道を選んだ訳ですか。

 

 「私は中村ハルカ。透と同じ転生者で今は時空管理局『第19遠征隊隊長』の少将よ」

 

 「少将…Sts時間軸の私達と同じ階級ですね」

 

 「あら、そうなの?」

 

 「はい。私と勇紀君、亮太君、椿姫ちゃんは皆Stsの時期では少将にまで昇り詰めてるんですよ」

 

 「えっと澪…。僕達『原作介入』の世界はまだStsまで物語が進んでないのにネタバラしなんかして良いのかい?」

 

 「大丈夫です。階級ぐらいでSts編そのもののネタバレって訳じゃないですから」

 

 「ていうか、俺『少将』にまで上がってるのか」

 

 知らなかった。

 

 「そっちのオリキャラの皆さんも実力があるって事ですね。あ、私は緋村響子と言います。趣味は透さんのストーキングで将来の夢は透さんのお嫁さんになる事です。キャッ、言っちゃった♪////」

 

 赤らめた頬を両手で押さえ『キャアキャア』言っちゃってるけど…

 

 「今の自己紹介ってどうなんだ?明らかに可笑しいだろ?」

 

 『趣味がストーキング』って平然と言ってのけたぞ。

 

 「良いのよ。あの子はあれで平常運転だから」

 

 マジか。

 

 「次は私だね。高町なのはです。管理局では……」

 

 そしてなのは達の自己紹介が始まる。このなのは達は『原作介入』のなのは達じゃなく『ダメ人間』の世界から来たなのは達らしい。

 『だから俺達に対しても『初めまして』なんだな』と納得出来た。

 

 「…これで全員の自己紹介……は終わって無いな。西条の奴は何処行った?」

 

 よく見たら西条の奴がいない。道理で自己紹介がスムーズに進む訳だ。

 

 「西条?誰じゃ?」

 

 「いや、俺と同じ転生者の奴なんだが……。まあいなくても良いか。いたらソッチのなのは達に迷惑掛かるし」

 

 「迷惑って……何?訳ありの人物?」

 

 「ハッキリ言って視界に入れたくないぐらい好感度を持てない奴よ。私達の世界では私やなのは達の事を『俺の嫁』呼ばわりするわ、魔力の高さとレアスキルぐらいしか自慢にならず、実力無いくせに『オリ主である俺様が最強』なんて言ってるわで救い様の無い奴ね」

 

 井上の言葉に俺が、中村の言葉に椿姫が答える。

 

 「「「「「「「「「……………………」」」」」」」」」

 

 あれ?いきなり『ダメ人間』から来た連中が黙ったぞ?

 

 「何ちゅーか…ソッチの世界にもおるんか」

 

 「『ソッチの世界にも』……って、まさか……」

 

 俺が聞き返すと井上は黙って頷いた。

 何てこった……ああいう奴がいるのは俺達の世界だけじゃなかったのか。

 

 「コッチにはその手の転生者が2人おってのぅ。『緋村』と『榊』ちゅうんじゃが…そういや、アイツ等何処行ったん?」

 

 「言われてみたら、アイツ等おらんなぁ。別にどうでもええんやけど」

 

 「緋村はトイレでしょ?けど榊は私達と一緒にいたわよね?一緒になんていたくなかったけど」

 

 「うん。私達と中庭に来るまでは確かにいたよね。今はいなくて寧ろ嬉しいけど」

 

 はやて、アリサ、すずかの言葉から察する。ソイツ等の好感度も西条同様に底辺のドン底まで落ちている事を。

 やっぱアレ系の転生者はそういう運命が定められてるのかねぇ?

 

 「ていうかその転生者の1人、緋村って言ってたけどもしかして…」

 

 「ああ、ソイツは響子の義兄なんよ」

 

 「ええ、最低のクズでクソ野郎ですけど私の義兄なんです」

 

 『チッ』と舌打ちしながら答える緋村妹。

 

 「2人もいるのですか。大変ですね」

 

 シュテルも同情している。

 

 「ソッチだってその西条って言うのに絡まれるんでしょ?」

 

 「そうだな。とはいえ一時は3人だったのだ。1人になった今はマシな方だ」

 

 「「「「「「「「「3人!!?」」」」」」」」」

 

 あ、ディアーチェの発言に『ダメ人間』側の全員が驚いてる。

 

 「う、嘘やろ?あんなんが3人もおるなんて…」

 

 「だから一時と言ったであろうが子鴉。3人の内、1人は改心し、もう1人は新たな人生観に価値を見出した。で、改心したというのがそこにいる澪だ」

 

 「あはは…耳が痛いですね。その節はご迷惑お掛けして済みませんでした」

 

 「え?い、いえこちらこそ…」

 

 「ていうかフェイト。私達はソッチの世界の私達じゃないんだから彼女に迷惑掛けられてないでしょ?」

 

 「澪ももう私達の世界の皆には許して貰ったんですから謝る必要は無いでしょう」

 

 そうは言うがユーリよ。お前が言ってるのはSts時間軸の事であって、本編ではまだ皆若干警戒してる様子だからな。

 

 「…ていうか信じられません。あのクソ野郎と同等の存在が一体どうやったらここまで綺麗な人格に改心出来るのですか!?」

 

 一番驚いてるのは緋村妹。家族という立場上、常に間近で自称オリ主君を見ていたがために『澪の改心』という現実が受け入れがたい様だ。

 

 「それについてはかくかくしかじか…」

 

 俺は第九十六話での出来事を伝える。

 

 「…つまりその『ジョ〇・コー〇ィ』という人物に頼めばあの馬鹿達をどうにか出来るのね。帰ったら早速クロノに頼んで次元世界中を捜索して貰いましょう」

 

 中村の言葉に『ダメ人間』側の皆が頷く。

 あの人洋画の人物なんだけど、次元世界のどこかにいるのか?

 後、人探しとしてコキ使われる事が確定した向こうのクロノ…頑張れ。

 

 「もう1人の『人生観が変わった』ちゅう奴は?」

 

 「……それについては『原作介入』の本編を読んでくれ」

 

 「……了解じゃ(何や、言葉に出来ん程の事でもあったんかいのぅ?)」

 

 「とりあえず西条と…緋村と榊だっけ?彼等の事は置いといて僕等は僕等で交流を深めたいんだけど、何しようか?」

 

 「はいはーい!!私に提案があるよ!!」

 

 亮太が話しを切り替えるとなのはが元気良く声を出し、挙手する。

 

 「せっかくの出会いなんだし、皆お友達になるべきだと私は思うよ。その第一歩としてまずはお互いの事を名前で呼び合おうよ」

 

 「「出た!!高町名物『名前を呼んで』」」

 

 「『高町名物』って何!!?」

 

 俺と井上の声がハモり、なのはが『高町名物』について聞いてくる。

 

 「だって、なのはが友達作る場合は名前で呼び合うことから始めるし…」

 

 「断ってもしつこく付き纏って呼ばせようとするしのぅ…」

 

 「しかも相手が魔導師なら模擬戦という名目で誘ってくる始末…」

 

 「そこで行われる砲撃乱射という惨劇…」

 

 「「……………………」」

 

 「「ヒイイイィィィィィィィ……」」

 

 俺と井上はガクガクと震え出す。

 これはもうなのはにとっては当たり前の事であり、サラリーマンで言う『名刺交換』と同じ様な感覚なのだ。

 

 「私、砲撃乱射なんてしないよ!?」

 

 「「じゃあ魔導師相手の模擬戦は?」」

 

 「………め、滅多にしないもん」

 

 完全に『しない』とは言い切らないのか。

 

 「あの2人、妙に息が合ってるわね」

 

 「主人公同士、何か通じるモノがあるんじゃないかな?」

 

 アリサとすずかが俺と井上を見ながら何か言ってる。

 

 「と・に・か・く!!名前で呼び合うのは決定だから!!」

 

 なのはの多少強引なやり口で皆、名前で呼び合う事に。

 オリキャラの連中はともかく、原作キャラ達とはすでに自分の世界で呼び合ってるんだけどなぁ。

 ま、向こうの原作キャラからすりゃ初対面なんだから仕方ないか。

 

 「お互い名前で呼び合う事も出来たみたいだし、交流会を本格的に始めようか」

 

 「「「「「「「「「「誰!!?」」」」」」」」」」

 

 俺達の知らない新たな声が突然聞こえた。

 そこにはいつの間にか新たな人物が……人物?

 ソレはスーツ姿でそこそこの長身なのだが、何故か顔だけがFFシリーズでお馴染みのチョコボだった。

 

 「お初にお目にかかる。この小説の作者、カルピスウォーターだ」

 

 まさかの作者だった。

 

 「今回はmake氏に許可を頂いてコラボ企画を立ち上げた訳だが…とりあえず一触即発みたいな殺伐とした雰囲気でなくて安心したよ」

 

 「…何で顔だけチョコボ?」

 

 「自分は素顔を晒すのが恥ずかしいのだ。チョコボを選んだ理由などは無い。たまたま脳裏に浮かんだからだ」

 

 …さいでっか。

 

 「あと、この顔をしている限り、自分はFF4とFF5の魔法やアビリティが使える」

 

 作者は『エッヘン』と胸を張る。

 

 「何で4と5限定?」

 

 「自分は4と5(両方ともSFC版)以外のFFシリーズはした事無いからだ」

 

 「はあ…」

 

 「まあ、今は自分の事はどうでも良い。君等で交流を深めておけ。自分は食事に専念するから」

 

 「あ、ズルい僕も」

 

 作者が椅子に座り、机の上の料理を食べ始めると同時にレヴィも椅子に座る。

 

 「俺達はどうする?」

 

 「まあ、先に腹ごしらえしてからでも良いんじゃない?ねえ?」

 

 「「「「「「「「「「異議なし!!」」」」」」」」」」

 

 中村…もといハルカが皆に尋ね、異論が無かったので俺達はまず食事を摂る事にした………。

 

 

 

 「ねえ透…」

 

 「んあ?何じゃアリシア?」

 

 「ユウキ…」

 

 「どうしたんだシュテル?」

 

 「「私を抱いて(抱いて下さい)//////」」

 

 「「ぶふっ!!」

 

 俺と透はお互いの世界の事を語り合っていたが突然アリシアとシュテルが言った言葉を聞いて、飲んでいたオレンジジュースを同時に噴き出した。

 

 「「ゴホッ…ゴホッ…。お前はいきなり何言うんだ!?(言うとんじゃ!?)」」

 

 「だってだって!!『ダメ人間の覚悟』がSts編になってから全然イチャイチャラブラブ出来てないじゃん!!」

 

 「そりゃ、俺とお前等は本編で敵対しとるけぇ。そんな事するヒマ自体無いしのぅ」

 

 「ユウキなんか無自覚なまま次々と女性にフラグ立てて私達のライバル増やしてるんですよ!!その上『神宮寺くえす』という許嫁までいる始末…少しはコチラの苦労も理解して下さい!!」

 

 「す、済みません!本編の自分が超鈍感キャラで本当に済みません!!」

 

 透はアリシアと、俺はシュテルと会話する。

 言っとくけど番外編である以上、今回の俺は鈍感じゃないよ?シュテル達が俺に抱いている恋愛感情の事をハッキリと認識している訳ですよ。シュテル達は美人だから俺の事を想ってくれてるのは結構嬉しかったり……。

 後シュテルさんや、Sts編はともかく今はまだ許嫁候補(・・)ですんで。

 それといつの間にか他の連中も俺達の側に集合してるんだけど?

 

 「だからね!敵対していない今がチャンスなんだよ!!イチャイチャしようよ!!////」

 

 「そうや!特に透君は私に昔告白してくれたやんか!!////」

 

 「しとらんよ!?」

 

 「昔プレゼントで告白してくれたやん!!花言葉で『貴女を愛します』って!!////」

 

 「花言葉自体俺は知らんかったってあん時言ったじゃろ!?」

 

 「透さん!!私はいつでもペロペロされる準備は出来てますから!!//////」

 

 「せんよ!?ペロペロなんてせんよ!?」

 

 …アッチは盛り上がってるなぁ。

 

 「ユウ、ズルいよシュテるんだけ抱くなんて!」

 

 「誰もシュテルを抱くなんて言ってねえよ!!」

 

 「な、なら我はどうだ?せ、精一杯奉仕してやるぞ?////」

 

 「私だって頑張りますよ////」

 

 コッチもコッチでちょっと俺の家族が暴走気味だし。

 

 「僕達はどうしようか?」

 

 「置いてきぼりですねぇ」

 

 「せっかくだから修羅場をじっくり堪能しましょう。ハルカは混ざらないの?」

 

 「混ざりたいのは山々だけど私まで混ざったらあの子達の暴走止める人がいなくなるもの。特に響子」

 

 いやいや、そこの転生者一同。止めてくれよ!!

 

 「だったらコレあげるからイチャイチャしてよ!」

 

 アリシアが何処からか取り出した封筒を透の足元に投げ、それを拾い上げた透は中を確認する。

 

 「……おいアリシア。コレは何じゃ?」

 

 ん?

 透の声が低くなったぞ。それに何だか怒気を含んでいる様な…。

 

 「何って…」

 

 俺はそっと覗きこんでみるが、封筒の中身に入っていたのは現金だった。日本円で諭吉さんの束……100万円ぐらいあるな。

 って、コイツ買収しようとしたのか!?

 

 「コレは何じゃって聞いとるんじゃ!!」

 

 「う……」

 

 バシッと封筒ごとお金を地面に叩きつける。

 明らかに怒ってるね透は。

 

 「…で、シュテル。お前が懐から出したその封筒は何だ?」

 

 「……………………」

 

 コラコラ。後ろに隠すな。

 俺は禁猟区域(インポッシブルゲート)で即座にシュテルの元へ転移し、封筒を強引に奪う。

 

 「あっ!?」

 

 そして再び禁猟区域(インポッシブルゲート)で元の位置へ。

 封筒の中身はやはりというか現金で諭吉さんが100枚分程だった。

 

 「おいシュテル…」

 

 「……な、何でしょうか?」

 

 「俺はお前がこんな手段でくるとは思ってなかった。正直悲しいぞ」

 

 「う……」

 

 俺も封筒ごとお金を捨てる。

 ていうかさ…。

 

 「「他の奴もシュテルと(アリシアと)同じ事しようとか考えてないよな?(考えとらんよな?)」」

 

 「「「「「「「「「「……………………」」」」」」」」」」(サッ)

 

 うおおおおぉぉぉぉぉいいっっっ!!!?

 アリシアとシュテルだけじゃなく今ここにいるレヴィ、ディアーチェ、ユーリ、なのは、フェイト、はやて、アリサ、すずかが一斉に視線逸らしたぞ!?

 唯一響子だけが視線を逸らさずにいる。良かった。全員金で解決しようなんて思ってたらもう…ねぇ。

 

 「「お前等俺の事なんだと思ってんだーーーーー!!!!(思っとるんじゃーーーーー!!!!)」」

 

 声を揃えて俺と透は怒鳴る。

 

 「俺はお前等の事見損なったわ。それが管理局員のする事かい!!」

 

 「シュテル!!レヴィ!!ディアーチェ!!ユーリ!!流石にこれは笑って許せる様な事じゃないからな!!」

 

 「「「「「「「「「「……ゴメンなさい」」」」」」」」」」

 

 「「ゴメンで済んだら管理局はいらんわーーーー!!!!」」

 

 項垂れてる女性陣だが容赦はしない。

 

 「「金!金!金!何かあればすぐ金か!!金でチョコレート(・・・・・・)が買えると思ってんのかーーーー!!!(思っとるんかーーーー!!!)」」

 

 『ハア…ハア…』と息を切らせながら俺と透は言い切った。

 ……………………

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 「「「「「「「「「「いや、買えるよ!!?」」」」」」」」」」

 

 「「なっ!!?」」

 

 俺と透は絶句した。

 コイツ等、今『買える』って言わなかったか!?

 そんな…。

 人の心(・・・)を平然と『買える』って言うなんて…。

 

 「え?何で驚いてんの?コンビニやスーパーで普通に買えるじゃん」

 

 「「コンビニ!?スーパー!?」」

 

 アリシアの爆弾発言。

 ま、まさかコイツ等…時給に不満を持つアルバイト店員やパート店員を言葉巧みに騙して…。

 

 「スーパーだったらまとめ売りとかも偶に…」

 

 「「ま、まとめ売り!!!?」」

 

 オイイイィィィィッッッッ!!!!

 今度はユーリの発言に仰天する。

 まさか店の従業員もまとめてワンピースの人間屋(ヒューマンショップ)みたいな所で人身売買を!?それか違法研究所の実験素体としてか!?

 

 「なあ…お前等ホンマに何があったんや?」

 

 「そうだよ。まさかレジアス中将がまた道を踏み外したのか?」

 

 俺と透は悲しみに心が押し潰されそうになり、悲痛な面持ちを浮かべながらも聞き返す。

 俺は本編ではまだシュテル達と同じ部隊にいないし、透に限っては管理局と敵対している身だから、なのは達が普段どんな事をしているのか直接見れないのだ。

 つまり俺達の目の届かない所で何かがあったんだ。コイツ等の思考がこんな事になる何かが…。

 

 「…何だか勇紀と透、それになのは達の会話、微妙にズレてる様な気がするのよねぇ…」

 

 「奇遇ね椿姫。私もそう思ってたのよ」

 

 「本人達の会話を中断させた方が良くないかな?」

 

 「ですね………皆さん、一旦落ち着いて下さーーーい!!!」

 

 先程まで少し離れた所にいた椿姫、ハルカ、亮太、澪も加わる。

 まさかコイツ等もシュテル達と同じ事言うんじゃあ…。

 

 「とりあえず透、勇紀。貴方達は何で皆に対してそんな悲しそうな目を向けるのよ」

 

 「……ハルカ。コイツ等はハッキリ言い切ったんじゃ。『金で人の心が買える』って」

 

 「「「「「「「「「「ええっ!!?」」」」」」」」」」

 

 透がハルカに説明し、俺も『うんうん』と頷いていると何故か女性陣が驚きの声を上げる。

 何だよ?俺と透が嘘でも言ってると思ってるのか?

 

 「…そう、ていうか理解したわ。透、勇紀、貴方達完全に勘違いしてるわよ」

 

 「「は?」」

 

 ハルカがズバッと言うので俺と透は間抜けな声を上げてしまった。

 何で?やっぱりコイツ等も…

 

 「勇紀、透。君達が言った台詞をよく思い出してみなよ」

 

 「「何で?」」

 

 「それで自ずと答えが出るからさ」

 

 亮太がそう言うので俺と透はつい先程の台詞を思い出す。うーんと……

 

 『『金!金!金!何かあればすぐ金か!!金でチョコレート(・・・・・・)が買えると思ってんのかーーーー!!!(思っとるんかーーーー!!!)』』

 

 チョコレートが買えると思ってんのかーーーー!!!(思っとるんかーーーー!!!)

 

 チョコレート…チョコレート…

 

 チョコレート…

 

 「「……………………」」

 

 「「「「「「「「「「…………………………」」」」」」」」」」

 

 沈黙が場を支配する。

 俺と透は互いに目を合わせ、軽く頷き合う。

 

 「「…………言い間違えちゃった、テヘッ」」

 

 「「「「「「「「「「だあああああぁぁぁぁっっっ」」」」」」」」」」

 

 おお!?見事なズッコケ方だ。皆吉〇新喜〇に出れると思うぞ。

 

 「うっかりする透さん……可愛いです////」(フンッ…フンッ…)

 

 ……訂正。1人だけズッコケるどころか鼻息を荒くしてうっとりする逞しい子がいました。これは吉〇出演は無理だな。

 

 「ゴホン…けど俺はこうやって金を差し出して人の心を買おうとする態度は良くないと思うんだ」

 

 「勇紀の言う通りじゃ。お前等、ホンマに金で誰か買ったり売ったりしとるかいよな?」

 

 「「「「「「「「「「してない!!してないから!!」」」」」」」」」」

 

 必死に否定する女性陣。

 その言葉と様子から『嘘は言ってない』と確信し、一息吐く俺と透。

 

 「「とにかく、金輪際こういう事は止めてくれよ」」

 

 「「「「「「「「「「……はい」」」」」」」」」」

 

 「……とりあえず俺トイレに行くわ。ちぃと気を落ち着かせたいからのぅ」

 

 「俺も」

 

 俺と透は歩き出す。

 

 スッ

 

 透は刀を、俺は宝物庫から出した無毀なる湖光(アロンダイト)を握り

 

 ブスッ

 

 地面に捨てた封筒の先端に剣先を刺す。

 

 ヒョイッ

 

 で、その封筒を拾い上げて懐に収め

 

 ダダダダダッ

 

 俺と透は一気に『ダメ人間』世界の一同がやってきた扉を開け、潜る。

 ……………………

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 「「「「「「「「「「実はお金欲しかったの!!?」」」」」」」」」」

 

 扉を締め切る前に女性陣の総ツッコミが聞こえた様な気がした………。

 

 

 

 「あっはっは。冗談や冗談。アリシア、コレ返すわ」

 

 「ほれシュテル。言っとくが一銭も手を付けてないからな」

 

 あれからすぐに俺と透は中庭に戻ってきて封筒ごとお金を返す。

 

 「何や…今日の透君やけにハッちゃけてないか?」

 

 「ユウもボケに回るのは珍しいよね。いつもはツッコむ側なのに」

 

 はやてとレヴィに言われる俺と透。

 そりゃあ今回は番外編だもの。今日ぐらいはハッちゃけたいさ。

 ていうかマジで透とは気が合うわ。

 

 「で、アンタ達はいつ戦い合うの?」

 

 「「はい?」」

 

 何かアリサが妙な事口走ったぞ。

 

 「だってそうでしょ!?今回は番外編のコラボなんだから!!こういう場合主人公同士が一戦交えるのがお約束でしょうが!?二次小説の常識じゃないの!!」

 

 「……透、お前の世界のアリサって二次小説読んでんの?」(ヒソヒソ)

 

 「いや、本編じゃ少なくともそんな描写無かった筈なんじゃが…」(ヒソヒソ)

 

 「けどああ言う台詞、普通は出ないと思うぞ?」(ヒソヒソ)

 

 「俺がなのは達と別れてからSts本編入るまでの間に何かあったんかもしれんのぅ」(ヒソヒソ)

 

 「ひょっとしてお前がいなくなった現実を受け止められずに一時期引き籠もりになったとか?」(ヒソヒソ)

 

 「…『有り得ん』とは言い切れん。じゃとしたら俺の責任か…」(ヒソヒソ)

 

 「聞・こ・え・て・る・わ・よ!!」

 

 あ、ちょっとお怒り気味のアリサ。

 

 「別に私は二次小説読んでた訳でも引き籠もってた訳でもないんだから!!それよりも、アンタ達戦う気あるの!!?」

 

 「「無いです」」

 

 「何でよ!?」

 

 いや…何でって言われても…。

 

 「メンドイしのぅ」

 

 「右に同じく」

 

 「ムキーーーー!!!戦い合いなさいよ!!!人生はゲームなのよ!!!殺し合いなさいよ!!!」

 

 「「物騒なツンデレだなオイ!?」」

 

 地団駄を踏みながら吼えるアリサの言葉に俺と透は戦慄を覚えたよ。

 

 「けどせっかくのコラボなんだしアリサの言う事にも一理あるわよ。勇紀、透、せっかくだしお互いにぶつかってみたらどうかしら?」

 

 ニコニコしながら言う椿姫。

 

 「あー…椿姫」

 

 そこへ、これまで食事を摂っていた作者、カルピスウォーターが声を掛ける。

 

 「お前の企みだが、本編では反映されないからな」

 

 「そんな!!?」

 

 カルピスウォーターの言葉を聞いて、絶望する椿姫。

 

 「あの…カルピスウォーター。椿姫の企みって一体?」

 

 「ん?椿姫はお前と透を戦わせつつ、透の魔法、技や体術、魔術の数々を完成(ジ エンド)で盗む気だったんだよ」

 

 「んなっ!?」

 

 こ、コイツ…。

 俺は拳を震わせる。

 俺に労力を割かせて自分は楽々パワーアップってか?

 

 「盗むって…俺の螺旋丸とか写輪眼とかをか?」

 

 「うむ。椿姫の完成(ジ エンド)ならレアスキル以外は見るだけで何でも習得出来る。その対象はゲストである透とて例外ではない。それに『ダメ人間の覚悟』キャラ設定では透の能力のほとんどはレアスキルに分類されてなかったからな。椿姫が習得するのは可能なのだよ」

 

 「…おい、それチート過ぎじゃろ?」

 

 「やっぱりお前もそう思うよな?」

 

 既に俺達や原作キャラ全員の魔法は使え、六式、覇気も当たり前の様に使うコイツはセコ過ぎる。それに加え管理局で唯一のMランク魔導師。

 更にゲストキャラの技まで盗まれたら本編で止められる奴がいなくなるんじゃないか?

 

 ギイイイイイィィィィ…

 

 そこへ聞こえてきた音は透たちの来た側の扉が開く音。そこには…

 

 「おー、見つけたぞ俺の嫁達」

 

 見た目が英雄王ソックリの人物だった。髪の色が赤色だけど。

 

 「「「「「「「「……………………」」」」」」」」

 

 「ハア~…」

 

 うおぃ!!『ダメ人間』側の連中の雰囲気が一瞬にして変わった。

 透は溜め息吐いてるけど女性陣は瞳から光消えちゃったよ!?

 

 「あの容姿に突然黙った高町さん達…まさか……」

 

 「亮太の考えとる事で合っとるよ。アイツが『緋村』じゃ」

 

 響子のお義兄さんですか。見た目からしてレアスキルは俺と同じ王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)かな?

 ていうかアイツ、自分の妹も嫁扱いしてるけど?

 ……『実妹』じゃなくて『義妹』だからいいの…か?

 

 「ん?…ゴルァクソモブ共!!何俺のなのは達に近付いてんだ!!離れやがれ!!」

 

 クソモブ共って…俺や亮太もカウントされてんのね。まさか他の作品のキャラからも『クソモブ』と呼ばれる日が来ようとは…。

 

 「…なのは達の言った通りでしたね」

 

 「見た目は僕達の世界のアレ(・・)と違うけど」

 

 「あの態度と口調からしたらそれしか考えられんな」

 

 「せっかくの楽しい交流会が台無しになりそうです」

 

 「とりあえず目を合わせない様にしておきましょうか」

 

 「それだけで向こうの世界の豚が近寄って来ないとは思えないんですが…」

 

 シュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリ、椿姫、澪は警戒している。

 けど緋村はシュテル達の方に目を向けると驚いた表情を浮かべる。

 

 「(なっ!?シュテルにレヴィにディアーチェにユーリが成長してるだと!?)」

 

 …これはもうアイツ等絶対絡まれるな。

 シュテル達はすぐに視線を逸らしたけど逃げる事は不可能だろう。

 緋村は少しの間驚いていたが、すぐにニヤけた顔を作りながらシュテル達に近付いて行く。

 

 「よおシュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリ。お前達も来ていたんだな」(ニコッ)

 

 「「「「……………………」」」」

 

 「そっちの2人は見た事無い顔だな。初めまして、俺様は緋村修って言うんだ。よろしくな」(ニコッ)

 

 「「……………………」」

 

 自分達の世界のシュテル達だと勘違いしてるであろう緋村。ついでに椿姫と澪にもニコポ使っちゃってるけど、おそらく無意味だろう。

 澪相手に敵意が無いのは以前の澪じゃないからだろうな。以前の澪を知っている西条ならニコポ使うどころか殺意を浴びせる筈だし。

 そんな『原作介入』側の女性陣6人は俺の背後に隠れようとする……ってコッチ来たら

 

 「おいクソモブ!!テメエ、俺様のシュテル達に近付いてんじゃねえぞゴルァ!!!」

 

 ああ…やっぱ俺が絡まれちまったよ。俺から近付いてなんかいないのに…。

 

 「お前等…恨むぞホントに」

 

 ジト目でシュテル達を見る。

 

 「仕方ないじゃないですか。アレ系の人間に絡まれるのは嫌なんですから」

 

 「そうですよ。以前の私がしてた事だから豚の相手をするのはどれだけ大変かってのがよく理解してるつもりなんです」

 

 澪の言う事は凄く説得力あるなぁ。『経験者は語る』っていうヤツだな。

 

 「シュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリ、そして知らない名前のお2人さん。そのクソモブから離れるんだ」

 

 …って、言ってるけど?

 けど当然の如く離れる気配は無い。その事実に業を煮やした緋村は

 

 「このクソモブ!!それとそこの犯罪者モブ!!いい加減にしろよテメエ等ぁっ!!!」

 

 勝手にキレている。

 

 「たかがモブ共の分際でよぉ、なのは達やシュテル達を洗脳しやがって!!」

 

 「「あ゛?」」

 

 『洗脳』という単語に俺と透は反応した。

 

 「テメエ等なんかそういった方法使わなきゃなのは達に近付けねえんだろうが、このクズ共」

 

 「「……………………」」

 

 「いい加減オリ主とモブの格の違いに気付けや!!」

 

 「「……………………」」

 

 「待ってろよ皆。俺様がコイツ等をブッ殺してすぐに助けてやるからな」(ニコッ)

 

 「「「「「「「「「「……………………」」」」」」」」」」

 

 相変わらず緋村に対して無表情の女性陣だが

 

 「…いやー、妙な寝言が聞こえてきましたなぁ透さんや」

 

 「…全くじゃ、心の底から笑おうにも笑えんのぅ勇紀さんや」

 

 「「「「「「ゆ、ユウキ?(ユウ?)(勇紀?)(勇紀君?)」」」」」」

 

 「「「「「「「「と、透?(透君?)(透さん?)」」」」」」」」

 

 ゆっくりと立ち上がる俺と透。透は笑顔を浮かべているのだがその目は笑っていなかった。多分俺もだけど。

 

 「「はっはっはっは………………潰す!!」」

 

 やっぱりアリサの言う通り、コラボなんだからオリ主君(笑)とは殺し合い(もぎせん)しないと読者の皆さんの期待にコタエラレナイヨネ。

 

 「僕は巻き込まれないんだね?良かった」(ホッ)

 

 亮太、お前が羨ましいよホント………。

 

 

 

 中庭とは違う別の空間に俺と透は肩を並べ、正面には腕を組んで立っている緋村の姿があった。カルピスウォーターに頼んで用意して貰った戦闘用の空間であり、シュテル達は中庭から映像越しにここの様子を見ているらしい。

 

 「緋村って言ったな?戦う前に1つ提案がある」

 

 「あ゛?んだよモブ?」

 

 「俺達はオリ主(笑)のお前と比べると遥かに実力差があるからな。2人(・・)がかりで挑ませて貰うけど構わないよな?」

 

 「(勇紀、マジで叩き潰す気じゃのぅ。ま、緋村の奴に同情はせんが)」

 

 「はっ、数が多けりゃ俺様と戦えるってか?これだからモブは馬鹿で困るぜ。テメエ等が何人束になってかかって来ようと俺様に勝てる確率は0%なんだよ!!」

 

 「…で、2人同時で相手してくれるのか?」

 

 「まあ、1人ずつ潰すのも面倒だしな。それぐらい認めてやるぜ(ここで俺様の圧倒的勝利を見せたらなのは達やシュテル達は勿論、名前の知らないあの2人も完璧に惚れるだろうな)」

 

 クックック。なら遠慮無く。

 

 『準備は良いか?勇紀、透、修』

 

 カルピスウォーターの言葉に全員同時に頷く。

 

 『では……試合開始!!』

 

 始まりの合図と同時に俺はモンスターボールを1個投げつけ、ユニゾンデバイスを呼び出す。

 

 「フハハハハ!お師さんに逆らうネズミはどこだ?」

 

 我等が聖帝様のご登場。

 

 「なっ!?テメエ、2人じゃなかったのかよ?」

 

 「いや、2人だが?人間は俺と透だけだし。このサウザーはユニゾンデバイスだから数の単位としては『人』じゃなくて正確に言えば『体』だからな」(ニヤニヤ)

 

 「(モノは言い様じゃのぅ)」

 

 「はっ、まあ数が増えた所で勝率は変わらねえよ!!王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)!!!」

 

 緋村の背後の空間から無数の宝具が現れる。

 

 「サウザー、お前がやる仕事は1つだけでいい。アイツは俺と透が殺らなきゃ気が済まんからな」

 

 「心得ておりますお師さん。アレ(・・)をすれば良いのですね?」

 

 サウザーの言葉に俺は頷く。

 

 「《私の出番は今回は無いのね?》」

 

 「《…済まんねレスティア。ま、俺としてはアイツの視界にお前を入れたくないし》」

 

 「《あら、嬉しい事言ってくれるじゃない♪ま、貴方がそう言うなら私は従うだけだけどね》」

 

 だって、レスティア見たら絶対声掛けてくるよアイツ。終いには『そのユニゾンデバイス寄越せ』とか言ってきそうだし。

 

 「死ねぇ!!!」

 

 宝具の雨が降り注ぐ。俺は緋村の右側、透は緋村の左側に避け、サウザーは回避しようとせず、直撃を受ける。

 

 「ハハハ。馬鹿め!!アイツ等まともに食らいやがった」

 

 …いや、多少距離はあるけど俺と透は普通に避けてるよ。

 自分の左右にいる事に緋村は全く気付いていない。

 宝具の雨で巻き起こった粉塵が徐々に晴れていく。

 

 「フハハハハ!何だそれはぁ?攻撃のつもりかぁ?」

 

 「何ぃっ!!?」

 

 直撃を受けたサウザーは全くの無傷。流石神様お手製のユニゾンデバイスだな。近接攻撃力と防御力なら当然レスティア以上だ。宝具程度では傷1つつけられない。

 

 「今度はコチラから行くぞ」

 

 そして一気に緋村との距離を詰め

 

 「ぬうんっ!!」

 

 ズブッ

 

 「ぐあっ!!」

 

 身体の一部に指を突き刺した。

 

 「ふっ、コレで俺の役目は終わりだ。後はお師さんが直々に貴様を潰すであろう」

 

 そう言ってサウザーは緋村に背を向け、歩き始める。

 

 「い、一体何が?」

 

 緋村は何をされたのか分かっていない様だが、これから俺と透がたっぷりと教えてやるよ。

 

 「「うおらああああぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!!」」

 

 一気に左右から俺と透は緋村目掛けて走り出す。俺の方が透よりやや早めに飛び出した。

 

 「っ!!?」

 

 サウザーに気を取られていた緋村だが、コチラに気付く。

 だが、俺と透のどちらから迎撃するか迷っていた。その迷いが命取りだぜ。

 俺は緋村のやや左側に身体をズラし、右手を水平に伸ばすと透も左側(俺から見て右側)にズレると同じ様に右手を伸ばす。

 そして…

 

 「「クロオオォォォォォォス……ボンバーーーーーーーッッッッ!!!!!」」

 

 俺が緋村の首にラリアットを決め、すぐさま透のラリアットも緋村の首を捉えて、緋村は俺達2人のラリアットに挟まれる形になる。

 

 「~~~~~~~~~~~~~~~~~っっっっ!!!!!」

 

 緋村は想像を絶する痛みで声にならない悲鳴を上げる。

 

 「くっくっく、痛かろう。これがサウザーの突いた秘孔の効果だからな」

 

 「秘孔?何のことじゃ?」

 

 俺は透にサウザーが先程緋村に突いた秘孔について説明する。

 それは『醒鋭孔』と呼ばれる奥義で……正確には『龍頷』という秘孔を突く。突かれた者は全身を痛感神経で包まれ、軽く触れただけで全身を痛みが覆うというケンシロウがジャギ様に突いた秘孔である。

 これによって緋村の痛覚は現在、最大限に引き出されているのだ。

 そして本編では語っていなかったので今語るが、神様の作ったサウザーは『北斗の拳』に出て来る全ての拳法を使用出来る。もっとも、サウザー本人には聖帝としてのプライドがあって普段は南斗鳳凰拳しか使わないが…。

 

 「……………………」

 

 緋村はあまりの激痛に耐えきれず、口から泡を吹いて意識を失いかけているが、この程度で許しはしない。

 殺るからにはOVERKILL(オーバーキル)でしょ♪

 俺と透はバックステップで一旦距離を取る。まずは俺から。

 

 「風刃縛封!!」

 

 緋村の足元に風の刃を発生させ、真空の球体の中に閉じ込めて宙に浮かせ、そのまま空中で斬り刻む。

 真上に吹き飛ばした緋村の更に斜め上方には既に透がいた。

 

 「鷹爪落瀑蹴!!」

 

 下方から吹き飛んでくるから緋村に向かい、気の代わりに魔力弾を2発放ち、その後同じ軌道の飛びこみ蹴りを放つ。

 飛び込み蹴りを受けた緋村は一気に落下して来るが地上では俺がクリュサオルを構え、既に次の技を準備していた。

 

 「魔神剣、双牙!!」

 

 クリュサオルを振って自身の左右から放たれた2つの大きな魔力の斬撃が敵を噛み砕く「牙」のように襲い掛かる。

 斬撃を浴び、真横に吹き飛んだ緋村の先には透が待ち構え、飛んできた緋村に対して

 

 「獅子戦吼!!」

 

 掌底を叩き込むと同時に、獅子の姿を模した闘気によって吹き飛ばされ、再びコッチに帰って来る緋村。

 

 「断空剣!!」

 

 俺は自分の周囲に竜巻を起こし、緋村を巻き込みながら斬り上げる。

 再び真上に吹き飛んだ後、重力に引かれて落下してくる緋村。

 透はいつの間にか手に刀を握っており、タイミングを見計らっている。そして…

 

 「猛虎連撃破!!」

 

 上下8段となる斬り上げと斬り下ろしを繰り出す。

 8連続で切り刻まれた緋村。もうバリアジャケットである英雄王の鎧はボロボロだ。本人の意識も無いみたいだし。

 しかし透の追撃は続く。

 

 「ココじゃあ!必殺!龍虎、滅牙斬!!」

 

 猛虎連撃破でダウンした緋村を衝撃波で叩き起し、衝撃波から回転斬りで上空に上がり、剣を叩きつけると共に巨大な魔法陣を作り出して攻撃する。

 

 「俺も行くぜ!!鳳凰天駆!!」

 

 俺は炎を纏いながらゆっくりと後方に飛び上がり、上空から鳳凰のオーラを纏ってゆっくり落下中の緋村に向かって突撃する。

 

 「さらにここからぁ……緋凰絶炎衝!!」

 

 鳳凰天駆で攻撃した後、着地と同時に180度反転して駆け抜け、噴き出す炎で攻撃する。

 

 「透!最後は同時に決めるぞ!!」

 

 「おう!!」

 

 俺がすかさずバインドで固定した緋村を中心に俺と透は対角線上に並ぶ。

 そして互いに……一気に距離を詰める!!

 

 「「閃け!」」

 

 ザシュッ!!

 

 全く同じタイミングで斬り付けたため、斬る音は1つしか聞こえない。

 同時に斬り付けた後は高速で移動し、再び対角線上に並んで斬りかかる。

 

 「「鮮烈なる刃!!」」

 

 ザシュッ!!ザシュッ!!

 

 「「無辺の闇を鋭く切り裂き!!」」

 

 ザシュザシュザシュ!!

 

 「「仇名す者を微塵に砕く!!」」

 

 ザシュザシュザシュザシュザシュ!!

 

 「「漸毅狼影陣!!」」

 

 ザシュッッッッッッ!!!!!!!!

 

 徐々にスピードを上げ、透と同時に四方八方からひたすら斬り続けた漸毅狼影陣。

 一通り技を出し終えた後に確認した緋村はもうボロ雑巾の様だった………。

 

 

 

 「ちょっと!!アレは一体どういう事よ!!」

 

 中庭に帰って来て早々俺と透はアリサに怒鳴られた。何で?

 

 「アレって一体何の事じゃぁ?」

 

 「何で透がテイルズ系の技を使えるのよ!?本編でそんな設定無かったじゃない!!」

 

 「…お前がテイルズを知っとった事に俺は驚いちょるんじゃが…」

 

 「(『ダメ人間』世界のアリサはやっぱ引き籠もってたんじゃないか?それでその時やったゲームの中にテイルズシリーズがあったんじゃあ…)」

 

 そう聞いてみたいけど今ツンデレさんはご立腹だしなぁ。

 

 「僕はテイルズ知ってるよ。ユウがシリーズ全作買い揃えてるもん。あ、ユウ。僕の部屋にやり終えたテイルズシリーズあるから取りに来てよ」

 

 「お前かレヴィ!!?俺の部屋から勝手にテイルズシリーズ持っていってるのは!!」

 

 何故か最新シリーズ買って少し経つと部屋から忽然と消えていくゲームの行方が知れた瞬間だった。

 

 「透、私もあんたがテイルズ系の技を使えたなんて初耳なんだけど?」

 

 「ユウキもです。本編でも実は使えたりするんですか?」

 

 ハルカとシュテルが聞いてくる。

 

 「いや、何で使えたのか俺自身よぅ分からんのじゃ」

 

 「俺もだ」

 

 ホント、何で使えたんだろ?それとシュテルの言う通り、本編でも使えるのかねぇ?

 

 「うふふ~。私は新たに習得出来たから満足だわ♪」

 

 …椿姫(コイツ)に余計な技覚えさせてしまったな。

 

 「ていうか本当に2人のコンビネーション合い過ぎだよ。念話とか使ってたの?」

 

 「「いや、全然」」

 

 すずかの言葉を否定する。

 

 「…ソレ等の理由をそこでヨーグルトを食べているこの小説の作者(カルピスウォーター)さんに聞いてみたらどうでしょうか?」

 

 「んあ~?」

 

 澪の言葉に間の抜けた声を上げるカルピスウォーター。

 確かにこの小説の作者なら理由は分かる筈だ。

 

 「カルピスウォーター、理由を教えてくれ」

 

 俺と透がテイルズ系の技を使えた理由を。後、最初に使ったクロスボンバーについても。これだけはキン肉マンの技だし。

 

 「勇紀と透が原作と違う技を使えた理由か?それは自分が透の能力に関する知識が無いからだ」

 

 「「は?」」

 

 「自分は『NARUTO』『BLEACH』『金色のガッシュ』を一度も読んだ事無いんでな。原作知識が無いのだよ。『写輪眼』とか『卍解』とか言われても訳ワカメという事だ。正直、イメージが沸かんから上手く技を表現出来ん」

 

 「……アンタ、そんなんでよくmakeさんとコラボしようと思ったな」

 

 「『思い立ったが吉日!即行動!』が自分のモットーだ。勢いありゃ小説なんて書けるしコラボも出来る。それにmake氏の『ダメ人間の覚悟』は自分も楽しく読ませて頂いてるからな。原作知識なんぞ無くても面白けりゃ良いんだよ」

 

 「(そんなんで本当に良いのか?)」

 

 「それとせっかくのコラボだし、本編と違う事させたいから勇紀と透にやらせた。それだけの事だ。make氏にもある程度透達の行動を自由に書く許可は得ているのでな」

 

 「だからユウキは宝具やレアスキルを使わなかったのですね」

 

 「透君が自分の能力使わなかった理由はそういう事だったんだ」

 

 ユーリとなのはは納得した様に頷く。そういや俺、鳳凰天駈使った時も天火布武(テンマオウ)使わんと普通に魔力を炎に変換してたな。

 

 「ちなみに椿姫。ここでテイルズの技を覚えても本編に反映させるかは未定だからひょっとしたら使えないかもしれないぞ」

 

 「そんな!?」

 

 再び絶望する椿姫。

 コイツの不幸は俺にとっての活力になるわぁ。

 

 「で、透よ。あ奴は放っておいていいのか?」

 

 「あん?」

 

 ディアーチェの指差す先には響子が先程の殺し合い(もぎせん)の映像を何度も見返していた。

 心なしか鼻息が荒い様な…。

 

 「ハア…ハア…と、透さんの新しい戦い方!!これは私の『透さん戦闘映像コレクションNO.3699』に保管して……ああ、この動きを見てるだけで興奮してきます////////」

 

 ……あの子、わざわざ透の戦闘映像を律儀に録画してんの?

 

 「だ、駄目…私、濡れちゃう!!////////」

 

 「おい!!ホントにあの子大丈夫なのか!?」

 

 「心配いらないわ勇紀。アレも平常運転の範囲内よ」

 

 あの様子で平常運転って……もし暴走したらどんな事になるんだ?

 ハルカさんや。そこん所教えて欲しいのだが?

 

 「言うまでも無くR-18展開突入ね。しかも相当ハードな内容よ」

 

 そんなことされたらこの小説が大変な事になっちまうな。

 

 「…所でカルピスウォーター。西条は何処いったんですか?」

 

 「そういえば榊も全然出てこんなぁ。一体何処におるんです?」

 

 亮太とはやては残りの自称オリ主君達の行方を聞いている。

 

 「あの2人なら別空間でドンパチやっとるよ。ていうかやらせてる。君等が中庭に入る瞬間別空間に送ったから。様子見る?」

 

 ドンパチ…。バトってるのか。

 

 「一応見ていいですか?」

 

 俺はカルピスウォーターに頼む。

 

 「オーケオーケー。その前に緋村も同じ場所に送らないとな。……『デジョン』」

 

 カルピスウォーターが呪文を唱えると映像に映っていた緋村が地面に出た魔力の穴に吸い込まれていく。

 

 テテテテーテーテーテッテテー。

 

 おお!?これはFF5の戦闘後のファンファーレだ。

 ……BGM流れる意味あんの?

 

 「気分だ」

 

 言い切ったカルピスウォーター。

 …まあ、アンタが書く小説だもんね。好きにしたらいいさ。

 

 「さて……西条VS榊……っと」

 

 映像が切り換わると2人の姿は無く、何か魔力の渦みたいなものが映っているだけだ。

 

 「ふむ…2人はあの渦の中だな」

 

 そう言ってカルピスウォーターが渦の中の様子を映してくれる。

 

 『『オラアアアァァァァァッッッ!!!!』』

 

 バキイイィィィィッッッッ!!!!

 

 『『ぐはあああぁぁぁぁぁっっっっ!!!!』』

 

 そこでは2人の銀髪……西条と榊が超インファイトでお互いを殴り合っていた。

 …ふーん。アイツが榊か。何つーか容姿は鳴海少将ソックリだな。髪の色が違うぐらいで。

 

 「……アイツ等、近接戦闘下手じゃのぅ」

 

 「パンチが大振り過ぎ。あんなんじゃ簡単に避けられるよなぁ。なのに何で当たるんだよ…」

 

 普段から魔力とレアスキルに物を言わせ、才能の上に胡坐をかいていて、鍛錬もロクにしていないのが丸分かりだ。

 

 「ていうかどうして豚共は自分の得意な戦い方をしないのでしょうか?」

 

 「ああ、それは自分がアイツ等に禁じているからだ」

 

 澪の疑問にしれっと答えたカルピスウォーター。

 

 「アイツ等普段からまともな戦いをしないので自分の権限で魔力やレアスキルを始めとするあらゆる能力を封じた。バリアジャケットの展開のみ例外だが」

 

 「そんな事してどうするんです?」

 

 シュテルが尋ねる。

 

 「自称・オリ主の最強でも決めようかと思ってな」

 

 「決める意味あるの?」

 

 続いてレヴィが聞く。

 

 「無いけど…アイツ等に『ご褒美出す』と言ったらやる気出してな」

 

 モノに釣られたのかよ。

 

 「ただ…アイツ等がこれ程の戦いを見せてくれるとは夢にも思えなんだがな」

 

 「…どういう事だ?」

 

 ディアーチェは今の言葉に興味を持ったのかカルピスウォーターに聞き返していた。

 

 「アイツ等が行っている戦い……そう、これがあの伝説の『自称・オリ主の戦い』の再来だ」

 

 「自称・オリ主の戦いって…」

 

 「既に二次小説というモノが作り始められ、その合計は数知れず。ソレ等の作品に登場するオリキャラの中でも常に自己主張の激しい自称・オリ主の転生者が2人、遂にその雌雄を決したのだ」

 

 「「「「「「「「「「はあ…」」」」」」」」」」

 

 「転生の際に貰ったあらゆるチート能力を解放し、ソレ等がぶつかりあった瞬間、戦いのフィールドはあの様な渦を作り出した。最終的にどちらが勝ったのかは自分も知らんがな」

 

 「案外引き分けてたりして」

 

 「以来、この戦いは『自称・オリ主の戦い』として語り継がれている。フフフ、お前達も括目して見るがいいぞ。これは滅多に見られる戦いでは無い。何せ戦う自称・オリ主の2人が人間として最低…しかもきわめてゲスな奴等の時にしかこんな状態にはならんからだ。まさかあの2人がこれ程の戦いを見せてくれるとはな」

 

 そうは言うけどカルピスウォーター。この戦いが起こるっていう事はもう、戦ってる2人がゲス確定って言ってる様なもんだよね。

 あと凄く聞いた事ある設定だよねこの戦い。俺、原作ではあの戦いが1番好きなんだけど。

 

 「あれ?でもあの2人は能力抑えられとるんじゃろ?じゃあ、あの渦は何で出来とるんじゃ?」

 

 そう言えばそうだ。魔力じゃないならアレは何の力なんだ?

 

 「アレはこれまで踏み台として人生を終えた自称・オリ主の怨念が取り囲んでいるのだよ」

 

 怖っ!!?怨念とか怖っ!!?

 そんな俺の胸中をよそにカルピスウォーターは語り出す。

 

 「これが自称・オリ主にとって怖い所でもある。あの怨念の渦は戦う両者のレベルが均衡してる間に集まり、発生したモノ。したがって 両者の均衡が崩れた時 あの場の全ての怨念が弱い方へと流れていく!弱い方…すなわち敗れた方だ…!決着がついた瞬間それまで蓄積された怨念が自称・オリ主の魂に注がれる…!敗者には確実に踏み台の称号が与えられるのだ」

 

 正直、俺からすりゃどうでもいいな。オリ主とかモブとかにはあまりこだわってないし。けどアイツ等からすれば死んだも同然か。何せ自分が踏み台だと強制的に認識させられるんだから。

 

 『ゼエ…ゼエ…い、いい加減くたばりやがれ、この踏み台が…』

 

 『あ゛?踏み台は…テメエだろうが…ハア…ハア…』

 

 映像越しでは既に息も上がり、フラフラしながらも立っている西条と榊の姿があった。魔法もレアスキルも使えないまま戦わされている2人の実力は本当に拮抗してるなぁ。

 

 『『死ねやあああぁぁぁぁぁっっっ!!!!!』』

 

 最後の力を振り絞って自らの拳を振るう2人。

 お互いの右ストレートがほぼ同時に相手の顔を捉える。

 

 『『ぐはあっ!!』』

 

 そしてついに崩れ落ちる西条と榊。

 こりゃ引き分けかね?

 そう思っているとゆっくりと立ち上がる榊の姿が。

 

 『は…ははは……。やっとくたばったか、この踏み台野郎が……』

 

 膝をガクガク震えさせながらも立ち、地に伏した西条を見下しながら言う榊。西条の奴、意識はあるな。

 すると周囲の怨念が全て西条の身体へ流れ込んでいく。

 

 『ひっ!?や、止めろ!!俺の中に入ってくるな!!』

 

 『『『『『『『『『『踏み台、踏み台、お前も踏み台』』』』』』』』』』←西条以外には聞こえていません。

 

 『ち、違う!!俺が、俺こそがオリ主なんだ!!原作キャラ達とハーレムを築く資格のあるオリ主なんだあああぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!』

 

 『『『『『『『『『『踏み台、踏み台、お前も踏み台』』』』』』』』』』←西条以外には聞こえていません。

 

 『お、俺は……俺はあああああぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!』

 

 ……アイツ何叫んでるんだよ?怨念に憑りつかれて精神がイッちゃったのか?廃人になったりしないだろうな?

 ……いや、してもらった方がいいのか。静かになりそうだし。

 

 「心配するな勇紀。番外編である以上、本編に影響はない」

 

 作者であるアンタが言うならそうなんだろうな。

 あ、ボロボロの榊の前に先程『デジョン』によって吸い込まれた緋村が現れた。もう意識は取り戻してやがる。

 

 『あ゛?クソ緋村じゃねえか』

 

 『チッ……目が覚めて最初に視界に入ったのがテメエか榊。最悪だぜ』

 

 …もう完全に同族嫌悪だよなアイツ等って。

 

 「うむ。2人共丁度良い感じにボロボロだし、決勝戦を始めさせるか」

 

 カルピスウォーターが2人の様子を見て頷く。

 緋村は俺と透にボコられたのに決勝進出か。どうでもいいけど。

 

 「これより決勝戦を行う。2人共、存分にやり合え!!」

 

 カルピスウォーターが高らかに宣言し、『褒美』が貰える事を知った緋村はやる気を出した。

 そして能力が封じられたままお互いの殴り合いが始まるのだった………。

 

 

 

 「さて、榊は赤と青、どちらの扉を選ぶ?」

 

 『俺は青の扉だ』

 

 あれから、数分で決着がついた。

 勝ったのは榊。緋村はもう仰向けに倒れながらその様子を窺っている。

 まあ、秘孔を突かれたままだから1発当たる度に激痛が走るもんな。

 

 「じゃあ青の扉を進みたまえ。そこで待つ人物が君と色々(・・)シたいそうだからな。後、そんなボロボロの恰好では相手に失礼だろうから治療してあげよう。『ケアルガ』」

 

 カルピスウォーターが呪文を唱えると見る見るうちに傷が消えていく。

 バリアジャケットを解除し、私服に戻った榊は笑みを浮かべる。

 

 「そうかそうか俺とな。ならたっぷりと可愛がってやらないとな(誰がいるのかは知らないが待ってろよ。オリ主の俺が今行くからな)」

 

 青い扉を開けて室内に入って行く榊。

 

 「では緋村は赤の扉だな」

 

 『おい、『原作介入』の作者。この扉の向こうにも誰かいるのか?』

 

 「当然だ。しかも複数人いる」

 

 『っ!!そうかそうか♪ならコッチの扉が当たりって事か(複数人…もしやなのは達か?いや、そうに違いないな。ククク…遂にアイツ等と俺様が結ばれる時が来たか)』

 

 …うわぁ。榊に負けず劣らずの笑顔浮かべてるよ。

 

 「じゃあ緋村にも『ケアルガ』……これでよし。サウザーに突かれた秘孔も治しておいたからな。ではごゆっくり♪」

 

 意気揚々と扉を開け、部屋の中に入る。

 その姿を見届けてから透がカルピスウォーターに話し掛ける。

 

 「なあカルピスウォーターさん。榊と緋村にそこまでサービスしてやる必要あったんか?」

 

 「俺もそう思う。部屋で誰が待ってるのか知らないけど絶対にアイツ等のせいで心に大きな傷が出来るぞ」

 

 「傷ねぇ。果たして心に傷を負うのはどっちになる事やら」(ニヤニヤ)

 

 …何かゲスい笑顔だぞ作者よ。

 

 「そういや、なのは達は?」

 

 「お前と透以外は皆向こうで楽しくおしゃべりしてるぞ」

 

 あ、ホントだ。亮太も混じってる。

 こうして見ると亮太ハーレムって言われても違和感ないね。もっとも、当人はアイシス以外に興味無いんだけどさ。

 

 「さてさて、部屋の様子を見てみるか」

 

 カルピスウォーターが中の様子を映しだし、俺と透も画面に意識を集中する事にした。

 まずは榊の様子から見る様だ………。

 

 

 

 ~~凶夜視点~~

 

 へっへっへ。

 俺は今、最高に機嫌が良い。

 あのクソ緋村に実力の差というモノを教え込み、真のオリ主は俺だという事を証明した訳だからな。

 緋村とやる前にボコってやった西条とか言う奴も多少は出来る様だが俺の敵じゃなかったぜ。

 そしてオリ主の俺に対する褒美はこの部屋にいる奴と色々シてもいいらしいからな。徹底的に可愛がって俺の女にしてやるぜ。

 

 「お?」

 

 部屋の奥の寝室に辿り着いた。

 ベッドには薄いカーテンで仕切られていたが確かに人影がある。ベッドに腰掛けている様だ。

 ふふふ、いよいよご対面だな。

 

 シャーーーッ!!

 

 「初めまして!!俺…は……」

 

 勢いよくカーテンを開け、自己紹介をしようとして俺は固まった。何故なら…

 

 「よう…待ってたぜ♪」

 

 そこにいたのは女では無く、全裸の()だったからだ。

 

 「お前さんの戦いはここでジックリ見させて貰っていた。いい戦いだったな」

 

 「……………………」

 

 「その褒美として今から俺がたっぷりと可愛がって悦ばせてやるからな」

 

 「……………………」

 

 「カルピスウォーターが言うには24時間しかないみたいだからな。早速始めるか」

 

 「…………はっ!?」

 

 よ、予想以上の出来事で思わず意識がトリップしちまったぜ。

 

 「ちょっと待て!!テメエは誰だ!!?てか女は!!?」

 

 「ん?ああ、自己紹介がまだだったな。俺は阿部高和だ」

 

 「男が何でいんだよ!!女はどこだよ!!?」

 

 「最初からこの部屋には俺しかいなかったぜ」

 

 はあ!!?どういう事だよ!!?

 

 「俺はこの部屋にいる女に会うために来たんだぞ!!」

 

 「ふむ。どうやらお前とカルピスウォーターの間で何か手違いがあったんじゃないか?」

 

 やっぱりか!!あの三流作者め!!

 

 「ふざけんなコラ!!おい、『原作介入』の三流作者!!見てるなら返事しやがれ!!!」

 

 『んあ?何か用か?』

 

 俺が叫ぶと空中に現れたディスプレイにこの世界の作者の顔が映っている。

 俺の心は怒りに満ちていた。

 

 「テメエ俺に嘘吐きやがったな!!女なんてどこにもいねえじゃねえか!!」

 

 『何を言ってるんだ?自分は『その部屋で待つ人物』としか言わなかったのだが?』

 

 「んなっ!!?」

 

 『やれやれ。人の話はちゃんと聞いておきなよ』

 

 「ふ、ふざけんな!!あんな言い方されれば女がいると勘違いするだろうが!!!」

 

 『だからそれが早とちりだと言うんだ』

 

 クソ!!ああ言えばこう言いやがって!!

 てか目の前の阿部は明らかに俺を食う気じゃねえか!!!

 

 「おい三流作者!!!ここで俺に何かあればどうなるか分かってこんな事やってるんだろうな?ああ゛!?」

 

 『ほう?どういう意味だ?』

 

 「俺は今回ゲストとしてコッチに出演してやってんだ。もし俺の身に何かあってみろ!!俺の世界の作者、makeが黙っちゃいないぞ!!何せ俺がオリ主の物語を執筆しているぐらい俺は重宝されているからな。makeとの全面戦争を覚悟の上でやってんだろうなああ゛ん!!?」

 

 『成る程、make氏の書く『ダメ人間の覚悟』と全面戦争か。怖い怖い。そんな事はしたくないな。『原作介入』のメンバーじゃ瞬殺されてしまう』

 

 ビビってやがるビビってやがる。

 

 「へっ、分かってんじゃねえか。ならさっさと俺を……」

 

 『そんな榊に朗報だ。つい先日、make氏からメールをいただいた。お前と緋村に対しての扱いは全権を自分に委ねてくれるそうだ』

 

 「何いぃぃっ!!?」

 

 『これが証拠のメールだ。ちゃんと書かれているだろう?『あ、もうジャンジャンやっちゃってください!あの2人に関してはもう勘当ですんで(笑)』と。あの2人が誰を指しているのかは言うまでもないだろ?』(ニヤニヤ)

 

 「ば、馬鹿な!?makeが俺を…オリ主の俺を見捨てたというのか!?」

 

 『普段から自分の行動を自重せず、省みて反省しないからmake氏に見捨てられるんだよ。まあこれでmake氏との全面戦争は起きないという訳だ。Do you understand(理解してもらえたでしょうか)?』

 

 「ふ、ふざけんなあああああぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!」

 

 俺は力の限り叫ぶが、『原作介入』の作者は『じゃあ、後は頑張ってね♪』と言葉を残し、ディスプレイを消しやがった。

 

 「……よかったな。これで俺とお前を隔てる障害は無くなった。存分に愛し合えるんだぜ」

 

 「ひっ!?」

 

 いつの間にか俺の眼前まで移動してきた阿部に若干の恐怖を感じた俺は後ずさり、距離を取る。

 ………恐怖?

 恐怖を感じただと!!?オリ主のこの俺が!!?

 

 「有り得ねぇ……んな事有り得るかああああぁぁぁぁぁっっっ!!!!」

 

 「おいおいどうした?まさか抵抗するのか?言っとくがカルピスウォーターの用意したこの部屋じゃあ魔法やレアスキルなんかは使えないんだぜ」

 

 「テメエなんざそんなもん使わなくてもブッ殺せるんだよおおぉぉぉぉぉっっっっっっ!!!!」

 

 「元気があって良いねぇ良いねぇ。これだから自称・オリ主の転生者を食うのは止められねぇ」

 

 「があああああぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!!!!!」

 

 こうなったら俺のやる事は1つだ。

 目の前のコイツを殺し、その後はあの三流作者……そしてモブだ。

 おそらくモブの近くに無理矢理いさせられてるのであろうなのは達を救出し、その後は……

 

 「俺となのは達の未来のために死にやがれ阿部えええええぇぇぇぇぇぇぇっっっっっ!!!!!!」

 

 「ふぅ……抉り込ませる俺の〇〇〇(フラガラック)

 

 ……………………

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 アッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 ~~凶夜視点終了~~

 

 「……食われたのぅ、榊の奴」

 

 「吉満より精神が強ければ耐えられるかもしれないが……どう見ても吉満と五十歩百歩って感じだし…」

 

 俺と透が『榊がどうなったかコッソリ覗き見よう』と思い、ディスプレイをつけると丁度、阿部先生が奥義を発動させた直後だった。

 その後はどうなったか見るまでもないのですぐに切ったけど。

 

 「これで阿部さんの餌食になった銀髪は2人目だな♪」

 

 嬉しそうに言うカルピスウォーター。

 第百話のあとがきの阿部さんの願いを本当に実行しやがったよ。

 

 「さてさて、緋村の方はどうなってるかな?大変だろうなぁ。何せハーレム状態だし♪」(ニヤニヤ)

 

 「…ていうか一体誰がいるんだ?」

 

 鉄先輩は西条一筋、阿部先生は現在ハッスル中……もうノンケを食べる方々はこの作品にいない筈なんだが…。

 

 「ん?部屋の中にいるのは『なのは』『フェイト』『はやて』『アリシア』『アリサ』『すずか』の6人だ」

 

 「「はあっ!!?」」

 

 何言ってんだ?なのは達なら向こうでシュテル達と会話中……

 

 「まさか……『原作介入』側のなのは達が!!?」

 

 「マジか!?カルピスウォーターさん、アンタいくら自分の書いとる小説じゃからって自分の作品のキャラを緋村に会わせるのはどうかと思うで」

 

 一応『原作介入』の作品内では俺に好意を抱いてくれてるんだよな?

 まさかの寝取られ展開!!?

 

 「勇紀、言っておくが自分はお前のハーレムメンバーを寝取らせるつもりなんてコレっぽっちも無いからな」

 

 「???じゃあ部屋にいるなのは達って一体誰だよ?」

 

 「それはこれからのお楽しみだ」

 

 「「……………………」」

 

 ニヤリと邪悪な笑みを浮かべるカルピスウォーターを見て『緋村はロクな結末を迎えないな』と確信する俺と透だった………。

 

 

 

 ~~修視点~~

 

 遂に…遂にこの時がやって来たか。

 俺様となのは達が結ばれる時が。

 

 「(まあオリ主の俺様からすれば当然の事だと言えるんだがな)」

 

 自分でもニヤけているのが鏡を見なくても分かるが、笑顔を抑えろと言われても無理に決まってらぁ。

 唯一残念なのは守護騎士達にスバルやティアナといったSts編からのキャラ達、シュテル達『なのはGOD』関連のキャラ達がいない事か。

 ……まあ、今回はなのは達だけでいいか。本編に帰ればいつでも機会はありそうだしな。

 俺様はこれから行う情事を想像しながら室内を適当にウロついた後、寝室を探す。

 そしてすぐに寝室らしき部屋を見付け、ゆっくりと扉を回す。

 

 ガチャッ

 

 部屋の中はやや広め…その奥にカーテンに仕切られたスペースがある。おそらくそこにベッドがあるのだろう。

 …カーテンの向こうからはちゃんと6人分の気配もするしな。

 俺様はゆっくり近付いてから勢いよくカーテンを開けた。

 

 シャーーーッ!!

 

 「はっはーーーっ!!皆、待た……せ………」

 

 カーテンを開けた先にいる人物達を見て俺様は言葉が続かなかった。

 何故だ?ここには今か今かと俺様を待ち侘びていたなのは達がいる筈なのに。目の前にいるのは……

 

 「ガハハハハハ…待っておったぞダーリン♪」

 

 「「ようやく来たか、待ち侘びたぞ」」

 

 「ククク…今から目一杯ご奉仕してやるぞご主人」

 

 「……………………」

 

 「ゼハハハハ。俺様はこの時を楽しみにしていたぞ」

 

 ……男の群れ(・・・・)だった………。

 

 

 

 ~~修視点終了~~

 

 「「……………………」」

 

 俺と透は口を開けたまま言葉が出せず、固まっていた。

 

 「うんうん、立派なハーレムだねぇウケケケケ…」

 

 まるで『予定通り』とでも言わんばかりのカルピスウォーターは現状を見て笑っている。

 

 『ふざけんな!!!テメエ等、俺様のなのは達をどこにやった!!?』

 

 画面の向こうでは緋村が部屋にいる人物達に吼えている。

 

 『何を言っておるダーリン。ワシが高町なのはじゃぞ』

 

 『『俺がフェイト・テスタロッサだが?(アリシア・テスタロッサだが?)』』

 

 『ククク…ご主人は目が悪いのか?俺が八神はやてだ』

 

 『……………………』

 

 『ゼハハハハ。この無口な奴はアリサで、俺様は月村すずかだぜ』

 

 自己紹介を始める部屋の中にいる連中。

 ……本人達は原作キャラの名前を名乗っているがどう見ても別人じゃねーか。

 

 「勇紀、俺の目が可笑しいんかのぅ?」

 

 「それを言うなら俺の視力もヤバいかも」

 

 それとも俺と透はいつの間にか幻術にでも掛かっているのか?

 ……んな訳無いよな。

 

 『寝言ほざいてんじゃねーぞ!!おい、三流作者!!』

 

 む?

 画面の向こうの緋村がカルピスウォーターをお呼びだ。

 

 「どうかしたのか緋村ぁ?」

 

 スゲエニヤけてるカルピスウォーターは心底楽しんでやがる。

 

 『コイツ等は何なんだよ!!?なのは達がこの部屋にいるって言ってただろうが!!』

 

 「何を言ってるんだ?彼女達(・・・)は間違い無く原作キャラだぞ。ただ、平行世界から連れて来た人物達だから容姿に関しては多少の違いがあるけどな。けど彼女達の髪の色や髪形を見れば一目瞭然だろう?」

 

 『多少じゃねーよ!!!同じなのは髪だけじゃねーか!!!容姿なんてDNAからして別人だろうが!!!』

 

 緋村の文句に納得せざるを得ない。

 あの部屋にいる連中は名前と髪の色、髪形が同じだけで見た目は全員男やん。正確に言うなら

 

 

 

 『高町なのは』=『真・恋姫†無双』の『卑弥呼』

 

 『フェイト・テスタロッサ』=『北斗の拳』の『フウガ』

 

 『アリシア・テスタロッサ』=『北斗の拳』の『ライガ』

 

 『八神はやて』=『仮面のメイドガイ』の『コガラシ』

 

 『アリサ・バニングス』=『Fate』の『バーサーカー(第5次)』

 

 『月村すずか』=『ワンピース』の『黒ひげ(ティーチ)

 

 

 

 以上である。

 ついでに全員TSっつーか性別は女性……つまり『♀』である。

 

 「そんな事で文句を言われても困る。ただ彼女達はコッチの世界に連れて来る前にお前の写真を見せたが、全員写真越しに惚れたらしいぞ」

 

 『んなっ!!?』

 

 「良かったな緋村♪」

 

 『嬉しくねーよ!!こんな連中に惚れられても!!!』

 

 分かるわー。

 俺も自分の世界にいるなのは達の容姿が部屋にいる連中と同じなら間違い無く首吊ってるわ。

 透も横で『あのなのは達は流石にのぅ…』と呟きながら首を縦に振り、緋村の意見に同調してるし。

 

 『ていうかテメエこんな事して良いと思ってるのかよ?ここで俺様に何かあればどうなるか分かってこんな事やってるんだろうな?ああ゛!?』

 

 「ん?」

 

 『俺様は今回ゲストとしてコッチに出演してやってんだ。もし俺様の身に何かあってみろ!!俺様の世界の作者、makeが黙っちゃいないぞ!!何せ俺様がオリ主の物語を執筆しているぐらい俺様は重宝されているからな。makeとの全面戦争を覚悟の上でやってんだろうなああ゛ん!!?』

 

 「成る程、make氏の書く『ダメ人間の覚悟』と全面戦争か。怖い怖い。そんな事はしたくないな。『原作介入』のメンバーじゃ瞬殺されてしまう」

 

 『へっ、分かってんじゃねえか。ならさっさと俺様を……』

 

 「そんな緋村に朗報だ。つい先日、make氏からメールをいただいた。お前と榊に対しての扱いは全権を自分に委ねてくれるそうだ」

 

 『何いぃぃっ!!?』

 

 「これが証拠のメールだ。ちゃんと書かれているだろう?『あ、もうジャンジャンやっちゃってください!あの2人に関してはもう勘当ですんで(笑)』と。あの2人が誰を指しているのかは言うまでもないだろ?」(ニヤニヤ)

 

 『ば、馬鹿な!?makeが俺様を…オリ主の俺様を見捨てたというのか!?』

 

 『普段から自分の行動を自重せず、省みて反省しないからmake氏に見捨てられるんだよ。まあこれでmake氏との全面戦争は起きないという訳だ。Do you understand(理解してもらえたでしょうか)?』

 

 『ふ、ふざけんなあああああぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!』

 

 …スゲエ。

 言ってる事が榊と同じだ。

 そしてカルピスウォーターの対応も全く同じだ。ただ、対象が榊から緋村になっただけで。

 

 『ククク…もう良いだろうご主人。時間は限られているのだ』

 

 『そうだぜ。俺達が思いきり愛してやるからよゼハハハ。なあアリサ』

 

 『■■■■■■■■■■■■!!!!!』

 

 それまで沈黙を保っていたアリサが咆哮を上げ、緋村をベッドに押し倒す。

 その凄まじい力でバリアジャケットは引き裂かれ、胸板が露わになる緋村。

 

 「「アリサ(見た目バーサーカー)が緋村を押し倒した!!?」」

 

 「ぶふっ!!?」

 

 「わっ、アリサちゃんがジュースを噴き出したよ!?」

 

 「アリサ、落ち着いて飲みなよ」

 

 「ゴホッ…ゴホッ…。し、仕方ないでしょ!!アッチの2人がとんでもない事を口走ったんだから!!」

 

 あ、俺達が大声上げて叫んだものだから向こうの女性陣に聞こえた様だ。

 

 「ククク…アリサは上半身から攻めるか。なら俺は下半身をご奉仕してやろう』

 

 はやて(見た目コガラシ)もアリサ(見た目バーサーカー)に続く。

 その超絶ご奉仕テクにより、緋村の息子さんはどんどん自己主張が激しくなっていく。

 

 「「スゲエ!!はやて(見た目コガラシ)のご奉仕テクスゲエ!!」」

 

 「止めてや!!何の恨みがあってそんな事言うん!?」

 

 向こうでははやてが両手で頭を押さえながら顔を左右に振っている。

 

 「緋村ぁ、感謝しろよ?お前は『ダメ人間の覚悟』の世界じゃどう足掻いても原作キャラを囲ったハーレムなんて築けそうにないからな。make氏の代わりに自分がお前の願いを叶えてやったぜぇ。もっとも、そのなのは達を気に入るかどうかまでは知らないけどなウケケケケケケ」

 

 …恐ろしい。これはハーレムというより拷問だな。

 

 『んぐっ!!んんーーーーーっっ!!!!』

 

 画面の向こうではすずか(見た目黒ひげ(ティーチ))にキスされて抗議すら出来ない緋村の姿があった。

 

 「ああ、そうそう。もしお前がmake氏に完璧に捨てられたなら自分がお前を再雇用してやるよ。そして目の前のなのは達(見た目別人達)とのハーレム小説書いてやるからよウケケケケケケ」

 

 ……我が作者ながら恐ろしい奴。

 けどそんな事言っていいのか?makeさんから『GOサイン』出たら大変だぞ。

 画面の向こうでなのは達(見た目別人達)に襲われる緋村を見て笑っているカルピスウォーターを眺めながら俺はそう思うのだった。

 …あと、チョコボの顔でその笑い方は止めぃ………。

 

 

 

 楽しかった(?)時間もあっという間に過ぎ、お別れの時が来た。

 

 「今日は何やかんやで楽しかったわぁ」

 

 「そりゃ良かった。俺も(神様と緋村ボコれて)ストレス発散出来たし」

 

 「…緋村の奴は帰って来れるんかいのぅ?」

 

 「さあ?カルピスウォーターが言うには『makeさんに許可貰った』らしいけど…」

 

 あの後、なのは(見た目卑弥呼)がカルピスウォーターに『緋村を自分達の世界に連れて帰りたい』と言ってきたのでmakeさんに連絡した所

 

 『本編で必要になったら直接迎えに行きますんで、それまで存分に愛し合っていて下さい』

 

 と、返事が来たらしい。

 しかもなのは達(見た目別人達)の世界の次の任務は『ホテルアグスタ』でのオークションの警備なので、ついでにスイートルームを取って1週間程緋村とハッスルするんだとさ。

 …緋村、強く生きろよ。

 

 「「「「「「「「もう帰って来なくていいよ」」」」」」」」

 

 『ダメ人間』の女性陣の意思は見事に一致してる。

 聞くまでも無いが榊に対しても同じ気持ちなんだろうな。

 

 「何だったらアイツ等の代わりに勇紀達が来たら?歓迎するわよ」

 

 ハルカからまさかのオファーが来たよ。

 

 「そうじゃそうじゃ。んで、俺を助けてくれや。今、本編では俺、大変な事になっとんじゃ」

 

 「勇紀さんならクソアニキなんかよりも1億倍はマシですからね。それに透さん救出の際には心強い味方になってくれる筈ですから」

 

 透と響子も歓迎してくれてる。けどなぁ…

 

 「そんな事は俺に言わずmakeさんに直訴してくれ」

 

 他の作品の本編になんて勝手に行ける訳無いじゃないか。

 

 「僕は『原作介入』のアイシスちゃんとラブラブになりたいし…」

 

 「私は本編で勇紀、弄りたいし…。透の能力は魅力的なんだけど」

 

 「お誘いは有り難いのですが、申し訳ありません」

 

 俺以外の3人はやんわりと断る。

 てか椿姫は行って良いよ、割とマジで。

 

 「ていうかユウキが行ったら私達が困ります」

 

 「そうだよ。ユウがいなくなれば『原作介入』の世界が成り立たなくなるよ」

 

 「まあ、ゲストやスポット参戦で行くならありかもな。無論我等も一緒にだが」

 

 「全てはカルピスウォーターとmakeさんが決める事ですよね」

 

 そうそう、そう言うのは作者同士が決める事だから。

 でもホント椿姫は作者の意思を無視して行って良いんだよ?

 むしろハルカとのトレードを希望するね、俺的には。

 

 「君等、そろそろ自分達の本編に帰る時間だ」

 

 カルピスウォーターの宣言でそれぞれに挨拶をして最後に透と握手を交わす。

 

 「じゃあまた機会があれば…」

 

 「また会いたいのぅ。そん時は普通に連載物として同じ世界の時間軸でじゃが」

 

 「まあ、それが叶うのはさっきユーリが言った様にカルピスウォーターとmakeさん次第だ」

 

 「じゃな」

 

 お互いに頷き合って手を離す。

 そして俺はなのは達と、透はシュテル達と自分の世界に帰ろうと…

 

 「「って、帰る世界が逆だろうが!!(逆やろがーー!!)」」

 

 ゴツンッ!!

 

 「ぐべっ!?」

 

 スパーン!!

 

 「ぶはっ!?」

 

 透はディアーチェに拳骨で、俺ははやてにハリセンでど突かれた。

 何だよぅ…俺と透のちょっとしたお茶目なボケにそこまで強く叩かんでも良いじゃないか。

 しばらく俺と透はその場で頭を押さえ、悶絶するのだった………。

 

 

 

 ~~カルピスウォーター視点~~

 

 昨日のコラボは成功だった様だな。

 主人公たちは仲良くなったみたいだし。

 自分は満足気に頷いていた。そこへ…

 

 prrrr…prrrr…

 

 電話が鳴り響く。

 自分は執筆を中断し、電話に出る。

 

 「もしもし……ああ、make氏じゃないですか。昨日はどうも。おかげ様で勇紀に新しい親友も出来ましたし、コラボを了承して下さったmake氏には感謝の言葉しか出ませんよ。それで本日はどの様なご用件で?……はい……はい……榊がまだ帰って来てない?可笑しいですね。緋村はともかく榊は24時間経てば『ダメ人間』の世界に帰れる様にしていた筈なんですが……。とりあえずコチラでも榊の行方を調べておきますね。はい、失礼します」

 

 ガチャリと電話の受話器を置く。

 

 「ふーむ。榊の行方か。丁度良い。今執筆していた『冬木の街に降り立つ聖帝』(『原作介入』の本編にリンクする内容)と『ハルケギニアで惨劇の幕は上がる』(まったくの別物で新作)の構想に行き詰ってたところだ。息抜きがてらに榊の行方をググってみるか」

 

 そう言って、自分はマウスを握り、榊の行方を捜し始めた。

 

 

 

 その頃、『原作介入』世界の海鳴市に建つ一軒家には2人の男が住んで居るのだがそこへ最近『新たな男が住み始めている』と近所では噂になっていた。

 そして表には『阿部』『吉満』の他に『榊』と書かれた表札が掛けられていたとかいなかったとか………。

 

 

 

 ~~カルピスウォーター視点終了~~

 

 ~~あとがき~~

 

 という事で、今回のコラボはmake様執筆の作品『ダメ人間の覚悟』でした。

 いやー、他の作者様が書くキャラを動かすのって大変ですわ。特に透の喋り方は『ダメ人間の覚悟』を読み返したり、自分で広島弁を調べてみたりと。

 正直、上手く書けた感が自分ではあまりしないです。自分の技量ではコレで一杯一杯です。

 『ダメ人間の覚悟』を読んでいる読者様や作者であるmake様の感想やコメントが不安で仕方ないです。

 それとこの話を書いてる途中にmake様が更新された最新話には緋村と榊の詳細が書かれていましたが、今回ではその辺のレアスキルなんかは反映されてないです。だから緋村の『スーパーサイヤ人化』や『瞬間回復』は使用していませんでした。容姿に関しては事前にmake様に確認を取っていましたけど。

 てか、ホントにやりたい放題の今回。勇紀にテイルズ系の技覚えさせるかはビミョーに悩み中。どうしたもんでしょうかね?

 あと、自分は『冬木の街に降り立つ聖帝』と『ハルケギニアで惨劇の幕は上がる』というタイトルは思い付きつつも、内容なんかは全く考えてないので『本当に執筆している』と勘違いしないで下さいね。

 最後に、今回コラボを快諾して頂いたmake様、どうもありがとうございました。自分も『ダメ人間の覚悟』は楽しく読ませて頂いてます(『NARUTO』『BLEACH』『金色のガッシュ』に関する原作知識はマジで無いですけど)。これからも体調に気を付けてお互いに頑張っていきましょう。

 また機会とやる気があればコラボなり共同連載なりして下さると嬉しいです。

ただ、コラボ本編で書いた『緋村のハーレム物語』に関してはマジでGOサイン出さないで下さいね。

 

 P・S

 make様に限らず自分とコラボしたい方や勇紀達を本編で使いたい方がいらっしゃったらショートメールでご連絡ください。

 


 
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