No.629125

司馬日記 支援の十五

くらげさん

司馬日記は明るく楽しいお話です。

2013-10-17 23:39:33 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:21426   閲覧ユーザー数:11441

 

なにかに詰まって司馬日記支援を書くのがお決まりのパターンになってきました。

同じ様なネタ書いても仕方ないし、でも続きを待ってくれている人が(多分一人ぐらいは)いると信じて書いては消すジレンマ。

グチグチと零しましたが今回のマイナー枠は叔達さん。

ある意味司馬懿の兄弟って超マイナーだよなって書きながら思いました。

|壁|ョД゚)オジャマシマスと文書局に顔を出してみた。無論遊びに来た訳じゃなくて、水鏡先生に伝える毒にも薬にもならず、しかし知的好奇心を突く天の国の知識の確認の為に。つまりは公務中な訳だ、俺だって真面目な仕事するよ。

椅子に腰掛けて何やら作業をしていた司馬孚、えーっと……そうそう、叔達さん。

彼女が俺に気が付いて(というよりは誰か来たのに気付いて)顔を上げたんだけど、それだけでも揺れるとか相変わらず物凄い胸の持ち主だ。比べた事は無いけど桔梗よりデカいんじゃないだろうか。

 

「一刀様」

 

慌てて席を立って俺に近付いて来ようとしたのを手で軽く止めると、それでも名門・司馬家の娘さんらしく一切の仕事を止めて俺の事を伺っている。

 

「仕事中にごめんね、お邪魔するよ」

「私でお役に立てる事がありましたら何なりと」

 

長女の伯達さんはいつもニコニコ糸目の爆乳お姉さんだからそこまでのプレッシャーは感じないけど、仲達さんや叔達さんは顔の整い方と纏った空気がクール過ぎる。

仲達さんはちゅーたつだし、絡む機会も多いから可愛気も見えるんだけど、叔達さんの威圧感たるや凄い物がある。

 

(この娘が布団の上じゃ凄い乱れ方するんだもんなぁ……)

「私の顔に何か付いていますでしょうか?」

「いつ見ても別嬪さんだなーって思って。つい見とれてました」

 

分かりやすいのは司馬の血筋なのか、真っ白な肌を一瞬で真っ赤に染めて、両手で顔を隠そうとしながら「恐縮です……」とか言うんだけど、二の腕でオパーイがむんにゃり潰れてますよ。

 

「……一刀様の御都合が宜しければ、是非お相手を務めさせて戴きたいのですが」

「うん、とっても嬉しいし是非お願いしたんだけど、今水鏡先生の絡みでちょっと忙しくてね。 今晩空いてたら一杯どうかな?」

「喜んで、お付き合いさせて頂きます」

「ありがと」

 

努めて無表情なんだけど、口元がモニョモニョ動くのが彼女だけの特徴かな。

っといけない、華琳に無理言って風を貸し切ってるんだ。

 

「ちょっと調べ物したいんだけど、見ちゃダメな物ってあるかな?」

「一刀様でしたら、この服の中までも」

「……今夜の楽しみにしておくよ」

 

司馬家の人達って素直に言う事聞いてくれるから助かる。

見た目クールで怖いけど、勇気を出して仕事に戻って。と言えば畏まりました。と綺麗なお辞儀をして、胸揺れサービスしてくれながら座っていた椅子に戻ってくれる。

 

「さーってと……」

 

棚から適当に書を取り出しては中をペラペラ流し読みしては戻し、読んでは戻し。

風曰く『喋るのがお兄さんなら適当に選べば良いとは思いますけど、まぁ水鏡先生の好奇心を煽るとなると今までの歴史に無い物が必要でしょうねー』との事。

一応案はあるんだけどなぁ……っと、何か蹴飛ばしちゃった。

 

「なんだこれ?」

 

所謂ノートサイズの手帳みたいな装丁の……何処かで見た気がするんだよな、これ。

随分継ぎ足したのか、紙の厚さで膨れ上がってるのを紐でギチギチに縛った上に鍵まで付いて封印されてる。

こんな封印をされると俺の好奇心がムクムクと。

 

「ねぇ叔達さん」

 

これの鍵って何処?と聞こうとした瞬間思い出した。これアレだ、あの店に置いてあった落書き帳だ。俺は絶対に見ちゃいけないって言われた方のヤツだ。

 

「お呼びでしょうか」

 

ヤバい。コレが此処にあるって事は当然叔達さんだって知ってる筈だ。俺がこれを見ちゃいけないって事も当然知ってる筈だ。

咄嗟に懐に入れて隠したけど、此方に向かって来る叔達さんまでは止められない。

 

「一刀様?」

「あ、あー……えっと……」

 

とりあえずキスしてみた。眼を白黒させて吃驚してる姿に罪悪感を覚えるけど、此処は誤魔化すしかない。

 

「あ、あの」

「ごめんね、どうしても今確認したくなっちゃった」

 

そう言って腰回りとか胸とか、お腹とかを摩りながらダメ?と聞いてみると口元をモニョモニョさせながらも、決して嫌そうな顔では無かった事にホッとした。

 

「私は一刀様の物です。 いつ何時であろうとも一刀様のお求めに応える様、司馬家の者は心掛けております」

(風ごめん。マジでごめん)「叔達さんみたいな美人にそんな事言われたら、俺我慢出来ないよ?」

「一刀様に壊されるのであれば本懐でございます」

 

仲達さんは真っ赤になって固まっちゃうけど始まっちゃうと凄いし、伯達さんは初っ端からすんごい誘い方をするんだけど、叔達さんも負けてない。

事務的に、無表情だけど全身で縋り付く様に求められるのは嬉しい物です、はい。

 

 

俺は何をやっているんだ。と失神した叔達さんを医務室に運んで、自己嫌悪しながらも部屋に戻るとジト眼で俺の椅子に座る風に出迎えられた。

 

「漸く種馬野郎が帰ってきたのですよー」

「ホントごめんなさい」

「まぁコレはお兄さんの公務の全てですから、臣下の風が口を挟む事ではないのですけどねー」

「お願い風ちゃん機嫌直して!」

 

そう言うと風は座っている椅子からぴょん!と飛び退き、俺に聞こえる大きさで椅子をペチペチと叩いて催促する。可愛い。

急いで椅子に座ると間髪入れずに風が膝の上に飛び乗ってきて、俺の胸に後頭部を預けながら俺を見上げてにゅふふ~と嬉しそうに笑ってくれる。

 

「所でお兄さん。盛るのは結構ですけど、もう一つのお仕事の方は順調ですか?」

「んー。まぁ考えはあるからそれ程調べ物には時間割いてないかな。風を貰ったのも、どっちかっていうとその考えの補強をして欲しかったからだし」

「おぉ。ではそのお考えとやらを―――ん?」

 

風が頭をグリグリしていると、懐に入れた手帳(仮)に当たったらしく眉を潜めて俺の腕をペチペチと叩いてきた。可愛い。

ごめんごめん。と謝って懐から手帳(仮)を取り出すと、風の眠そうな眼が見開かれ、俺の膝から飛び降りた。

 

「何でお兄さんがそれを持ってるんですか!」

「読んじゃダメだって言われてた物を見る機会があったら見るだろ?誰だってそうする、俺もそうする」

「ダメです、ダメですダメですダメです!! 今すぐそれを返して来て下さい!!」

 

早く!!と今までにない程の大声を出して風に扉を指され、解った。と言って直ぐに出て行った。

何なんだ?何が書いてあるんだ?

 

 

(好奇心猫を殺す。しかし、俺を殺すとは言っていない。はい論破)

 

多分だけど、俺がコレを持ってるのがバレたら職員全員総出で取り戻しに来ると思う。

かと言って読まずに元に戻せるかと問われればNoだ。絶対に見る。

でもコソコソ隠れて読もうにも、俺のプライバシーってあの部屋にしかないし、そこは風に陣取られてるし。

返したーって嘘付いて後で見るという案は速攻でバレるので却下。さぁ何処で読む。

 

(静かな場所……絶対に裏切らない協力者……そしてこの城以外に拠点を持ってる人……)

「一刀様。此方に居られたのですね。 程昱様がお探しでしたが「居た! 実家通い!そんでもって絶対俺の事裏切らない子!」はい?」

 

流石仲達さん!俺が困ってると来てくれる、そこに痺れる憧れる!!

俺のテンションの高さに首を傾げながらも近付いてきた仲達さんの手をギュッと握ると嬉しそうに身悶えしてくれる。いけるっ!!

 

「ねぇ仲達さん!お願いがあるんだ!」

「私に出来る事でしたら」

「今から仲達さんと二人っきりで、仲達さんの家で過ごしたいんだ!!」

「は、はい……では、桐花様に「今直ぐじゃダメかな?俺仲達さんと一緒に居たいんだよ!仲達さんと二人っきりになりたいんだ!お願い!」

「~~~っっ……畏まりました」

 

 

妹達が居りますので、叩きだします。との宣言通り。

仲達さん達の実家の前で待ってると、二階の窓から恵達ちゃんと幼達ちゃんが降ってきた。

雅達ちゃんは一階に居たらしいけど、玄関からぴょーんと飛んで来た。二階から落ちてきた二人は見事な体捌きでくるくる回って着地したけど、横から投げられた靴が顔に当たってた。

 

「あ、かずとさま!」

 

雅達ちゃんが俺に気付き、恵達ちゃんと幼達ちゃんも靴を抱えて寄ってきてくれたけど、いつの間にか背後に立っていた仲達さんにそれぞれブン投げられた。

ごめんよ、今度何かでお詫びするからね……と心の中で謝罪して、照れながらも手を引いてくれる仲達さんに付いてお邪魔しますin司馬家。

 

「あ、あの、一刀様。お茶など「ごめん、我慢出来ない」

 

彼女の部屋は分かってる。とんでもなく酷い言い草だけど、今は一分一秒が惜しいのだ。

十分で潰す。

 

「仲達さん、最初に謝っておくね、ごめん。 今日は加減出来ない。っつーかしない。本気で抱くよ」

「お、お望みのままに」

 

お尻を揉み、唇を奪いながらそう宣言すると、仲達さんは引くどころか覚悟を決めてそう返事してきた。

何時もは優しく、労わりながらするんだけど、今日の事がトラウマにならない事を願う。

 

 

俺は何をやっているんだろう。と白目で痙攣する仲達さんに布団を掛けながら本日二度目の自己嫌悪。俺は服すら脱いじゃいない。

司馬家の皆が戻って来たら土下座で謝罪する事を決めつつ、漸く ねんがんの てちょうを てにいれたぞ!

 

「さて、それでは……」

 

ご丁寧に鍵は裏面に貼り付けてあったので開錠して、いよいよ中身とごたいめ~ん。

 

「さてさて……なんだこれ、目次か?」

 

俺が良く知る、所謂古参の皆の名前が一ページ目にズラリと並んでいる。勿論真名じゃないけど。

人によって随分ページの配分が違うらしく、一ページ二ページしかない子もいれば十ページ以上数を稼いでる子もいる。

どうしよう。最初から順番に見ていけばいいか。え~っと……トップバッターは思春か。

 

・甘寧隊長のシゴきは異常。 一刀様はもっと甘寧隊長に言い聞かせて欲しい

・あの人は後輩を潰すのが生き甲斐だから仕方ない。

・そんな事ないんじゃね? 漏れは結構長く下で鍛えて貰ってるけど、色んな所で気を使って貰ってるよ。

・上 お前隊長にどんな賄賂送ったんだよw 縄か?拷問器具か?

・甘寧隊長って部隊長級だけの試合だとあんまり勝率高くないけど、実際どれぐらい活躍したんだろ。

・上 部隊長級の面々を考えてみろ。夏侯姉妹に呂布将軍、張遼将軍に楽進隊長に趙雲さんまで居るのに、そこで勝ち拾えるだけで十分化物だ。

・性癖だけ除けば立派な人物なんだけどなぁ……蜀筆頭と言い、一刀様は武官に恨みでもあるのかな。だったら文官の私は嬉しいけど。

・上 お前文官なのに荀攸様忘れるとかどれだけ挑戦的なんだよ。

・四つ上 一刀様が激励に来られた日は全戦全敗で失礼ながら失笑した。

・上 一刀様が来られたら呂布将軍の力の入れ様が違うから仕方ない。確か初戦で当たって殺されかけてただろあの時。

・皆甘寧将軍の性癖悪く言い過ぎだろ。首輪を付けて飼って欲しいぐらいは可愛い要望だと思うぞ。

・漏れは甘寧隊長好きだよ。 一刀様の夜のお噂してるとにじり寄ってきて可愛いw

・上 誰も嫌っちゃいないだろw ただ性癖だけどうにかしてくれって思ってるだけで。この前孫権様泣いてたぞ……

 

……これは、あれですか。 所謂一つの曝露本ですか。しかもかなり暗部の。

今更ながらに読んじゃダメという警告が突き刺さる。しかし、何故かは解らないんだけど使命感の様な物に突き動かされてページを捲る。

 

・顔良さん怖い。何が怖いってあんな可愛い顔しながら一刀様の悪口言ってる奴がいないか自主的に徘徊して確認してるのが本気で怖い。

・顔良さんは本気で怖いよね。 あくまで噂だけど、何人か内々に処理してるらしいし。

・上 それを噂で片付けられないのが顔良さんの怖さの原因。

・でも一刀様の事を悪くさえ言わなければとっても良い人だと思う。そもそも此処に書き込める奴で一刀様の事嫌ってる奴が居る訳ないだろうし。

・上 審配事件の顛末知ってても言ってるなら勇者だなお前……アタイは絶対斗詩の事怒らせないって決めた。

・上 二つ上を書いた奴じゃないけど、興味あるんで教えて下さい。

・上 審配がアニキを殺そうとしたのは有名な事件だし知ってると思うけど、アニキが凌遅掛けてる間中死んだ眼で刀研いでた。

・漏れ絶対に顔良さんに眼を付けられない。細々と生きて一刀様に可愛がって頂く。

・上 それでも一刀様からは離れられないのなw

・上 今更何を仰るw あの人ホントなんなの、依存性凄いわ。

 

とりあえず俺も斗詩は怒らせない様にしよう。それと猪々子、見る奴が見たらバレるぞこの書き方。

 

・趙雲さんってなんで仕事しないのに怒られないの?ずるい。

・孔明様に伺ったけど「言っても無駄だけど有能だから切れない」だそうだ。本当に得だよなあの人。漏れも羨ましいわ。

・それでも一刀様に怒られてマジ泣きしたらしいけどな。正直当たり前だろと漏れは思った。

・普段からやる事やってればふざけても一刀様もそこまで怒らないとは思うけどなー。

・趙雲さんはあんまり好きくない人多そうだね。あの人の性格的に屁とも思ってなさそうだけど。

・上 んな事はない。蜀で仕事した人間は何かしらの失敗をした時にあの人に庇って貰ってる。飄々としてるから立場とか考えずに相談出来る超重要な人物だよ趙雲さんは。

・上に付け足すと、孔明様が仰った様に能力も立場もあるから劉備様や孔明様、士元様も発言を無視出来ないんだよ。でも頻繁に口出すと上が困っちゃうから敢えて道化の衣を被ってる。

・三つ上を書いた者だが、此方の思慮不足だった。あんな事思ってごめんなさい趙雲様。

 

んー。こうやって顔を合わさなくても、日が経っても思ってる不満を消化してくれてるのか。そう考えるとコレって素晴らしい物なんだけど。

まぁ……今の所思わず「うわぁ」って言っちゃう様な事は書いてないし……続行だ。

 

・この前月様に一刀様の洗濯当番奪われた……

・この前月様に一刀様に食事をお運びする役目を奪われた……

・この前一刀様にお茶を淹れる機会が漸く巡ってきそうだったのに、月様に急遽別のお茶っ葉を用意されて、淹れ方が特殊だったから泣く泣く変わって貰った……

・この間さ、一刀様が御使用された寝台の敷布を持って歩いてたんだ。でさ、こっちも一刀様の事はお慕いしてる訳だから、良からぬ気分になっちゃったんだ。

・上 全部書けよ。気になるじゃないか

・二つ上の続き 物陰に隠れてさ、顔を埋めて深呼吸しようとしたら、すっごい笑顔で月様がこっちを見てたの。にっこにこしながら歩いてくるの。

・上 お前良く生きてたな……

・上 うん、死んだと思ったよ。戦場で呂布将軍と敵対した人ってこういう気持ちで死ぬなのかなって思ったし。

・上 漏らした?

・上 恥ずかしながら……

・上 大丈夫だよ。ちょっと漏らすなんて誰にでもある事だから。漏れの知り合いもあるって言ってたし。

・上 馬超様ですね、分かります。 あの人が閨に呼ばれると翌日の月様の機嫌が滅茶苦茶悪いから困る。外で致して欲しい。

・上 なんで馬超様が呼ばれると機嫌悪いの?

・上 馬超様+一刀様の超絶技巧=翌日の残り香。後はわかるな?

・月様は『天衣殿』だから仕方ないっちゃ仕方ないよ。あの人の前で一刀様の癖とかの話はしない方が吉。

・上 そんな馬鹿宮内にいないだろ。居たとしたら仲達だぞそいつ。

・上 語源の人は月様と勝負して引き分けたらしい。情報元は詠様。

・上 一刀様絡みで月様と引き分けるとか化物だな司馬懿さん……漏れももっと頑張らないと。

・月様が引き抜かれるって噂は本当なのかね? だとしたら我々下の人間にとってこの上ない朗報なのだが。

・上 一刀様の御説得でも首降らなかったらしいし、ただの噂なんじゃね? 月様が一刀様に逆らう訳ないし。

・上 それは一刀様が本気で説得されてないだけだろ。あの人が本気だしたら言う事聞かない寵姫はいないよ。

・三つ上 何で朗報なの?月様並の水準で一刀様のお世話を長期的に続けなきゃならないんだぞ?馬鹿なの?氏ねよ。

・上 確かにまだまだご指導は承りたいんだけどさ、月様の一刀様に掛ける情熱って凄いから一緒に居られると私達の出番が回ってこない。仕事も良く奪われるし。

・上 それが、彼女の最後の書き込みだった……

・二つ上の方 特定しましたので、伺いますね。

・……まさか、だよな? いや、月様がこのお店にいらっしゃっても何の不思議も無いんだけど。

・いくら月様でも、まさか、ねぇ……?

・最後の書き込み云々を書いた者だが、私の所為じゃないよね?

・上 不運と踊っちまったのさ。

 

…………帰ったら、お世話係の仕事してくれてる娘達の確認をしよう。いや、別に変な意味じゃないんだけど。

ほら、日頃の感謝を伝える的な意味でね? 別に月の事を疑ってるとかじゃなくてね?

つ、次に行こうかなぁ!

 

・劉備様超腹黒。天然腹黒とか本気で手がつけられない。

・あの見た目と空気に騙されるんだよなぁ……謀なんてできませ~んって顔で凄い事言い出すし。

・三王様の中だと一番の癒し系じゃん。流石に腹黒は言い過ぎだと思うよ。

・上 三王様の癒し系は孫権様だろ常識的に考えて。御三人の中で花嫁修業真面目にやってるの孫権様ぐらいだぞ。

・上 それ本当かよ。王族が花嫁修業なんてする必要ないじゃん。

・上 曹操様は何でも出来る御方だし、劉備様は劉氏の末裔だけど庶民の出だから一通りの事は出来る。孫権様だけはお嬢様で、孫策様と周瑜様に早くから王道を仕込まれてたからな。

・上の続き 一刀様は家柄なんて気にされないから唯一の強みが強みにならないとなると、振り向かせるには努力するしかないじゃん。

・一刀様は呂布将軍にも張遼将軍にも直接お説教出来るし、黄蓋殿とか厳顔殿にでも言う事を利かせるから凄いけど、実は劉備様を操縦出来るのが一番凄い事だと思う。

・そう言えば劉備様意外と頑固だから進言通り動いてくれない事も多いって士元様が嘆いてたな……

・今更だけど劉備様が腹黒の情報は何処で掴んだのよ。勝手に思ってるだけだとしたら不敬だぞ。

・上 無自覚に自分の思い通りになるように強行する癖がある。情報源は明かせないけどかなりの出世頭の友達。

・張任と張松・法正の件は独断行動だったらしいしな。一刀様にすら事後承諾だったらしい。詠様がかなり怒ってた。

・上 漏れも詠様の愚痴聞いたわ。ボロクソ言って堪えてはいたけどそもそも何で怒られてるのか解ってないって嘆いてた。

・上 それでまた部下の心を掴むんだから強かだよなぁ劉備様。

・言葉には出さないけど、一刀様に一番愛されてるって自負持ってそう。

・上 流石にそれはない。劉備様だって影で色々努力されてるよ。 この前姜維呼んでえっちぃ下着の目録片手に色々聞いてたし。

・上 あの体付きにえっちぃ下着とかそれ何て暴力……姜維はマジ凹みしただろうな……

・性格は全然違うけど、何ていうか、孫策様と同じ匂いを感じる。上手く書けないんだけど。

 

あれ、なにこれ。これ桃香の事だよね?女の子って裏でこんな事思ってるの?

……いやいや、鵜呑みにしちゃいけない。うん、大丈夫。桃香は桃香だ。俺の大事な女の子。

 

・呉の人間陸遜殿を何とかしろよ。お前らの上司だろ。

・上 陸遜殿をどうにかするぐらいなら甘寧将軍の前で首輪談義するわ。

・陸遜殿は色んな意味で特殊な御方だから仕方ない。そういう人間なんだと広い心で割り切らないとこっちが参るぞ。

・陸遜殿ってあの体付きにあのお顔立ちで、性格もお優しいのに一刀様に抱かれるまで処女だったって本当?

・上 古参の皆様は大体そうだろ。 まぁ陸遜殿は隠れて男侍らせてても違和感ないエロさだけど。

・上 惜しい人を亡くしたな……

・上 二つ上の者だけどそういう意味じゃなくてね? 何というか、男の喜ばせ方を体得してそうな色気があるじゃない。

・上 安心しろ、陸遜殿は一刀様にしか興味無いよ。その内一刀様と本以外に興味持てなくなるんじゃないか?

・この前街で良からぬ風体の男に路地裏に連れ込まれてた。急いで助けに行ったらニコニコ笑顔で男叩きのめしてた。

・上 マジかよ……あの人そんな強いの?私ついからかっちゃうんだけど、土下座した方がいいかな。

・上 大丈夫。一刀様じゃない男が肌に触れたから理性が飛んだだけらしいから。汚れたじゃないですかーって笑顔で倒れた男に蹴り入れてたのは引いたけど。

・二つ上 今更だけど、呉の軍師方はどなたも馬鹿強いぞ。特に呂蒙殿は甘寧将軍殴り飛ばせる程度の強さ。

・呉のお歴々だと、周泰さんと陸遜殿は一刀様も特別扱いされてるよね。事情聞いたら仕方ないかなーと思ったけど。

・上 めっちゃ知りたいんだけどその情報。

・上 一刀様が呉に御降臨された折、陸遜殿と周泰さんだけは素直に歓迎して優しくしてくれたらしい。一刀様そういう贔屓はされないけど、周り中敵だらけって状況でそんな人居てくれるとそりゃ嬉しいよねとも思う。

・上 あー、時折孫権様が「記憶持ったまま昔に戻りたい」って零されるのはそれか。疑問が解けたよ。

・上 一刀様も無意識だとは思うけどね。良く見るとあの二人だけは偶然出会った時に取ってる距離が近いよ。

・黄蓋様の嫌味を流せるのは陸遜殿だけ。情報源は自分。

・上 そういう事を共有するのがこの手帳の役目だぞ。さぁ書け。

・黄蓋様には頭が上がらないってのが呉のお歴々の共通の弱点。ただし陸遜殿だけは「でも一刀さんは私に頼まれましたから~」と笑顔で切って捨てる。

・それ、怒られないの?だって孫策様や周瑜様でも頭は上がらないんでしょ?

・上 全然。一刀様の事に限っては陸遜殿は『譲る方がヘタレ』って思ってらっしゃる。そしてそれはある意味正しいよ、今も争奪戦してるようなもんだし、陸遜殿が頭一つ抜ければ呉にも有益だし。

 

全く気付いて無かった……そう言われるとそんな気もするけど、穏と明命は自分から近付いて来るからだと思うんだけどなぁ……

まぁ、好かれてるのは良い事だ。そう思おう。あと治安の強化を促そう。主に襲ってくる悪漢の身の為に。

 

・この前休暇中の夏侯淵様を街でお見かけしたんだけど、子供達の相手をされてた。ちょっと、いやかなり意外。

・上 夏侯淵様の目標は黄忠殿ともっぱらの噂。

・黄忠殿を目標とされてるのかどうかは解らんが、母性的な物を習得しようとはされてるみたい。

・上 一刀様が厳顔殿に膝枕されてるのを凄い形相で睨んでたのを見た事がある。

・実は夏侯淵様ってかなり沸点低いよね。 特に一刀様絡みだと曹操様でも止められない時あるし。

・顔良さんと意気投合される日も近いな……

・上 嫌な想像するんじゃないよ。 想像、だよね?

・三つ上 適当な事言うなよ。夏侯淵様が曹操様の命令聞かない訳ないだろ、一刀様より大事にされてる御方なのに。

・上 “一刀様より~” それは無い。絶対無い。曹操様と一刀様で板挟みになったらどっちも選ぶ。

・一刀様が一番じゃ無いのなら曹操様といちゃついててくれねーかな……正直不愉快。

・上 よくその苦情出るけど、実際の所は本人にしか解らない事だしねぇ。外野がどうのこうのは言わない方が良いと思う。

・一刀様と比べて云々は他にもいらっしゃるしなぁ。 関羽様とか甘寧将軍とか、もし万が一忠誠を誓った相手と一刀様が敵対されたらどうするんだろう。とは思う。

・上 月様が手勢引き連れて全部殴り倒して一人勝ちじゃね?後そのお二人は比較的簡単に一刀様に転ぶと思うぞ。

・上 一刀様直属って月様を筆頭に軍師に詠様、武将に呂布将軍と華雄様がいらっしゃるもんなぁ。御四方の一刀様への忠誠心って異常に高いし。

・話が逸れている、夏侯淵様のお話をする頁だろうが。 夏侯淵様は豊胸体操をされているともっぱらの噂。

・上 なんでまた今更……そこそこ胸はお有りだと思うが。

・上 ほら、魏の古参の方って李典殿以外はそんなにたわわじゃないからさ……唯一爆乳の李典殿は一刀様を甘やかすって人じゃないし。

・上 一刀様を甘やかせられる人って相当少ないと思うんだが……胸が大きいとかそういう問題ではなく、一刀様自身が包容力に優れた御方だし。

 

……もうちょっと、秋蘭に甘えた方がいいのかな、俺。

でも秋蘭ってなんか、こう……甘えるっていうと違うと思うんだけどなぁ。甘えたがりだと思うし。

 

・楽進隊長って一刀様がいなくなったら生きていけるのだろうか。

・上 無理。

・楽進隊長見てると自信無くすよ……人ってあんなに誰かを愛せるんだな……

・ぶっちゃけ他の古参の方が一刀様を立ててるのを見るとムカッ腹立つけど、楽進隊長だけは許せる不思議。

・上 なんで他の方は駄目なの?

・上 だって一刀様とは別に主君を持ってるじゃん。それぞれ事情もお有りなんだろうけどさ、良い所を選んでるという認識が消えない。

・まぁ新参のオイラ達は一刀様にお仕えする為に働いてる訳だし、ちょっとだけ気持ちは分かる。

・楽進隊長って昔から“ああ”だったのかな。 魏って曹操様に全ての権力が集中してたって聞いたんだけど。

・上 某古参の御方に聞いたんだけど、あの当時一刀様が魏から離れたら楽進隊長も確実に離反してたって聞いた。

・上 漏れは最初つっけんどんだったって聞いたけど。話し掛けられても無視したりとか。

・上 それ絶対本人の前で言うなよ。本気で後悔されてるし、深酒になると急に土下座始めるんだから。

・上 本気で後悔の件を詳しく。

・自分はなんて人を見る眼がないんだろう云々から始まって隊長愛してますごめんなさいで土下座した後せめて罪滅ぼしにって深夜の警護に走っていく程度には後悔されてる。

・上 愛が重い人だなぁ……

 

俺にしてみりゃ懐かしい程度の思い出なんだけどなぁ……

 

・関羽将軍ってなんでああなっちゃったの?

・素人のお前達には解らんだろうが、関羽将軍の心情は一刀様の寵姫なら普通だから。

・上 ねーよ。

・関羽将軍って見た目も性格も腕っ節も最高峰だけど、性癖まで違う意味で最高峰だもんなぁ……

・一度一刀様に本気で嬲られたらいくら何でも目が覚めるんじゃないかなぁと思う訳だが。

・上 味占めるに決まってんだろばーか。

・一刀様は柔らかい対応をされる御方だから強い口調で命令ってされないけど、それがご不満なご様子。

・上 『腕掴まれて寝台に押し倒されてズッコンバッコンされたい』って零されてたけど、アンタなら簡単に抜け出せるだろと思った。

・関羽将軍といい甘寧隊長といい、御自身と一刀様の腕力の差を考えて物言われてるんだろうか。

・上 あの二匹がそんな事考えてる訳ない。抵抗しているのを無理矢理、というのが最高らしいが、抵抗したら一刀様じゃ対応出来ないだろ常識的に考えて。

・関羽将軍曰く、敵は楽進隊長と呂蒙殿らしい。鼻で笑う所だったのを我慢した俺を誰か褒めろ。

・上 お前凄いな……私なら絶対吹き出してたわ……

・近々蜀の上層部に「もう関羽将軍は一刀様直属で良いんじゃないですかー」って言ってみるつもり。

・上 何故だろう、実現したらこの上ない出世なのに、浮かんだ言葉は【隔離】だった。

・関羽将軍と甘寧隊長は、他の御方(袁紹様とか荀攸様とか)と比べると下品な感じがする。所構わずというか、そんな意味で。

・でもさ、逆に考えれば絶対に一刀様を裏切らない人間って事だし、そう悪し様に言わなくてもいいんじゃないかな。

・上 裏切る裏切らないじゃなくて、一刀様が困ってるってのが論点なんじゃね?

 

…………俺は何も見なかった。

 

・司馬懿さんってどう思う?

・悪い人じゃない。それだけは確か。

・仕事は早い、頭も良い、性格も(個人の好悪があるにせよ)良い、見た目美人、えっちぃ体。なんだこの完璧超人。

・一点だけ除けば本当に次世代を背負って立つ人材だよなぁ……

・一刀様の事がなければ出世間違いなしって聞いたけど本当?

・上 本当。上層部へ誰を移行させるかって話だと真っ先に名前が上がるし、上がっても何処からも文句は出ない。能力だけは素晴らしい。

・司馬懿さんは一刀様絡みだと最悪国滅ぼしかねないしな……一刀様が暗愚じゃなくて良かったよ。

・上 一刀様貶すとかお前何考えてんの?一刀様は名君だから。

・上記の様な言動が所謂【仲達】と呼ばれる病気です。

・月様に喧嘩売って生き延びてるだけで尊敬の対象だわ。

・ふと思ったんだけど、一刀様の言う事なら何でも聞くんだから、一刀様直々にお言葉を頂ければそれで済むんじゃね?

・上 楽進隊長とは違う意味で一刀様がいないと生きていけない人なんだよ。精神的だけじゃなく物理的な意味でも司馬懿さんを一刀様から離すのは無理。

・上 それなら今までどうしてたんだよ……

・上 一刀様に愛情注がれたらもう無理だろ。あの人の愛情には中毒性があるって陳琳殿も書かれてるし。

・一刀様の愛情は周瑜様を孫策様から引き離せるぐらいの威力があるからなぁ。そりゃあ根っからの一刀様至上主義者の司馬懿さんじゃ抗えないよね。

・司馬懿さんって一刀様の為ならどれぐらいの事やれるんだろ?

・周りから聞かされて頼まれた事なら常識の範囲内だろうけど、一刀様から直々にとなると話は変わってくるな。呂布将軍を倒すぐらいはやるんじゃね?

・二つ上 月様のお仕事を奪える。一刀様の性癖を鬼畜に出来る。

・三つ上 馬超将軍のお漏らし癖を治せる。一刀様の性癖が鬼畜になる。

・四つ上 詠様と月様を決別させられる。

・五つ上 公孫賛殿の存在感を示せる。

・割と不可能が無い事が解った。 一刀様絡みなら不可能は無いと言われても納得出来るんだけど、俺おかしいのかな。

・上 安心しろ。司馬懿さんの事知ってりゃ誰しもがそう思うよ。

 

「仲達姉様、入りますよ」

 

どれだけ見入ってたのかは定かではないけれど、ドアをノックして入ってくる叔達さんに飛び上がるほど驚いた。

 

「一刀様?! こんな所にいらっしゃったのですか? 現在捜索隊が結成され、一刀様を探していたのですが……」

「ご、ごめんね! ちょっとどうしても、静かな場所で考え事したかったから仲達さんに無理言って家に上げて貰ったんだ!」

「当家の物は全て一刀様のお持ちの物であると心得て居りますので、それは構わないのですが……」

「ふ、風は怒ってたかな?!」

「程昱様ですか?私は曹操様から「やっべぇ……」

 

ヤバい、あんまり帰って来ないから風が俺を殺しに来てる。

そして気付く。 俺が此処に居ること、バレてるんじゃね?

 

「……ねぇ叔達さん。もしかして、誰かと一緒に帰ってきた?」

「え、えぇ。 階下で曹操様、劉備様、孫権様がお待ちでございますが」

 

あかん。ならせめて華琳の分も読んでおくべきだった。

 

「……仕事、増やしてごめんね?」

「とんでもございません」

 

多分此処で逃げると仲達さん達に被害が及ぶだろうし。

例え叔達さんの恋心が覚めようとも、土下座で乗り切ろう。

ちらりと窓の外を見ると、随分時間は経っていた様で夕日が山に沈みながら地を焼いている。

 

「……綺麗だわ、空」

「はい。お美しゅうございます、一刀様」

 

下に降りて、三人にものっそ怒られました。

その後城に帰って、皆にめちゃめちゃ怒られました。生きてるって素晴らしい。

おまけ。ヤれって本家様からネタ振りされた気がしたので店員ちゃんをフルボッコにしてみた。又の名を逆転白蓮。

 

 

後ろ手に縛られ、猿轡を噛まされ、目隠しをされて床に転がされている居酒屋・三国一の看板娘(自称)の逢紀ちゃん。

そんな彼女を冷たく見下ろす裁判官役の桐花を始めとする過激派改め一刀至上主義者の面々。

 

「静粛に。 んんっ……それではこれより断罪を始めます。原告の月様、どうぞ」

 

桐花が木のカンカンするやつを音高らかに打ち鳴らし、咳払いをして月に発言を促す。決して一刀に強請って強請ってそういうプレイ中な訳ではないので勘違いしないように。

名を呼ばれた月は席から立ち上がると、何時ものメイド服とは違う、市政者の時に纏っていた服を揺らして歩く。

 

「では罪状を読み上げます。被告は異議があれば勝手に呻いていて下さい。

『うちのお店来られる時って女の人の雑用ばっかですよね』

『お兄さんは暇そうですよね、まともな勤め人だったらそんな暇無いですよ』

『どうなっているのかと、都の風紀は!ちょっとお兄さん役所の人なら皇帝様にでも言ってくれません!?』

『お兄さんが下っ端過ぎるからいけないんですよ、もう少し偉くなればわかりますよ!』

『悪いのはそのコマシた奴で!なんか体でいう事聞かされちゃってるって感じなんですよねー』

『店外だし。店外デートだし』『店外だし!店外デートだし!!』『店外だし!!!店外デートだし!!!!』

『お兄さんってひょっとしてどM?きゃはははは!』

『あんまイケメンって好みじゃないんですよねぇ、どっちかっていうと顔はお兄さんくらいで』

『もうちょっと頑張る感じ見せないと幾ら女子寮の管理人で出会いがあってもいい人止まりになっちゃいますよ?』

『お兄さんは私が養ってあげますよ』

『そんなお兄さんが越えてきた修羅場なんか修羅場の数に入りませんよ!』

『嫁にする?嫁にする?むしろお兄さんがなっちゃう?』

……以上です。猶彼女の発言の信憑性につきましては、屋台のご主人と、当時周囲にいらっしった人々に太史慈さんが昔馴染みの方を連れて入念な聞き込み(物理)を行って得た結果から、かなり信用出来るかと思います」

 

何度か罪状を纏めた木簡がミシミシと悲鳴を上げていたのだが、何とか読み終わるまでは無事だった。

『お兄さんってひょっとしてどM?』の辺りで桐花が歯軋りしながら床に転がされた逢紀を睨んでいたが、傍聴席に座る一刀至上主義者の皆さんも軒並み似た様な物だった。

 

「弁護人、反論があれば発言なさい」

 

ふーっ、ふーっ、と粗い息を間違いなく怒りで上げながら、桐花は形式上付けたに過ぎない弁護役の白蓮に話を向ける。

 

「……発言に関しちゃ間違っちゃいないんだろうけど、どう考えてもこれはやり過ぎだと思うんだ。

彼女は一刀の事を知らなかった訳だし、厳重注意程度で済ませてやらないか?もう二度と一刀に向かって舐めた態度なんて取れないだろうしさ……?」

「原告側、反論は」

「処刑です」

 

ノータイムで斗詩が吐き捨てた。周囲に居る者も異議無し!と打ち合わせでもしたかの如く声を合わせて同調する。

哀れ「んーーっ!んーーーーっ!!」と唸る逢紀は何を思うのか。というか何故自分がこんな眼にあっているのか理解しているのかも怪しい。

何せ生協に向かう途中でいきなり引っ捕えられたのだ。捕まえに来たのが斗詩だったのが、彼女にとっては多大な不幸だった。

 

「原告側の意見は徹頭徹尾纏まっています。処刑です首チョンパです。一刀さんにこんな事を言う人間に浴びせる日差しはありません」

「原告連の意見を認める。被告人は死刑。処刑人は生まれてきた事を後悔させる事を心掛ける様に」

 

処刑人役だろうか、思春が刀を振って肩慣らししている訳だが、風切り音がヤバい。ぶぉん!じゃなくて聞いてると不安になるようなふぉぉぉおおん!って鳴ってる。

 

「おいぃぃぃ!!原告の主張強すぎるだろうが!!っていうか一刀の顔は知られてないんだから、この娘が顔知らなくっても仕方ないだろ!?

飲み屋に良く来る兄ちゃんぐらいにしか思ってなかったんだから、多めに見てやろうよ!!」

 

白蓮は人としてとても正しい事を言っているのだが、如何せんそれを聞かせる相手が悪かった。

 

「白蓮、仏の顔も三度までという名台詞を知らんのか?」

「よーし愛紗ちゃん指を折って数えて見ようか!一度だから!まだ一度目の失敗だからね彼女!!」

「一刀様への不敬であれば、私が目撃した件が一つ、凪が関わった件で一つ。よって今回で三度目です、白蓮様」

「いやぁ!!仲達さんが本気で殺しに来てるぅ!!」

「と、いう事は彼女は日常的に一刀様に向かって一刀様が御気分を害する様な発言をしている可能性が非常に高いわね。

処刑人、裁判長の命令です。まず喉から潰せ」

「裁判長は判決に絡んじゃ駄目なんだって!!」

「裁判長、待って下さい。命は一つしかない、大切な物です!!「月ぇ、信じて」指なら二十本あります!!「たら裏切られたーー!!」

 

駄目だ、味方が何処にもいない。道理で自分が弁護役だなんて大層な役目を任された訳だ。

詳細を知っているから驚きはしなかったものの、原告の名前が血判入りで入った今回の件の裁判申告状を持って相談に行った時桃香達首脳陣が顔を引き釣らせて背けた訳が漸く解った。

白蓮が話を聞かされてから、背後には常に明命が付いて回って決して一刀へチクらせない様にしていた。

唯一場を収められる一刀は劉璋(精神的足枷)と恋(物理的足枷)に四六時中捕まって、何処からも文句は出ないのだろうかと首を傾げながらも政務をこなしている。

 

「なぁ、皆落ち着けって。 自分が原因でこの娘が酷い目にあったって知れたら、一刀絶対怒るぞ?」

「大丈夫だ白蓮。既に陳琳が彼女の字癖を習得している。あと「我々の業界ではご褒美です本当にありがとうございました!!」」

「駄目だ、包囲網が完璧過ぎる。 い、いや待て!異議有り!陳琳さんの文才は、こう言っちゃアレだけど、この娘とは比べ物にならないぐらい高い筈だ!

いくら字面を真似たって、絶対にソコからボロが出る筈だ!」

「猶検閲は田豊と沮授を予定している。コヤツの親友(当時)だったとの事だ」

「畜生! そ、そうだ!私はどうするんだ!?事の次第を全部知っていてる私が黙っていると思ったら」

 

大間違いだ。と白蓮は言おうとした。したのだ。

 

「………黙っていると思ったら、何ですか?」

 

言えない。その先を言ったら、きっと自分が自分で無くなってしまう。

何時も通りの朗らかな笑顔の筈なのに、まるで彼女の身体から出た金色に輝く筋骨隆々な男性の手で喉を掴まれているかの様に空気が吸いづらいプレッシャーを感じる。

一歩、一歩。ゆっくりと近付いて来る彼女から遠ざかりたいのに、脚が竦んで動かない。

 

「何ですか? 白蓮さん?」

 

とうとう眼前まで迫って来られて、プレッシャーに屈した白蓮は何でもない。と言ってしまった。

月が満足そうに顔を背けた瞬間、腰が抜けてその場に崩れ落ちてしまう。

 

「ですが皆さん。 白蓮さんの仰る事にも一理あるとは思いませんか?ご主人様はお優しいですから。

ご主人様の事を思えば極刑には出来ず、しかし罰は与えなければならない。そうでなければ我々が居る意味がありません。

そこで提案なのですが―――『そんなお兄さんが越えてきた修羅場なんか修羅場の数に入りませんよ!』

この一文を、ご主人様とは違い、本物の修羅場を乗り越えて来られた逢紀さんに証明して頂こうかと思います」

「生温いんじゃないですか、月さん」

「先ずは手始めに、彼女に食事中の恋さんから料理を取り上げて頂こうかと思います。次は春蘭さんと秋蘭さんの目の前で華琳さんの胸に関する感想を述べて頂きます。

その次は思春さんの前で蓮華さんをからかっていただきます」

 

あー、と白蓮と逢紀以外の面々が納得した声を上げる。

月の提案は、祭、桔梗、紫苑の酒量を控えさせる。激昂した霞を叱る。七乃の耳に入る様に美羽を酷評する。星と愛紗のガチ喧嘩を諌める。麗羽のご主人様になる。と続いた。

 

「如何です? どれもご主人様は乗り越えられた修羅場ですから、当然出来ますよね?」

「あー……弁護人。何か意見は?」

「どう頑張っても無理だと思う。全てが一刀だから許されてる事だろ、特に七乃のヤツとか」

「じゃあ死刑で「死に物狂いって良い言葉だよな!私達に勇気と絶望を与えてくれる!!」それじゃ、そういう事でお開きにしましょっか」

 

やー終わった終わった。有意義な時間だった。等と部屋から出て行く原告連を月はニコニコ笑顔で見送った。

未だに腰が抜けて立てない白蓮の手を掴んで、可愛らしく「うんしょ!こらしょ!」と掛け声を上げ、顔を真っ赤にしながらも何とか立ち上がらせる。

そうした後、未だに縛られて動けない逢紀に近付いて、彼女に何度か声を掛けて注意を引き、言った。

 

「逢紀さん? こうなったのは自業自得――と言っても、身に覚えが無いんじゃ理不尽ですよね?ですからもう一つの理由をお答えします。

―――テメーは私を怒らせた。たった一つの単純な理由ですよ」

あとがき

 

私にはこれが限界でした。期待を裏切っていたら申し訳ないです。

大変見辛いとは思いますが、古参メンバーの発言を表にしてみましたので、暇な時にでも確認してあげてください。

 

思春を語っている古参メンバー。

上から三番目・明命。その下・蓮華。下から三番目・愛紗。下から二番目・七乃。一番下・シャオ

 

斗詩を語っている古参メンバー。

上から五番目と七番目・猪々子。下から三番目と一番下・亜莎。下から二番目・白蓮。

 

星を語っている古参メンバー。

上から二番目・朱里本人。上から三番目・華琳。下から三番目と四番目・古参ではないけれど鄧艾ちゃん。

 

月様を語っている古参メンバー。

上から九番目と十一番目・我らが翠ちゃん。上から十五番目と二十二番目・詠ちゃん。上から十八番目・桃香。下から九番目・冥琳。

 

桃香を語っている古参メンバー。

上から三番目・焔耶。焔耶の直ぐ下・思春。上から六番目と七番目・穏。下から六番目・月様。

 

穏を語っている古参メンバー。

一番上と下から四番目・秋蘭。上から二番目・祭。上から五番目と七番目・愛紗。上から八番目・風。

上から十三番目と十五番目と十七番目・天和。下から七番目・華雄。下から五番目と三番目と一番下・シャオ。

 

秋蘭を語っている古参メンバー。

上から四番目・鈴々。上から九番目・沙和。その下・穏。穏の下・雛里。下から六番目・音々音。下から二番目と四番目・桂花。一番下・凪。

 

凪を語っている古参メンバー。

下から六番目・詠。下から二番目と四番目・真桜。下から三番目・古参じゃないけど陳琳さん。

 

愛紗を語っている古参メンバー。

上から順に焔耶・思春・翠・猪々子・桃香・月・恋・朱里・桔梗・紫苑・詠・蒲公英・雛里・星・麗羽・斗詩・鈴々。 

 

ちゅーたつさんを語っている古参メンバー。

上から二番目・稟。上から三番目・桃香。上から六番目・華琳。上から八番目・月。上から九番目・詠。上から十二番目・亜莎。下から十番目・蓮華。

下から九番目・冥琳。下から七番目・秋蘭。下から六番目・愛紗。下から五番目・思春。下から四番目・桂花。下から三番目・穏。下から二番目・雪蓮

 

 

某巨大掲示板をイメージしてますので、それぞれの口調と違っていたり、付けなくても良い敬称(シャオが蓮華の事を孫権様と書いている等)は仕様となっております。

ちなみにオチは当然一刀様だろ。と思ったのですが変態の巣窟(そこだけで容量15kb)になったのでラブコメもエロネタも苦手で、シリアスで健全な文章しか書けない私は当然オクライリーにしました。

 

 

お礼返信。

 

 

よしお。様    有難いお言葉です。

 

ちゃあ様     ヤンデレとか怖くて書けないので本家様に丸投げしときますね ノミ◇

 

naku様      仲達さんと張任さんで蜀を滅ぼせますなw

 

ハル様      何時か書いた最強トーナメントが洒落で済まされなくなってまいりました。

 

ミドリガメ様   素直クールみたいなの大好きです。

 

いじり様     亜莎「大丈夫じゃねぇよ!! なまら怖かったよ!!」

 

hujisai御大    こんなモンで如何でやんしょ。いや、コレジャナイ感は半端ないですけどね……

 

ちきゅさん様    キャラ的にはきらりとナターリアが好きですが、見た目だとクールの大人勢ですかね。

 

孔明様       あなた疲れてるのよ……

 

呂兵衛様      一刀さん必死に綱渡りw

 

観珪様       ほら、月ちゃんは優しいから……

 

月光鳥~ティマイ~様  張任のキャラは良い具合に出来たんじゃないかなぁと自画自賛したいです。

 

zero様       その内一部で流行しそうで怖い。

 

SRX-001様      一刀さんが茶目っ気出さない事だけを祈りますw

 

帽子屋様      何時までもアホですいません。雛里はほら、仲達さんの怖さ知らないからよ……

 

MiTi様       一刀さんの自制心まじパネェっす。

 

朱月 ケイワ様   一杯出したけど今回はどんなタグが付くのかなぁ(ニヤニヤ

 

七夜様       冥琳はランジェリーベビードル+フリル付きのOバックです。色はベビードールがピンク、Oバックは白で!

 

kaz様       誰にだって言われたくない一言はありますよね。

 

happy envrem様   特許申請してくる!

 

HIRO様       愛紗「この前ご主人様が怒っている所を見てな」思春「ぐぬぬ」

 

D8様        本家様の迷惑にならない範囲で暴走させたいです<愛紗と思春

 

叡渡様       月ちゃんは優しいから大丈夫だよー(棒

 

牛乳魔人様     これが俺のスタンドだっ!

 

悠なるかな様    敏感になるお薬を■■■に塗って筆で……言わせんな恥ずかしい。

 

shirou様      踏み絵が始まって仲達さんブチギレで阿鼻叫喚の地獄絵図までは想像したb

 

Alice.Magic様    そうえば霞出してないなぁと思ったのでついついw

 

SHIN様     桐花「せやろ」

 

 
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