No.624210

司馬日記 支援の十四

くらげさん

コラボ返し返しぃ!

2013-10-01 13:19:09 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:14041   閲覧ユーザー数:8383

司馬日記人物録を見直して、この子達の欄が未設定だった事にニヤリとした私は一週回って正常だと思うんだ。

という訳で今回は純粋三人娘のトリを飾る張任さんとその主君の劉璋さん。

脳内イメージは張任さんがQBリベ○オンのブラ○ウェン。劉璋さんはシンデレラ○ールズの鷺○文香ちゃん。クール大好きですが何か。

終わったーと腕を上げて伸びる一刀を優しげな眼で見守る蜀太守の劉璋。

彼女自身は別段地位や名誉に固辞してはいなかったのだが、三国の一角を担う桃香と同じ劉姓とあっては、下手な役職に付ける訳にもいかない。

幸い?な事に一刀さんにこまされるのを彼女自身も嫌がってはおらず、一刀としても全力全壊バッチコイなお誘いも嫌ではないのだが、いつまでたっても初々しい彼女に癒されている事は間違いない。

なので彼女が補佐についてくれるのは密かな楽しみになっているのだが、癒されるという事は疲れた結果とも言える訳で。

 

「はぁー……何処でもそうだけど、とりわけ蜀の問題は大変だ」

「旦那様、お茶を淹れましたのでどうぞ」

 

パッと見は儚げで、失礼ながら薄幸の美女にしか見えない劉璋だったが、その分物腰はとても柔らかに映る。

華琳、蓮華、桃香の誰とも違う、所謂『護ってあげたくなる系女子』の劉璋。

そんな彼女に甲斐甲斐しく世話され、あまつさえお茶を淹れた湯呑を手渡しで渡された後、繋いだ手を離すのを名残惜しそうにされる一刀さんはあの二匹の餌になってしまえバインダー。

 

「うん、美味しい」

「良かったです」

「失礼します、旦那様」

 

美味しい。と笑顔で言う一刀に、嬉しそうに恥ずかしそうに答える劉璋。なんだこの甘酸っぱいの。

そんな嬉し恥ずかし桃色空間をぶち壊すのはノックの音と、少しハスキーな固い女性の声。

 

「旦那様、孔明と士元から伝言を言付かりました」

「ほいほい。 まぁそこに掛けなよ張任」

「は、はい……いえ、しかし、今は職務中ですので」

「張任、旦那様が自ら勧められたのですよ?」

「申し訳ありません。では旦那様、失礼致します」

 

儚げで優しそうな劉璋が怖い御姉様風の張任に上から目線で言葉をぶつけるのを初めて見た時はかなり驚いた。

今となってはもう慣れたし、七乃と美羽の関係が一般的な主人と従者の関係だとも思っていないので、こういうのが普通なのだろうと一刀は割り切る事にした。

しかし、そうなると優しい(と言っては聞こえが良すぎるが)自分の対応というのは、張任にとっては有難迷惑なのではないのだろうか。と小市民な一刀は毎回思ってしまうのである。

なので、今日は思い切って聞いてみる事にした。

 

「あー……ごめんね張任。 天の国じゃレディファースト、じゃなくて、女の人に優しくするのは男の義務だって砂漠の城に住んでる双子の王子様が広めたもんでさ。

こういう気遣いが迷惑だっていうならなるべく気をつけるから」

「いえそんな滅相もございません! 旦那様にお気遣い頂けるのを迷惑だ等と誰が申しましょうか!」

「それなら良いんだけど……ほら、嫌だと思ってても立場的にそういうのが言えないって事もあるしさ。俺なら気にしないから、嫌だって思う事があるなら何でも言ってね?」

「ねぇ張任。もう素直に喋ってしまったらどう?」

 

結構必死に真剣に話していた一刀だったが、張任にもお茶を注ぎながら劉璋は可笑しそうに笑いながらそう言われて何だか気が抜けてしまう。

言われた張任は何時もなら凛と引き締まっている眉を下げ、口元をもご付かせながら赤くなって俯いてしまう。

その癖劉璋と一刀を上目遣いでチラチラと見てきたりするのだから、見られた一刀がもう押し倒して良いんじゃないだろうか。と思うのはある意味当然だと思う。でも爆発しちゃえバインダー。

 

「言い辛いのであれば、私の方からお伝えするけれど」

「いえ、お嬢様の手を煩わせるなど……」

「であれば、旦那様の気を悩ませない様になさい」

「……その、旦那様。 何時も私の事をお気遣い頂き、感謝しております」

「あぁ、うん。嫌じゃないなら全然良いんだけど」

「あのですね。 此方が一度お断りするのは、なんと申しますかですね、その、一度断ったという理由を作らないとですね、際限なく甘えてしまうと言いますか、理性が無くなってしまうのではないかと」

「予想以上に強烈だった」

「決して誤解して頂きたく無いのは私が旦那様をお慕いしていると言う事でして、その思いに一点の曇りも無いと言いますか、忠臣は二君に仕えず。を真名と生涯に誓っている次第でございまして。

一家臣としては劉璋様にお仕えしていまして、女としては旦那様が最初で最後の男性と決めている次第でして。

あの、つまりですね、その……旦那様の愛情は、大変、嬉しく思っております」

 

恥ずかしくて言い淀んでしまう娘は結構いるけど、恥ずかしさを懸命に押し殺して真っ赤になりながらも心情を吐露してくれる人は一刀の周囲では珍しいタイプだった。

しかもそれが華雄や張任といった凛々しい御姉様ばかりなのだから一刀さんはあの二匹に喰われるべき。

 

「ありがとう。張任にそう言って貰えてとっても嬉しい」

「きょ、恐縮です」

「劉璋も掛けなよ。三人でお茶しよう」

「畏まりました」

「……はっ!? いけない、忘れてしまう所でした。 孔明と士元から言伝を預かっているのです」

「あー、忘れてた。 何かあったの?」

「はい、旦那様が行われている執務の案件に水鏡塾に関する物があるはずなのですが、恐らく呉から何らかの要求がくる筈なので、来た時点では明確な返事は避けて戴きたい。との事です」

「ふーん。 了解」

「ふぅ……やはり旦那様に甘えてしまうと職務に差支えが出てしまう……これではいけない、しかし旦那様にお情けを頂けるのは光栄の極み……私は一体どうすれば……」

「いやそんな真剣にならなくてもさ……いや、張任みたいに有能な人が真面目に仕事してくれてるのはとっても有難いんだけどね」

「旦那様、その様な物言いをされますと要らぬ誤解を与えてしまいませんか?」

「昔の話だけど、朱里と雛里は星と恋に大分悩まされてたからさ。

他の国だと、魏なら春蘭とか、沙和と真桜には俺も手を焼かされたし。呉なんて総大将の雪蓮が自由人だったから冥琳滅茶苦茶苦労してたし。

まぁそれと比較しちゃうとアレだけど、愛紗とか凪とか明命みたいに素直に言う事聞いてくれて真面目にやってくれる子ってすんごい大事なのよ」

 

しみじみーと語る一刀に、お労しい。と少し涙ぐみながら相槌を打つ二人。

せめて自分達だけであろうとも一刀に気苦労を掛けまい。と固く誓う劉璋。

同じ様な事を張任も思っていたのだが、現在進行形で一刀の手を煩わせている事を思い出して顔をサーッと青く染める。

 

「ん? どうかしたの張任」

「い、いえ!」

「旦那様、折角ご一緒出来る時間なのですから、もう少しお話を聞かせて戴きたいのですけれど」

「うん良いよ。二人が良く知ってる人達ならやっぱ蜀の面子の話になるかなー」

「こう言っては失礼ですけれど、桃香さんの家臣は『寄り合い』だと聞いた事がありまして。

差支えなければ、何処かの誰かの様に仲違いしていたのを正されたお話などお聞かせ頂けると」

 

劉璋の毒の入った言葉に思い当たる節があった一刀は張任を見、次に劉璋をチラッと見て彼女が厳しい顔で頷いたのを見てため息を吐く。

どうも、彼女は彼女で張任と海、空の仲違いを怒っているらしい。

 

「えーっと……桔梗と紫苑って昔からの友達だったらしいんだけど、阿吽の呼吸に見えて結構喧嘩多かったよ」

「それはやはり、旦那様の事に関してですか?」

「まぁそれもあったけど、酒を飲むな飲みたいの喧嘩してるのも結構あったし。

蒲公英と焔耶がしょっちゅうやりあってたんだけど、紫苑は止める側、桔梗は煽る側で別れてそれで二人までやりあったりもしてたかな。

生真面目だった愛紗をからかう星、っていう関係もあったし、鈴々が翠と勝負してて、興が乗りすぎて皆に雷落とされてたし。

麗羽達は負けてから蜀に来たんだけど、当時は完全な我儘お嬢様だったから桃香を下に見てて、それで愛紗がプチン。で、斗詩がすんごい謝るってのもあったよ。

月は昔っから俺の世話とか雑用とかしてくれてたんだけど、それに詠が怒って、でも立場的な問題があるから腑に落ちなくても謝ってきて、自由にやってる恋に怒ってねねがその喧嘩を買うってのもあった。

まぁ多かれ少なかれこんなのは何処の国でもあったし、張任がそこまで凹む事もないよ。どうしても合わない人ってのは居るって聞くしさ?」

 

延々と喋った挙句最後にフォローとか流石女誑しの一刀さんやでぇ……

 

「まぁ当時は戦争やってたからそれどころじゃないってのもあったと思うよ。

喧嘩するのは仲良い証拠って言葉もあるんだし、劉璋もながーい眼で見てあげなよ」

「旦那様がそう仰るのでしたら……」

「でもね、張任。君が口に出して言う程なんだから俺達には解らない感情が動いてるんだとは思うけどさ。

海も空も仲間なんだから、やる事なす事全部否定しちゃうのは駄目。いいね?」

「ご忠告、有り難く」

 

いやー似合わない事言ったーと照れて笑いながらお茶を飲む一刀だったが、お茶を机に置いた時にその手をギュッと握られる。

 

「旦那様……はしたない事だと解っているのですが……もう、何と言いますか、閨で香を吸った様に身体が火照ってしまい……」

「うん、ちょっと落ち着こうか張任。 そして劉璋はなんで鍵閉めたの?」

 

一刀が問い掛け、背を向けていた劉璋は振り向いたのだが彼女の唇は艶やかな吐息を出す事に集中していて満足な返事は得られなかった。

けれど、もどかしそうに上着を脱ぐ彼女を見れば何故部屋と外界を遮断したのかは簡単に分かる。

 

「あれ、俺地雷踏んでたの?」

「旦那様……少しの間、御名前を呼ぶ無礼をお許し下さい……」

「いやそんなのは別に良いんだけどね?! お願い待って二人共!!」

「旦那様、私の愛しい旦那様、劉璋がお慰め致します」

「あれどうしたんだろうちっとも嬉しくない!ふしぎ!」

 

 

散々抵抗したって、事が始まってしまえば無敵なのが種馬様である。

襲い掛かってきた劉璋と張任を散々に鳴かせていてこました結果、次の仕事に大幅に遅れて現在は正座で冥琳に説教されている。鍵なんて飾りですby明命。

自制の利かない自分に対する情けなさと、先ほどの行為で口走った内容を思い出して穴があったら入りたい心境で廊下を歩いていた張任だったが、その途中であまり出会いたくない人物に出会ってしまった。

 

「昼間っからお盛んな事で。羨ましいかぎりでござんす」

「……何か用事か法正。それとも、嘲りに来たか」

「両方だ。 朱里様が先程慌てて呉の執務室へ向かわれたぞ。満足に連絡も出来んのなら、荷物を纏めて蜀へ帰れ」

「時期が来れば戻る。何しろ私とお嬢様は貴様達と違って国を売る様な真似はしておらんのでな」

「カッカッ。 蜀なんぞ手に入れた覚えは終ぞございやせんが、一体何時わっち等にくれたんで?」

 

法正の挑発に張任は口を開きかけ、ギリギリの所で言葉を発しはしなかった。

いかん、何時もこの調子で言葉を乗せていくから喧嘩になるのだ。

今回は客観的に見て非は自分にある。朱里達に報告を終えた事を伝えなかったばかりか、一刀の優しげな眼と真剣な声色に発情して浅ましく求めてしまったばかりか応えてもらったのだ。

法正と張松。何もかも気に食わない二人だが、唯一認める点があるとすれば、一刀と安寧を天秤に掛け、一刀に重きを置いた。それだけは、認めざるを得ない。

その二人が思い人に愛された自分を見れば、やっかみを言うのも当然だ。

何とかそこまで自分に言い聞かせて、ようやく張任は口を開く。

 

「………報告の件に関しては申し訳ない。後ほど孔明と士元にも謝罪する」

「やけに素直ですが、勝者の余裕というヤツですか。 それならば逆効果ですが」

「ああ言えばこう言う奴だ。 気にいらん相手に謝罪させたのだ。それで良しとすればいいだろう」

「あまり、一刀様にご迷惑を掛けない様に願う」

「心得ておる」

「いないからこういう結果になっているのだ。貴様と貴様の主君が、時間も都合も弁えずに一刀様に甘えた結果であろう」

 

主君である劉璋まで持ち出されて、流石に頭に血が登りかけた張任だったが、その劉璋の愛の鞭と一刀の訓戒を思い出し、歯を食いしばって激情を堪える。

せめて劉璋への暴言だけは撤回させたかったのだが、それを求めても思う様にはいかない事はこれまでで良く解っている。

 

「……以上で、終いか」

「あん?」

「終いかと聞いている!」

「……ええ」

 

叶う事なら殺してやりたい。と言った視線をぶつけながら、先程よりも大股でその場を後にする張任。

法正と張松は互いに顔を見合わせ、何時もとは少し違っていた張任に首を傾げた。

 

 

「朱里ちゃん間に合ったかなぁ……帰ってくるまでどうしょうかな……あ、そうだ。かずかだ本を見つからない所に仕舞わなくちゃ……」

「失礼する!」

「あわわっ!?」

「士元か、報告が遅れてすまない。 旦那様にはきちんと報告を終えた」

「そ、そうでしか……ご、ご苦労様でした」

「うん? 何を隠している。 見せろ」

「あわわ!! これだけは、これだけはご容赦を!!」

「取り上げるとは言っていない。 検閲という奴だ。最近は旦那様を不届きな妄想に使う輩が居ると聞いているからな」

「だから数が少ないんです!希少なんです品薄なんですぅ!!」

「…………貴様、恥を知れ!!」

「あわわー!?」

 

気が立っているあまり、雛里の隠し事をつい暴いてしまった張任さんでした。雛里乙。

 

 

「報告聞いたんだけどさ。 海に空」

「「はい」」

「張任と肩組んで飲み屋ハシゴする仲になれとまでは言ってないよね、俺」

「「はい…」

「張任引き抜く為に方々苦労したのも知ってるよね。 張任が拘ってたのが劉璋だってのも、当然知ってるよね?」

「「はい……」」

「あの旦那様、私は気にしておりませんから……桃香さんからも、どうか口添えを」

「愛紗ちゃん、久々にご主人様が怖いよぉ……」「この眼付きで責めていただきたい……」

「だめだ、アレ以来愛紗ちゃんの発散出来ない欲望が……」

「海、空、何か言う事あるよな?」

「「劉璋様申し訳ございませんでした」」

「あの、本当に気にしてませんから……」

「で、次はどうすんの?」

「「張任殿に謝罪してきます」」

「何時いくの?明日?」

「「明日って今さ!行ってまいります!」」

 

流石にカンカンに怒った一刀にたっぷり叱られた二人でした。悪い事は出来ない。

余談だが、床に崩れ落ちてシクシク泣く雛里と、彼女を糾弾する張任を見てあわや大惨事になりかけたのだが、それはまた別の話。

おまけ。太史慈さん奮闘記・舎弟と亜莎と、せまりくる張遼編。

 

「亜莎!!亜莎!!」

「は、はい!?どうしたんですか太史慈さん?」

「こいつら匿ってくれ!!」

 

右手で張英、左手で于糜の襟をむんずと掴み、亜莎の返事も聞かずに部屋にぶん投げる淑女の太史慈さん。淑女は片手で大人を持ち上げないという異論は受け付けない。

ぽかーん。と口を開けてその光景を見守るしか無かった亜莎だったが、廊下のはるか彼方からうっすら聞こえる『何処に逃げくさったんじゃゴルァァァァ!!!』という鬼の声を聞いて本能で部屋に鍵を掛ける。

 

「な、何があったんですか。霞さんが尋常じゃないぐらい怒ってますけど」

「は、話せば長くなんだけどよ」

「太史慈さん言葉遣い」

「話せば長くなるんですけど、実はこの二人、私の消し去りたい過去のい恥部でして……」

 

頭を抱えて「ゴメンナサイモウシマセン」と一心不乱に呟く于糜と「一刀様ステキデス一刀様サイコーデスモウユルシテクダサイ」と死んだ眼で異常に滑舌よく喋り続ける張英。

両者共非常に体格が良く、平時であれば美人と読んで差し支えない風体だろう。今は顔色、精神状態共に死人そのものだったが。

 

「少し前、一刀様の警邏を楽進さんから引き継いだのですけれど、街で偶然コイツらと出会ってしまって……あろうことか、眼を離した隙に一刀様に無礼を働いて」

「なっ?! そ、それで一刀様は?」

「直ぐに気が付いて、たまたまいらした司馬懿さんと取り押さえたのですけれど、司馬懿さんのお怒りが尋常ではなく、その場で手打ちにしてしまう所を一刀様が何とか留めて下さったのです」

「……いたのが仲達さんでまだ良かったですね。斗詩さんなら間違いなく身体の何処かを潰してましたよ」

「ですが、警備中の出来事ですし一刀様が襲われたとなれば議題に上げない訳にもいかず……大分暈して報告申し上げた所、幾人かの方が司馬懿さんに確認に向かわれたそうで……」

「いたのが仲達さんだったのが不幸でしたね……」

 

非常に不服そうに一刀の対応を語ったに違いない。何故その場でヤッちゃわないのかという憤りを含めて。

 

「その幾人かの中に、警備責任者の楽進さんは勿論……荀攸様と張遼様もいらしたそうで……」

「(ノ∀`)」

「荀攸様に心を潰されたまではコイツらの自業自得なのでいいのですが、張遼様が司馬懿さんと楽進さんにどう言う話を聞かれたのかまでは解らなくて……

現在は『最低でも腕一本や』と仰って偏月刀片手に暴れまわっていて、昔の誼みで庇った私まで同罪だ。と……」

 

その間にも、霞の怒声は近づいてくる。

凪が『霞様落ち着いて下さい!もう罰は済んでいるんです!』と決死の説得に回っているが人が壁にぶち当てられた音がして、凪の声が聞こえなくなった辺りから察するに失敗したのだろう。

 

「何処逃げ回っとんじゃごるぁ!!さっさと腹決めて出てこんかい!!」

「……このまま隠れていても、絶対に見つかります。一度私が注意を逸らしますから、決して部屋から出ないで下さい。出来ればでいいので息と心臓の音も止めてください」

「何か本末転倒な事を言われた気もしますが努力します。 オメェらもいいな」

「「魏国コワイ魏国コワイ一刀様ステキ魏国コワイ」」

 

初めて会う張英と于糜に、一刀様にさえ絡まなければ幸せになれたかも知れないのに。と妙な感情を抱きつつ、深呼吸して亜莎は部屋の外に出る。

 

「おぉ、亜莎やんけ。 ちょぉ聞きたいんやけど―――太史慈ってヤツおる?」

(誰この人)「ど、どうかされましたか?えっと……霞、さん?」

「なんや、聞いてへんのかいな。 お前等んトコの下っ端がウチの大将に喧嘩売ったっちゅー話やん?」

「し、霞さんの、と申されます「今ウチがお前に聞いてんねん。中に太史慈居るな?」

 

駄目だ。説得とかそういう次元にいない。物理的な会話しか出来ない状態だ。

方針を転換し、亜莎は霞の泣き所を突く事にした。

 

「こ、事の次第は本人から伺いましたが、霞さんのコレはやりすぎです!!」

「あぁん?―――ちょおおおぉぉぉっと小突いただけやんけ」

「死屍累々のこの状況を小突いただけで生み出せるんですか……と、ともかくです!これ以上は一刀様も黙ってらっしゃいませんよ!?」

「その一刀をコケにされとんじゃ!!」

「ひっ?!」

 

悲鳴を上げた亜莎を情けないというなかれ。顔の横に偏月刀ぶち込まれたら誰でも上げる。

 

「亜莎、よぉ考えて返事せぇよ。 今のウチやったら多分、一刀以外やったら誰でもコロスで?」

「は、はひ……」

「中に、あいつら、おるな?」

「い、いま……せん!」

「……がっかりや。お前も一刀コケにしくさるんか」

「か、一刀様が仕返しなんて、許す訳ないじゃないですか!! 一刀様の為にも、二人は引き渡せません!!」

 

そこまでだ!!と思春、明命、そして雪蓮が完全武装した兵士を大量に引き連れて、本人達も武装した上で霞を取り囲む。

 

「霞、ちょっとやりすぎよ。 アタシまで出張らせる事態にする事ないでしょ」

「なんや、ウチごっつ忙しいねん、後にせんかい」

「聞く耳持ってないって訳ね……」

「亜莎、お前の度胸に免じて、一刀に話聞くまで命預けといたるわ」

「その前に、こちらで拘束させていただきます!」「流石に面子が立たんのでな。名は傷付くが、悪く思うな」

 

明命と思春の言葉に、霞はニヤリと嗤う。

 

「ほぉ―――そりゃ、ウチに言うとんか?」

 

かくして大暴れで絶対絶命の包囲網を単騎でぶち破った霞は一刀にものっそ怒られて反省し、謝りに行った時呉の人間から【遼来来!!】と逃げられる事になった。

太史慈、張英、于糜の三人の命を身体を張って救った亜莎は霞に多大なトラウマを植え付けられ、しかしその見返りに一刀に慰められる日々が続いたのでそれはそれで幸せだったろう。

 

そして、件の三人は。

 

「お前ら、地元帰らねぇの?」

「何かもう不良やる自信無くなりました一刀様ステキ」

「あんなおっそろしいの、いるんですね一刀様ダイテ」

「だから言っただろ、都は厳しいって。 それと、その語尾に付いたの何なんだよ」

「え、なんか変っすか一刀様サイコー」

「あれが鬼の張遼……しかも、まだ強いのが居るんですよね一刀様クンカクンカー」

(一体荀攸様は何をされたんだ……呉の人間でよかった……)

 

ちょっと本気で躾てみました(ゝω・)by桐花

あとがき。

一回だけで終わらせるのもなんだかなぁと思ったので二回目の太史慈さん奮闘記。

張英は夜○さん、于糜はナナと○オルの○涼子なイメージ。一刀さんホント爆発しろ。

あと朱里キラー仲達さんはやったので、張任さんの雛里キラーをネタにしたかった。反省はしていない。

 

お礼返信

 

 

よしお。様    その言葉が聞きたかった(切実

 

R田中一郎様   蜀がパンチ効きすぎてるんだと思いますけどねw

 

月光鳥~ティマイ~様   皆、ナカヨシデショー

 

ちきゅさん様   駄犬が誰の事が分かりませんが、思春と愛紗が獲物持ってランニングに行きましたよ。

 

メガネオオカミ様 水面下のドロッドロした闘争を読んでみたいなぁとか思う自分は紳士。

 

叡渡様      太史慈さんマジ天使。白蓮ちゃんは要望なければ書く気はなかったw

 

HIRO様      まだだ、まだ呉には最後の砦、亜莎ちゃんがいる!

 

happy envrem様  あんまり呉が変態の国になっているので、今回は唯一の常識人、亜莎に出張って貰いました。

 

ミドリガメ様   白蓮さんの闇討ち事情とか読みたいなぁ。え、自分で書け?いやほら、俺は色々忙しいからよ……

 

帽子屋様     蔡文姫ちゃんは本家様にお任せします。こちらが書くとしたらその後だと思います。結構なキーパーソンだと思いますので。

 

七夜様      太史慈「何ですかそんなえっちぃパンツぐらいで!!冥琳なんてもっとすごいのもがぁ!!」

 

観珪様      真実を告げない優しさ、あると思います。

 

MiTi様      仲達さんマジちゅーたつ!! 夢で司馬の自宅が一刀専用の娼館になるってのを見たんですが、正夢になる日は来るのでしょうか。

 

朱月 ケイワ様  冥琳さんも吹っ切れた!今回はどんなタグが頂けるやらニヤニヤしながら待っております。

 

hujisai御大    コラボ返し返しだっ!<おまけ  現在暗黒帳のネタを探っております。月様の暗部に迫る、という所までは思いつきました。

 

牛乳魔人様    毎回失礼しました。 鞍と鐙に関しては「無かったら遠出の時たいちょーと二人乗りできるやん」「その発想は無かった!」で終了ですよきっと。

 

呂兵衛様     特殊役職:忠犬  必要能力・一刀が悩んでいる時、何となくそれが分かる程度の能力。

 

ちゃあ様     ちゅーたつ発狂モード解禁!!

 

morikyou様    白蓮コールがあったもんでついつい

 

kaz様      リアルでお茶吹いたんだぞこっちはw

 

悠なるかな様   流石、雪蓮と冥琳は格が違った!!

 

D8様       太史慈ちゃん大正義!今回も頑張りました!

 

shirou様     正史で異常な伝説を残しているのは恋ちゃんだけ! 通じなくて小首傾げて職員全員で(*´д`)ハァァンですよw

 

SRX-001様    仲達さんマジちゅーたつ。呉の人は……いや、うん、最近暑かったから……


 
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