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真・恋姫†無双 ~孫呉千年の大計~ 第2章 拠点ー蓮華編

雪月さん

常連の皆様&お初の方もこんばんは いつもお世話になっております

この作品は真・恋姫†無双・恋姫†無双の2次創作となっております
主人公は北郷一刀 メインヒロインは雪蓮と蓮華と仲間達でお送りしております
※猶、一刀君はチート仕様の為、嫌いな方はご注意を! ※オリキャラ紹介は本文下記参照のこと

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2013-10-16 21:00:02 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:4578   閲覧ユーザー数:3632

第2章 拠点ー蓮華編 『 逃れられぬ因果 』

 

 

 

(※ 先ず始めに、いつもとは趣の違う”暗き重き異質”な部分が多く含まれる”話”となりますので

   嫌う方は今の内に引き返す事をお勧め致します

   それでも蓮華の今後がどうなったのか知りたい、先を読みたいという皆様はお進みくださいませ どうぞ)

 

 

 

 

 

 

 

 

幼少の頃より蓮華、”黒蓮華 ”共に互いの存在を微かに認識しつつも、互いに干渉し合わない様に距離を置いてきたのだ ※第1章 5話参照

互いが目覚めている時の記憶は共有出来ず、どちらかが目覚めている時の記憶は殆ど無かった

 

兄である一刀と出会い、頻繁に接し出す頃には、兄への恋ゆえか蓮華の精神が落ち着きを見せ始め

”黒蓮華 ”が表に出てくるという事はほぼ無くなっていた

たまに兄へと向けてくる女性の行為に対する黒き嫉妬を切欠に、たまに出現するようになっていたが

他者からみれば可愛い嫉妬と、寧ろ微笑ましく思える程度のモノであった

 

だが式典に出席した蓮華はその日・・・状況は一変する 孫呉の王となり、それと同時に敬愛する兄と姉が結婚をした・・・ 

一刀を失った事への喪失感からだろうか、その日を境にして蓮華の心象風景は、荒野に吹き荒ぶ無味乾燥とした景色へと一変したのだった

 

その日を境にして、最初は砂漠で垂らした水をスゥーッと砂地が吸い込み続けるように・・・何の変化ももたらすことは無かった

 

しかし蓮華の心が徐々に蝕まれ、終にはポッカリと黒い大穴が口を大きく開け

核となる中心部分に”黒蓮華 ”という”蟻地獄”が出来上がってしまったのである    

 

すべての事象に関しての興味薄れ、蓮華が日々抱える膨大なストレスは

”黒蓮華 ”が大口を開けて待つ顎門(あぎと)へと毎日大量に吸い込まれ飲み込まれていった・・・

 

崩れ逝こうとしている蓮華が、日々ストレスを大量に抱えようとも、時は無常にも刻み続けた・・・

 

王となった蓮華の補佐には、王林と穏、琥珀が選任された

追い討ちをかけるように、王としての仕事の案件は、日に日に重要な案件ばかりになり、全ての決断に重責が付き纏うようになっていた

 

”暗き闇に囚われた膨大に抱えたストレス”は、”黒蓮華 ”の意識と激しく混ざり溶け合い、強く結びついてしまったのであろう

蟻地獄で待ち構えている自身の顎門(あぎと)をガチンガチンと激しく打ち鳴らし

今や遅しと更なるストレスという名の獲物が掛かるのを待ち構えていたのだった

 

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そうした中、先日とある事件が巻き起こる・・・

 

蓮華から認証された複数の案件を、天皇である一刀か皇后となった雪蓮が承認の印を与える事により執行される

 

天皇制に移行した現在、政事、経済に関する事細かな数字まで決めるのは、蓮華達執行部の役目であるが

蓮華達執行部が一度決定してしまえば、それは決定済案件とさえいえるのである

 

天皇である一刀か皇后である雪蓮の認印が押されて初めて執行される手順を踏むことになるであるが

それはもはや形式上の手続きに過ぎなくも無かった

 

だがその日はいつもと事情が違っていたのである 今一度精査し直しなさいと皇后である雪蓮直々に案件が差し戻されてきたのだった・・・

 

つき返された案件を再度精査し直したものの・・・姉の意図する処が全く見えず、蓮華は首を捻り困惑の度を深めるばかりであった

しかしこの挙げられた数値が、実は”クセモノ”であったのだ

 

最終段階において数値を改変され、金額が水増しされている事実を王林は全てを知っていて蓮華へと奏上していたのだ

 

こうした金銭に対する不正は、王が雪蓮であった時には、冥琳が殆ど数値を把握していた為、未然に防がれていたのだが

経験の浅い蓮華に代わったのを幸いと思い、官僚達はすぐにも仕掛けてきたのであった 油断も隙もないったらありゃしない

 

物資に対する横流しなどの不正は、実は子虎が取り締まっていたのである

 

祭は元々補給などは部下に丸投げする性格なので、部下である副将格の子虎が把握していないと、途端に進軍の際に破綻を来してしまう

そうした昔の曰く付きの理由もあって、物資を誤魔化そうとする輩の情報が、すぐさま子虎を介して一刀の耳へと届き

瑠璃を派遣し証拠を押さえさせ、即刻、取り押さえられるという寸法だったのだ

 

そうした両輪が上手く保たれていたお蔭もあり、不正をする官僚が次々と容赦なく降格・退職に処断され

中々手を出しにくかった背景があったのであるが

官僚機構の不正は、いとも容易く大木を腐らせ、何時の世にあろうとも悩ましき頭痛の種である

 

本来なら全てを気付いていた王林が、指摘又は修正しておけば良い話であった

 

しかし、昔から政事に関して、そうした”甘えた考え”には一切妥協を許さない王林であった

手塩にかけて育てあげた蓮華だからこそ、王林は敢えてより厳しい態度で接し続けているのであろう

 

仮に他の者がこの事で問い詰めようものなら、”お嬢の為にならんさね”と鋭い眼光で睨まれ

キツ~イ一言を言い放ち立ち去られる事であろう

仮に成功しようとも失敗しようとも、自身が苦労し工夫をし続けたモノであるならば、必ず自身の力となって後々自信に返ってくる

そう信じて疑わない王林の持論でもあった

 

対する冥琳はというと、味方に関して非情となり切れない処がある 雪蓮に甘甘なのがその一例ともいえよう

 

王林はどこかで妥協するくらいなら、予め先を見越して弾き出しているからだ

皆に誇れる立派な王にと成長し君臨してもらいたい そうした王林の親心とも取れる一心から、厳しい態度で日々接してきたのだった

 

王林の理想の教育方針は、幼い蓮華に対して帝王学を学ばせる上でも強く反映される事となり

その厳しかった教育方針の影響からか、蓮華はこれまで真名を交換しようとも、王林の事を頑なに”子布”と呼び続け

未だに強く畏敬の念が残っており、一度として”王林”と真名で呼ぼうとしないという背景があった

 

母が緋蓮でありながら雪蓮と小蓮は、似たもの同士という言葉が良く似合う 母の性格が色濃く遺伝した格好の例であるといえよう

しかし一方、孫家姉妹において蓮華だけが異質の性格と言える

蓮華の性格である真面目さ、実直さは緋蓮を見ていては異質とさえ言えなくもなかった

 

だがこれは、父である”呉公”の性格を色濃く遺伝した結果なのであるが

呉公が亡くなられた今となっては、知る者が少ないのも致し方あるまい

 

ただ当初、蓮華の補佐役には”紅”が就任する予定であったのだが・・・

 

当時から真面目、融通さが足りない危うい所があると、当時からそう睨んでいた雪蓮は

人当たりの良い”紅”ではなく、厳しく実直な王林を妹の蓮華の補佐に据えたという経緯があった

 

本当に恐ろしいのは、いつも笑顔を絶やさぬ妹の紅の方だと、後々思い知る事になる雪蓮であったのだが・・・

 

 

紅の事は今はさておき、この人事が”黒い蓮華”の誕生に寄与してしまうのだから

なんと皮肉な運命の巡り合わせであろうと言わざる負えない

 

 

幼少だった蓮華は、王林の厳しい教育方針によって、根底から徹底的に容赦なく激しく叩き込まれた

か弱く幼き蓮華の唯一の拠り所、逃げ場だったのが、”黒き蓮華”の正体だったのだ

 

”黒き蓮華”はずっと王林から怯えるか弱き蓮華を陰から支え守り抜いていた 

か弱き蓮華の精神が崩壊しなかったのだから・・・

”黒き蓮華”が王林から”か弱き自身”を守ってきた事は、”自衛”ともいえる手段であり当然の行為といえた

 

それくらいならば、”黒き蓮華”の存在は、”善”なのであり全くと言って良いほど”悪や黒”とは呼べない 白と表現しても良かろう

だが奇しくも”黒蓮華 ”と呼ばれる所以を最初に見つけたのは、誕生に寄与した他ならぬ王林であった

 

 

そして王林は孫家の皆は知ることとなる ”黒蓮華 ”が異質な空気と性格を纏っている事に・・・

 

 

 

 

事件は当時袁術の使いで、政事の視察に訪れていた村でのある男の悪事が元で、露見したのが事の発端である

 

ある娘に乱暴狼藉を働いた男がいたのだ この男は村でも”悪い”方で有名であったのだ

今の孫呉の法に照らし合わせれば、娘に乱暴狼藉を働いた男は極刑に処せられる

 

しかしこの男の身元が問題であったのだ そう美羽の重臣に連なる者の血筋へと行き着くのだ

 

その当時、孫呉に連なる者達の身分は、まだ美羽の処に身を寄せる一客将の立場である

この者が仮にどんな問題を領内でひき起こそうとも、当時、客将の身分でもあった蓮華や王林が”裁量する権利”が全くないのが現状なのだ

 

この男は裁量する権限がない事を知っていたのだろう 蓮華や王林が視察している目の前で乱暴狼藉を働き出したのだった

この男を侮蔑するように美しい顔をした王林が、眉間に皺を寄せ鋭い眼光で睨みつけた事でも察することが出来よう 

 

王林とは対照的な動きを見せたのが蓮華であったのだ 蓮華は乱暴狼藉を働くこの男におもむろに近づいたのだった

蓮華の異様な事態を察することなど、蓮華を知る王林にしか出来る筈もない

 

お嬢は何を!? そう思い止める間もなく、この男は蓮華がおもむろに近づいてきた事を何を勘違いしたのか

下卑たニヤ笑いを見せ、いきなり蓮華に抱きつき、白く透き通るような肌やうなじ、頬と順に汚らしい舌を這わせていったのだった・・・

 

「なっ!? 下郎がっ! 今すぐお嬢を離せ!」

 

そう王林が乱暴を働いたこの男に対して叫んだ時

この男の驚愕に彩られた生首が、男の胴体から離れ王林の後方へと宙を舞っていたのだった

 

王林は驚いた お嬢がこんな男に不用意に近づいた事もだが、容赦なく首を斬り落とした、そんな行為に及んだ事が驚愕の一事であった

だがさらに王林を驚愕させる一言を、蓮華は次に発したのだった・・・

 

「フフフ アハハハ 首が勢い良く飛んじゃった! 首飛んじゃえばこれ以上悪さも出来ないわよね! アハハハハハハ」

 

男の身体から噴出する血に塗れながら、瞳を一杯に大きく広げ、下卑た笑いを浮かべながらそう言い放ったのである

 

いくら江東の虎と異名をとる緋蓮の血を引く娘であるが、当時の蓮華の歳や性格を鑑みるに

蓮華の取った一連の言動と行動が、王林の頭の中にあった蓮華という1人の少女を容どったパズルに

ピースが噛み合わずに欠落したまま、最後まで完成する事はなかった・・・

 

一刀がいた世界では、二重人格者、多重人格障害者という言葉があるように、そう呼ばれる方々がいらっしゃる事は認知されていよう

だがこの世界では認知されていない時代、ましてや蓮華の中に”黒蓮華 ”という人格が存在している事など誰も知る由もなかった

 

この後、”黒蓮華 ”は意識を失い元の蓮華へと戻るのだが

蓮華の記憶はこの男へと近づく前に既に無くなっており

当然の事ながら、その後にこの男の首を斬った一部始終の記憶が、見事なほど綺麗に抜け落ち欠落していたのだった

 

この男がしでかしてきた罪の大きさを語ることもせず・・・

当然の事ながら、この男の血縁に連なる重鎮は、蓮華やそれを止める事が出来なかった王林に対し、激怒し追及の手を強めた

 

当時まだ幼き当主である美羽に判断能力が備わっている筈もない 七乃も王林より重鎮に連なる者がした乱暴狼藉、無礼も耳にしていた

 

没落した孫呉とはいえ、まだまだ利用価値があると踏んでいた七乃は、冥琳を金策へと駆け回らせ

その際に魯家を訪れ、琥珀と親交を深めた事により、多額の支援を受ける事に成功

魯家と孫呉はそれから永き付き合いをしていくことになるのである

 

七乃が用意した金額と、冥琳が受けた魯家からの寄付を合わせた金額を賠償金として渡したのだ

そうした結果もあって、蓮華と王林の罪は一切不問に付され

この重鎮は、多額の賠償金と称された賄賂を、何の躊躇も見せることなく受け取ったのである

 

この重鎮としても自身に連なる者ではあるが、乱暴狼藉が中央へも何度となく報告が上がっており

その度に握りつぶす手間がかかっていたのだ

 

この度運良く厄介者を排除出来て都合が良かった事、七乃より多額の賄賂も十分得た事により怒りを静めたのである

 

ちなみにこの重鎮、美羽の護衛役である紀霊が、賄賂に溺れる上司に嫌気が差し、切れて飛び出す原因ともなった上司でもあった

後々七乃に拾われたお蔭もあり、この時の流した賄賂の確たる証拠を七乃から見せられ

激怒した紀霊に闇討ちされ、奇麗さっぱり首と胴を永遠に切り離される羽目に陥ったりする

 

袁術側には不問にふされたものの・・・蓮華が引き起こしたこの事件の一部始終を、王林より報告を受けた事により”黒蓮華の存在 ”が発覚

蓮華にも自身と同じ”悩ましい性癖”があることに雪蓮達首脳陣は気付くこととなる

 

とはいえ治療方法など確立されていない時代でもあった為、雪蓮の性癖と同様、今まで頑なに秘匿され続けてきたのである 

 

 

故に”黒蓮華 ”の存在は、孫家に(まつ)わる”悪癖”の1つとして、今も猶ひっそりと蓮華の中で息づいていたのである・・・

 

 

以後”黒蓮華 ”が大事となるような目立った動きを見せなかった事、そうした事件も今では風化しつつあってか

次第に首脳陣の頭の中からも次第に忘れ去られてしまっていたのだった・・・

 

 

それがこの度、蓮華が王という責務に慣れていない事によるストレス

一刀が結婚したという蓮華にとって大切な人を奪われたという、過重なストレスが限界値を軽く超えてしまった事が

この度”黒蓮華 ”を本格的に目覚めさせる一つの要因となってしまったのだった

 

 

 

 

”黒蓮華 ”が狡猾なのか?以前のように残忍性が強い本性を中々見せなかった事もあり

子布や穏、琥珀が傍に居て、一日中執務室に篭る事があっても、全く気付かれる事がなかったのである

 

だが蓮華の様子はその間にも、刻一刻とより酷い状況へと陥っていった・・・

 

王という名の重責に押しつぶされそうになっていた蓮華を、一刀がたまに顔を見せ差し入れに訪れたりと、

会うたびに元気づけてくれ、蓮華にとっての”密かな癒し”となっていた背景もあり、ますます義兄の一刀に傾倒していく節もあった

 

”黒蓮華 ”が本格的に動きだしたのは、そんな忙しい最中に引き起こされた事件の時であったのだ

 

式典から数ヶ月後呉中に衝撃が走った 華陀の見立ててで、雪蓮が懐妊したという事実が建業の街を駆け巡ったのである

懐妊したという情報は、すぐさま他国へも届き、同盟国である華琳、桃香、翡翠からお祝いの言葉や品・花が届けられたとのことであった

雪蓮には出産の日まで、念の為、すごい数の警護と世話人が付けられる事になったそうである

 

雪蓮が懐妊したという情報は、他国より速くにもちろん同盟国の山越へも届けられ

雪蓮と一刀が入った湯は、今では子孫繁栄・子宝の湯と命名され

子宝に恵まれないご夫婦が授かろうと来訪され大人気だそうで、客室は常に満室状態がずっと続いて大盛況のようである

 

そう、敬愛する兄と尊敬する姉の子、生まれてくる子供は蓮華にとって、姪か甥となる立場な訳で・・・

実に喜ばしい事だというのにどうしてだろう? 黒い黒~い蓮華が闇の底より這い出てくるのであった

 

「何故・・・ 姉様との・・なのデスカ?」

 

「何故・・・ 私との・・ジャナイノデスカ?」

 

「そもそも・・・ 未ダニ ワタシト カズトガ 結婚デキテイナイ・・・」

 

「奪ッタラ? 奪ベキ! 奪ッチャエ! ソウダ! 奪ッチャオウ!」

 

黒い黒~い蓮華に何度も・・・そう何度も問いかけられた蓮華のタガが、終に耐え切れず外れてしまった瞬間であった・・・

するとみるみる蓮華の心が黒く濁り始め、蓮華の意識は暗くジメジメした底なし沼に嵌っていくように、足を捕られ益々深みに沈み込み

終には浮かび上がる事もなく、囚われた蓮華の意識が暗き底へ沈んでいってしまうのでありました

 

「アハハハ 長年ニワタル我ガ計 ツイニ成就セリ」   

 

そう一言呟くと乗っ取りし”黒蓮華 ”は、建業にある王の執務室から忽然と姿を消したのである

 

 

※これ以降、”黒蓮華 ”の会話文は通常形態に戻します ご了承くださいませ

 通常形態に違和感がございますのでしたら、脳内にてカタカナ変換してお読みくださいませ

 

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そうした蓮華の精神の浮き沈みが激しい様を、思春は苦々しい思いを噛み殺しながら

日々の自己鍛錬・水軍の鍛錬に勤しむ毎日を送っていたのである

 

最初に蓮華の様子がおかしい事に気づいたのは、一刀と雪蓮が結婚した後ぐらいからであった

思春はいつものように修練場で、蓮華の要請により剣筋を次々に繰り出し披露していたのであるが

 

いつもは蓮華の絡みつくような視線を感じながらの披露となるのが通例なのだが

この日に限って全くといっていいほどの無反応さだったのだ

 

王になった直後だし疲れがあるのだろうと気遣い、その日はそれ以上主である蓮華追求するような事無く、軽めに終えた修練であったのだが

新婚旅行の護衛へと旅立つ前日ともなると、さらに蓮華の状態は酷くなり

もはや修練しない方がマシといったレベルにまで落ち込んでいたのだった

 

思春が雪蓮の新婚旅行の護衛を渋々了承した背景も、蓮華の時の際の参考になればと慮ってのことだったのだが・・・

 

途中周りの視線を鑑みず、あまりの馴れ馴れしさに業を煮やし、北郷を注意する一幕もあった事を憶えておられようか?

 

結婚したと聞いたこの頃から、蓮華の笑顔が失われてしまっている事をこの男は何故少しも知らない・・・ いや知ろうとしないのだ!

”そう思い込んだ”思春なりの蓮華の事を慮った少しばかりの一刀へのささやかな抵抗を示したのだった

 

思春の忠義はどこまで遡ろうとも、蓮華に始まり蓮華で終わるのからだ

 

劉表軍からの地獄のような日々を抜け出せたのも、あの時、蓮華が孫呉へと誘ってくれたからに他ならない    ※外伝 砂上の楼閣参照

でなければ、部下共々未だに海賊家業から抜け出せておらず、最悪討伐の対象となっていた可能性すらあったのだ

 

海賊はどこまでいっても海賊 所詮使い捨ての駒 その陰鬱たる暗き想いを断ち切ってくれたのが蓮華という太陽であったからだ

 

そして所属した当初、韓当さんが居れば・・・そういう妬みや嫉みや罵声を、そこかしこで何度耳にしただろうか

父の仇と未だに瑠璃とは冷戦状態、裏切り者が!と孫呉に在籍した当初から一貫してずっと、思春達を取り巻いている状況は好転しなかった

存亡の危機を脱した直後に、明命が斥候部隊の隊長として台頭してくると、思春の不要論まで飛び出したくらいの酷さだったのだ

 

斥候が当時二重体制だったのも、今のように利便性を考慮した上などでは決してなく、むしろ弊害があった為だったのだ

さすがにこの状況を憂慮した冥琳が仲介をして、雪蓮付きだった思春の在籍を蓮華付きへと替えた背景があるのだった

 

蓮華と歳が近かった事も功を奏したのか

そうした雑音を抑えるかのように、海賊であった思春を親友と思い、重用してくれていたのが蓮華なのである

 

功や実力を見せた今日では、そうしたやっかみや嫉みなど言う者は瑠璃くらいのモノで

瑠璃との喧嘩も孫呉では恒例行事と他者からも認識されている始末である

 

部下達が孫呉の一員として認められ、日々家族との団欒、数々の恩賞等を賜り暮らせていけるのも

当事の蓮華が、多大な気遣いをしてくれたお蔭だと思春は感謝もしていた

 

優しく血塗られた自身の手を臆する様子もなく両手で包み込み、見つめて下さった蓮華様の眼差しは慈愛に満ち溢れ温かかった

その時の事は今でも忘れないし、自身に深く刻み込んだ掛け替えのない”義 ”でもあった

 

戴いた報恩に報いる為にも、蓮華の悩みを和らげる、又は解決してあげたいと、思春としては我が事以上に重々承知してはいるのだが・・・

問題の根本原因が何処にあるのかが判らない思春にとって、判らない問題を考え込むというのは最も苦手な分野であるだけに

未だに手が出せないのでいるのであった

 

そして事もあろうに、解決すれば北郷と結婚への道を、解決出来なければ、蓮華の体調に差しさわりが出てくる事が予想できるだけに

どちらも二者択一したくないが故に、ここまで事態が逼迫したともいえる状況に陥ってしまったといえるのだった

 

「ハァーー 色恋沙汰は犬も食わぬというのに・・・」

 

正確には”夫婦喧嘩は犬も食わない”であろうが

消え去った”黒蓮華 ”の存在については判らない思春だったが、状況が引き起こされた原因は”直感”でちゃんと捉えていたのである

 

今では失われし、敬愛する蓮華の満面の笑みを思い浮かべ、深~い溜息を1つついた後呟き終えると

 

自身の取って足らぬ拘りなど、さっさと犬に食わせてしまえ!

 

そう気合を入れ直した思春の足どりは猶も重々しくあったが

一刀がいると思しき部屋へと、一歩、一歩、建業城の床石を踏みしめながら、ゆっくりと向かうのであった・・・

 

 

 

 

コンコン・・・

 

「・・・失礼します!」

 

どうぞという一刀の声を受けて、息を整え終えた思春は、おもむろに扉を開けた自身へと注がれる視線を複数感じた思春は

部屋にいた人物が即座に判別できたのであろう、部屋へと入る前に深々とお辞儀をしたのだった

 

「思春じゃない 一刀の部屋に来るなんて珍しいわね こっちへ遠慮なく入ってらっしゃい ちょうどいいわ 貴方にも話があったのよ」

 

そうこの度の原因の主の1人でもある雪蓮にこう言われてしまっては

覚悟を決めて突入しようとした気勢を殺がれる格好となったのも事実であった

 

「ハッ 失礼致します」

 

そう畏まって扉を閉め、一刀と雪蓮が座る場所へと近づいていく思春であった

 

雪蓮から切り出された話は、一刀からの相談話とも同じ件だったようで・・・

さらに思春が覚悟してこの度乗り込んだのとも同様の内容であった

 

要は”以前より蓮華の様子がおかしく、最後には王の執務室から行方不明”というモノだった

 

詳細は思春が把握して事を順に追って2人に話す

漸く蓮華の身に起こっていた不可解な謎を含んだ事態の推移が見えてきた一刀、雪蓮の2人であったのだ

 

「ほんっとにもう! 不器用なんだからあの子は! あれほど”切欠”って強く伝えておいたのに!」

 

「雪蓮・・・それは言い過ぎだよ 誰だって動揺すれば聞き逃してしまう事だってあるだろうさ

 蓮華にとって俺達の結婚話は驚天動地の出来事だったんだろう それにこの度の原因は全て”俺”にあるんだ

 思春には心配かけてしまったようだ わざわざこうして出向いてまで諭して貰い、本当にありがとう そして済まなかった」

 

「おっお前の為ではない! 全ては蓮華様のためだ! かっ勘違いするな!」

 

一刀と雪蓮は思春の様子を見て笑いを噛み殺している

そう思春は照れつつ言い捨てながらも、天皇という地位に溺れる事もなく

以前と変わらぬ一刀の態度に、少しホッと胸を撫で下ろした思春であった・・・

 

「蓮華の消え去った根本原因は、この度の一刀と私の結婚話じゃないわ 引き金になったのは確かだけれどね

 私と違ってあの生真面目の根が大地に張ったような塊の蓮華がよ? 

 王という責務までも、完全に放棄してまで消え去った理由が結婚話ってだけじゃ弱すぎるもの・・・

 

 そういえば実は昔・・・ ・・・という感じでね 王林の報告だったし間違いないわよ

 あの子が今回引き起こした事件と同じくらい歪だったもの」

 

自身の不真面目さを暴露している雪蓮に呆れる2人であったものの・・・それ所ではなく

蓮華の引き起こした過去を2人に語って聞かせる雪蓮でありました

 

「歪ねぇ 言い得て妙かも なるほどな たしか解離性同一性障害と呼ばれるものだったかな?

 蓮華は二重人格か、酷い場合、多重人格の恐れすらある訳か」

 

「一刀 そのかっ・・・なんたらっていうのについて、何か詳しく知っているの?」

 

「解離性同一性障害な 二重人格でいいよ 俺のいた時代では、こういうのは大概、ストレスによる心の病が原因である事が多いんだ

 ストレスというのは、心的外傷、つまり心に大きな傷を受けてしまう事が、そもそもの根本的原因と言われていたけどなぁ~

 

「それで解決する方法はあるのか!? どうなんだ北郷!」

 

もはや普段通りの接し方に戻っている思春に、ちょっと安堵しつつ一刀は問いに答えた

 

「根本原因を突き止めて、ゆっくりと時間をかけて治療する精神的な病だからね ”雪蓮のも同じ”モノさ

 今は先ず蓮華を見つけ出して、引き金となっている問題を早急に取り除き、心的な負担を軽くする又は取り除くのが先決だろう」

 

基本方針が決まった所で、後は蓮華を捕まえない事には話にならなかった

 

「それじゃ思春 至急消えた蓮華の足取りを追って頂戴」

 

「承知致しました 雪蓮様 それでは!」

 

雪蓮の命を受けた思春は急ぎ部屋から退出していくのだった

その間に一刀と雪蓮は、蓮華を捕らえた際の対策を協議するのであった・・・

 

 

 

 

思春、一刀、雪蓮の3者によるそうした地固めを行っているとは知らない”黒蓮華 ”の行方はというと・・・

灯台下暗しとも呼べよう、突然王の執務室へと舞い戻っていたのだった

 

蓮華自身は記憶が欠落しており、自覚していない事だけに余計タチが悪く

未だに”黒蓮華 ”が意識を占有している状況から抜け出せていなかった

 

・・・というより悪化していたと言っていい

王林以上の女王様ぶり、天上天下唯我独尊と言っても差し支えないほどであった

 

それが王である蓮華の決定ではあるが”黒蓮華 ”が決めた事であったのが問題であった

しかし、事情を全く知らない穏、琥珀は、蓮華の様子がおかしいとは思うものの・・・

 

”黒蓮華 ”が口を開けば、”首を斬れ”、”良きに計らえ”、”即刻処断せしめい”とその3つの言葉だけを答えるのみであった

 

蓮華が変わり果て、その原因が判らず戸惑うばかりで、反論しようとするものの・・・ 一向に意に介してもらえず・・・

穏、琥珀といった補佐する軍師である者の助言が、すぐさま右から左へと軽く流されてしまっている状況では、すでにお手上げ状態といえた

 

王林としても蓮華が昔に暴走した記憶が少し頭を過ぎりはしたものの・・・突然の蓮華の変わり様に戸惑うばかりで

王林としても昔のように、蓮華が精神的・肉体的に屈服するまで、罵り叱りつけるべきだろうか?と頭を掠める思いはあったものの・・・

 

流石に1人の大人となり、又主の1人である蓮華に対してというのはさすがの王林であろうとも躊躇された

そう思い詰めるまでに執務室の空気は重苦しく、酷い修羅場と化していたのだった・・・

 

”黒蓮華 ”が言い放った言葉は、以前のような数値的な甘さなどの生易しい事ではなく

善悪に対する容赦ない個人への詰め・処罰が重く苛烈を極めたのだ

一見良いように見えるのだが、それはどんな些細な事でも容赦しないという事の表れでもある

 

普段の慎重で温厚な蓮華からは、想像だに出来なかった苛烈な処断であった 

到底、王という立場に立ったから意識したとは思えなかった

王林を始めとした穏、琥珀もまた、行方不明だったここ数日で蓮華に何があったというのか? それが一番の気がかりであったのだ

 

”黒蓮華 ”が決めた、そんな厳罰が下る息苦しい政事を望んでいる者が、この孫呉中どれだけの数の者達がいるだろうか? 

そんな世の中、息苦しくて堪らなくツマラナイ、真っ平御免であるというのが、殆どの庶人の正直な感想であろう

 

江戸時代にもこんな狂歌が、巷に流行した事を察してみてもわかるだろう

 

「白河の清き流れに住みかねて 元の濁りの田沼恋しき」

 

時代は三国時代よりもっと後に詠まれた歌であるが、清濁併せ持った仕置きのバランス感覚こそが、現実の世では最も必要であり

清貧に重きを置き過ぎても、濁という欲望に塗れても駄目な事が、この狂歌1つをとってみても良く判ることだろう

 

あくまでも内政のバランス感覚が、王であった雪蓮より良いモノを持っていたからこそ、次代の王の重責を雪蓮より任された格好なのだが

この度バランスを失った引き金となった原因が、皮肉にも敬愛する一刀と雪蓮の結婚が引き金となったのが哀愁を誘う

 

猶も王林や穏、琥珀が困惑の表情を崩さぬ中、1人口角を上げほくそ笑む”黒蓮華 ”であったが・・・

 

「そこまでよ! 蓮華! 思春 逃げないように早急に縄を打ちなさい!

 王林、穏、琥珀 説明は後でするわ! 何が起こるか分らないから、今この部屋より即刻立ち退きなさい」

 

「ハッ! 蓮華様 雪蓮様の命により暫しの間、縛らせて戴きます!」

「「「ハッ 承知!」」」

 

雪蓮の命を受けた思春は、当初の予定通りに”華 ”を床に押さえ込み縄で縛り上げた

雪蓮達ののただならぬ様子を瞬時で悟った王林、穏、琥珀の3人は、雪蓮の意に汲み取り瞬時に応え部屋を退出していったのだった

 

「ぐっ おっおのれ! 甘寧(・ ・)! 我を謀り裏切ったのか!」

 

「裏切った・・・だとっ!! 

 例えこの身、この心が朽ち果てようとも・・・ この甘興覇 主を違えた事など断じてないっ! 我が主を即刻返せ!」

 

「ふんっ 貴様の主である事も見抜けぬ輩であろうに・・・」

 

主を見抜けぬ!? 一体どういう事だ!? 先程からコイツは何を言っている!? 

そう感じつつ直接問いただしたい思い・疑問をぐっと飲み込んだ思春

 

「思春 もういいよ ありがとう 助かったよ 

 とにかく抵抗されたり逃げられたら、蓮華を傷つけ止める訳にもいかないしね

 

 ふ~ん 君が”もう1人の蓮華”なのかい?」

 

思春によって縛りあげられた”華 ”は、無常にも床に転がり、一刀を見上げる格好に顔をしかめた

 

「我をずっと注視し心配そうに見つめるだけだった・・・ そんな甘寧がおかしいとは思った

 そうか・・・通りであの甘寧が我を躊躇なく縛り上げた訳だな

 

 なるほど漸く合点がいったわ やはり我の正体を貴様が見通しおったか! 天の御遣い 北郷 一刀」

 

 蓮華の中に存在しているもう1人の蓮華こと”黒蓮華 ”と初めて言葉を交わした一刀でありました・・・

 

 

 

「初めまして・・・でいいのかな? 俺の事はなんと呼んでくれてもいいさ

 君の事はどう呼べばいい? 蓮華でいいのかな? 他の呼称があるのなら教えてくれないだろうか?」

 

「ふんっ 別に貴様ごとき輩が、我の呼称に拘るのもおかしな話だが、あいつ(・ ・ ・)は”華”我の事をそう呼んでいたことを感じていた」

 

「じゃ ”華 ” 蓮華の身体を傷つけたり、ここから逃げないと約束してくれたら、即刻この縄目を解こう 話辛いだろうからね?」

 

一刀の提案に対し、静かに縦に頷く”華 ”その仕草を確認すると一刀は本当に縄目を解こうと手を伸ばしたのだ

 

「おっ おい! 陛下それは不味いぞ!」

「ああ 分った 自身を傷つけるマネも逃げることもしないと約束しよう」

 

いつもの調子と敬語かが混ざってしまっている動揺する思春の言葉遣いに苦笑しつつも

一刀は思春と視線を合わせ頷き制すると”華 ”の縄目を解いてしまったのだ

 

「で? 我に話があるのだろう?」

 

話の大よその見当はついていたのだろう ”華 ”は一刀の話を一応聞こうとする態勢に移行する

 

「蓮華をそろそろ開放してくれないか?」

 

「冗談ではない! お前は知っているのか? あいつが起きている間 我はずっと眠り続けねばならんのだぞ?」

 

やっぱり聞くべきではなかった そんな苦々しい表情を浮かべる”華 ”であった

 

「寝ている間の記憶は?」

 

「ほぼ無いに等しい 夢と混同するからな 決まっておろう」

 

「そうか 蓮華にこの話をしている記憶はないのか」

 

「おそらくはな お前とて夢を全て覚えている訳ではなかろう?

 我とあいつが”全ての意識を共有”させたのなら別だが・・・ そんなありえん話を持ち出した所で時間の無駄

 相手が思い通りにならないお互い邪魔な存在なんだ 我らはな? 無理に決まっているだろう?」

 

深い溜息をつきつつ、一刀の問いに関して呆れ果てる”華 ”

 

「無理ではない・・・という事か」

 

「お前は何を聞いていたんだ? 無・理・だと言っておろうが!」

 

瞳を大きく見開いて一刀に向かって激昂する”華 ”

 

「どうしても?」

 

「しつこい男だな 我はそういう男が大嫌いなんだよ!っと」

 

”華 ”は一刀にそっと抱きつくように身体を近づけたかと思うと、一刀の左腰に差している「桜花」を引き抜き腰へ刺した

止める間もなく突然刺された一刀に、少し驚く様子をみせた雪蓮と思春ではあった

 

雪蓮と思春の2人ならば、”華 ”が一刀を刺す行為そのものを止められた筈

不意打ちだったとはいえ、兄様ならば取り押さえられた筈といった経験則に基づき推測した事だろう なのに一体何故!?

いつもの蓮華だったならば、その事にまず疑問を抱いただろう

 

「ぐっうぅぅーーー 雪蓮、思春 心配ない・・・動くな! そっそのまま・・・でいい・・・」

 

「ほう? 我に刺されても動じないとはな 流石はアイツが惚れる男だけの事はあるな

 我はお前との”約束”はちゃぁ~んと守っておるしの!」

 

雪蓮と思春が近づこうとするのを傷口を押さえ止める一刀 

得意満面で妖艶な色を湛えた蓮華の笑みが、一刀とは対照的により一層不気味に見えた

 

「ぐっ 分っていても痛ってぇなぁ~~~~くそっ ”華 ”()してくれてありがとうよ・・・ぐっ」

 

刺してくれて感謝だと? ”華 ”は一刀に向かって首を横へと傾け本気で正気を疑った 刺され気が触れたのかと本気で思ったくらいだ

 

「貴様 本当に気でも触れたか? アハハハ クックック・・・」

 

「本当に貴方も私の妹なのよね? ホント馬鹿よね・・・どちら(・ ・ ・)の蓮華も・・・」

 

一刀が答えるものと思っていたが、”華 ”の背後より厳しい表情をした雪蓮が声をかけてきたのだった

 

暢気に眠ってる場合じゃないでしょう? 私達の大切な一刀が苦しんでいるのよ? 記憶を共有していない? ふざけないで!

貴方の命より大切な一刀なのでしょう? 痛みで苦しんでもがいているその叫びを意地でも”感じなさい”

そして自身をさっさと取り戻しなさい! バカ蓮華!

 

「何が馬鹿だと? クックック 貴方も気が触れましたかね? アハハハ お姉様?とでも・・・

 ぐっ・・・・はぐっ・・・そんな馬鹿などうして・・・何故だ!!!」

 

大きく広げた手の平で顔を覆い隠し驚愕の色を隠せない”華 ”であった

 

 

「賭けには私達が勝ったみたいねぇ? どうして目覚めたのか? ・・・でしょう? そんな簡単な答えも分らないとはね

 苦しみでそれ所じゃないか! じゃあね 姉である私が答えを教えてあげるわ!!

 

 そもそも妹である蓮華の精神が不安定となり、おかしくなって貴方が目覚めた原因は何なのでしょうね?って言えばお分かりかしら?

 

 蓮華が命より大切にしている一刀を傷つけるなんてねぇ? 自身で墓穴掘るのも大概にしなさいよ?

 ちょっと考えれば、分身である蓮華の一番強い想いくらいすぐ思い当たるでしょうに・・・

 

 それと私の旦那様を傷つけた罪 本来なら大切な妹であろうと倍返しは当然! いえ万死に値するわ!

 2人(・ ・)共、その事を肝に銘じてよぉ~~く憶えておきなさいっ!!」

 

驚愕に彩られた今の”華 ”には、雪蓮が解説する僅かの言葉の間すら不快に感じた

それはそうだろう ”華 ”自身がそうして闇の底から這い出たように、今眠っていた筈の分身が突然眼を醒まし

”華 ”の意識を奪い返そうと、闇の底から同じように、這い出ようと必死に抵抗してきたからだった・・・

 

なんとおぞましく醜い光景だろうか 身の毛がよだつとは良く言ったもので、感覚表現が的確すぎると憎々しげな表情に変わる”華 ”

そして自身がそうして”おぞましい”姿で、こうして這い出てきたことを正確に知覚し自覚した瞬間でもあった・・・

 

「ふっふざけるな!!  グゥワァァァァーーー ・・・こっこんな筈では・・・・まだだ! まだ終わらんぞぉーーーー!!!

 我が再び眠りに就くことなど、容認できる訳なかろうがぁーー!!!

 

 アァァァァァァァーーーーーー にぃぃぃぃさぁまぁおぉぉぉぉ傷つけた貴方おぉぉぉぉぉーーー

 絶対に許しはしないぃぃぃーーーーー それがぁ~ 例え・・・私の分身である”華 ”だとしてもぉーーーーー!!!」

 

 憶えておるがいい”蓮 ” この借りいずれ必ずやぁぁぁぁーーーー アガギャァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーー」

 

今では頭を両手で押さえ込み、時には美しき桃色の髪を掻き毟りながら、執務室を転げ回り明後日の方角を凝視しながら

もがき苦しむ阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた

 

蓮華の叫びは”華 ”と蓮華の言葉が交じり合い弾き合う展開に移行しているようで

最後には”華 ”のモノと思しき捨てセリフを残して再び闇の底へと眠りについたようであった

 

蓮華はその場で蹲り、激しく身体を波打ちさせつつも、荒い息を大量に外へと吐きながら、必死に酸素取り込むべく身体に循環させ喘ぐ

 

その様子をみた雪蓮はほっと一息つくと、おもむろに愛する妹へと近づき、ご苦労様と肩をぽんぽんと軽く叩くのでありました

雪蓮の様子をみた思春はサッと近づき、主の帰還に涙を流しつつ、息を整える蓮華の背中を必死に摩る

 

「さ・て・と・綺麗さっぱりと片付いたことだしぃ~ 思春! 私達はお邪魔みたいだから、何処かへと行っておきましょうね~~~~」

 

突然雪蓮に肩を叩かれ、視線を叩かれた雪蓮の美しき手へと視線を向けた途端

雪蓮の万力が思春の両肩を捉え、強引に部屋の外へと引き摺られているのをしばしの間唖然と為すがままになっていた思春であったが

 

「でっですがぁ~~~ 蓮華様のよっ様子が気になるのですがぁぁぁぁぁぁぁ~~れぇぇぇぇ~~~~~」

 

雪蓮に抵抗するのは最早無駄と悟りつつも、主の蓮華の様子が気に掛かり、自身の事よりついそちらを優先させ視線を向けてしまう思春

 

「思春 貴方いつもは空気読む癖にーーーー こんな時こそ読みなさいよぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーー」

 

「いやだぁぁぁぁーーーーーーー はなしてぇぇぇぇぇーーーーーー いつもは雪蓮様が空気読まない癖にぃぃぃーーーー

 蓮華様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・」

 

雪蓮と思春の叫びが虚しく建業城の廊下に響き渡る 雪蓮が衛兵達をすでに遠ざけていたのであろう 

もはや辺りに全く人気がなくなり、執務室は元の静けさを取り戻したのだった・・・

 

 

 

執務室は静けさに包まれつつも・・・

 

「兄様 ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい・・・」

 

黙って必死に氣を整え、回復力をあげていた一刀であったが、”華 ”に思っていたより深く刺された事

刺された事による息の乱れ・大量の出血もあってかなり難航していたのだった

必死に痛みに耐えながら止血している一刀の腰に、そっと自身のハンカチを手に持ち

押さえ止血する一刀の手に、そっと静かに自身の手を添え止血を手伝う

 

蓮華のごめんなさいと慟哭する悲痛な声が、心配のあまり一刀の回復力を遅らせる 

どうしたものか・・・そう痛みに耐えていた一刀であったが

 

「蓮華 よく帰ってきてくれた おかえり」

 

痛みに耐えながらも精一杯笑顔を浮かべながら、一刀は自身の血で血塗られ震える手を、やっとの思いで蓮華の頭へと届かせ撫でてやる

 

「・・・ただいま 兄様」

 

兄様に許してもらえた そう万感を込めた想いを乗せ、言葉を紡ぐ蓮華

 

「愛してるよ 蓮華」

 

痛みに耐えながら震える手を必死に伸ばし蓮華の頬を撫でる

 

「私もです 兄様・・・以前よりずっと・・・兄様を 兄様だけをこれからもずっとお慕い申し上げます」

 

見つめあいながらも、血塗れた一刀の手を臆する様子もなく

頬を撫でられていた手をそっと掴み、瞳を閉じぎゅっと何かを念じながら強く握り締める蓮華

 

「・・・雪蓮にもこの言葉は最初に言ったんだけど、はぁはぁ・・・俺は蓮華だけをずっと愛し続けることは、もはや適わぬ身の上だ

 これからもずっと苦労をかける事だろう そ・それでも、もし・・・それでも良ければ、俺と結婚・・・してもらえないだろうか?」

 

一刀は痛みに耐えながら、ゆっくりと蓮華だけに伝わるように呟いた

 

「・・・はい ぐすっ 本当にうれしい・・・ 今日この日を迎える事が出来るなんて・・・私はまだ夢の中にいるのでしょうか?

 兄様 私なんかでよければ・・・ 叶うならば蓮華はずっと・・・ずぅ~~~~と

 こうして兄様のお傍に常に寄り添って生きてゆきたいです」

 

「いずれは蓮華に内包されている・・・ もう1つの人格である彼女も共に愛したい・・・ そう思ってはいるが・・・な

 うぐっ・・・蓮華いっ痛い・・・ そろそろ俺も・・・我慢の限界か・・も 意識が飛び・・・そう・・・な・・・」

 

”華 "が今の兄様の言葉を聞いたならどんな反応を示したことだろう? 今までは互いが干渉し合わない 意識を奪い合う

私の意識を今より少しでも前へ一歩前進させてみよう 危機的状況が去ったばかりなのにそんな暢気なことを感じていた蓮華であったが

一刀の意識が飛びそうになり、アタフタと慌て始める蓮華さん

 

「華陀! 華陀を早く! 誰か! すぐにここへ呼んできて! 

 ・・・どっどうしよう 誰もいないの? ちっ血が完全に止まらない・・・ ねっ姉様!? 思春!? 誰かぁーー返事をーーーー

 姉様の倍返しってこういう事だったのねーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

 

雪蓮が最後に言い放った”倍返し ”とは良く言ったモノで、散らかすだけ散らかしそのまま逃亡し放置された感が拭え切れない・・・

 

一方、一刀は失血しすぎたのか意識をすぐ手放してしまい・・・

告白され絶頂期(有頂天とも言える状況)にあった大切な兄様と触れ合える時間が

新婚旅行でいちゃいちゃした姉とは違い、かなり短かった事に大層悔しがる蓮華でありました

 

兄様を放置して何処へ去ったのかと怒り心頭の蓮華であったが、寝ている間の”華”の記憶を共有している筈がなかったのだが・・・

何故か突然ふと刺した時の情景を思い起こせた蓮華であった・・・

 

この一連の蓮華が起こした騒動は、この度も秘密裏に処理され、知った者には緘口令が布かれる運びとなった

 

そんな雪蓮にも出血した一刀や蓮華を放置した天罰?が下ったのだろうか?

身重だというのに・・・この度色々と参加した雪蓮は、冥琳と紅より大目玉を食らうこととなる 身重なので手加減Verであるが・・・ 

 

身重の間、勝手な事を控えるよう、今まで以上により一層厳重に、警護の人数を増やされてしまったのだった

 

方や蓮華の方はというと、また自身の分身とはいえ、刀で愛する兄様を刺したという事実が、蓮華を大いに悩ませることとなった

だが一刀が病床にやってくる蓮華には罪はないと言い聞かせ、それ以上ストレスがかからないよう細心の注意が払われていた

 

また冥琳や紅よりの叱責を受けた以上、私の身体を心配するより、兄様とのお子と御自身の事をもっと心配をしてください!

と普段のように声高に抗議できる筈もなく、納得できるような・・・出来ないような・・・

そんな微妙で悶々とした感情に包まれるのでありました

 

数週間を経た後の今では、忙しい王としての仕事の合間を見つけては、一刀の治療の付き添いを甲斐甲斐しく務め

以前より忙しい日々を送っている

 

人の見ていない時を見計らっては、頬を染めつつ・・・あ~~~んと食事を一刀の口へ運んでいる微笑ましい姿は

初々しい新婚ホヤホヤの家庭を匂わせ、なんとも愛らしい蓮華が密かに思春によって目撃されていたとの報告も受け

苦笑し悶える王林でありました

 

後日、雪蓮との時と違い簡素ではあるが、蓮華との結婚式が建業城の広場にて催され、多くの見物人から祝福を受けることとなった

 

雪蓮と一刀が結婚した時は、大陸中の皆が驚愕し、情報が伝播するのも速かったものだが

蓮華を2人めの妻に迎えたという情報は、それでも早く他国にも轟き、とても喜ばしい出来事と捉えられたようで・・・

特に翡翠・翠母娘と愛紗を焚きつけ追いかけ回される桃香さんが、多くの家臣達に目撃されていたようである

 

ちなみに今回の事件の元になった”蓮 ”と”華 ”という蓮華の中に住まう2つの人格に関する治療には

”恋愛のまぢしゃん ”と自称する愛と美の伝道師こと”貂蝉 ”が担当することとなり

ちょっと・・・いや実に多大な不安が付き纏う夫となりし一刀でありました・・・

 

今の所、事件直後より随分精神的に安定しているわぁん、と気持ち悪い笑顔と親指をおっ立てる貂蝉の

診たてのお墨付きも貰っている現在の蓮華に少し安堵しつつも、女性とは誠に摩訶不思議な生き物であると思わざるを得なかった

 

                      ・

                      ・

                      ・

 

一方、この結婚の事実が書かれていた竹簡を即座に握りつぶし、怒りを顕にし1人憤慨し蓮華に執心し続けた人物、蔡瑁その人であった

周りにある調度品を殴る・蹴る・殴る・頭突きをかますといった怒りに任せた行動を取ったのだった

 

「おのれぇぇぇぇい! 孫策だけで飽き足らず孫権までもじゃと! 

 今直ぐ呉の各所を攻め落とし、儂自らえせ御遣いの北郷とやらの・・・種馬の素首!切り落としてくれるわ!!」

 

「蔡瑁殿! 怒りを沈めなされい! 誰か! 誰かおらぬのか!」

 

暴れる蔡瑁の体躯を御せぬと感じた蒯越は、即座に護衛兵へと応援要請するべく呼びかけた    

 

後々この時怒り狂った蔡瑁の妄執が結実し、〇〇となっていた蓮華が危機的状況に陥る事を

この時、仲良く睦みあう一刀と蓮華の2人が知る由もなかった・・・

 

 

 

 

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●『真・恋姫†無双 - 真月譚・魏志倭人伝 -』を執筆中

 

※本作品は【お気に入り登録者様限定】【きまぐれ更新】となっておりますので、ご注意を

人物設定などのサンプル、詳細を http://www.tinami.com/view/604916 にて用意致しております

 

上記を御参照になられ御納得された上で、右上部にありますお気に入り追加ボタンを押し、御登録のお手続きを完了してくださいませ

お手数をおかけ致しまして申し訳ありませんが、何卒ご了承くださいますよう、よろしくお願いいたします<(_ _)>

 

■■■【オリジナル人物紹介】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 ○孫堅 文台 真名は緋蓮(ヒレン) 

 

  春秋時代の兵家・孫武の子孫を称し、各地で起こった主導権争いに介入し

  『江東の虎』の異名で各地の豪族を震撼させた

  優秀な人材を率い転戦、やがて軍閥化し孫家の基礎を築いた

 

  容姿:髪は桃色で、孫家独特の狂戦士(バーサーカーモード)になると、右目が赤色に変化するのが特徴で、平時は量目とも碧眼である

  祭と同じく胸が豊満で背は祭より高い 体格は祭よりすこし大きい 顔立ちは蓮華というより雪蓮に似ているだろうか

 

 ○張紘 子綱 真名は紅(コウ) 

 

  呉国の軍師の一人で主に外交を担当。 魏の程昱(風)の呉版と考えていただけると理解しやすいだろう

   『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、姉の張昭と共に臣に迎え入れられる

  張昭と共に『江東の二張』と称される賢人

 

  ※史実では、呉郡の四性でも張昭と兄弟でもありませんのでお間違い無きように。。。 

   呉郡の四性の中で張温しか見当たらなかった為、雪月の”脳内設定”です

 

  容姿は青眼で背丈は冥琳より少し低い 顔は姉の王林とは似ておらず童顔で人に安心感を与える顔立ちである

  髪は腰にまで届こうかという長く艶やかに保った黒髪を束ね、ポニーテールと呼ばれる髪型にしている事が多いが

  その日の気分により、長髪を肩辺りで束ね胸の前に垂らしている場合もあるようである

  服装は藍色を基調とした西洋風ドレスを身を纏っている

 

 ○魯粛 子敬 真名は琥珀(コハク)

 

  普段は思慮深く人当りも良い娘で、政略的思考を得意とし、商人ネットワークを駆使し情報収集・謀略を行う

  発明に携わる時、人格と言葉遣いが変化し、人格は燃える闘魂?状態、言葉遣いは関西弁?風の暑苦しい人に変化する

  このことから「魯家の狂娘・後に発明の鬼娘」と噂される

 

  ※穏(陸遜)は本をトリガーとして発情しちゃいますが、、琥珀(魯粛)は発明に燃えると・・・燃える闘魂に変身って感じです

 

  容姿は真名と同じく琥珀色の瞳をもち、髪は黒で肌は褐色がかっており月氏の特徴に似通っている

  背は明命と同じくらいで、服装は赤を基調としたチャイナドレスを身に纏っている

 

 ○張昭 子布 真名は王林(オウリン) 

 

  呉国の軍師の一人で主に内政を担当。 冥琳とはライバル同士で互いに意識する間柄である

   『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、妹の紅(張紘)と共に臣に迎え入れられる

  張紘と共に『江東の二張』と称される賢人

 

  妹の紅は「人情の機微を捉える」に対して「政(まつりごと)の機微を捉える」という感じでしょうか

 

  容姿は冥琳より少し高めで、紅と姉妹でありながら顔立ちが似ておらず、冥琳と姉妹と言われた方がピッタリの美人系の顔立ちである

  眼鏡は使用しておらず、服装は文官服やチャイナドレスを着用せず、珍しい”青眼”でこの眼が妹の紅と同じな事から

  姉妹と認識されている節もある 紫色を基調とした妹の紅と同じ西洋風のドレスを身を纏っている

 

 ○程普 徳謀 真名は楓(カエデ)

 

  緋蓮旗揚げ時よりの古参武将であり、祭と並ぶ呉の柱石の一人 「鉄脊蛇矛」を愛用武器に戦場を駆け抜ける猛将としても有名

  祭ほどの華々しい戦果はないが、”いぶし銀”と評するに値する数々の孫呉の窮地を救う働きをする

  部下達からは”程公”ならぬ『程嬢』と呼ばれる愛称で皆から慕われている

 

  真名は・・・素案を考えていた時に見ていた、某アニメの魅力的な師匠から一字拝借致しました・・・

 

  容姿は祭と同じくらいの背丈で、端正な顔立ちと豊かな青髪をうなじ辺りでリボンで括っている

  均整のとれた体格であるが胸は祭とは違いそこそこ・・・ちょっと惜しい残念さんである

 

 ○凌統 公績 真名は瑠璃(ルリ) 

 

  荊州での孫呉崩壊時(※外伝『砂上の楼閣』)に親衛隊・副長であった父・凌操を亡くし、贈った鈴をもった仇がいると

  知った凌統は、甘寧に対して仇討ちを試みるものの・・・敵わず返り討ちにあう間際に、一刀に救われ拾われることとなる

  以来、父の面影をもった一刀と母に対してだけは心を許すものの・・・未だ、父の死の傷を心に負ったまま

  呉の三羽烏の一人として日々を暮らしている

 

  容姿はポニーテールに短く纏めた栗色の髪を靡かせて、山吹色を基調とした服に身を包んでいる小柄な少女

 (背丈は朱里や雛里と同じくらい) 真名の由来で目が瑠璃色という裏設定もございます

 

  ○朱桓 休穆 真名は珊瑚(サンゴ)

 

  『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の朱氏の一族

  槍術の腕を買われ、楓の指揮下にいた 一刀の部隊編成召集時に選抜された中から、一刀に隊長に抜擢された『呉の三羽烏』の一人

  部隊内では『忠犬・珊瑚』の異名がある程、一刀の命令には”絶対”で元気に明るく忠実に仕事をこなす

 

  容姿:亞莎と同じくらいの背丈で、黒褐色の瞳に端正な顔立ちであり黒髪のセミロング 人懐っこい柴犬を思わせる雰囲気をもつ  

  胸に関しては豊満で、体格が似ている為よく明命から胸の事で敵視されている  

 

  ○徐盛 文嚮 真名は子虎(コトラ)

 

  弓術の腕を買われ、祭の指揮下にいた 一刀の部隊編成召集時に選抜された中から、一刀に隊長に抜擢された『呉の三羽烏』の一人

  『人生気楽・極楽』をモットーにする適当な性格であったが、一刀と他隊長である珊瑚と瑠璃・隊長としての責に接していく上で

  徐々に頭角を現し、後に部隊内では『猛虎』と異名される美丈夫に成長を遂げていくこととなる 

 

  容姿:思春と同じくらいの背丈で黒髪のショートヘア 体格も思春とほぼ同じく、遠めからでは瓜二つである 

  二人の区別の仕方は髪の色である(所属部隊兵談) またしなやかな動きを得意としている為、思春の弓バージョンと言える 

 

  ○諸葛瑾 子瑜 真名は藍里(アイリ)

 

  朱里の姉 実力にバラツキがあった為、水鏡から”猫”と称される

  その後、水鏡と再会時に”猫”が変じて”獅子”になりましたわねと再評価される

 

  天の御遣いの噂を聞きつけた藍里が冥琳の元を訪れ、内政・軍事・外交とそつなくこなす為、未熟であった一刀の補佐に転属させられる 

  初期には転属させられた事に不満であったが

  一刀に触れ与えられる仕事をこなす内に(わだかま)りも消え、一刀に絶大な信頼を寄せるようになる

  後に亞莎が専属軍師につくと、藍里の内政面への寄与が重要視される中で、藍里の器用な才を愛し、軍師としても積極的に起用している

 

  容姿は朱里より頭一つ高いくらい 茶髪で腰まであるツインドテール 朱里とよく似た童顔でありながらおっとりした感じである

  服装に関しては赤の文官服を着用しており、胸は朱里と違い出ている為、朱里とは違うのだよ 朱里とは・・・

  と言われているようで切なくなるようである(妹・朱里談)  

 

  ○太史慈 子義 真名を桜

 

  能力を開放しない雪蓮と一騎打ちで互角に闘った猛者  桜の加入により瑠璃が一刀専属の斥候隊長に昇格し

  騎馬弓隊を任されることとなった(弩弓隊・隊長 瑠璃→子虎、騎馬弓隊・隊長 子虎→桜に変更)

  本来の得物は弓で、腕前は祭を凌ぎ、一矢放てば蜀の紫苑と互角、多矢を同時に放てば秋蘭と互角という

  両者の良い処をとった万能型である

 

  武器:弓 不惜身命

  特に母孝行は故郷青州でも有名であり、建業の役人街が完成した際に一刀の薦めもあって一緒に迎えに行く

  隊長として挨拶した一刀であったが、桜の母はその際に一刀をいたく気に入り、是非、桜の婿にと頼み込む程であった

   

  容姿はぼん・きゅ・ぼんと世の女性がうらやむような理想の体型でありながら身長が瑠璃ぐらいという美少女系女子

  眼はブラウン(濃褐色)であり、肩下までの黒髪 気合を入れる時には、白い帯でポニーテールに纏める

  一刀の上下を気に入り、自身用に裁縫し作ってしまう程の手先の器用さもみせる

 

 ○高順

 

  「陥陣営」の異名をもつ無口で実直、百戦錬磨の青年 

  以前は恋の副将であったのだが、恋の虎牢関撤退の折、霞との友誼、命を慮って副将の高順を霞に付けた

  高順は恋の言いつけを堅く守り続け、以後昇進の話も全て断り、その生涯を通し霞の副将格に拘り続けた

 

 ○馬騰 寿成 真名を翡翠(ヒスイ)

 

  緋蓮と因縁浅からぬ仲 それもその筈で過去に韓遂の乱で応援に駆けつけた呉公に一目惚れし

  緋蓮から奪おうと迫り殺りあった経緯がある

 

  この時、緋蓮は韓遂の傭兵だった華雄にも、何度と絡まれる因縁もオマケで洩れなくついて回ることとなるのだが・・・  

  正直な処、緋蓮としては馬騰との事が気がかりで、ムシャクシャした気持ちを華雄を散々に打ちのめして

  気分を晴らしていた経緯もあったのだが・・・当の本人は、当時の気持ちをすっかり忘れてしまっているが

 

  この事情を孫呉の皆が仮に知っていたのならば、きっと華雄に絡まれる緋蓮の事を自業自得と言いきったことだろう・・・

 

 ○青(アオ)

  白蓮から譲り受けた青鹿毛の牝馬の名前 

 

  白蓮から譲られる前から非常に気位が高いので、一刀以外の騎乗を誰1人として認めない 

  他人が乗ろうとしたりすれば、容赦なく暴れ振り落とすし蹴飛ばす、手綱を引っ張ろうとも梃子でも動かない

  食事ですら・・・一刀が用意したモノでないと、いつまで経っても食事をしようとすらしないほどの一刀好き

 

  雪蓮とは馬と人という種族を超え、一刀を巡るライバル同士の関係にある模様

 

 ○狼(ラン)

  珊瑚の相棒の狼 銀色の毛並みと狼と思えぬ大きな体躯であるが

  子供が大好きでお腹を見せたり乗せたりする狼犬と化す

 

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【あとがき】

 

 

常連の読者の皆様、お初の皆様 こんばんは 雪月でございます

いつも大変お世話になっております

 

いや~びっくり ここ2回ほどですか 新しく導入された時間指定をセットしてたのですが

人物設定の中ほどから、あとがき最後まで見事に切れて消失しておりました

 

コピペしてからも文章全てチェックした筈ですので、びっくりいたしました次第です

ホラーでしょうか? ”華 ”の呪い? ガクブル・・・こんなこともあるのですね

 

まぁこれくらいの文章でしたら、私の記憶に残っておりますので大差ないのですが

 

孫呉千年の大計が今週で『満1周年 』を迎えることとなりました

1年の長きに渡るコメント・コレクション、支援ボタン、ツイートによるご支援を戴けましたこと

誠にありがとうございます 心より厚く御礼申し上げます<(_ _)>

 

この度の暗いお話に関しましては、雪蓮の方で使おうかと考えていた作品であります

 

ですが、黒蓮華を以前出していた事、正史にて孫権さんの晩年、二宮事件(の変)などで

多くの忠臣を失うこととなり、晩節を汚した点を黒蓮華と重ねて制作しました次第です

 

セットして2日経とうとしておりますが、前話よりやっぱり少ないように思えますね

 

最初の注意書きで回避できた方々なのかもしれませんけれど・・・

自身でもかなりダークな気持ちになりながら制作しただけに

”華 ”なんて恐ろしい子!とは感じております

 

第3章拠点では、バランスをとって明るい話題を提供できればとは思っております

 

@は読んでくださった皆様の感想を真摯に受け止め、今後の作品作りへと生かすだけであります

ご批判おkですので、遠慮なくカキコお願いいたします

 

 

最後に次週は、第1位を守り続けている冥琳の拠点SSとなります

 

今少し制作しておりますが、ヤベエ 長いぞ 長いすぎるぞ! 纏めきれず制作が難航しておりますががが

SSの範囲の文章に纏められるよう努力する所存です(滝汗

 

1年で58作品(魏志の人物設定除く)を制作出来たのは皆様のご支援あってのことだと思っております

今後とも変わらぬご支援、どうぞよろしくお願い致します<(_ _)>

 

これからも皆様の忌憚のない御意見・御感想を、制作の糧にすべくコメント等でお聞かせ下さいませ

それでは次回更新まで(*´∇`)ノシ マタネ~♪

 


 
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