第四話 これからするべきこと
キリトside
「でも、不思議だね…。ずっとこの世界で暮らしてきたような、そんな気がするよ」
「…俺も最近あっちの世界のことをうまく思い出せないときがあるな」
アスナの一言は確かに的を射ていた。
家族とか大切なこととかは覚えてはいるものの、その他のことを思い出そうとするとまるで霧がかかったかのように思い出せないのだ。
「それに最近は攻略のペース自体落ちてきているしな」
「そうだね…攻略組も最大の時は2000人ぐらいいたのに今は多くても600人いないし…」
階層が上がるたびにモンスターは強くなり、被害者も増えてきている。
そのため攻略をあきらめて、今の人数になってしまったのだ。
それに危険度のせいだけではないだろう。
俺たちはこの世界にあまりにも馴染みすぎた。
「でも、私は帰りたい。向こうでやり残したことがいっぱいあるから」
「そうだな。サポートしてくれている人たちに申し訳ないしな……」
俺は言葉とともに紅茶を飲みほした。感謝の念を伝えようとアスナを見ていたら
「あ、あ…やめて」
脈絡もなくそんなことを言い出した。
「前にもそういう顔で結婚を申し込んできた男プレイヤーがいたの」
俺はしばらく言葉を失っていた。やっぱりもてるんだな………。
「……その男ども、どうしてくれようか」
「ん、何か言った?」
「いや、なんでもないよ」
つい、本音が出てしまった。気をつけておかないとな……。
俺は、微妙になった空気を変えることにした。
「ところで何か俺に用があるんじゃないのか?」
「あ、えっとね、……」
珍しく言葉を濁すアスナ。
「君はどこかギルドに入る気はないの?」
俺はいきなりのことで言葉に迷った。《ビーター》である俺に入る場所なんて……
「ベータ出身が集団に馴染まないのはわかるわ。でも、70層超えたあたりから敵のアルゴリズムにイレギュラーが多いような気がするの」
「ソロだと今では対応できても、今後はわからないわ。想定外の事態が起こるかもしれないの。だからパーティーを組むだけでも安全性がずいぶんと違うと思う」
「確かにな。だが、俺はギルドに入るつもりはない」
俺は冷静になり、その答えを言った。
「パーティーに関しても一緒だ。パーティーメンバーは足手まといになるしな」
――ちょっと冷たすぎたかな……
今更のように思いながら、俺はアスナの言葉を待った。
「そう、なら…」
目の前に白銀の閃光が走った。
俺は避けることも『
俺の鼻先にはぴたりとナイフが突きつけられていた。
「あなたと同等、もしくはそれ以上なら組んでくれるってことかしら」
アスナは勝ち誇ったように言った。
「ああ……そうだな。あんた
「そう、なら明日からさっそく迷宮攻略に行きましょうか」
明日かぁ…確かあいつからは一日って来てたよな…。
「すまないが、明日は用事があるんだ。明後日の朝9時、74層ゲート前でいいか?」
「用事、ね…。分かったわ。明後日ね」
俺たちはそのあと他愛のない話をした後、俺はお暇を告げた。
キリトside out
To be continued…
あとがきです。
投稿遅くなりました(・ω・;
次はいよいよオリキャラたちの登場です。
ではでは~
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アスナがキリトを説得?する場面ですw
原作には沿いますが・・・読んでからのお楽しみです。
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