No.626777

働きたくない錬金術師

たかBさん

第二話 年齢規制はないやつなのに。

2013-10-10 17:13:39 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:2948   閲覧ユーザー数:2750

 第二話 年齢規制はないやつなのに。

 

 

 

 ほりほりほほり♪ほほりほり♪

 

 「ひゃっはー!お宝ゲットだぜ!」

 

 いつもはやる気が出ない発掘作業も今回ばかりはテンションが上がる。

 なんと今日は青く光る宝石を掘り起こしたのだ。

 以前爆発させた洞窟の奥にあった遺跡の中でそれを発見した。

 太陽の光も浴びずにピカピカと光る植物の種のような青い宝石。

 これを売りとばせば大金持ちに…。

 財産のあるニートに!

 

 ピカピカッ。

 

 俺の思いに答えるかのようにドンドンドンドン光る強さを増していく宝石が点滅していた。

 

 「兄さん!それ早く封印して!」

 

 「兄にそんな器用なスキルは無い!」

 

 その言葉を発した直後。

 俺は意識を手放した。

 

 

 「ふむ。どうやらこの宝石は強い思いに応えて不思議な力を発揮するようだな」

 

 族長と俺の両親。ユーノ。そして数人の大人の人間で発掘した宝石について話し合いをしている。

 あの強くなっていった光に飲み込まれた後、ぶつっと意識を失い気がついたら全身ぐるぐる巻きにされていた。

 バインドと言う魔法の光の鎖で…。

 

 「なぜこのような状態に?」

 

 「また暴れられると困るからな」

 

 どうやら俺はあの光で気を失った後、野生の獣ように暴れまわって、自分が寝ていたキャンプの中に押し入り、急に倒れたらしい。

 その原因は俺の部屋にあった【未鑑定の調合薬:熟成中】を飲みほしてぶっ倒れたから。

 あとになって鑑定してみると【特殊回復薬:麻痺】。レベル3と出た。

 体力と魔力が少し回復するが強烈な麻痺に襲われるというものでその威力は二メートルを超える肉食獣すらもぶっ倒れる物だとか…。

 よく無事だったよ俺。

 速効性な分、麻痺時間も短いから麻痺はもう回復しているけどね。

 

 「で、これは管理局預かりにしてもらう」

 

 「なんで?」

 

 「また暴走すると危ないから」

 

 なるほど。

 

 「ナンブが」

 

 「なるほど」

 

 ユーノ?!

 納得しちゃうの!兄さんは悲しいよ!でも否定もしないよ!

 

 「管理局でなら有益につかってくれるだろ。たぶん、何かの動力炉にでもするだろうな」

 

 「ナンブなら騒動に使いそうね」

 

 使いそうじゃない。使ってやる!

 

 「母さん。信じているから(悪い方向に)」

 

 「妙に母さんの目が優しいよ」

 

 「きっと禄でも無い事を考えているんだろう」

 

 「正解だ父さん」

 

 管理局とは世界を統合する警察兼国家みたいなものらしい。

 あと、世界には多数あり人のいない異世界から前世の世界のように魔法が知られていない国家がある管理外世界というものがある。

 その両方をまとめて監視するのが管理局。

 世界の保安から危険物の取り扱いもかねている

 そこは万年人材不足らしい。仕事もハード。絶対関わりたくない。

 

 ノースローライフ、ノーライフ。

 

 働かずに飯を食って生きたい。

 働くにしても楽したい。

 などとくだらない事を考えているナンブだった。

 

 「それじゃあ、この宝石『ジュエルシード』は管理局に引き渡しの方向で」

 

 「「「異議なし」」」

 

 「それじゃあ、いち、にい、さん…。20個のジュエルシードを本国に送るとするか」

 

 「あれ?20?」

 

 「どうした。ユーノ?」

 

 「いえ、発掘したのは全部で21個のはずなんですけど…」

 

 数が合わないと首を捻っているユーノの傍で俺はぺっ。と、青い宝石。ジュエルシードを吐き出す。

 

 「ん~、まずい。もう一個」

 

 「「「食うなよ危険物!」」」

 

 「食べたら美味しいかもしれないだろ?どこかの世界には砥石のカスで出来た調味料があるくらいだし」

 

 「どこは何処の世界なの兄さん?」

 

 「なんでお前はそう変な事には意欲的なんだ?」

 

 「グルメだから」(キリッ)

 

 「そう。それは良かった今日のご飯は巨大カブトムシの幼虫の生け作り酢漬けだから」

 

 「虫は勘弁してくださいお母様」

 

 しかも生け作りって、やだぁあ。

 

 「え?あれって口の中でもにょもにょして、ぷちっと潰すと生ぬるいけどクリーミーな肉汁が出て美味しいけど?」

 

 うちの弟は見かけによらず強くなりました。

 じゃなきゃ俺とコンビを組んで発掘とかしないか。

 

 そんなこんなで翌日。

 常日頃変な薬を調合している罰としてユーノと共に管理局にジュエルシードを届けに行くことが決まった。

 転生したから精神年齢は40過ぎているだろう俺とはいえど、子どもだけで巨大組織に赴かせるとはどういう了見だ。

 しかも世界を転移する機械。というか、ちっさい船の操縦も俺に任せるなんて…。

 

 「貴方は時々遺跡調査をさぼってよくミッドやいろんなところに行っているから操縦は慣れているでしょう?」

 

 文句を言ってやろうとしたがお母様にそう言われ何も言えなかった。

 親父に操縦方法を教えてもらってからは、自分で転移装置の燃料から、ローヤルゼリーたっぷりの石鹸や化粧水をミッドで非公式に売りさばいて貯金&さまざまな世界の物を『鑑定』。調合しているのがお母様にはばれていたようだ。

 鑑定したら美容効果大と明記されていたしな。一族の女性からまた大量に調合してくれと頼まれるから小出しして使っている。

 これをネタに仕事をさぼらせてもらったこともしばしば。

 それはそうと親父、喋ったな!

 ミッドで購入した『ドキドキ!ミッドのエロい制服百選』の事ばらしてやる。

 ちなみにユーノはこの事を知らない。

 ユーノ。お前は純粋なままでいて…。

 

 「お母様。ちょっとお話が…」

 

 

 ア―――――――!!

 

 

 

 …お母様。どうして俺まで折檻を?俺の大事な写真集まで処分を…。

 え、十歳のお前にはまだ早い?

 年齢規制はないやつなのに。

 …ぐすん。

 

 しばらく帰って来れないので化粧品や洗剤といった生活薬品の数々(ミッドで売ってぼろもうけするつもりだった)をお母様に取り上げられ、とぼとぼとユーノと共に管理局の局員が駐在している世界へと俺達兄弟は転移した。

 

 写真集と共に炎にくべられている親父を背景にしながら。

 

 

 


 
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