気が付いた娘は家屋の端でこちらを不安そうに見つめていた。
「起きたとたんあれだ」
あんたの顔を見て逃げたんじゃないのか?
「何かしたんじゃないのか?」
その顔を向けた時点で何かしたに等しい行為なんだが・・・。
「なにもしてねえ!」
このおやじはロリ疑惑ありだな・・・俺が見付けなければそのまま誘拐したに違いない!
「取り敢えず、俺が看とくからあんたは仕事に戻ってくれ」
「ああ、何かあったらいってくれ。外で網の手入れをしてるから」
漁師のおやじは、どことなく残念そうに家の外へと出ていった。
「分かった」
さてと、起きたら腹が減ってるはず、と言うことで干し肉を戻したスープだ!
この匂いには勝てまい!
お腹の虫が鳴いているのは把握済みだ。
さあ、寄ってこい、寄ってこい。
白夜の心の声に反応するかのように、その娘は少しずつ近付いてきたが、ある程度から近付いてこなかった。
やはり、警戒心が高いようだ・・・おやじの顔のせいかもしれないが・・・。
「さあ、食べていいぞ」
椀を置いて少し離れると、その娘は一気に椀まで走り寄って食べ始める。
余程空腹だったのだろう。
今のうちに、気の調整を行っていく。
違和感を感じさせないように・・・。
食事をとったせいか、その娘は元気になり立ち上がると、腰布の中から尻尾が表れた。
・・・尻尾・・・だと!?
「おお~い。網の中にこんなものがあったんだが、お嬢ちゃんのかい?」
おやじが持ってきたものは、帽子と手袋と靴だった。
「あんた、一体なんて格好してんだ?」
・・・その手の物を『こんなもの』だと!?
「返してにゃ~」
素早くおやじを気絶させ、その手に持っていたものを、娘に装着していく。
「これで大丈夫だ。補修が必要なら俺に言うといい。完璧に補修することを約束しよう」
悪は懲らしめた。当然の報いだ。
「ありがとにゃ~」
嬉しそうにしていたため、頭を撫でておく。
それにしても、何故こんなところに量産型がいるんだろうか・・・しかも、一体だけ・・・。
「他に仲間は居ないのか?」
量産型は三匹?セットのはず・・・なぜこの娘だけ?
「いっぱいいるにゃ~。シャムだけ川に落ちたにゃ~」
どじっ娘属性を持っていたのか・・・うっかりも持ってそうだな・・・。
と言うか、よく死ななかったな・・・。
「これからどうしたい?」
「帰りたいにゃ~」
ですよね。
暴漢の魔の手から救った俺は、通常の予定通り孫権のところへと向かっていった。
決して幼女誘拐ではない・・・。
これはペットなんだ!
「俺が連れていってあげよう」と、片手に干し肉を持ったまま言うと、「ついていくにゃ~」と、素直に言ってきたので、共に行動している。
『かんがえる』の『か』の字すら置き去りにするほどの即答だった。
素晴らしい即決と言わざるを得ない。
だからと言って、他の人にも気を付けねばならないので、注意を促す。
「何度も言うが、俺以外の知らない人についていっては駄目だぞ。ついていったらいろんな意味で食べられてしまうからな」
「わかってるにゃ~」
シャムは頷くと、こちらを抱き締めてくる、甘えているのかそれとも・・・。
俺も、離すまいと片手にてシャムを支えていた。
どうやら、あまり人に見られたくないのか、警戒心がかなり高い。
その警戒網に引っ掛からないように気を付けねば、こちらも警戒される恐れがある。
このような時に、自然との一体化技術が役に立つとは・・・。
まあ、シャムが抱き付いている確実な理由がある。
馬の初乗りってお尻痛いですもんね。
最初は馬に乗せるのに苦労した。
まずもって馬を知らない・・・。
しかし、興味があるのか、触りまくるのに乗ろうとしない。
無理矢理乗せたあとも、遊んでいたが、乗りかたを教えると嫌がったため、このような抱っこする形になってしまった。
これは、普通だったら喜ぶところだが、胸が残念すぎる・・・
取り敢えず進路は南西に向けて進んでいる。
丁度進路も孫権たちのいる方だからだ。
南蛮って確かの大陸の南西付近じゃなかったっけ?
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本作品は華陀への転生ものです。
【注意事項】
素人の書きなぐりです。
はっきり言って自己満足なだけのものです。
一応昔に恋姫はしたことありますが、うろ覚えですので、改変が多々あると思います。
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