No.617132

【恋姫二次創作】死神の毒 大きな策の効力

眠い。

2013-09-08 01:37:29 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:861   閲覧ユーザー数:816

 

~一刀side~

 

「それで朱里、雛里、ソウ。策っていうのは?」

 

「まず第一は、敵を陣地から引っ張り出すことです。」

 

「その後野戦に持ち込むこと。……ただし平地で対峙してはいけないこと。」

 

「数で負けているのなら、数で負けない状況を作り出せば良いんです。」

 

「数で負けない状況を作る……。つまり……。」

 

大軍を相手にして、平地で戦うのが駄目だっていうのは分かる。

 

大軍を自由に展開され、包囲されようものなら、苦戦は免れないんだから。

 

だけど……なら、どうすれば敵の数に負けない状況を作り出せるのか……。

 

「ソウ、どうすればいいの?」

 

みんなズッコケる。

 

兵で話を聞いていた者もズッコケていた。

 

そこまでしなくても……

 

「こっちもか……良いですか、一刀殿。包囲されるのが一番厄介なのですねぇ。つまり包囲されない状況を作ればいいんですねぇ。」

 

「……あ!なるほど。道が狭くなってるところを利用すれば良いのか!」

 

ソウは服に付いた砂を掃いながら頷く。

 

「しかしソウさん。我らの行く手には狭間など、どこにあります?目の前には果てしなき荒野が広がるのみですが……」

 

「あ、あの、あ、ありますよ?」

 

「へっ?」

 

「ここより北東へ二里ほど行った所と、北西へ二里の所に川が干上がってできた谷があります。」

 

「ええっ?でも地図にはそんなところ載ってないよー?」

 

「その地図、市販のものですよね……?」

 

「う、うん。お店に売ってたやつだけど……」

 

「なら、正確な地図では無いですね。」

 

「えーっ!そうなのか?」

 

「……じゃあこの地図って偽物?」

 

「いえ、正真正銘、本物ですよ。ただ、市販の地図には、旅人や隊商の人たちがよく使う道とか、山とかしか書いてないってだけです。」

 

「あ、なるほど。人々がよく通る道だけを書いておけば、地図としての役割は果たすか。」

 

「はい。正確な地図は、漢王朝や官軍しか持ってないんです。地図というのは戦略戦術を決定する上で一番大きな要素となります。地理に詳しくないと作戦は立てられませんから……」

 

「最近、力をつけてきた地方の諸侯も、独自の力で地図を作っているみたいですけど、多分、公孫賛さんはそこまで気が回っていなかったのかも……」

 

「うー……白蓮ちゃんって時々、そういう大ボカをやらかすんだもんなぁ……。」

 

「お姉ちゃんが言うななのだ。」

 

「うぐぅ……それもそうだねぇ……。」

 

思わず納得した桃香に噴き出しながら、朱里たちに続きを促す。

 

「……幸いですね、私たちは数年前に、ソウ先生が水鏡先生に持ってきた正確な地図を見せてもらうことが出来ました。」

 

「あの地図は僕が旅したとこと、王朝の地図で大陸一正確な地図ですからねぇ。まぁ、今は他の人に渡したんですけどねぇ。でも僕ら三人はしっかり覚えていますよ。」

 

「お、覚えてるって。もしかして大陸全部の地図を丸暗記してるとか?」

 

「……(コクッ)」

 

「す、すごいのだぁー……。」

 

「えへへ、それほどでも……。」

 

「仕事上、仕方なく覚えてしまいましたねぇ…。」

 

テレテレと顔を赤くしながら、恥ずかしそうに体をよじる二人と、「さすがに丸暗記は大変でしたよ」と呟くソウ。

 

「じゃあ、どっちの狭間に敵を誘い込む?」

 

「えと、北東の方が敵の拠点から近いですし、そっちがいいと思います。」

 

「なるほど、じゃあ北東で「まってくださいねぇ」ん?どうしたの、ソウ?」

 

「北東より少々距離はありますが、木の多い北西の方が良いですよ?」

 

「えー、近いほうが敵を誘い出しやすいと思うのだー……」

 

「ケケッ、北西の方が良い風が吹きますよ?」

 

「良い風?」

 

「あ、なるほど!」

 

真っ先に理解した雛里に続き、朱里も「あっ!」と声を出す。

 

「流石です、ソウ先生。その手がある事を忘れてました。」

 

「うーん、どうせ私たちが聞いてもわからないし、三人が言うならきっと大丈夫だねー。」

 

と、能天気に言う桃香。

 

「なら、北西の狭間に敵を誘い込むことにするとして。どうやって誘い出す?」

 

俺は作戦を確認するために訊いてみる。

 

「敵が構築する陣の前に、全軍で姿を現して、あとは逃げるだけで良いのか?」

 

「いえ、それよりも足に自身のある者を選んで、半分くらいで行った方が良いと思います。」

 

「ん?何故だ?」

 

「敵は賊、しかも一万という大軍でうかれている。三千五百人ほどで行っても全軍だと勘違いするでしょうし、僕らの軍は正規軍には見えませんからねぇ。ちなみに狭間の奥まで逃げてくださいね。自分たちの逃げ道も確保してください。」

 

「見た目といえば、白蓮お姉ちゃんに武器とかもらったけど、あとは着の身着のままの義勇兵だもんなー。」

 

「そういうことです。目の前に弱そうな敵がいたら……黄巾党はどう考えるでしょう?」

 

「我らを舐めきり、殺し尽くそうとして獣のように襲いかかってくるだろうな。」

 

「はい……。元々、明確な主義主張があるのは黄巾党の中心にいる一部の人たちだけで、あとは食い詰められた農民達が欲望のままに動いている……これが黄巾党の正体ですから。」

 

「殺し尽くし、奪い尽くし、焼き尽くしってヤツか。……獣でもそこまでしないだろうに。」

 

「だからこそ、だよ。だからこそ、私たちがコテンパンにやっつけないといけないの!」

 

強い光を瞳に宿した桃香は、拳をきつく握りしめながら、力強く言い切る。

 

その瞳が。

 

その声が。

 

俺の……いや、俺たちの心に火を付ける。

 

「……そうだな。よし。作戦は決まった!あとは行動するだけだ!」

 

「御意!」

 

「愛紗は前衛を率い、状況に応じて反転、狭間を目指す。鈴々は後衛。」

 

「えーっ!鈴々は先陣を切りたいのだ!」

 

「ダメダメ。愛紗が反転したあと、移動する部隊の殿を守ってもらわなくちゃダメなんだから。」

 

「むぅー……そういうことなら仕方ないのだ。でも次は鈴々が先陣ー!」

 

「おうおう。約束な。……んで、鈴々の補佐をソウにお願いして良いかな?」

 

「はい。朱里と雛里もどうすれば良いか、だいたいわかっているようですから、狭間の方は任せてみましょうかねぇ。」

 

「「了解です♪」」

 

「ご主人様ー。私はどうするのー?」

 

「桃香は当然、狭間にいる本陣で待機。雛里と朱里とソウの作戦のお手伝い。」

 

「もちろんご主人様も本陣だよね?」

 

「前衛で先陣きって戦う!

 

……って方が人の上に立つ人間としては良いのかもしれないけど、そんな力、俺には無いからね。本陣に居させて貰うよ。」

 

「当然です。ご主人様は我らの大切な御方。前線で戦うのは、我ら臣下にお任せ下さい。」

 

「お兄ちゃんのことは鈴々たちがしっかり守るから、たくさん安心するのだ!」

 

「うん。頼りにしてる。……じゃあ行こう!」

 

「はっ!」

 

「じゃあ方針も決まったことだし、みんな、敵さんめがけて微速全身~♪」

 

気の抜けた桃香の掛け声に、部隊のあちこちで笑いが起きる。

 

それが丁度良い気分転換になったのか、軍全体にリラックスした雰囲気が感じられた。

 

この様子なら、初陣の多い義勇兵たちでも全力を発揮出来るだろう。

 

あとは俺たちの頑張り次第。

 

……リラックスする兵士たちに囲まれながら、俺たちは徐々に緊張を高めていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~ソウ side~

 

荒野を吹き抜ける風に旗をなびかせ、威風堂々とした足取りで、敵陣めがけて進軍していきます。

 

「前方、黄巾党陣営に動きあり!」

 

賊軍の拠点に向かい、しばらく進軍すると前方に放っておいた斥候(劉備兵)が、次々と状況報告に戻ってきました。

 

「わかりました。愛紗殿!鈴々殿!」

 

「はい!全軍戦闘態勢を取れ!作戦は先ほど通達した通りだ!」

 

「まずは敵の初撃をいなしてから、隙を見て転進!この場を後退するのだ!」

 

「各員、僕らの指示を聞き逃さないでくださいねぇ!」

 

「「「「「応っ!!」」」」」

 

「これが初陣になるものも居るだろうが、皆で平和な世のため気張れ!!」

 

「「「「「おおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」」」」」

 

士気は上々、指揮も上々。

 

集中が続けばこの戦、勝てますねぇ。

 

「敵陣開門!来ます!」

 

「行きますよ、皆さん!」

 

「勇敢なる戦士たちよ!我に続けぇぇぇーー!!」

 

愛紗殿の雄叫びと共に咆吼した兵士たちが、地響きをあげて敵に向かって突進していきます。

 

そんな僕らの動きに合わせるように、前方で天高く土煙が舞う。

 

やがて……両軍が激突しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黄巾「死ね!!死ね!!死ね!!死ねーーーーーーーーーっ!!」

 

兵士「うおおおおっ!!死ねこの野郎!!」

 

黄巾「てめぇ殺す!!ぜってぇ殺す!!」

 

兵士「こっちの台詞だこらぁ!やってやんぞこのヤローどもが!」

 

戦場の各所で巻き起こる、激しい罵りあいと鋭い剣戟の音。

 

悲鳴、怒号、罵声が飛び交い、肉体がぶつかり合う鈍い音が腹の底にまで響き渡ります。

 

どこかで絶叫がおこるたびに、渇いた地面が鮮血を欲しているかのように吸っていきます。

 

「……」

 

目の前で繰り広げられる、凄状としか言い様の無い何時もの戦と何も変わらない人と人の殺し合い。

 

最初の時は目を背けようとしたし、胃の中のものを全てぶちまけそうにもなりましたねぇ。

 

そして、前線のぶつかり合いは更に激しさを増し、徐々に押され始めてきました。

 

「んー、まだ少々早いでしょうか?」

 

ジリジリと下がってくる前線の兵士たちの様子に、胸の内が焦りと不安で一杯になる……なんてことは無く、自分は自分でも驚くほど、自分は当然のように落ち着いています。

 

「ソウのお兄ちゃん!!まだ後退したらダメなのかー?だんだん押されてきてるのだー!!」

 

「まだですねぇ。まだ敵の後方部隊を引きずり出せていませんねぇ。あと少し……我慢してくださいねぇ。」

 

「我慢って言っても、このままじゃ前線が崩壊してしまうのだー!!」

 

「まだ大丈夫ですねぇ。まだ愛紗殿が奮闘してくれています。」

 

僕の頬に一筋の汗が流れる。

 

いつの間にか自分でもこの戦に本気を出していたようです。

 

こんなことでは僕のせいで僕の計画に狂いが……いや、この『物語』に狂いが出るかもしれませんねぇ。

 

「……」

 

僕の言葉を聞いて、前線の愛紗殿を見る鈴々殿。

 

やはり心配そうであるが、愛紗殿を信用し、僕らの策を信頼しているからこそここに留まっているのでしょう。

 

やはり、この子がこんなところに居るのは、もったいないというものですねぇ。

 

前線では愛紗殿が周りの自軍の兵に対し、踏ん張るように叫んでいます。

 

「っ!!やっぱり愛紗はすごいのだー!!」

 

鈴々殿は前線の愛紗殿の踏ん張りにより、前線が持ち直したことしたことに安心と共に安堵の顔をします。

 

「前線の兵を増やしてくださいねぇ。逃げられるようあまり前に出すぎてはいけませんよ!!」

 

僕は前線に援軍を送るよう伝える。

 

「はっ!!」

 

行動はとても速く、兵士たちも前線へ行き、仲間を助けたかったのでしょう。

 

すると僕の袖がクイクイと引っ張られる。

 

「ソウのお兄ちゃん、ありがとうなのだ!」

 

「別にお礼を言われることではありませんねぇ。」

 

鈴々殿はとびっきりの笑顔を向けてくる。

 

まるで『あの人』のように……

 

「っ!!ようやく来ましたね!!もう少し戦ってから引きますよ!!」

 

こちらが援軍を出すのと共に、敵も後方から援軍を出し、望んだ形まであと一歩となる。

 

「伝令!!愛紗殿にもう少し戦った後、前線に行った援軍の兵と共に殿を任せます、と伝えてくださいねぇ!!」

 

「御意!!」

 

「鈴々殿、狭間に着いたとき真っ先に愛紗殿の手伝いに行ってくださいねぇ。」

 

「わかったのだ!!鈴々の凄い所を見せつけてやるのだー!!」

 

 

 

 

 

 

 

「今ですねぇ!!全軍撤退しますよ!!」

 

伝令だけではなく、前線の愛紗殿にも伝わるくらいの大きな声で言う。

 

伝令は聞いた後、すぐに前線へと走っていく。

 

「ここが肝心です!!全員気を更に引き締めてくださいねぇ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「華琳様。西方に砂塵を確認しました。……恐らく黄巾党とどこかの軍が戦っているのだと思われます。」

 

「そう。この辺りの敵に目を付けたとなると、その部隊、官軍では無さそうね。」

 

「恐らくは。……主戦場より離れた地であるのに、戦略上、重要な拠点となりうるこの場所に目をつけるなど、愚昧な官軍にできるはずがありません。」

 

「諸侯の中にも、なかなか見所のある人物が居るということでしょう。」

 

「ふむ……。一度顔を見てみたいわね。」

 

「向かいますか?」

 

「そうね。だけどまずは目の前のことを終わらせましょう。……春蘭。」

 

「はっ!」

 

「秋蘭。」

 

「は……」

 

「躾のなっていないケダモノに、恐怖というものを教えてあげなさい。」

 

「「御意!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「後方の状況は!」

 

「関羽様が追い払わず、諦めさせず引き付けてきています!」

 

「ふむ、鈴々殿。準備をしておいてくださいねぇ。」

 

「わかったのだ!」

 

「しっかり引き付けますよ。狭間を通り過ぎたあたりまで引きます、皆さんちゃんとついて来てくださいねぇ!!」

 

「「「「「応っ!!」」」」」

 

駆け足で進みながら、兵士たちの雄叫びを聞きます。

 

部隊の中に広がっていく一体感にも似た雰囲気。

 

皆が皆、戦いに向けての高揚感に身を震わせ、決戦の時を待っていますねぇ。

 

道の両側にそそり立つ壁が、視界の隅から前方へと迫り始め―――やがて、逆に視界の端へと広がり始めます。

 

「鈴々殿!今です!!行ってください!!皆も後ろを向き、賊を懲らしめますよ!!」

 

僕の声と共に、兵士たちが一斉に足を止め、その場で方向転換する。

 

鈴々殿も愛紗殿の方へ、兵を引き連れて行く。

 

「来た賊を倒しなさいねぇ!!攻めるのではなく来た賊のみですよ!!」

 

「待ってましたーなのだー!」

 

「行くぞ!!反撃の時だ!!」

 

「「「「「おおおおーーーーーーーーーーーーーーっ!!」」」」」

 

 

 

 

 

「そろそろ我慢の限界なのだ!!めいいっぱいやってやるのだー!!愛紗ー、背中は任せたのだー!!」

 

「ああ!!鈴々の背中は私が守る。……私の背中も頼むぞ?」

 

「当然♪みんなー、徹底的にやってやるのだー!!」

 

「「「「「応っ!!」」」」」

 

「突撃、粉砕、勝利なのだー!」

 

 

 

 

 

黄巾党軍10000

 

[陣形 無陣形]

 

 

 

 

 

「あぁ!?なんだアイツら!!後ろに敵が現れやがったぞ!!」

 

「気にするこたぁねぇ!!俺らは一万もいるんだぞ!!負けるわけねぇだろうが!!」

 

 

 

「ソウ先生!!策の準備が終わったので、策を実行する人以外は、挟み撃ちにするために向かってもらいましたー!!」

 

「上出来ですねぇ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

劉備軍3500+2500

 

[陣形 鶴翼の陣 挟み撃ち]

 

 

 

「へっ!俺ら黄巾党の力で返り討ちにしてやるぜ!」

 

「やれるものならやってみろ!!」

 

「鈴々たちの力、思い知らせてやるのだ!」

 

愛紗殿、鈴々殿や前線の兵が黄巾党軍の前線の兵を潰し、前線より少し後ろの兵が矢を放ち、黄巾党軍の中ほどの兵を倒していきますねぇ。

 

黄巾党軍の後ろの見方も押しているようで、黄巾党軍はどんどん圧縮されていく。

 

「むむむっ!」

 

「何がむむむだ!」

 

「野郎共!陣形を組むぞ!」

 

「今更遅いのだ!!」

 

「うるせー!!やってみなけりゃ分からんだろ!!」

 

「そろそろ策を行います。皆さん準備はいいですかー?」

 

 

 

 

 

 

 

 

黄巾党軍6800

 

[陣形 突っ込み型(黄巾党発案のただただ突っ込む陣形。しかし衡軛陣の方が突撃として普通に強い。)]

 

 

 

「うぉおおおお!!突っ込めぇ!!」

 

「やっぱり馬鹿なのだー。来てる奴を受け流しながら倒してるのに、ただただ突っ込むだけなんて逆に倒しやすいのだー!!」

 

黄巾党軍は「うぉぉおおおお」と突っ込んで来ているがどんどん倒されていっています。

 

「っ!!今でしゅ!!」

 

「皆さん、木を落としてください!!」

 

「な、なんだぁ!?」

 

「うぉお!?木が落ちてくるぞ!!」

 

どんどん黄巾党軍に落とされる太い木。

 

挟み撃ちにあい、圧縮されているため、どんどん潰されていく黄巾党軍。

 

木を落とすよりも、木を切る方がたくさんの人がかかりますからねぇ。

 

「伝令!!」

 

「はっ!!」

 

愛紗殿は伝令から、燃えている松明を手に取り、黄巾党軍の中ほどまでに投げました。

 

「ここら辺はここは昔、川でしたからねぇ。最近では雨も降らず、乾燥していて良く燃えるんですよねぇ。」

 

そう呟くと、黄巾党軍の中ほどに落とされ続けている木に引火する。

 

「そろそろですかねぇ?」

 

すると、どこからか強い風が吹きます。

 

ここはいろいろな方向から強い風が吹き、火がついている今、竈のような状態になるのですねぇ。

 

中心にいても焼かれ、前に居ても鈴々殿と愛紗殿の隊にやられ、後ろに居ても朱里や雛里たちがまわしてくれた援軍によって倒される。

 

「これは、もう決まりましたね。

 

僕らの勝ちです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~一刀 side~

 

黄巾党軍を倒した僕たちは、放置された黄巾党軍の陣地へと侵入した。

 

「敗残兵が潜んでいるかもしれん。各員、陣地内をくまなく調査しろ!」

 

「見つけた物資には手を付けず、すぐに私たちに報告してくださいね。」

 

「応っ!」

 

愛紗たちの声を聞き、まだ幾分か元気な兵士たちが陣地の奥に散っていく。

 

「ふぅ~……とりあえずは一段落、かな。」

 

「そうだね。みんなご苦労様でした♪」

 

「特に雛里と朱里は大活躍だな。」

 

「あわわ、そ、そんなことありませんよ!みなさんのおかげでしゅ!!策もソウ先生の考えていた物を使っただけですし……」

 

「はわわ、私も桃香様のおかげでみんな頑張ってくれたんでしゅ!!誘い出したり、その後の黄巾党を倒したのも愛紗さんや鈴々ちゃん、ソウ先生がやってくれたことでしたし……」

 

「まったく。君たちはもっと自分に自信を持ちなさい。」

 

ソウはぽんと二人の頭に手を乗せる。

 

「そうだよー、木を切るときや、落とすときなんて、まるで手足みたいに指揮してたもん。」

 

「うんうん。心強い仲間なのだ♪」

 

「あの瞬間に策を行ったことで、策による被害は黄巾党のみだったのは、見事な物でしたからね。」

 

桃香たちの手放しの絶賛に、朱里と雛里が顔を真っ赤に染める。

 

「はわ……あ、ありがとうございます!」

 

「あわ……これからもたくさん頑張ります!」

 

「うん。こちらこそ、これからも宜しくね。」

 

「「はいっ!」」

 

頷き、返事をした朱里たちと握手を交わしながら、力を合わせることを誓い合う。

 

―――と、仲間として認め合い、交流を深めている俺たちのところへ、

 

「申し上げます。」

 

慌てた様子の兵士が駆け込んできた。

 

「ん?どうかしましたかねぇ?」

 

「はっ。陣営の南方に官軍らしき軍団が現れ、我らの部隊の指揮官にお会いしたいと……」

 

「官軍らしき、とはどういうことだ?」

 

「それが……通常、官軍が使用する旗を用いず、曹と書かれた旗を掲げているのです。」

 

「官軍を名乗りながら、官軍の旗は用いず。……恐らく黄巾党討伐に乗り出した諸侯でしょうね。」

 

「曹といえば……許昌を中心に勢力を伸ばしている、曹操さんかと。」

 

「そ、曹操!?」

 

曹操ってもしかしてあの曹操なのか!?

 

どうしよう、きっと桃香に会いに来たんだろうけど緊張してきたぁ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「曹操ですか……懐かしい名ですねぇ。確かあの問題児も袁家からそこへ行くと言っていたような……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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