No.617103

真恋姫†夢想 弓史に一生 第八章 第十一話

kikkomanさん

どうも、作者のkikkomanです。

アンケートの事についての報告は後書きで行います。

2013-09-08 00:23:37 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:1257   閲覧ユーザー数:1139

 

~聖side~

 

 

 

突然のマスク女性の登場に、ざわつく民衆をよそに、俺は一つの事を考えていた。

 

 

 

………なんと素晴らしい仮面だ!!! あの仮面はまたとない名品……あれを持っているとは……。

 

 

 

そしてこの時、偶然にもその女性もこう思っていた。

 

 

 

………まさか、この世にこのような名品が二点も存在するとは……。この世界を色々と回ったものだが……まだ見ぬ物もあると言うわけか……。

 

 

 

そして、二人同時に思うことは………。

 

 

「「あの女、出来るッ!!!!!!!!」」

 

 

どうやら、お互いの第一印象は良好のようだ………。

 

 

「ぐぐぐっ………。」

 

「諦めろ。もう残された道は無いぞ。」

 

「その通りだ。それとも、玉砕覚悟で挑んでくるか?」

 

「くっそぉぉ!!!! こうなったら~!!!!!!!!」

 

 

持っていた剣を振り回しながら、賊の男は華蝶仮面と名乗る女へ襲い掛かった。

 

 

「…ほう。私のほうが弱そうと思われたか…。これは心外だ…。」

 

「危ない!!」

 

 

華蝶仮面の身の心配をする俺だが、数秒後その不安は杞憂だと知る。

 

 

「はぁぁああああああ~!!!!!!!!!」

 

 

華蝶仮面は裂帛の気合と共に、彼女の愛槍を振り上げる。

 

 

ガキンッ!!!! ヒュルルル~!!!!!  ドッ!!

 

 

振り上げた槍は賊の剣を弾き飛ばし、そのまま賊の首元に当てられる。

 

 

「うっ!!!!??」

 

「大人しく降参するがよい。さもなくば、貴様の命は無いと思え。」

 

「くっそ…………。」

 

 

賊はがっくりと肩を落とすと諦めたのかその場に座りこんだ。

 

これでこの騒ぎもおしまいだ。後は警備兵がこの場を治めれば問題ないだろう。

 

 

「華蝶仮面。ありがとう、助かった。」

 

「いやなに、私の方こそ助かった。私一人ではここまで上手く事が運ぶことは無かったであろう。ありがとう、パピヨン。」

 

 

お互いの功績を称えあい握手する二人。

 

 

「それにしても、その仮面………素晴らしいな。」

 

「ほう…。お主もこの仮面の良さが分かるか!?」

 

「あぁ。職人の巧みな技術と意思を感じる……。これは名品中の名品だ。」

 

「ふふふっ。そうであろう…。流石、その仮面を持つだけのことはある…。お主は何処でそれを?」

 

「ちょっとしたつてでな……。君もか?」

 

「私は…………秘密だ。」

 

「そうか……。所で相談なんだがどうだ? こんな素晴らしい仮面を持つ者を見つけれたんだ。今日は一緒に飲み明かすというのは……?」

 

「…………そのお誘いはとても魅力的ではあるがな…。あれが聞こえるか?」

 

「ん??」

 

 

華蝶仮面の見ている先を見つめると、そこには……。

 

 

「どけぇぇ!!!!! 華蝶仮面め!! 今日こそ捕らえてやる!!!!!!」

 

 

人波を掻き分けるように、警備兵と愛紗がこちらに向かってきている。

 

どうやら、この騒ぎを聞きつけて駆けつけたみたいだが……どうも様子がおかしい気がする……。

 

 

「………何か怒らせるようなことでもしたのか?」

 

「いやなに、少しばかり遊んであげただけなのだが…。」

 

 

愛紗を相手にして遊んであげるとは……。

 

名前に似合わず、この女性も相当な使い手の様子だ…。

 

果たして何処の誰なんだか………。

 

 

「さて、こうして話をしていては警備兵に追いつかれてしまうが故……失礼する。パピヨン殿、今度あった時は、その申し出を快く受けるとしよう。」

 

「……そうか。じゃあな、華蝶仮面。」

 

「うむ。では、さらばだ!!!」

 

 

そう言うと、華蝶仮面は軽やかに屋根へと移動し、颯爽と去っていくのだった。

 

 

 

「不思議な人だったが……まぁ、良い。何れまた会えるだろう…。さて、俺もそろそろ……。」

 

「そろそろ………どうするというのですかな?」

 

「そりゃ勿論そろそろ退散を………。」

 

「そんなこと、私がさせるか~!!!!!!!! 観念しろ!!! 華蝶仮面の仲間め!!!!!」

 

「いやっちょっと!!!!! それは勘弁なんで、さようなら!!!!!!」

 

 

一目散に逃げ出す俺。

 

その突然の行動に、一瞬反応の遅れた愛紗は俺を取り逃がしてしまったのだった。

 

 

 

 

 

 

「くそっ!!!! またしても逃げられた!!!!」

 

「あの~…愛紗さん。」

 

「ん?? おぉ~これは…朱里のお姉さんの橙里殿でしたな…。しばらくぶりです。」

 

「はい。愛紗さんお久しぶりです。」

 

「今日は朱里に会いに来られたのですか? 朱里なら今、城におりますが…。」

 

「いえ、今日は……。」

 

「桃香の就任祝いにちょっと挨拶に来ただけさ。序に町の様子も見せてもらおうってことで今はこうしてぶらぶらしてるんだよ。」

 

 

愛紗から逃げ切った俺は、路地裏で仮面を外すと、何気ない顔で愛紗たちの会話に参加する。

 

後ろから声をかけられた愛紗は、体を一度びくんっと大きく跳ねさせると、勢い良く振り返って……。

 

 

「聖殿!!?? あなたも来られ……………………えっ……どちら様ですか………??」

 

 

 

困惑した表情を浮かべるのだった。

 

 

流石に俺としても、女装を見られるのは二回目な訳で、気付いて欲しいところではあるのだが……。

 

 

「おいおい……この前まで一緒に戦ってた奴の顔を忘れるのは酷いんじゃないか…。」

 

「でっ…では!? 本当に、聖殿だというのですか!?」

 

「そうだって言ってるじゃん!!」

 

 

そう言うと、愛紗は俺を上から下まで一度目を通してから、酷く暗い顔になって俯いた。

 

 

「……はぁ…。どうせ私なんか……。」

 

「おいっ!! 愛紗大丈夫か!! まったく一体全体、皆どうしてこうなるんだよ!!」

 

 

聖の叫びも空しく、そのまましばらく愛紗は落ち込んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、此度は二人で挨拶の訪問に来たということでよろしいですか?」

 

 

ようやく復活した愛紗に事情を説明し、謁見の許可をお願いしたのだが…。

 

 

「もう一人居るぞ。」

 

「えっ!? 何処に!!」

 

「いやっ…俺の隣にいるじゃん。」

 

「えっ、そちらの方も聖殿のお仲間の方ですか!?」

 

「あぁ。 ……って言うか、愛紗と一緒に戦ってたと思うんだが……。」

 

「えっ…??」

 

「俺なんだけどな………愛紗さん……。」

 

 

かつらを取って、顔が確りと見えるようにする一刀。

 

それを見た愛紗は、目を大きく見開いた後、

 

 

「………ぷっ…………ふふふっ………くくっ………。」

 

 

笑いを堪えられずにいた。

 

 

「いやっ!! 幾らなんでも酷いでしょ!!!」

 

「いや…だってな~……。一刀だし?」

 

「何でさ!! 同じ女装をしてる聖との扱いの差がありすぎでしょ!!」

 

「ぷふふふふっ………一刀殿が………ふふふっ………女装を…………。」

 

「良かったな一刀。愛紗のツボにはまってるぞ!!」

 

「嬉しくないわ!!!!」

 

 

再度進行不能になった愛紗が復活するのは、それからまたしばらく経ってからだった…。

 

 

 

 

 

 

「桃香様。お客様方をお連れしました。」

 

 

所変わって場所は城内の玉座の間。

 

愛紗が取り次いでくれたお陰でアポ無しではあったが桃香に会えることになり、城の玉座の間に通されたのが今しがただ。

 

 

「ご苦労様、愛紗ちゃん。聖さんたちも遠路はるばるご苦労様でした。顔を上げて楽にしてください。」

 

「謁見の機会を頂き、誠に感謝いたします劉備様。それでは、お言葉に甘えさせていただきます。」

 

 

 

俺たちは拱手の格好を解き、顔を上げる。

 

 

 

「この度は平原の相への着任。心よりお祝い申し上げます。これも黄巾党の討伐戦での活躍と常日頃からの劉備様たちの国への貢献のお陰……。着任して直ぐのため、まだまだ忙しい最中だとは思いますが、より一層の町の発展と我が軍との親交を深める意味でも、この度は挨拶に参った次第でございます。」

 

 

 

俺がそこまですらすらと述べ上げ、桃香たちはどういった様子で聞いてるのかと気になって見て見ると、

 

 

 

「「「「…………誰…??」」」」

 

 

 

 

 

…………まぁ、覚悟はしていたさ…。覚悟はしていたけどさ……。

 

流石に俺も泣くよ??

 

 

 

 

 

「桃香………。流石に俺も……。」

 

「あっ…聖さんだって事は分かってますよ。分かってますけど……。」

 

 

そう言って桃香は俺を上から下まで眺める。

 

おいおい…またそのパターンか?

 

いい加減、同じことを繰り返すのは芸が無いぞ?

 

 

「いや~………とっても綺麗ですよ、聖さん!!」

 

 

おやっ?どうやら桃香は落ち込んでない様子だ。

 

丁度いい、どうして皆落ち込むのかの理由も探ってみるか。

 

 

「そう言われると恥ずかしいな。……変じゃないか?」

 

「変どころか、凄く似合ってますよ!! 足も長くて細くて、お腹もキュって引き締まってて、まさに理想の女性像ですよ!!!!」

 

 

興奮気味に話す桃香を見て、何故皆が落ち込んだのかを悟る聖。

 

成程、男の俺が理想の女性像を再現したからこその自分への自己嫌悪で落ち込んだのか……。

 

そんなこと考えなくても、この世界の女の子たちは皆綺麗なんだがな……。

 

 

「それに比べて私なんて…………私なんて…………。」

 

 

おいっ!!! 今頃になって落ち込んでんじゃねぇよ!!!

 

 

気付けば、周りに居た劉備軍の面々全員が落ち込んでる様子。

 

愛紗にいたっては、思い出し落ち込みという新たな技まで飛び出す始末。

 

 

「どうせ私なんて………いやっ……聖殿は特別なのだ………聖殿は特別……聖殿は……特別…?? うぅ……。」

 

「はぁ~…………鈴々も聖兄ちゃんみたいになれるのかな~…………。」

 

「はわわ…………。だ……大丈夫………数年後には私もあれぐらいになるんだから………。」

 

「あわわ…………。自慢げに見せ付けてんじゃねぇよカス!!!! です………。」

 

 

皆各々呟きながら自分を奮い立たせて……………あれっ!? 一人おかしいよね!?

 

雛里さんすいません、マジで怖いです。本当に見せびらかすつもりなんてありませんから勘弁してください……。

 

 

「おやおや………。皆揃って落ち込んでいるとは陰気臭い………。一体何があったのですかな、桃香様。」

 

 

皆の回復を待っていると、奥の通路から一人の女性が現れた。

 

 

「星ちゃん!!! そっか、星ちゃんは聖さんとは初めてだったよね。聖さん、彼女は趙雲。平原に来て新しく私の仲間になってくれたの!!」

 

 

桃香から紹介された青髪の女性は、その白い服から覗く胸を揺らしながら俺の前まで移動する。

 

 

「ほほ~これは何とも綺麗な女性だ。」

 

「……はははっ。女装なんだけどね…。」

 

「なんと!? なるほど、通りで皆が落ち込んでいるわけだ…。」

 

 

うんうんと頷く女性に俺は苦笑を返すしか出来ない。

 

 

「おっと、話が飛びましたな……お初にお目にかかる。私は趙雲。最近この軍に厄介になることになった新参者だ。」

 

「俺は徳種聖。広陵郡の太守をしている。桃香たちとはこの前の黄巾党の討伐戦の時に協力してもらってから仲良くしてもらっている。よろしくな、趙雲。」

 

「広陵郡の太守様でしたか、これはまたなんと言う偶然。私は各地を回って旅をしていたことがありましてな。その中で一度広陵を訪ねたことがありました。」

 

「そうだったのか。趙雲、君から見て俺の町はどうだった?」

 

「素晴らしいの一言ですな。民は笑い、商人の行き来も活発、市も発展しているのに犯罪は殆どない。理想の街と言うしか他には無いでしょうな。」

 

「そう言ってもらえると嬉しいよ。あの町の名産品は俺が手を加えた物が多くてね。どうもそれを商人の皆が珍しがって買いに来てくれるから、流通の方は大分盛んになったんだよね。」

 

「なんと……??」

 

「ん??」

 

「今何と仰ったのだ……??」

 

「いやっ……だから、流通の方は大分盛んに……。」

 

「それよりも少し前に……。」

 

「え~っと……あの町の名産品は俺が手を加え………。」

 

「それだ!!!」

 

「えっ!? 何がどうしたって言うんだよ!!」

 

「まさか、あの酒とメンマもお主が作り上げたというのか……??」

 

「あ~………確かに手を加えはしたが、基本的には職人さんの頑張りだと思うがね……。」

 

 

すると、趙雲は少し俯き小さく笑い出した。

 

やがて、その笑いは大きなものとなり、見ている人からすれば、何がどうなったのかまったくと言って良いほど分からない状況になる。

 

 

「はははははっ…………いやっ、すまん。失礼したな。私のことはこれから星と呼んでくれ。」

 

「いきなりだな…。それは真名なんだろ? そんな簡単に預けて良いのか?」

 

「なに……そんな安易な気持ちで預けた訳ではない。気になさらずに、受け取っておいてくださればそれで構いませぬ。」

 

「そうか……。俺は呼びたいように呼んでくれれば構わないからな。」

 

「分かりました。では、聖殿とお呼びいたそう。」

 

 

お互いに握手をして紹介を終える。

 

しかしこの時、彼女の手に何かしらの既視感を感じて不思議に思う。

 

あれ……この手、何処かで見たことがあるような………。

 

どうやら星もそうだったらしく、不思議そうに俺の顔を見ている。

 

 

そこで俺は思い出した。

 

そう言えば、ついさっきとある女性と握手した手と同じ手なのだと………。

 

 

「なぁ、星。」

 

「ん?? どうかなされたか、聖殿。」

 

「……一緒にさ、酒でも飲みに行こうぜ。」

 

 

俺がそこまで言うと、彼女も思い当たったのだろう。

 

その口をにやっと広げて俺を見て、

 

 

「さて……それは、次に会う時の約束のはずでは…??」

 

 

と、茶目っ気たっぷりに返事をするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弓史に一生 第八章 第十一話  二匹の蝶々 END

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

第八章第十一話の投稿が終わりました。

 

 

アンケートに関してなんですが、皆さんから色々な意見が出ていて作者としても嬉しい限りです。今出ているものの内から例として挙げるなら、①身持ちの固い女性に一刀君をくっつける。②鈴々とくっつける。③紫苑とくっつけて璃々ちゃんを娘に暖かい家族を作る。④各勢力のトップの誰かなど多くの意見が聞かれています。

 

 

そこで、もう一週間様子を見るともう少し皆さんの意見も増えるかな?と思い、アンケートの終了を一週間延期することにします。

 

前回通り、ショートメールかコメントに書いて下さればそれで良いので、皆様の意見をお待ちしております。

 

 

 

次回は来週の日曜日に………。

 

では、また来週!!

 

 


 
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