No.616216

病みつき六課 私が彼に病みつきになった理由 なのは編

rikubさん

これは、彼を巡る物語
――― 自分の行動を邪魔されて、他人の 行動を邪魔する
――― これは、そんな物語
『人間を愛すること は必然だ』

2013-09-05 17:39:45 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:8697   閲覧ユーザー数:8333

私が彼のことを好きになった理由は単純な出来事だった。

―――単純な出来事だ。

機動六課設立前にフェイトちゃんから紹介してもらったの が彼だ。

フェイトちゃんが機動六課に誘ったらしい。 もちろん、この時の私は彼のことを好きになるなんて思っ てもいなかった。

彼のポジションは隊長補佐という変わったものだ。

フェイトちゃんとはやてちゃんが考えたと彼は言っていた 。

そんな彼の仕事は隊長や副隊長のサポートだ。

もちろん隊長の中には私も入っていて―――

 

「ごめんね、手伝って貰っちゃって」

 

「別に良いですよ、俺は隊長のサポートが仕事ですから」

 

彼は笑みを浮かべながら言う。

彼には事務の仕事を手伝ってもらっている。

彼に仕事を手伝ってもらうのはこれが初めてだ。

自分の仕事を彼にやらせているようで余りいい気分じゃな いけど…… その時の私は彼とは余り話したことがなかった。

彼はよくフェイトちゃんやはやてちゃんと一緒に居ること が多かったからだ。

お互いに黙って仕事をする。

気まずい空気の中何時間か経つと彼は私に言う。

 

「後は、俺1人で出来るので高町隊長は休んでてください 」

 

私が何か言うよりも先に彼は続ける。

 

「今日だって朝からFW達の訓練だったんでしょうしね、 何時も働いている高町隊長にはゆっくり休んで貰いたいで すから」

 

笑みを浮かべながら彼は言うと私を見ずに仕事を続ける。

 

「でも―――」

 

「俺のことなら大丈夫ですよ、

 

彼は私に優しく言う。

 

「じゃあ、君の言うとおり後は任せようかな」

 

「はい、任されました」

 

彼の気遣いを無駄にしたくなかったし、

 

から私は彼に残りの仕事を任せた。

 

「それと、私のことはなのはで良いよ」 「わかりましたなのは隊長」

 

彼は私の顔を一瞬見ると返事をする。 ―――今思えばその時から私は彼が好きだったのかもしれ ない。 優しい彼のことが好きだったのかもしれない。 少なくともその時の私は彼のことを『優しい人』とは思っ ていた。 私のことを気遣ってくれた優しい人だと。

 

そして、この思いに気付いたのはヴィヴィオと出会って数 日後だ。 その頃には彼のまわりにはティアナやスバルがいて、たまにキャロやエリオが居るぐらいだった。 彼はヴィヴィオが六課に馴染むまではとヴィヴィオの傍に いた。 ヴィヴィオが私とフェイトちゃん以外に懐いたのが彼だっ たからだ。 私がヴィヴィオと遊ぶ時も大抵彼が居た。 優しい笑みを浮かべながら彼はヴィヴィオの傍にいた。 私に向けた優しい笑みを他人に向けていた。

 

―――凄く嫌だった。

 

胸が苦しくなるとかじゃなくて不快感しかなかった。

 

――彼が私以外の人と話すのを見る。 関係ない ―――彼が私以外の人を見る。 関係ないはずなのに ―――彼が私以外の人と仲良くしているのを見る。 関係ないなんて嫌だ 私は彼の傍にいたい。 優しい彼の傍にいたい。 優しい彼ならきっと何時でも私を見てくれる。 優しい彼ならきっといい子じゃなくても私を見てくれる。 優しい彼ならきっと―――

 

何時からか私は彼を部屋に誘うようになった。 ルームメートのフェイトちゃんやヴィヴィオも喜んで彼を 歓迎してくれた。

 

日に日に彼のことが更に好きになる。 彼の傍にいなくても彼の事を考えるだけで更に好きになる 。 ―――優しい彼は私以外にも優しい

 

――嫌だ

 

―――彼に優しくされていいのは私だけ

 

私だけがいい!!

 

こんな我が儘も彼なら聞いてくれるはず。 優しい彼なら聞いてくれるはず。

 

―――でも

 

私は言わない。 彼が困ることはしたくないから。 そう思っても、最近私の恋路を邪魔する人達が多い。 彼は誰にでも優しいからしょうがない。 誰にでも優しい彼 私にも優しい彼 私以外にも優しい彼

 

好きだよ

 

―――どんな君でも大好きだよ

 

―――どんな君でも愛してるよ

 

―――でも

 

邪魔な人達はいらない。

 

私と彼だけ居ればいい。

 

彼の傍には私しかいらない!

 

私以外は必要ない!!

 

―――だから

 

私は今日も彼を誘う。

 

今はまだ2人っきりにはなれないけど―――

 

―――私は彼と部屋へと向かう。

 

―――邪魔な人なんか

 

―――消えればいいのに


 
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