そろそろ夜明けという頃に目が覚めました。
特に誰かがこの部屋には入って来ることはありませんでした。
たまに、近くを通っていたようですが、恐らく警羅か何かでしょうか?巡回していっています。
そのような人を雇うと言うことは、それなりの豪商か豪族のところでしょう。
しかし、まだまだ警備が甘いと言わざるをえません。
さくさくっと自分の小屋へと戻ります。
小屋に入って固まってしまいました。
部屋が荒らされています・・・。
しかも、現在進行形で・・・。
誰か引っ越し業者でも雇ったんですかね?
やっぱり、さっきの少女の手配だったんでしょうか?
「そこにたってたら邪魔だよ!」
「ああ、すいません」
何故、謝ってしまったのでしょう?ここって一応借りてるとはいえ俺の家ですよね?
それにしては、みんな思い思いの方向に持っていっているような・・・?
中に残っている人に話を聞いてみますかね。
「すいません。何してるんですか」
「見てわからないのかよ!ここのものは、なんでも早いもの勝ちで持っていっていいらしいぞ!」
そう言いながら男は手を止めません。
他の人達も止める気はないようです。
俺そんなこと言った覚えは無いですよ?
取り敢えず!
【パン!パン!パン!】
気を乗せた手合わせでみんなの気を惹きます。
「皆さん我が家にどういった御用件でしょうか?」
やっぱりみんな固まっちゃいましたね。
ちょっと・・・と言うか一晩開けただけてこれですか・・・。
固まって誰も動かなかったところに、この小屋を貸してくれた商家の人が息をきらして走ってきました。
「あんた大変だよ!」
「ええ、現在とても大変なことになってます」
今の小屋の状況を見る限り、大変ですね・・・なんか他人事っぽいですが・・・。
「知ってたのか!?」
「今知りました・・・」
ため息混じりに商家の人をよく見ると、立看板を持っています。
「立看板を勝手にとってきたら捕まりますよ?」
随所に設置された立看板は、太守などの施行が多々触れてあるので、それをとるということは、反逆の意思ありと見られてしまいます。
「これはうちの前のやつだからいいんだよ!それよりこの内容ほんとなのかい!?」
はて?何か俺に関することがあっただろうか?
立看板をの内容を何度も読みなおします。
熟読です。
しかし、内容を見れば見るほど理解したくありません。
なぜこのようなことになったのでしょう?
短い文字で分かりやすく書いてあります。
きっと識字率が低いから分かりやすくしてるんでしょうね。
『華陀医、曹家、連、報償、食糧十斤』
あそこ曹家でしたか・・・実際、声だけじゃ気付かないもんです。
くそう!顔さえ見れていれば!よく考えるとあの喋り方には確かに覚えがあります。
それにしても指名手配ですか?
昨日の段階でこんな立て札無かったですよね?
手回し早すぎません?
もしかして、この惨状もあなたのせいですか?
外堀埋めて逃げられないようにする気ですね・・・。
もうすぐ冬ですもんね・・・あの短時間でたいしたものです・・・はあ・・・。
「あんた自分のこと華陀って言ってたよな?それが本当なら俺と来てくれるよな!?食糧十斤はでかいんだ!」
どんどんとヒートアップしていってます。
その言葉を聞いたのでしょう、小屋の中にいる人達もこちらへと近付いてきました。
なんか、みんな獲物を狙うかのような目をしてますよ?
少し落ち着きましょうか。
というか、俺の価値って十斤なんですか?低くないです?もっと大盤振る舞いしてもいいじゃないですか。
ゆっくりと包囲網が縮まっています。
町の人の、この阿吽の呼吸・・・アイコンタクトで全て意思疏通できそうです。
なんでこんなところで、そんな一体感を出すんですか?あなたたちそんなに知ってる仲じゃないんでしょう?
結局、みんなを避けてしばらく麻痺させ倒します。
ただの町人に負けるはずがありません。
小屋にはいってみましたが、高そうなものはなくなっていました。
特に食糧はゼロです。
医療用の鍼が無事だったのが救いでしょうか?
護身用の短剣は持っていたので良かったですが、それ以外の武器が見当たりません・・・。
飢饉がきただけで、ここまで人の心の荒廃は進むんですね・・・。
ここにいても仕方ないので、使えそうな物を持っていきます。
路銀は床下に隠してあったので大丈夫でした。
まあ、飢饉のときにこんな金属が役に立つかは不明ですが・・・ないよりましでしょう。
「ここにあるものは、全てどうぞ。ではさようなら」
夜が明けています。今日は雲ひとつない晴天です。
しかし、肌寒いな・・・。
もうすぐ冬・・・ここの町で越えようと思ったのに・・・ここからだともう少し上にいけば、大きなところもあるかもしれませんが、向かうは真西です。
途中の町・・・なければ村にお世話になるしかないですね・・・。
防寒具でも作るためにも、山へと入りつつ、西に向かいますか・・・。
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本作品は華陀への転生ものです。
【注意事項】
素人の書きなぐりです。
はっきり言って自己満足なだけのものです。
一応昔に恋姫はしたことありますが、うろ覚えですので、改変が多々あると思います。
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