No.609946

真恋姫†夢想 弓史に一生 第八章 第八話

kikkomanさん

どうも、作者のkikkomanです。

投稿が遅くなってしまってすいませんでした…。

大人の付き合いの所為です…本当に……。

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2013-08-18 14:47:39 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:1269   閲覧ユーザー数:1178

 

~聖side~

 

 

 

 

それからしばらく楽進の相手をする俺。

 

初めこそ俺の速度に全くと言っていいほどついてこれなかった彼女だったが、流石は楽文謙と言ったところか……。

 

先ほどから俺の一撃を捌くことが出来るようになり、隙を見ては俺を倒そうと反撃を打ち込んでくる。

 

そんな姿を見ていると、何とも嬉しい気分になってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

先に言っておくが、決して変態ではない………。

 

 

 

 

 

 

 

この時代格闘術を主に、戦う武将は少ない。

 

やはり武器の間合いの差と言うのは圧倒的なものがあり、接近戦しか出来ない格闘術は人気がないのだ。

 

そんな中、彼女は自分のスタイルを曲げず、自分の武の道を昇華し続け、そして今日また一段上の段階へと脚を進めた。

 

その助けになれたと言うなら……こんなにも嬉しいことはないであろう。

 

まるで本当の弟子が活躍した様な錯覚を覚えてしまい、心に響くものがある。

 

しかし、やはり間合いを制するためには何か一つ特別なものを持っていなければいけない。

 

彼女がいくら強くなってもぶつかってしまう壁を乗り越えるための何かが……。

 

 

 

 

 

「はぁぁああああ!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

ヒュン!!!!

 

 

 

彼女の回し蹴りを身を引くことでかわし、続けてくる上段突き二発を両手で捌く。

 

返す刀で回し蹴りを放てば、彼女は一度身を引き、無理に突っ込んでくることはない。

 

 

 

「驚いた……。数をこなすたびに君はどんどんと強くなる……。こりゃ、うかうかしてられないな…。」

 

「いえっ、そんな………。師匠に比べれば私はまだまだです。」

 

「その師匠が言ってんだ。楽進、君は自分の武に自信を持つと良い。」

 

「あっ…ありがとうございます!!」

 

「だが、まだ俺からは一本も取ってない。この意味が分かるな?」

 

「はいっ!! 自身の力に驕ることなく、さらなる高みを目指します!!」

 

「良い返事だ……。さぁて、そろそろ昼か……。時間的にもそろそろ終わりにしよう。これが最後の一回だ!!全力で来い!!!」

 

「全力でいかせていただきます!!!」

 

 

 

お互いに構えを取り直し、そのまま硬直する。

 

勝負は一瞬……。

 

どちらが先に動くかで勝負は決まるのだ……。

 

お互いの視線がぶつかり合い、相手の一挙手一投足を見逃さないように集中する。

 

 

 

「……こら~見てる方も緊張してくんな~……。」

 

「凪ちゃんも徳種さんからあと少しで一本とれそうなの。こうなったら、最後の最後に決めちゃってほしいの~!!」

 

 

 

ずっと稽古を見ていた二人からすれば、楽進の進歩は驚くべきもので、もしかしたら一本とれるのではと期待させるには十分だった。

 

 

 

そしてそれは、俺も例外ではなかった。

 

戦うたびに強くなる楽進に、次はどんなふうに来るのか期待せずにはいられなかった。

 

そして、最後の一本と言った途端に彼女の眼が先ほどよりもより一層真剣になっている。

 

果たして………どんな攻撃を見せてくれるのかね……??

 

 

 

 

……………一応対策はしておこうか……。

 

 

 

 

 

 

 

「師匠……一つ賭けをしませんか?」

 

「賭け……??」

 

「はい。次の一撃でこの勝負は決する………。ならば、私の一撃が当たれば私の勝ち、師匠の一撃が当たれば師匠の勝ちでどうでしょうか…?」

 

「あぁ。それで良いが、それだと賭けになってないぞ?」

 

「続きがあります。もし私が勝ったら、師匠は私たちと共に来て、私の武の師匠として曹操様の下に参軍してくれませんか? 私が負ければ、それはあきらめます。」

 

「なっ……!!」

 

「なんやて!!」

 

「うそ~……。」

 

 

 

楽進の放った一言に動揺する三人。

 

ただし、それぞれ動揺の仕方は違う。

 

聖は単に曹操軍に入ると言う事への驚きなのだが、李典と于禁は「あの凪が、自分とずっと一緒に居るようにと言った。」と言う、普段の楽進からは考えられない熱烈的なお誘いに吃驚しているのである。

 

勿論、楽進はそこまで深く考えていなく、単に武術の師匠にずっと付いていて貰って修行に取り組みたいという気持ちだけなのだが………。

 

 

 

 

「それは……本気で言っているのか?」

 

「はい。嘘や二言はありません。」

 

 

 

楽進の決意した目を見れば、あれが嘘や狂言ではないようだ。

 

ならば、こちらとしても本気でやるために条件を出させてもらおう…。

 

 

 

「………分かった。しかし、今のままでは条件が不公平すぎる。このまま俺が勝っても俺の利益が無い。」

 

「分かりました。では、どうすれば……??」

 

「俺が勝ったら………楽進、君が欲しい。」

 

「えっ!!!!」

 

「「(キタ~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!! まさかの逆告白!!!!!!!!!)」」

 

 

 

俺の一言に今度は楽進が動揺する。

 

勿論俺は武将として楽進がうちに来てくれたらと言う意味で言ったのだが、楽進、李典、于禁の三人からすれば、それは愛の告白をされたのと同義であった。

 

 

 

「(くぁ~~!!!! やるな、徳種はん。凪に目をつけるとは良い目してはんで~…。)」

 

「(まさかのまさかで逆告白なの~!!!!! それでそれで!!!! 凪ちゃんはなんて答えるの~!!!!!)」

 

「(わわわ……私が……ほほほ…欲しい……なんて……。それは……そそその…つまり……徳種殿は……私を…つつつつ…妻として……迎え入れたいと……!!!!!!!!!!!!!!)」

 

「(……………流石に楽進を引き抜くのは無理かな~……。それにしても、なんで楽進は顔を赤くして、残り二人は目を輝かせてんだろう………。う~ん……分からん………。)」

 

 

 

真っ赤に顔を染める楽進と目を輝かせる観戦者二人を見ながら、なぜそんな事になっているのか一向に理解できない聖であった。

 

 

そこからしばらく、楽進が俺の要求に答えが出ずに待つ羽目になったが、しばらくして楽進が「それで…お願いします……。」と顔を真っ赤にしてもじもじしながら言ってきた。

 

その発言に観戦者二人は更に顔を輝かせ、聖はようやく答えが出たかと待ちくたびれた様子だったがその顔は嬉しそうだった。

 

 

 

お互いに距離を取り、相手をじっと睨みつけたまま構える。

 

お互いに相手に感じる気迫は相当のもの。どちらからも負けられない戦いと言う雰囲気が伝わってくるようだった。

 

 

 

「行きます!! 師匠!!!!!」

 

「来い!! 楽進!!!!!」

 

 

 

すっと楽進が腰を落としたのを見て、突撃してくることを予測する。

 

ならば、その速度をそのまま投げの動力にして投げれば俺の勝ちだ!!!!

 

 

 

右足を少し引き、何時突撃してきても良いように準備を整える。

 

さぁ、来い!!

 

 

 

「はぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

楽進が気合と共に突撃……………と思いきや、その場で脚に力を入れている。

 

 

 

「…………何だ…??」

 

 

 

よく見ると、楽進の体の周りに気の様なものが見え、それが右脚に収束している。

 

まさか…………。

 

 

 

「師匠、私の最強の一撃をお見せします!!!! はぁぁぁ!!!! 猛虎蹴撃!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

楽進が思いっきり右脚を振りぬくと、そこに溜まっていた気が弾丸の様に発射されてこっちに向かってくる。

 

 

 

「ちょ………そんなの聞いてないし!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

そんな事を言ってる間もなく迫ってくる光る物体。

 

流石にこれを弾き飛ばせるとは思えん……。

 

ならば、俺に出来ることはただ一つ。

 

 

 

 

大丈夫だ………俺はどの武術だってこなせるんだ……。

 

 

 

 

両手首を合わせて形にし、腰に当てて半身になる。

 

意識を手に集中し、そこに光が集まるみたいなイメージを浮かべる。

 

 

 

 

 

「か~~~め~~~○~~~め~~~波~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

猛烈な気合いで叫びをあげるが、手から何か出るような気配は一向になかった。

 

 

 

「失敗かよ!!!! くそっ…流石に亀○流はマスターしてなかったか…。」

 

 

 

そうこう愚痴を零してる間にも、光球は迫ってくる。

 

着弾まで後数秒ってところか………。

 

 

 

「…………………しょうがない…。」

 

 

 

そう言って、聖は首を垂れる。がしかし、その顔は笑っていた。

 

 

 

 

 

 

~楽進side~

 

 

 

ズガァァァアアアン!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

私の放った気弾は地面へと衝突すると、その場に大きな窪地を作り上げた。

 

辺りには煙が立ち込め、彼の姿を確認することは出来ない。

 

 

 

「私は………師匠に勝ったのか………??」

 

 

 

確かに爆発音がする少し前まで師匠はあの場にいた。

 

普通に考えればあそこから私の気弾を避けることは不可能だ。

 

…………と言うことは……??

 

 

 

「勝った………私は師匠に勝った!!!!!」

 

 

 

喜びの余り構えを解いてしまった、その時

 

 

 

「悪いけど………俺の勝ちだ…。」

 

 

 

背後から師匠の声が聞こえて全身が固まる。

 

何故……どうして……という疑問が次々と浮かんでいくが、まずは状況の確認からだと、体をひねって後ろを向く。

 

見れば、私の首筋の辺りに師匠の手で作られた手刀が当てられている。

 

完全に勝負は決していた。

 

 

 

「……………いつの間に…。」

 

「……………着弾する数秒前に避けたんだよ…。君はそのまま球の方を追ってしまったから気付かなかっただろうけどさ…。」

 

 

 

さも当たり前のように語る聖を見て、楽進は全身に鳥肌が立つのを感じた。

 

それは気持ち悪さや不気味さからではない。

 

単に自分の理解し得ないことに直面した時に人間がとる恐怖なのだが、その恐怖が楽進に与える影響は大きい。

 

 

 

 

 

最後の移動……。

 

私は師匠を目で追うどころか、移動したということでさえ気づかなかった。

 

私と師匠ではまだここまでの差があると言うのか………。

 

そもそも、師匠は何者なのだろうか……。

 

何故こんなにも強い人が今まで世間で有名になっていないのか…。

 

私の悩みの種は……どうやら尽きることがなさそうだ………。

 

 

 

 

 

~聖side~

 

 

 

「今日は本当にありがとうございました。」

 

「あぁ、俺も楽しかったよ。」

 

「流石に師匠はお強いですね。私ではまだまだ敵いません。」

 

「そうか? 最後の方には俺の速さにも付いてきてたし、気弾と言う奇想天外な技が来た時は、さすがに焦ったよ。」

 

「いえ、そんな………。」

 

 

 

頭を掻きながら恥ずかしそうにはにかむ楽進。

 

こうしてみると、やはり一人の少女にしか見えないんだけどな~……。

 

 

 

「おつかれさん、凪、徳種はん。」

 

「おつかれ~なの~!!!」

 

 

 

見学していた二人も稽古が終ったのを見て近寄ってくる。

 

 

 

「いや~ほんま熱い試合やったで~……。」

 

「そうなの。本当に目が離せないって言うか~どっちが勝ってもおかしくない試合だったの!!!!」

 

 

 

幼馴染二人から称賛の声をかけられ、凪は気恥ずかしそうに頬を染めて微笑む。

 

俺もそれに関しては同意だ。

 

先ほどの試合はどっちが勝ってもおかしくは無かった……そう、普通なら……。

 

 

 

「最後の凪の気弾があたっとったら凪の勝ちやったんやけどな~……。」

 

「本当に惜しかったの~……。でも、徳種さんは当たる寸前まで気弾の先に居たはずなの~……。でも気づいたら凪ちゃんの後ろに移動してて………一体何がどうなっているのかさっぱりなの~……。」

 

 

 

俺がそう思っていると、ちょうどその話題で三人が盛り上がっている。

 

話すなら今かな…………。

 

 

 

「あ~その、今の試合なんd『ほんで!!!! 勝った徳種はんのもんに凪がなるんやんな!!!!?』………。」

 

「そうなの~!!!!! 徳種さんが今の試合に勝ったから、凪ちゃんは徳種さんのものなの~!!!!!」

 

「…………………。( ///)」

 

 

 

思い出したかのように騒ぎ出す二人をよそに、一気に茹で蛸のように顔を真っ赤にしておろおろしだす楽進。

 

そこで俺も賭けの事について思い出す。

 

そう言えば、そんな約束もしたな~……。

 

…ってことは、楽進が俺の陣営に来てくれるってことか!!

 

おぉ!!!! こりゃ凄い!! こりゃ凄い……んだが……。

 

 

 

「すぅ~はぁ~……。よし。 徳種殿!!!!!!」

 

「はいっ!?」

 

「……ふ……不束者ですが、よろしくお願いします!!!!!!」

 

「………はい??」

 

 

 

明らかにそれって臣下の宣言ではないよね………。

 

それとも、この子の中ではこれが臣下の宣言なのか……??

 

まぁ、良いや……。話を進めよう……。

 

 

 

「その事なんだが………さっきの試合は無しだ。よって賭けは無効。」

 

「な……何を言っているんですか!? あなたは確かに私に勝ったではないですか!!」

 

「確かに勝ったんだが……実はちょっと卑怯なことをしてな………だから、最後のは無効試合だ。それで良いだろう?」

 

「そ……それでは私の気が収まりません。賭けを発案したものとして、負けた時の覚悟は端から出来ています!!」

 

「そう言われてもな~………。う~ん………。あっ!!?そうだ!!! じゃあ、君はこれから俺の正式な弟子だ。その関係は俺が解くまで変わらない。これでどうだ?」

 

「……………?? ………………。 ……………っ!! はいっ!!!!!!!」

 

 

 

俺の発言に初めこそ目を点にしていた楽進だが、事情を読み取るとぱぁーと明るい顔をして元気よく返事をした。

 

 

 

「これから先も、もし教えれる時があればすべてを君に教えていこう。ついて来れるか、楽進?」

 

「はい、勿論です!!!! そして、師匠。私の事は凪とお呼びください!!」

 

「………良いのか?」

 

「はい。師匠ならば構いません!!」

 

「なら、うちも助けてもらった礼もあるし…。うちは真桜言います。よろしくお願いしまっせ、徳種はん。」

 

「二人が預けるなら私も預けるの~!!!! 沙和で~す!!! よろしくね、徳種さん!!!!」

 

「おいおい、そんな簡単に預けていいのかよ…。」

 

「良いって。凪が預けるって決めたんやったら大丈夫やろうし…。」

 

「それに、徳種さん悪い人に見えないの~!!!!」

 

「分かったよ。凪、真桜、沙和。俺は徳種聖。呼びたいように呼んでくれて構わないから……よろしくね。」

 

 

 

そう言って彼女たちと握手を交わす。

 

こうして新たな出会い、人の輪が広がっていく。

 

ただ一つ彼女たち三人には、徳種聖とは何者なのかと言う疑問だけが残ったのだが…。

 

 

 

凪との稽古が終わり、お腹のすいた四人は、お昼を食べに陣内へと歩いていくことにしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弓史に一生 第八章 第八話   師弟の契り   END

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

 

第八章第八話の投稿が終わりました。

 

物語としての進展が無い分、フラグだけ立てておくという安易な考え………。

 

私としても、上手いこと物語を進行させていく上で盛り込みたいところなんですが、如何せん上手くいかない事態でございます……。

 

 

さて、作者の内では既に100話については書き溜めが出来ていますが、アンケートについて補足連絡をしておきますと、主題としては『北郷一刀は幸せになって良いか?』なんですが、なって良いという場合には結婚相手を選んでいただきたいんです。

 

 

勿論、結婚相手は誰でも良いんですが、蓮音(孫堅)以外でお願いします。

 

後、現在聖に傾いてる人もなるべくなら止めていただきたいなぁ~と………。

 

NTRは私の趣味ではないので……。

 

但し、皆さんからの要望が多ければ血反吐を吐く思いで書きましょう!!!

 

 

 

 

 

次話はまた日曜日に!!

 

それでは、また来週~!!!!!

 

 


 
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