No.607629 とある傭兵と戦闘機(SW編第六話後編)英雄の部隊編成雪下 夾矢さん 2013-08-11 08:10:36 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:3113 閲覧ユーザー数:2928 |
「う・・・んっ・・・」
私はいつの間にか薬の匂いがほんのり匂う部屋に寝かされていた
体を起こして、ふと自分と同じベットに寝ている少女が目に入った
それは、幼き日の私に酷似している女の子
「・・・すぅ・・・」
気持ちよさそうに寝ているその子は凄く幼くて、触れれば壊れそうで
私には触れられない存在な気がしてならない
でもその少女は、私の懐に入って静かに寝息を立てていた
「・・・・・・」
そうだね・・・そんな繊細な”私”だから
守ってあげないとね・・・
ヘイトがラプちゃんを受け入れてあげるのを確認して、私はフィアを連れて医務室を出た
「さて・・・世話の焼けるエースも介抱したし、行こっかフィア」
「はいっ・・・」
と、少し心配そうな顔をするフィア
「大丈夫、フィアが思っている事には絶対にならないから」
フィアの頭に手をぽんと置いて、私は廊下を進んだ
さあ、私の存在がもう普通の民間人ではないという事が完全にバレた
どうせ鈴音以外にあのエースも駒としてゴミが送り込んだんだろうけど
「あーあ、面倒だなぁ・・・」
幸先いかにーーー
ジリリリリリリリリンッ!!
基地に警報が鳴り響く
私は驚かない
その警報は、とある作戦の開始を示していた
「マルタ島奪還作戦開始の合図」
それは、ハルトマンと例のアフリカの星さんが組む共同作戦
部隊という区切りを超えた、人類の為の共同作戦・・・だって
そんな美名の為の・・・軍の人気取りの為の作戦
「本当に、クソ共は何と戦っているか判ったもんじゃないなぁ・・・」
そんな事の為に、不快な思いをする人も居るのに
「さて、そんな作戦なんか見る気も起きないし、部屋に戻ろうかな」
「・・・おかあさん」
「ん?どうかしたの?」
フィアが歩みを止め、私の袖を引っ張っていた
「また・・・たたかうの?」
そんな心配そうなフィアに私は答えた
「そうだね・・・必要なら戦う。相手が戦闘機だろうと人であろうと、私は戦わなくちゃいけない」
そういう生き方しか知らないから
でも、この姿を変えた自分の力を見ていると
私にも、他の生き方があるんじゃないかって思えてくる
ーーーー本当に?
~基地索敵監視室~
「さて、俺達も暇持て余してしてどうしたもんかね」
「さあな。久しぶりにポーカーでもやるか?」
「誰かさんがカモるからやらねーよイカサマ野朗」
「誰がイカサマ野朗だ・・・ん?おい、レーダーに反応がねえか?」
と、イスの背もたれにもたれかかってダレてた監視員がレーダーに食いつく
「レーダーに反応!!距離84920に機影二つ!!」
「ここの索敵範囲内に飛行する輸送機は存在しない・・・何より速度が速い」
レーダートレースのタイミングが一周回る度に反応が動く幅が大きい
そして、その反応は真っ直ぐ501に向かって来ている
「シット!!今基地のウィッチ隊は全て特殊作戦に出てやがる!!」
「今居るウィッチは・・・一人しか居ねぇ」
「だな・・・”蒼姫”さん」
「警報発令!!何が何でも彼女に知らせろ!!」
警報のレバーを力いっぱい下ろす
「敵襲!?」
皆が出撃して二度目のサイレンが基地に鳴り響く
「おかあさん・・・」
「フィアはヘイトの所でじっとしてて。いいね?」
「は、はいっ」
そうして、フィアが医務室の方向に向かうのを確認して、私は窓から直接滑走路に向かった
・・・窓出入り口にしてるの普通じゃない気が・・・ま、いいや
「班長さん!!」
「おう嬢ちゃん!!」
と、エンフィールドとソードを投げて寄越してくれる班長さん
こちらもそれを受取って魔法力を開放
すると頭の羽と共に、背中の翼が何もしなくても展開された
「私はもうストライカーは使えない・・・」
私が装着すれば機体が悲鳴を上げる
それは誰より理解しているつもりだから
でもーーー私はまだ飛べる
ロングソードを肩にかけ、エンフィールドにクリップ二本分の弾薬を差し込む
「フィリア・フェイリールド、ガルム1 迎撃に向かう」
翼を大きく広げ、そして力いっぱい羽ばたかせる
~同時刻~ 空の二機は・・・
「こちらブレイズ レーダーに反応・・・距離84920よりレーダートレース確認」
「ガルム2了解、この時代にレーダーを持つ施設は限られている。多分航空基地だろう」
「だったら希望はありますね・・・燃料」
全く、何でメーターギリギリな搭載燃料だったんだよ
んでさっきからFACSがピコピコ反応してる方位に飛んでりゃほら見ろ
航空基地だとよ・・・そろそろ神様ボコりに行ったらいいのか?
「ハ~ァ~ややっこしいんだよな~」
「さっきから戦闘機操縦しているとは思えない態度ですね・・・」
「そんぐらい気を緩めてねぇとやってけねー身分なんでな」
「そうですか・・・っ、航空基地より飛翔物体が出ました。恐らく迎撃機かと」
おっと、そりゃ航空基地なら所属不明機への対応は迎撃だな
いい判断だ。こちらのレーダーに反応が出てからそんなに経ってない
「さてと、久しぶりの空戦だな」
「速度が速い・・・コンタクトまで、およそ40秒」
「了解、マスターアーム・オン」
一機だけなら恐らくエースだ
さあ、俺達の・・・戦いだ
でもとりあえずピコピコうるせーなーこの総合支援システム
「・・・この音は・・・」
魔法力を薄く広範囲に広げる事により
その空気の揺らぎを元に距離と規模を感覚的に知る事ができる
頭にある小さな翼がピコピコ揺れる・・・これまぁ要訳すればレーダーだね
「さあ、交戦まであと数十秒って所だね・・・」
ライフルを構えてスコープを覗き込む
方向は合ってる・・・高度も
でもなんかこんな状況・・・前にもあったようなーーーああ、そうか
「目視確認ーーーほら、やっぱりね」
私のすぐ真横を、漆黒に染められた戦闘機と主翼の片羽を紅に染められた戦闘機が音速で通過する
「飛翔物体、空中で停止した模様・・・」
「まあ、できるだろうな」
ウィッチなんだろう
こっちの世界じゃ戦争の要とも呼べる要因だ
「ウィッチ・・・でしょうか?」
「そうだろうな。ブレイズ、マスターアームオフ」
「了解」
「さて、知ってるヤツだったらいいんだが・・・」
しばらくすると小さく人影が見えた
その影は、何故かストライカーでは無く背中に翼をはためかせているだけの生身そのまま
そして、見覚えのあるその姿を久しぶりに少し俺は笑った
その真横を通過して、部隊章を見せるように旋回しながら無線をオープンにして呼び掛ける
「よう相棒、まだ生きてるか?」
そのウィッチと呼ばれる少女は空に浮いていた
背中に大きな翼を携えて、空に悠然と存在するそれは本当に絵本の中の情景だった
「基地には連れて行けるけど補給は私だけじゃ判断しきれない」
「なら機体じゃなく俺達に補給してくれ」
「それくらいなら大丈夫だと思う」
「すまねーな」
こちらと並んで無線でもう一機の人と話している少女
そしてもう一機の戦闘機の事を、今更ながら思い出した
”片羽の妖精”
私が憧れた・・・”円卓の鬼神”の二番を勤めた人物
「ヘイ、ブレイズ!!今から航空基地に向かうぞ」
「りょ、了解」
「しっかりエスコート頼むぜ相棒」
「はいはい。ガルム1、これより航空誘導に入る」
・・・へ?
い、今何て・・・?
「帰ってきたな・・・お、ありゃラリーの野朗の機体だな」
空を見上げる整備班長は滑走路に降り立つ一機と一人を目で追いながら額に吹き出る汗を拭った
「この音は・・・」
「おう、あの嬢ちゃんの”相棒”の機体のエンジン音だ。確か・・・イーグルとか言ったな」
「・・・片羽か」
「だな・・・”片羽の妖精”」
「ん?もう一機居るな・・・何だありゃ、真っ黒だぞ?」
その後ろに追従する形でもう一機、影のように滑走路に降り立った機体があった
「ふぃ・・・班長さん、格納お願いします」
「おう。何か久しい面子だな」
「そうですね。ほらラリー、挨拶ぐらいしなよーーーー」
と、戦闘機から降りた相棒に呼びかけーーー
「・・・誰?」
「見て分からんのか?」
降りてきたのはおじいさんでも中年でもなく・・・若い男の人だった
金髪で別に華奢じゃないけどマッチョでもない中途半端な体格
そして・・・少しだらけたような物腰
「・・・ラリー?」
「おう相棒」
「すみません人違いです」
「言われてもしゃーねーなァこの見た目じゃな・・・」
頭をポリポリ掻く仕草まで私の知ってる相棒と瓜二つだ・・・嘘でしょ?
「それにしてもなァ・・・」
そうして相棒もどきが私をじっと見てくる
「・・・何?」
「・・・いや、何でもねーよ」
そんないつも通り、私が知ってるいつも通りの相棒を見て少し私は笑った
「やっぱりラリーなんだね」
「おう、やっとわかってくれたか。正直わかってもらえんかったら泣いてたかもな」
うん、やっぱりラリーだね。ダルそうにしてるしね。私が知ってるラリーより若々しいのが違和感だけど
・・・歳のせいかな?
「あっ・・・あのっ・・・」
と、もう一機の黒い機体から降りてきたパイロットが私達に話しかけてきた
「どうしたんだ?ブレイズ」
「もしかして・・・そちらがガルム隊の・・・」
「おう、俺の一番機だ」
ラリーに背中に腕を回されてがっちり寄せられる
「え・・・えぇ!?」
目の前のパイロットがなんか複雑にびっくりしている所に
「おかあさんっ」
と、走ってきたフィアが私に抱き付く
そんなフィアを訝しげに見ているのは相棒ことラリー・フォルク(若)
「・・・サイファー。この子供は何だ?」
「私の娘」
フィアを撫でながら、私は自分でも驚く程早く即答した
「そうか・・・って言えるかバカ」
と、言いながらもラリーがフィアの頭を撫でる
「~~~♪」
「養子にしちゃ似てるな・・・それにしても、ぷッ」
「気持ち悪い笑い方しないでよ」
「お前にもこんな時期があったんだろうと思うとなんか微笑ましくてな・・・」
ラリーはフィアに高い高いをして遊んでいた
それはもう、まるで自分の娘のように
「漆黒のF-14にこの部隊章・・・」
と、帽子を深く被ったハミルトンが滑走路に降り立ったF-14を見て少し寒気を感じた
自分を墜としたその機体を、なぜか感慨深く見つめていた
「ようハミ公、この機体知ってんのか?」
パンを齧りながら、ダウェンポートが問いかける
それが、元々は自分の居た飛行隊の裏の顔だと気がつかない
その向こうに見える、黒い髪をした忘れもできないパイロットにも
意を決して、ハミルトンは答えた
「ダウェンポート・・・この機体は”ラーズグリーズ”一番機の物だ」
「・・・つー事は・・・」
「パイロットは・・・ブレイズはあそこに居る」
と、ハミルトンはF-14に背を向ける形でその場から離れようとする
「おい、何処に行くんだよ」
「俺が居ても意味がないだろう?」
「お前が本当に謝らなけりゃならんのはアイツだろ?。真正面から殴られて来い」
と、ダウェンポートがハミルトンの背中をドンと押してやる
そして、スタスタと歩いていった矢先ーーー
「久しぶりだな、ブレイぷごッ!?」
恐ろしいほど綺麗に、右ストレートを左頬に叩きつけられて
ハミルトンは二メートル程滑空した
あの踏み込み・・・アレだな。ナガセ譲りだな
「おいおい、その辺で勘弁してやれブービー」
そして、俺の居た隊の一番機は信じられないという顔をして
「チョッパぁぁぁぁぁ!!」
俺に突進をかましてきやがった
「よし来た!!いつでも来やがーーーぐほあァッ!?」
対衝撃体勢を取ったハズだったのに、数十センチ程後ろに後退しちまった
畜生、コイツの突撃には慣れてるハズなんだが、いかんせん嬢ちゃんの娘ちゃんの”やさしいとつげき”
に慣れすぎて感覚忘れちまってた。不覚不覚
「うわぁぁぁぁん!!」
おっと本当に泣き虫だな。相変わらずいろんな意味でナガセとは大違いだ
「ちょっぱぁ・・・ひっぐ・・・」
「泣くな、泣くなって。隊長機がそんなんじゃみっともねーぞ」
だって・・・だって・・・
生きてるんだもん・・・
「あと、ハミルトンを責めてやるな。俺にちゃんと話して殴ってやったからよ」
ハミルトン?さっき私がやったナガセ☆ストレートで沈んだままだよ?
ナガセに教えてもらった技が役に立ったよぉ・・・
「おうおう、相変わらず地上じゃ世話の焼ける娘だな」
相変わらず・・・前と変わらず、チョッパーは私の頭をぐしぐしと乱雑に撫でる
その感覚が、もう二度と感じる事もないと思ってた掌の温もりが
たまらなく優しく私に安心をくれる
「それにしてもよブービー」
「?」
「あれがあの”ガルム隊”なんだぜ?」
と、向こう側で会話をしている二人と一人の子供に目を向ける
それは傍から見れば・・・まるで家族だ
仲のいい夫婦とにっこり笑うその娘さん
そんな憧れのガルム隊の姿は・・・何だか微笑ましかった
ちなみにハミルトンは再起動するまで大体十三分と三十五秒を要した
そして再起動したのを確認してブレイズがマウントポジション確保
・・・以下は語るまい
「そーら高い高い」
と、結構な高さまでフィアを放り投げるラリーは予想以上に楽しい模様
一方フィアの方はと言うと
「わぁ~っ♪」
依然、楽しそうである
「さて、そろそろ真相を聞こうか相棒」
ラリーはそう言ってフィアを下ろす
「えっと、ラリーから視たら・・・あの子かな?」
と、私は片羽を赤く染められたF-15Cイーグルを見る
「はぁ?俺の機体が何だって言うんーーー」
察したのか、ラリーはじぃっとフィアを見つめた
「・・・・?」
と、首を傾げるフィアは依然ラリーに両脇から抱えられたままである
そして、私とフィアを交互に見て言った
「機体は己を映す鏡のようなもの・・・か」
ラリーはそう呟いてフィアを地面に下ろす
それからしばしフルボッコ★ハミルトンタイムが行われているのを
笑いながらダウェンポートさんと眺めてたりして
501の皆が戻って来るまでその騒動は続いた
ーーー基地のとある一室ーーー
「さて、どこから話すかね・・・」
ラリーが口火を切って、大きな机を囲むようにして座る面々
「まずアレだ。ここに居る全員が向こう側・・・つまるところの”人同士が争いあう世界”
の人間であるって事に違いは無いな」
そう言ったのは整備服のままタオルを首にかけているダウェンポートさん
「まず自己紹介からだ。ダウェンポートから始めよう」
「そうだな。よろしく頼む」
「俺はアルヴィン・H・ダウェンポート 元オーシア国防空軍第108戦術戦闘飛行隊
サンド島分遣隊ウォードックで三番機をやっていた。階級はーーー
まぁ、二階級特進してるだろうから中佐だ。以後よろしく」
次にその隣に座るハミルトンさん
とりあえず医務室行って数十分ほど懸命な処置(主に帰還したばかりの芳佳の)でなんとかこの世に復帰
「ダウェンポートの隊が居た航空基地の副指令をやっていた。階級は少佐・・・いや、大尉だ」
お次はその隣に座って申し訳ない顔をしているF-14Dのパイロットさん。歳は同じくらいかな?
「・・・私は、克笙 葉夏 。ダウェンポート中佐と同じ隊に所属、
今はオーシア大統領直属戦闘機隊の一番機をやっています」
「ほぉ、やっぱりあの”ラーズグリーズ”か」
「次は・・・ヘイトなんだけど、今は療養中で医務室に居るから私から後で説明しとく
鈴音はミーナ中佐に転属許可を取りに行ったからそっちも同じく」
「じゃあ俺だな。俺はラリー・フォルク、これでも50年生きてんだ
最終階級は、オーシアから国名を変更した後の軍の大将だ。多分ベルカ事変関係者からは
嫌な目で視られると思う」
ラリーが頭を下げた
あのラリーが、頑固で夢想家で超アホなラリーが頭を深々と下げていた
「じゃあ私が最後だね。私はフィリア・フェイリールド 元ウスティオ空軍第6航空師団第66飛行隊
ガルム隊一番機を任されてた。今は別に流されるだけで何もしてない。
ちなみにこの横に居るバカは私の元下僕です」
「下僕とは何だ下僕とは」
横のバカが何かいいたげにして、諦めたみたいだ
「まあいい、現状を説明しよう。まず一番重要な俺達の処遇なんだが、501とは別の部隊として
ここに駐在しようと思う。重戦略級の生きる戦略兵器が三人もここに居るからな」
成る程、確かにそっちの方が501の負担も軽減されるし何より501側が被るリスクも少ない
と言うか・・・誰の事なの?その生きる戦術兵器ってさラリィー?
「そんで機体はエプロン南側にある格納庫を借用して格納する
多分俺達の活動場所もそこになってくるだろうけどな」
「501側は何と?」
「航空燃料は何とか手に入れる努力はしてくれるそうだ。それで、コイツに関しては
必要な場合に応じて501に属させてくれとのご通達だ」
と、ラリーが私の頭の上にぽふっと手を置く
「居住区は?」
「前と同じでいいそうだ」
つまり余計な引越しはしなくていいみたいだ
「ま、そんな所だな。他に確認できる向こう側のメンバーが居たら俺に通してくれ」
そんな”違う世界の戦闘機隊”の設立は意外に早く、そして短く終わった
と、言う訳で私は中佐の所に行っていた
「あ、サイファー。中佐に用?」
部屋の扉から出てきたのは、先ほどの会議の場に居なかった鈴音だった
「うん、ちょっと上層部の小間使いどうするかの点と私の処遇についてかな」
「え、あ・・・うん」
「大丈夫大丈夫、何もしなきゃ私は手は出さないから」
と、手を振りながら扉をノックする
「入室を許可します」
扉の向こうから返事を確認して、ドアノブを回して扉を押す
「あら、丁度いい所に・・・フィリアさん」
「・・・」
中佐はいつも通りの机に座り、もう一人の客人は壁に背中を預けるようにしていた
「・・・蒼の霞」
その人物は、鈴音と共にこの基地にやってきたアフリカからの増援
「ハンナ・マルセイユ大尉・・・ですね」
「そうだ」
その大尉と正面から向き合い、そしてミーナ中佐を交えて会話を始める
勿論、口火を切ったのはミーナ中佐だが
「さて、マルセイユ大尉。貴官が銃口を向けた彼女は肩書き上あくまで民間人
この基地では大尉待遇としてますが実質的には軍には関係していないの」
「つまりーーー」
「ええ、貴女はーーー一般市民に銃を向けた事になります」
少し苦い顔をしながら、中佐はマルセイユ大尉に伝えた
「ちょっと質問」
と、私が手をあげてマルセイユ大尉に質問をする
「何だ?」
「何で私を殺そうとしたの?」
「・・・・・・」
「質問を変えます。貴女は、”上層部に何を言われて”私を撃とうとしたの?」
「!?」
驚くマルセイユ大尉だが、考えてもみてほしい
まず、”何の為に?”
彼女がこの基地へと来た理由・・・それは第一目的としてマルタ島奪還作戦の増援
元々この基地の人間・・・バルクホルン大尉とハルトマン中尉が組めばいいだけの話だった
当初、中佐もその編成で作戦を立案していた
中佐の事だから、どんな場合においても人員的消耗無く、そして成功率を重視の最適化された作戦を立てていた
それを覆す程の人間・・・思い当たるのは軍の上層部
その上層部がそれを補助する形で・・・増援として無理矢理捻じ込ませたのがこのアフリカのエースさん
世界的に有名な、そして人気な彼女が関わった大きめの奪還作戦となると
言わずもがな、一般人に伝わる情報にもなってその波紋を広げる
上層部がこの有名人を送り込んだ理由はーーー軍自体のプロバガンダ
要は、”宣伝”だ
そして、鈴音から聞いた上層部が認識する”蒼の霞”
いつしかその認識は”英雄”ではなく、”制御できない暴戦力”として行きすぎ
そんな不安定な戦力は、司令部からすれば火薬の詰まった箱でしかないはず。
いつか・・・己へ牙を剥く狂犬に変貌してしまうかもしれない
そんな”危険な存在”がロマーニャに存在しているかもしれない
街での目撃情報や怪奇現象規模の魔法力放出事例
一年前のガリアでの決戦・・・それらを照らし合わせ
そうして一番関係が繋がるのがーーーこの501統合戦闘航空団
どんなにボケてても解かる、簡単な可能性の模索
そしてーーー撃滅
「って事でしょ中佐」
「そこまで理解してたの・・・」
「なら・・・何故お前は戦う力を持っているんだ」
と、真顔で聞かれた
答えようがないのにねぇ・・・でも
「ここに、力がないと守れないものがあるから」
持たざるをえない世界で戦っていた
そして、これからもそんな世界で戦わざるをえない
「・・・同じだな」
私と、と付け加えるアフリカのエースさん
「だから・・・話してよ、貴女が守るものを。そして、これからを」
「・・・本当に、只者じゃないな・・・」
と、右手を出してくる
「改めて自己紹介だ。アフリカの星 ハンナ・マルセイユだ」
「じゃあこっちも。蒼の霞 フィリア・フェイリールドです。マルセイユ大尉」
「ハンナでいい」
そうして、私達は握手を交わした
「・・・で、もし情報又は首を取って来れなかったらアフリカの部隊を解散させるってねぇ」
501メンバーの前で振舞う強気な感じじゃなく、ハンナは本当に真剣に真実を話してくれた
「お前の首か情報・・・どちらも手に入れられないのは解かっている」
「情報くらいあげてもいい・・・って思ったけどそれじゃあここの皆にまで危険が及ぶし・・・」
ハンナは本当に苦悩していたみたいだ
彼女が帰還するまであと二日、多分リミットは帰還途中に経由する連合総司令部に戻るまで
さて・・・そろそろ頃合かなーーー私の堪忍袋も
「中佐、ハンナが帰還途中で連合軍総司令部を経由しますよね?」
「・・・行くのね」
やっぱり、私の考えがわかるんですね
「はい。要はアフリカの部隊の存続も、この基地への懸念も、全て私の存在で発生しています
ならーーー私が、司令部に出頭すれば済む話です」
「・・・それでもいいの?」
「いいのも何も無いですよ。私は守りたいと思った家族や友人達の為に戦うんですから」
例えそれがーーー自分自身を再び紅い血で汚す事になろうとも
言葉の続きは、自分の心の底に沈めて
この世界でそういう事が起きないから、その事を私が忘れていただけだ
何ら変わらない、前に戻るだけだ
元より私は、引き金を引く事しかできない人間だから
でも、これからの私の行動に掛かっているんだよね・・・二つの航空団の運命が
「ハンナ、貴女が仲間を守るために戦ってる。友人の私にできる事は何でもするから」
「・・・済まない・・・っ!!」
俯いて、ポロポロと流れる雫が彼女の足元のカーペットの色を深くする
こうして、私は総司令部に顔を出しに行く事にした
友人達の、仲間と家を守る為に
そして、真の敵を見極めに
更新不定期・・・
誰か作者に書く暇を下さい・・・
さてさて、英雄大集合でちょっと話が外れ始めましたのでそろそろ・・・ね
ゲームのモーションムービーでブレイズは男?
それは幻想だ!!その幻想をぶち壊(ry
意見感想募集中☆
よろしくお願いします
Tweet |
|
|
6
|
2
|
追加するフォルダを選択
501メンバーがマルタ島奪還作戦に出払っているその間に、主人公は元の世界の人間の部隊の結成した
そして、色々な経緯あって真の敵と戦うハメに・・・果たして軍部は敵なのか?