No.604402

英雄伝説~光と闇の軌跡~ 628

soranoさん

第628話

2013-08-03 00:43:07 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1144   閲覧ユーザー数:1064

~夜・IBC~

 

「兵達を指揮する将の数だ。クロスベル市内は区画がそれなりに分かれているからな……兵達をそれぞれの区画に宛て、各街道方面で迎撃する数は十分足りているが肝心の指揮する将が俺とプリネ、ツーヤ、レーヴェ、ウィル、チキしかいない上……ウィルにはここの防衛の指揮をしてもらおうと思っているから、実質指揮する将は5人しかいない。各街道方面に4名は必要の上、市内に侵入した者達の迎撃用に最低4、5名は必要だ。」

「え………カーリアンさんやセオビットさん、エヴリーヌさんは兵の指揮を取らないんですか?」

リウイの話を聞いたティオは意外そうな表情をして尋ね

「こいつらは”将”としての戦闘能力は高いが指揮能力は低い。カーリアン達の場合、余計な事をさせず個別で戦わせた方が良いしな。セオビットは最近自分から戦闘指揮について学び始めているが………まだ指揮をさせるには早い。」

「なによ~。私達一人一人が一般兵の部隊の人数以上の働きをしていて、どこに文句があるのよ?」

尋ねられたリウイは厳しい表情で答え、それを聞いたカーリアンはリウイを睨んだ。

「ククク………おいおい、リウイ。俺達を忘れるなよ。」

一方ギュランドロスは不敵な笑みを浮かべてリウイを見つめ

「何?」

見つめられたリウイは眉を顰めた。

「俺はかつてはユン・ガソルの王!ルイーネ達だって当然兵の指揮をした事はある上、特にエルミナは軍師として天賦の才を秘めている!加えて俺達と戦ったヴァイス達もいれば、将の不足分ぐらいすぐに足りる!」

「…………………………」

ギュランドロスの説明を聞いたリウイは考え込み

「ヴァイス。ギュランドロスの言っている事は真実か?お前に指揮能力がある事はわかるが………」

ヴァイスに視線を向けて尋ねた。

「ああ。その点は大丈夫だ。ギュランドロスも言っているようにギュランドロス達の指揮能力は高い上、中でもエルミナが軍師の能力としてかなり秀でている。かつて彼女が指揮する部隊と戦った時も彼女の指揮によって苦戦したもんだ………」

「………その私の策を破り、何度も勝利しておきながらよくもそんな事が言えますね。私に対する皮肉ですか?」

リウイに説明するヴァイスの話を聞いたエルミナは苦々しい表情でヴァイスを見つめたが

「まさか。俺は事実を言ったまでだし、エルミナは俺が知る軍師の中でも一番の軍師だと思っている。」

「なっ!?」

「あはは!よかったね、エル姉~?」

静かな笑みを浮かべて言ったヴァイスの言葉を聞いた顔を真っ赤にし、パティルナは笑った後からかいの表情でエルミナを見つめた。

 

「それなら私もクロスベルに残って、兵の指揮をするわ。」

その時エルファティシアも申し出

「へ!?」

「エルファティシアさん、兵を指揮した事があるんですか!?」

エルファティシアの言葉を聞いたロイドは驚き、エリィは尋ねた。

「あら。私が”エレン・ダ・メイル”の元”王”であった事を忘れたのかしら?兵達の指揮は当然した事あるし、ヴァイス達と一緒に戦った戦争でも兵達を指揮した事あるわ。」

エリィに尋ねられたエルファティシアは意外そうな表情をした後答えた。

「――――いいだろう。ヴァイス、ギュランドロス。お前達に250名の兵達を一時的に貸してやる。それぞれの部隊に分かれてクロスベル市内の区画の遊撃、並びにウルスラ間道方面の守りは任せたぞ。」

「ああ、任せておけ!」

「おうよ!エルミナ、早速お前の能力をリウイ達に見せつけてやる時が来たようだな!ガッハハハハハッ!期待しているぜ!」

「ハッ!必ずやギュランドロス様の期待以上の働きをしてみます!……ルイーネ様。ギュランドロス様が暴走して怪我を負わないようにお願いします。」

「フフ、任せて♪パティちゃんはエルちゃんの事をお願いね♪」

「うん、任せて!」

そしてリウイの言葉にヴァイス達はそれぞれ頷き

「チキ。お前は100名の兵達と共に西クロスベル街道方面で迎撃だ。カーリアン、お前はチキ達を手伝ってやれ。」

「はい………!」

「はいはい。チキにはいつも泊めてもらっているから、それぐらいはしてあげるわよ。」

「プリネとツーヤはマインツ山道方面で100名の兵達を指揮して迎撃しろ。」

「「はい!!」」

「レーヴェは50名の兵達と共に市内に侵入した悪魔の迎撃並びに操られた警備隊員達の拘束だ。………”結社”の者であったお前なら、守りより遊撃の方が得意だろう。」

「ハッ!かしこまりました………!」

リウイは次々と指示をした。

「”結社”だと………!?なっ………よく見たらお前は”結社”の”執行者”―――”剣帝”レオン=ハルトではないか……!」

「………メンフィルに身柄を預けられたとは聞いたが、まさかメンフィルの将の一人になっていたとは………」

一方リウイのある言葉を聞いたダドリーとアリオスは驚きの表情でレーヴェを見つめ

「ほう……まさか”風の剣聖”だけではなく、軍でもないクロスベル警察が”結社”の存在に気付いていたとはな。なるほど、あのガイ・バニングスや”風の剣聖”がいた部署だけあって、それなりに優秀のようだな。」

見つめられたレーヴェは不敵な笑みを浮かべてダドリーを見つめ

「何だと!?」

見つめられたダドリーは怒りの表情でレーヴェを睨んだ。

「もう、レーヴェったら……」

その様子を見ていたプリネは呆れた表情で溜息を吐いた。

 

「ウィル。50の兵達を預けるから、ここの防衛はお前達に任せる。」

「了解。」

「ペテレーネ、ティア、シルフィ。お前達は防衛部隊の後方からの援護を頼む。」

「「「はいっ!」」」

「エヴリーヌとセオビットは俺とイリーナ、残りの兵達と共に東クロスベル街道方面で迎え撃つぞ。恐らくそこがかなりの激戦区となる。マフィア達を殺すのは禁ずるが悪魔達は殺して構わん。2人とも存分に暴れろ。それとイリーナ。”神格者”になれたとはいえ、無茶だけはやめろ。お前はレノン達を産んだばかりの身で体力も完全に戻っていないだろう。少しでも辛くなったら俺に言え。」

「フフ………心配してくれてありがとう、あなた。お言葉に甘えて無理しない程度に戦わせてもらいます。」

「くふっ♪了解♪」

「ふふっ♪そうこなくっちゃ♪」

「さてと………後は警官隊や操られていない警備隊員、遊撃士協会だが………そちらの判断に関してはお前達に任せる。俺にはお前達の指揮権はないしな。」

全員への指示を終えたリウイはダドリーたちを見つめて言い

「……ならば、我々警察や警備隊員は操られた警備隊員の拘束、IBCの防衛、メンフィル兵達の戦いのサポートをしましょう。マクレイン。遊撃士達には各区画で迎撃するメンフィル兵達のサポートを頼んでもいいか。」

見つめられたダドリーは静かな口調で答えた後アリオスに尋ね

「ああ、任せておけ。」

尋ねられたアリオスは頷き

「それならば私もせめて、警官隊の指示を手伝わさせて下さい………!自分の身を守る事や指示ぐらいならできます………!」

さらにミレイユが申し出た。

「ん………?お前は確かベルガード門の………一体どういう事だ?ベルガード門の警備隊員達が操られているのだから、当然お前も操られていると思っていたが………」

申し出たミレイユを見たセルゲイは意外そうな表情をして呟き

「確かに操られていましたけど、セティちゃん達が創った薬を呑ませて、”グノーシス”の効果を消しましたから、ミレイユはもう操られていないッスよ。」

「何だと!?本当に効果があったとは………!」

セルゲイの疑問に答えたダドリーは驚き

「あ~!その様子だとあたし達の腕を信じてなかったんだね~?」

「シャマーラ。私達はまだ大人にもなっていないのですから仕方ありませんよ。」

ダドリーの様子を見たシャマーラは頬を膨らませ、エリナは苦笑しながらシャマーラを諌めた。

「これでそれぞれの役目は決まりましたね。それじゃあみんな、早速乗り込もうか―――」

その様子を見守っていたロイドが仲間達にガプタールに乗るよう促したその時

「ロイド―――――!」

キーアの声が聞こえ、声が聞こえた方向を見つめるとIBCの出入り口付近にディーター、マリアベル、シズクがロイド達に近づき、キーアが走ってロイドに抱き付いた………


 
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