No.598653

【恋姫二次創作】死神の毒 友人

恋姫夢想の二次創作です。

ダーク主人公なので好き嫌いが分かれると思います。

基本的には原作を進んでいきます。

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2013-07-17 16:31:52 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:977   閲覧ユーザー数:913

~一刀side~

 

若者たち百人を連れて訪ねた俺たちは、門前でしばらく待たされたものの、下にも置かない扱いで玉座の間へと案内された。

 

「……今のところは図に当たってる……かな?」

 

自分たちが考えた作戦がこうも当たってくれると、すごく嬉しくはあるんだけど。

 

「今の段階で喜んでも仕方ない。……桃香、仕上げは頼むぞ~……」

 

心の中でそう祈りつつ、侍女らしき女性の誘導に従って、玉座の間へと足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくの間、女子トークが続きます。

 

「桃香!!ひっさしぶりだなー!!」

 

「白蓮ちゃん、きゃー!久しぶりだねー♪」

 

「盧植先生のところを卒業して以来だから、もう三年ぶりかー。元気そうで何よりだ。」

 

「白蓮ちゃんこそ、元気そうだね♪それにいつの間にか太守様になっちゃって。すごいよー」

 

「いやぁ、まだまだ。私はこの位置で止まってなんかいられないからな。通過点みたいなもんだ。」

 

「さっすが秀才の白蓮ちゃん。言うことがおっきいなー。」

 

「武人として大望は持たないとな。……それより桃香の方はどうしてたんだ?全然連絡が取れなかったから心配してたんだぞ?」

 

「んとね、あちこちで色んな人を助けてた!!」

 

「ほおほお。それで?」

 

「それでって?それだけだよ?」

 

「…………はぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」

 

「ひゃんっ!?」

 

「ちょっと待て桃香!あんた、盧植先生から将来を嘱望されていたぐらいなのに、そんなことばっかりやってたのかっ!?」

 

「う、うん……」

 

「どうして!?桃香ぐらい能力があったなら、都尉ぐらい余裕でなれたろうに!!」

 

「そうかもしないけど……でもね、白蓮ちゃん。私……どこかの県に所属して、その周辺の人たちしか助けることができないっていうの、嫌だったの。」

 

「だからって、桃香一人が頑張っても、そんなの高が知れてるだろうに……」

 

「そんなことないよ?私にはすっごい仲間たちがいるんだもん♪」

 

「仲間?」

 

それまで桃香と話しっぱなしだった公孫賛が、ようやく俺たちの存在に気付く。

 

「桃香が言ってるのはこの四人のこと?」

 

「そうだよ。んとね、関雲長、張翼徳、それに管輅ちゃんお墨付きの天の御使い、北郷一刀さん。そして最後に「公孫賛様!!」」

 

桃香が公孫賛に俺たちを説明していると、俺たちが入って来たほうから兵が一人走ってくる。

 

「街の外れで警邏隊の二人と、李乾殿たち四人が首を刎ねられ、殺されているのが発見されました!!その周辺に傷があり、首元ほどの高さで、直線状にある壁に、横一本の傷が入っていたため、おそらく使われた武器は剣や槍などではなく、何か非常に切れ味の良い物であったと思われます!!」

 

「なっ!?」

 

公孫賛は目を見開き、驚くが客人の前ということでいったん落ち着く。

 

「後でその話は聞く。今は街中を探し、李乾さんを殺した犯人を捜してくれ。」

 

「はっ!!」

 

兵はそれだけ言うと、もと来たほうに走って行った。

 

「すまなかったな、えっと確か管輅だったな。」

 

公孫賛がそう言うと、桃香はポケーっとしていた顔を元に戻し、話を続ける。

 

いきなりのことで良く分からなかったけど、さっきソウが言っていたことだろう。

 

「うん。流星と共に天の御使いが五台山の麓にやってくるって占い、白蓮ちゃんは聞いたことない?」

 

「あぁ、聞いたことはある。最近、この辺りではかなりの噂になっていたからな。しかし眉唾物だと思っていたけど……」

 

「そんなことないよ!ご主人様は本物だよ!!」

 

「……ふーん。」

 

「な、なに……?」

 

足のつま先から頭のてっぺんまで、じろじろと見つめてくる公孫賛に、思わずたじろいてしまう。

 

「あー!白蓮ちゃん、私のこと疑ってる!!」

 

「いや、疑ってる訳じゃないって。桃香は今まで一度だってウソをついたことが無いんだから。桃香の言うことは信じてるよ。だけど……なんかそれっぽくないなぁと思ってさ。」

 

「そんなことないよ。私には見えてるもん。ご主人様の背後に光り輝く後光が!!」

 

「……ま、後光があるか無いかは別として、一応、桃香たちと行動を共にしているんだ。宜しく、公孫賛さん。」

 

「…そうか。桃香が真名を許したのならば、一角の人物なのだろう。……ならば私のことも白蓮で良い。友の友なら、私にとっても友だからな。」

 

屈託無くそう言って、白蓮は爽やかな笑顔を俺に向けた。……いい人だなぁ。

 

「じゃあ、えっと……俺は北郷一刀。宜しく。」

 

「宜しく頼む。」

 

鷹場に頷いた白蓮が、

 

「で、だ。桃香が私を訪ねてきたのは、旧誼を暖めるためだけではないと思うけど……本当の用向きはどういうんだ?」

 

改めて言いながら、桃香の方を向き直った。

 

「うん。白蓮ちゃんのところで盗賊さんを退治するために義勇兵を募ってるって話を聞いて、私たちもお手伝いしようかなと思って。」

 

「おおー!そうか。そうしてくれると助かる。兵の数はそれなりにそろっているが、指揮できる人間が少なくて、悩んでいたところなんだ。」

 

白蓮は相当困っていたようで、顔からは安心したというのが良く分かる程の笑顔をする……が、

 

「聞くところによると、結構な数の兵を引き連れてきてくれたらしいけど……」

 

「あ、う、うん!たくさん居るよ、兵隊さん!」

 

「そうかそうか。……で?」

 

「で、でって何かな??」

 

「本当の兵士は何人ぐらい連れてきてくれているんだ?」

 

「あ……あぅ……」

 

「ふふっ、桃香の考えていることは分かる。だけど私に対してそういう小細工はしてほしくないな。」

 

「あぅ、バレてたんだ……」

 

これでも太守をやってるんだ。それぐらい見抜く目を持ってないと、生き残っていけないさ。」

 

苦笑する公孫賛に、

 

「申し訳ありません。これは全て僕の作戦なのです。桃香殿は悪くありません。」

 

ソウは頭を下げた。

 

「そうか。いや、気にはしていないから良いさ。私だって、桃香たちと同じ状況なら、そういう作戦を立てたと思う。…だけど友としての信義をないがしろにする者に、人がついてくることは無い。……気をつけろよ?」

 

「はっ、申し訳ありません。」

 

この世界は漫画ではない。

 

真心を見せれば誰しも心を開いてくれるって訳じゃない。

 

人には人の利益があり、人の都合がある。

 

それを見抜き、なおかつ相手の人となりを把握しなくちゃいけない。

 

そして胸襟を開ける相手ならば、全身全霊で赤心を押し出す……。

 

白蓮の言葉を推理すると、きっとこういうことなのだろう。

 

「まぁ、そんなことより!兵の数を聞いているんだからそれを教えてくれよ、桃香。」

 

「え、えーと……その……あのね。実は一人もいないんだ。」

 

「ファッ!?」

 

「桃香と行動を共にしているのは、俺と関羽、張飛と「ソウです。宜しくお願いします。」……の四人なんだ。」

 

「それって真名じゃないのか?」

 

白蓮がソウに対して言う。

 

っていうかソウの名前をまだ聞いたことなかったな。後で聞いておこっと。

 

「桃香殿の友は公孫賛殿の友なのでしょう?友なら真名を預けてもいいかと思いましてね。」

 

「…そうか。わかった。私のことも白蓮と呼んでくれ。えっとそれで関羽、張飛って後ろの二人のことか?」

 

「我が名は関羽。字は雲長。桃香様の第一の矛にして幽州の青龍刀。以後、お見知りおきを。」

 

「鈴々は張飛なのだ!すっごく強いのだ!!」

 

「う、うーん。……宜しく頼む、と言いたいところだが、正直に言うと、二人の力量が分からん。どうなんだ、桃香?」

 

「二人ともね、すっごく強いよ!ソウさんもとっても頭が良いんだ!私、胸張って保証しちゃうよ♪」

 

「保証ねぇ。……桃香の胸ぐらい大きな保証があるなら、それはそれで安心なんだけど……」

 

うーん、と唸りながら、愛紗たちを見つめていた公孫賛の後ろから、

 

「人を見抜けと教えた伯珪殿が、その二人の力量を見抜けないのでは話になりませんな。」

 

痺れ毒を含んだような言葉と共に、一人の美少女が姿を現した。

 

「むぅ……そう言われると返す言葉も無いが、ならば趙雲はこの二人の力量が分かるとでも言うのか?」

 

「当然。武を志す者として、姿を見ただけで只者で無いことぐらいは分かるというもの」

 

「へぇ~……まぁ星がそういうならば、確かに腕が立つんだろうな。」

 

「ただ……。」

 

趙雲はソウの前まで歩いてくる。

 

「少し失礼しますぞ。」

 

趙雲はそう言うとソウの体に触れようとする。

 

しかし、ソウは一歩下がりそれを拒否する。

 

「他人に急に触られるのは好きではないので。しかも、女性がそんな簡単に男性の体に触ってはいけませんからねぇ。」

 

「むぅ……。この方の力量は分かりませぬが、関羽殿と張飛殿の力量は保証しますぞ。」

 

「そういう貴女も腕が立つ……そう見たが?」

 

「うんうん!鈴々もそう見たのだ!!」

 

「ふふっ、さて……それはどうだろうな。」

 

余裕を感じさせる笑みを浮かべる趙雲の姿に、

 

「……まぁあの趙子龍なら、そうだろうなぁ。」

 

思わず、現実世界の知識が口をついて出た。

 

「……っ!?ほぉ。そういう貴女こそ、なかなか油断ならぬ人のようだ。」

 

「えっ?俺?」

 

「我が字をいつお知りになった?」

 

「うんうん。私もそう思う。子龍という字を呼ばなかったのに、北郷は何故知っていたんだ?」

 

「それは、えーっと……」

 

「当然だよ!!ご主人様は天の御使いなんだから♪えっへん♪」

 

「いや、その理屈はおかしい。」

 

「ええっ!?……そうかなぁ?」

 

「そりゃおかしいさ。理由の説明になっていないんだから。」

 

「……だけどまぁ、あながち間違っているとも言えないんだよなぁ。」

 

天……っていうのが現実世界だとすると、そこで三国志の知識を得ていたからこそ、思わず呟きが漏れてしまったことだし。

 

「ほぉ……噂を聞いた時には眉に唾して聞いていたが、まさか本物の天の御使い出会おうとは。」

 

「本物かどうかは分からないよ。ただ、俺のことを本物と信じてくれている桃香たちのためにも、本物で居たいとは思う。」

 

「ふむ。……ふふっ、なかなかの器量のようだ。」

 

「おいおい。私を捨てて北郷の下に入るというんじゃないだろうな、星。」

 

「さて。それはまだ分かりませんな。ただ……天下を憂う者として、徳ある主君に仕えることこそ喜び。……さて北郷殿がどのような主君となるのか。」

 

「主君……ねぇ。そんな気は無いんだけど。」

 

「でもでも、ご主人様は私たちのご主人様だよ?」

 

「まぁ、その……そういう柄じゃないから、あまりご主人様とか呼ばないで欲しいとは思ってるよ。」

 

「えー。ダメだよぉ、そんなの。」

 

「桃香様の仰る通りです。我らの主となった以上、呼び方なども受け入れて戴かないと。」

 

「そういうもんかねぇ。……と、まぁそんな話は後にしよう。」

 

場の話題が奇妙な方向にねじ曲がったのに気付き、俺は慌てて話題を戻す。

 

「で、どうだろう?俺たちの参加を認めてもらうことは出来るのかな……?」

 

「……あぁ。桃香の力はよく知っているし、他の二人は星が認めるほどの力を持っていて、軍師が居ないからソウは本当にありがたいからな。」

 

白蓮はそこで少し間を開ける。

 

「一抹の不安は残るが……残念ながら当家には他に人物が居ないんだ。今は藁にも縋りたい。私に力を貸してくれ。」

 

「うん!もっちろん♪私、たっくさん頑張っちゃうもんね♪」

 

「関羽殿、張飛殿も宜しく頼むぞ。」

 

「ああ。我が力、ご覧にいれよう。」

 

「鈴々に任せるのだ!!」

 

「ソウも軍師として今回は参加してくれ。」

 

「ふふ、わかりました。僕も頑張らさせていただきますかねぇ。」

 

こうして――――。

 

白蓮と共に戦うことになった俺たちは、陣割が決まるまで、しばし休息の時を過ごした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえばソウ、お前の名前って「一刀殿のことをご主人様と呼んだ方が良いですかねぇ?」

 

「いや、やめてください。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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