「変異」
ハイマ
「せあっ!!」
ブオンッ!!
ユウザ
「……」
トッ…タンッ!!
ハイマ
「どうしたんだい!!腰抜かしたかい!?それとも本調子じゃないのかい!?(早くその気になってくれないと…アタシはまた…いや、
薙ぎ、かわし、下がり、詰め寄り…その繰り返しだった。
偶にハイマが発破を飛ばしてくる。僕はそれを聞き流す。僕は君の体力が切れるのを待っているからだ。
無理やり闘わされるこっちの気持ちにもなって欲しい。この間にも、校内に尾びれを付けながら、噂が広まるだろう…そうなったらせっかくの昼休みもおちおち寝てられない空気で満たされてしまう……
それだけは避けねばならない。僕にとっては結構落ち着ける時間なのだから。
そんな時……
ドッ……!!
ハイマ
「ッ!!!(…マズい…ッ!!出る…【アイツ】が【表】に出てしまう……ッ!!)」
……今…何か聞こえた…鼓動?けど大型モンスターでも…この大きさは耳を澄まさないと聞こえない。
辺りを見渡した時、ハイマが俯いていた。…何があったのか、近づいてみる。そんな時……
カッ!!
ユウザ
「ッ!!」
タンッ!!!
彼女がこちらを人睨みした。それは比喩なしで【狩られる】と直感した。
ハイマ
「
薙刀をペン回しの如く回した後、薙ぐ構えをとった。僕も僕で、今までで見た事のない異様な殺気に押されながらも、投剣を再び構えた。
ハイマ
「フッフーン♪」
ユウザ
「…………」
お互いに構えたとはいえ、僕と彼女は違いすぎる。僕は…警戒していた、急に口調が変わったハイマの言葉使いに、さっきまでとは違う気に…闘気から殺気に変わっていたのだ。
対して彼女は、舌を舐めずり、まるで今にも獲物に飛び掛かりそうな目をして、合図の時を待っている。
獲物とは…彼女にとっては僕の事だ。「さっきまでは、僕の事を対戦相手と思っていたようだった」そう感じさせるような気を発していた。
ハイマ
「さーてとっ!!(さーて…
ダンッ!!
先手はハイマだった。一息入れた後、腰を低く構えをその姿勢のまま僕に突っ込んで来た…と思ったら……
ザッ……
ユウザ
「!!!」
いつの間にか懐に入り込まれていた。見てなかったわけではない……
タンッ!
僕は慌てて後ろに下がった。いや…普段モンスターを狩るときの癖が出たのか。
普段からの討伐クエストで、懐に入り込まれた時出来る限り大きく下がる癖が出来ていた。はっきりと自覚出来たのはこれで初めてかもしれない何故なら……
ドッ
ユウザ
「!?」
後ろに下がった時、
ハイマ
「もらった!!(ま…
構えた薙刀をぐるんと逆手に返して刃を向けて、顔に向けて真っ直ぐに、且つ顔に向けて迷わず、躊躇わず、気にせず、構わず、突き刺し……
【モードチェンジ…凶モード】
ドッ……!
ハイマ
「へぇ……」
間一髪、僕は突きをかわした。いや…
思考がまとまる
ただ一点だけを考える
生きるために何をするべきか、どうするべきか
……決まっている…分かり切っている事だ…目の前にいる外敵を………
……殺せばいい…
ハイマ
「やるじゃん…けどさ、こうやって横に動かせば――――!!」
タンッ!!
ハイマが横に薙ぐ寸前、僕は投剣を迷わず顔に突き出し、刺さる寸前で彼女は咄嗟に後ろにかわした。
ハイマ
「……何なのよ…アンタ……」
ユウザ
「…………………」
僕は答えなかった、いや、答える必要なんてない…
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