No.595306 リリカルなのはSFIAたかBさん 2013-07-07 11:04:54 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:4292 閲覧ユーザー数:3884 |
第二十九話 宿命の戦士。沢高志
先にお詫びを。
ジャム・プロジェクトのファンの皆さんへ。
空よりも広く、海よりも深い心でこの小説を読んでください。
ジャム・プロジェクトを知らない人はいないとは思いますが、ジャム・プロジェクトというチームはどちらかというとロックな歌を歌います。
高志が歌っていたら哀愁と苦労を滲ませる演歌ぽっく感じてしまうかもしれませんが…。
もう一度言います。演歌じゃないです。ロックです。
カリム視点。
『ゴ、ン、グッ。ゴ、ン、グッ。ゴング鳴らせぇ!』
本日は起動六課の隊長のはやてと、『傷だらけの獅子』。そして、『知りたがる山羊』から任されたヴィヴィオを聖王教会へ招いたのだが…。
現在、『傷だらけの獅子』と保護した少女は何故か教会の騎士達が鍛錬を行う訓練場で何故か歌を熱唱しているのだ。
「なるほど…。あまりにも心の傷が深かったから彼をここに連れてくるのが遅れたと」
そして、その傷の痛みを誤魔化すために歌を歌ってテンションを上げてカリムと会いたいと言ってきた。
「そうなんよ、だから…。ゆるして、カリム」
「駄目です」
にへら、と、苦笑しながら私に謝るはやてに私はにっこりと否定した。
一度はヴィヴィオと一緒に彼を医療区域で面倒を見ていた私達聖王教会だが、その時私は管理局に呼び出されて会いに行けなかった。
自分の事を棚上げしておいといてなんだが、『傷だらけの獅子』はこれからの管理局や聖王教会の未来。果てはこの次元世界の存亡を左右するかもしれない存在だ。
それは自分の未来予知で示したことなのだが、それをまともに取り合わなかった管理局。
だが、予言の中に出てきた『傷だらけの獅子』や『悲しみの乙女』といったスフィアリアクターの存在は無視できない物になっていた。
管理局の暗部に関わっていただろうプレシア。記録上では過去の事件とは別人扱いされている。が、スフィアを似せて作ったDエクストラクターなる物を作り上げたというものまでは許容範囲だった。
だが、アサキムという凶悪な存在が露呈した。それは管理局をたった一人で相手することが出来る存在。そして聖王教会を一時壊滅させた存在。
管理局のエースともいえるなのはに執務官のフェイト。そして、ヴォルケンリッターを束ねるはやて達を一蹴する力。
それに一時的にとはいえ、唯一対抗した経歴を持つ『傷だらけの獅子』。
そんな存在がそこまで心を疲弊している事にカリムはため息をついた。
「というか、何をどうすればそこまで『傷だらけの獅子』を傷つけられるんですか?」
「…え、と。脅迫に虐待に強要?」
「十分すぎますね。私なら逆に刃向って機動六課を壊滅させてますね」
聖王教会の施設に用意された個室でカリムははやての発言を聞いて目頭を押さえる。
カリムの横でカリムの護衛をしているシャッハも呆れてため息をつく。
「そ、そんな事は…。ないよ?」
はやては自信なさげに答える。
正直、プレシアが教育。もとい、
完全に躾けられていた高志だった。
ただ、『これから会うカリムは美人やで』と、冗談めいたこと言ったはやてから高志は逃げ出した。
慌てて高志を捕まえたはやてが逃げ出した高志にその理由を聞くと…。
『美人=
という概念が植えつけられたらしい。
このままだと、高志が女性不審になるのも時間の問題だろう。
もしくはロリコン。も、ないか。アリシアの件や幼少期に植え付けられたトラウマも無きにしも非ず。
彼は
だが、彼を純粋に癒す人物は幼女のヴィヴィオ。料理好きのイケメン、ティーダ。最近熱血成分が増えてきたエリオ。
彼を癒すのが幼女と男性二人と悲しい現実である。
『悲しみの乙女』のリインフォースが彼に惹かれたのもそこに起因していたら…。凄く嫌だ。
フェイトとリニス。特にフェイトはどちらかといえば癒しよりも傷つける方に回ってきているような気がする。
『振り向くなーっ、涙を見、せ、る、なーっ!』
訓練場でかなりの
その熱い歌声に訓練をしていた騎士達は歓声を上げながら聞き入っていた。
(過去を)振り向いたら涙が出そうになるから…。と、
(自分の)涙が止まらなくなりそうだから…。と、
自分は安らぎを夢見る鋼の勇者だから。と、
守るべき未来と愛がそこにあると信じているから…。と、
まるで自分自身を鼓舞するかのような歌詞にカリムは涙した。
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第二十九話 宿命の戦士。沢高志